有価証券報告書-第26期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/29 16:35
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社グループの連結業績につきましては、売上高6,589,923千円、研究開発費1,119,977千円、営業損失138,510千円、経常損失374,914千円、親会社株主に帰属する当期純損失413,994千円となりました。
バイオシミラー事業においては、堅調な需要を背景にバイオシミラー原薬等の製造・納品を計画に基づき着実に進めたことに加え、前連結会計年度第3四半期に一部製品における供給価格が改定された影響が通期で寄与したこと等に加え、当連結会計年度第3四半期に前述とは異なる一部バイオシミラー原薬等の供給価格が改定された影響等により、売上高は前連結会計年度比で大きく伸長いたしました。
売上総利益については、バイオシミラー原薬等の売上拡大に加え、当連結会計年度第4四半期末に一部バイオシミラー原薬等の製造原価低減品への切替が進んだことで増益の結果となりました。その一方で、前連結会計年度において一部製品で製造運転資金の効率化を目的とした支払条件変更により、製造原価部分を除いた粗利益相当額のみを売上高に計上していたことが売上総利益率の一時的な上昇要因となっていましたが、当連結会計年度においては当該影響の反動により売上総利益率は低下しております。加えて、当連結会計年度においては、上述の供給価格改定および製造原価低減品への切替による利益率改善施策が業績へ一定の寄与をしたものの、バイオシミラー原薬の製造等に対する海外CDMO等への支払いにかかる為替レートが円安方向に変動したため、製造原価等が上昇し、当連結会計年度の売上総利益の拡大は限定的となりました。なお、海外CDMO等への支払いと当社の売上計上タイミングには時差があるため、当連結会計年度における当社の為替レートは当連結会計年度中の為替レートの変動と必ずしも連動するものではありません。
研究開発費については、バイオシミラー事業における製造原価低減施策への継続投資、新規バイオシミラーの開発、細胞治療事業における脳性麻痺を対象とした細胞治療製品の国内外での治験実施に向けた非臨床試験、大量製造法開発等への投資を進めた結果、1,119,977千円(前年同期比 45.9%増)となりました。
営業外以下の費用については、シンジケートローン組成に伴う支払手数料、並びに中間期において発生したバイオシミラー原薬等の製造工程における棚卸資産廃棄損を営業外費用として計上したほか、研究開発体制の効率化および重点領域への経営資源配分の最適化を目的とした組織再編に伴う研究拠点の統合関連費用を精査した結果、賃貸借契約解約損として特別損失を計上しております。
以上の結果、バイオシミラー事業における増収はあったものの、研究開発投資の増加および一過性費用の計上等により、当連結会計年度は営業損失、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。
当連結会計年度における各事業の進捗状況は以下のとおりであります。
イ バイオシミラー事業
当社は、かねてより一部バイオシミラー原薬等の安定供給体制の強化・維持、および製造原価低減等を目的とし、新規CDMOへの技術移管・製造プロセス開発等を推進してまいりました。当連結会計年度における進捗としては、当初計画比で承認取得時期に半年程の遅延はあったものの、新規CDMOの追加に係る独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認を2025年5月に確認いたしました。これに伴い、当連結会計年度第4四半期より当該バイオシミラー原薬等の製造原価低減品への切替が始まり、利益率改善効果を発揮し始めています。なお、翌連結会計年度には、この製造原価低減品への切替による利益率改善効果が通期で発揮されることを想定しております。
また、上述の通り、前連結会計年度第3四半期に一部製品における供給価格が改定された影響が通期で寄与したこと等に加え、また当連結会計年度第3四半期に前述とは異なる一部バイオシミラー原薬等の供給価格が改定された影響等により売上高が前連結会計年度比で大きく伸長する等、供給価格の見直しに向けた協議・調整を継続的に実施してまいりました。
加えて、新たな収益源の創出を通じた当該事業の更なる成長を目指し、当社は、2025年5月にカイオム、MBIとの間でMaster Service Agreementを締結し新規バイオシミラー細胞株構築に着手、同10月には、アルフレッサ ホールディングス、当社ならびにカイオムの3社で、今後の新規バイオシミラー共同開発に関する基本合意書等を締結、現在は複数バイオシミラーの細胞株構築が順調に進捗しております。既に、新規バイオシミラーについてはパートナー候補である複数の国内外製薬企業等と秘密保持契約下での協議を進めております。
また、今後更なる需要拡大が想定されるバイオシミラーについて、開発から製造・供給までをカバーする国内初のバイオシミラーのサプライチェーン構築と安定供給の実現を見据え、アルフレッサ ホールディングス、カイオムと共に厚生労働省「医療施設等施設整備費補助金(バイオ後続品国内製造施設整備支援事業)」に係る公募へ共同申請し、2025年5月に採択を受けました。現在、申請3社にバイオシミラーを含むバイオ医薬品の製造および製造施設の整備に豊富な実績を有する台湾のバイオ医薬品製造受託機関であるMBIを加えた4社にて、当該支援事業の目的であるバイオシミラーの原薬・製剤製造施設の整備を進めております。
ロ 細胞治療事業(再生医療)
細胞治療の研究開発活動においては、これまでSQ-SHEDの特徴に基づきその治療効果が期待できる疾患として脳性麻痺(遠隔期)、骨疾患等を選択し、研究を進めてまいりました。その進捗として、脳性麻痺を対象として名古屋大学と共同で実施中の臨床研究において、全3例の患児様への投与が完了し、2025年10月には全3症例について独立安全性評価委員会による審議が行われ「投与後4週までの安全性に問題なし」との評価を受けました。加えて、同11月には、全3症例の投与後12週間までのデータに基づく有効性評価を含む中間解析結果をまとめた論文(プレプリント※)にて、投与後の安全性・忍容性が確認されたことに加え、運動機能(主に日常生活における大きな動作、手足の曲げにくさや伸ばしにくさ等の筋緊張)の大きな改善が認められたことが報告されました。
更に、日本国内における小児脳性麻痺を対象とした同種SQ-SHED(当社開発コード:GCT-103)については、2025年3月に持田製薬との間で共同事業化契約の締結に基づき、持田製薬が治験等を、S-Quatreが製造等を主な役割とし、治験入りに向けた準備を推進しております。現在、治験薬製造については試製造を経て、医薬品の品質と安全性を確保するための国際的な製造基準(GMP)に則した本製造の準備を進める等、国内での治験開始に向けて着々と準備を進めております。一方、海外市場におけるGCT-103の臨床開発に向けては、主に米国における同種SQ-SHEDの臨床開発加速を目的として、ヘルスケア分野に特化した戦略・財務アドバイザリーサービス等をグローバルに展開するTreehill Partners, LLC(以下、「Treehill」)と、米国に新会社を共同設立することで基本合意し、2026年2月に発表いたしました。この新会社では、当社グループとTreehillがそれぞれの強みを活かして、SQ-SHEDの米国を含む海外における臨床開発を推進します。また、海外治験に向けては、既にS-Quatreが単独で準備を進めており、2025年10月に米国FDA(食品医薬品局)とPre-IND Meeting(治験計画事前相談)を実施いたしました。その結果、FDAより脳性麻痺を対象とした同種SQ-SHEDの企業治験計画について合意と助言を取得し、それらの合意と助言に基づき今後の治験許可申請(IND申請)に向けた準備を現在Treehillと共に推進しております。
SQ-SHEDの次世代大量培養技術開発についても独自に取り組みを進めており、世界的な培養機器メーカーである米国のCorning Life Sciencesの協力の下、SQ-SHEDの特性に最適化された独自製造プロセス開発に成功し、2025年5月に米国で開催された国際細胞治療学会(ISCT)にて同社と共同で発表を行いました。更に、後期臨床試験および商用製造への適用に向け、本格的なプロセス開発を進めるべく、CDMO事業を展開するニプロと共同開発契約を締結し、S-Quatreからの技術移管を完了しました。今後も引き続き、各社と協働の下、次世代製造体制の構築に向けた開発を進めてまいります。
※プレプリントとは、研究成果についてより早く、広く専門家の評価を受けるため、学術雑誌による査読に先行して公開される原稿です。査読を経て、内容に修正・変更が加えられる可能性があります。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末比13.1%減の6,088,396千円となりました。
これは主に、シンジケートローン組成による資金調達の実施により現金及び預金が299,480千円増加したことに加え、バイオシミラー原薬等の製造、ならびにパートナー製薬企業への納品と売掛金回収が順調に進んだことにより、売掛金が536,056千円減少、仕掛品1,111,531千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末比20.8%減の4,434,479千円となりました。
これは主に、上述の資金調達実施により長期借入金(1年内返済予定を含む)が1,087,040千円増加した一方で、一部のパートナー製薬企業との間での製造運転資金の効率化を目的とした支払条件の変更等により前連結会計年度に増加していた契約負債(前受金)が1,856,168千円減少、一部転換により転換社債型新株予約権付社債が375,000千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末比17.2%増の1,653,916千円となりました。
これは主に、2025年6月27日開催の定時株主総会決議に基づき、欠損填補を行ったことによるものです。具体的には、資本金を2,486,206千円、その他資本準備金を11,841,807千円減少、その他資本剰余金を14,328,013千円増加させたのち、繰越利益剰余金に11,902,990千円振り替える処理を行っております。加えて、転換社債型新株予約権付社債の一部転換による資本金の増加、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により、株主資本全体としては、306,293千円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、3,294,916千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は1,096,139千円となりました。
これは主に、棚卸資産の減少が986,263千円、売上債権の減少が536,056千円あったものの、税金等調整前当期純損失の計上が402,928千円、契約負債(前受金)の減少が1,856,168千円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は12,624千円となりました。
これは主に、敷金及び保証金の回収による収入が5,000千円あったものの、有形固定資産の取得による支出が17,614千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は1,397,941千円となりました。
これは主に、シンジケートローン組成に伴い、既存の長期借入金の返済による支出が1,412,960千円あったものの、新規の借入収入が2,500,000千円あったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
区分当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
生産高(千円)前年同期比(%)
バイオシミラー事業4,842,52740.7
原薬等販売収益4,842,52740.7
合計4,842,52740.7

b.受注実績
フィルグラスチムバイオシミラー及びラニビズマブバイオシミラーにつきましては、ロット単位での受注であり、各ロットの生産高に応じて売上高が変動し、受注金額を確定できないことから、記載を行っておりません。
なお、上記以外の品目につきましては、研究開発段階での売上であり、その不確実性に鑑み、記載を行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
区分当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
バイオシミラー事業6,585,27533.6
原薬等販売収益6,282,94633.1
知的財産権等収益302,32842.9
細胞治療事業(再生医療)4,648△96.9
知的財産権等収益4,648△96.9
合計6,589,92329.7

(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
千寿製薬㈱2,832,96255.73,468,49052.7
持田製薬㈱1,652,62232.52,240,27334.0

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高6,589,923千円(前連結会計年度比29.7%増)、営業損失138,510千円(前連結会計年度は、営業利益27,882千円)、経常損失374,914千円(前連結会計年度は、経常利益5,187千円)、親会社株主に帰属する当期純損失413,994千円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する純損失21,140千円)となり、後述の要因により損失を計上しております。
売上高は前年の5,082,053千円から1,507,870千円増加し、6,589,923千円となりました。主な要因は、バイオシミラー事業におけるGBS-007およびGBS-010の需要増に対応する形で原薬等の製造・納品が計画通りに完了したこと、前連結会計年度第3四半期に一部バイオシミラー原薬等の供給価格が改定された影響が通期で寄与したこと、また当連結会計年度第3四半期に前述とは異なる一部バイオシミラー原薬等の供給価格が改定された影響等によるものです。
営業利益は、前連結会計年度の営業利益27,882千円から、当連結会計年度は138,510千円の営業損失へと転じました。これは上述の売上高の増加があるものの当連結会計年度中に売上計上したバイオシミラー原薬等の製造にかかる為替レートが前連結会計年度と比較して大きく円安方向に進み製造原価が増加したことに加え、バイオシミラー事業における製造原価低減施策への継続投資、新規バイオシミラーの開発、細胞治療事業における脳性麻痺を対象とした細胞治療製品の国内外での治験実施に向けた非臨床試験、大量培養法開発等への投資を進めた結果、研究開発費として1,119,977千円(前連結会計年度は、767,877千円)を計上したことが影響しています。
経常利益も同様に、前連結会計年度の経常利益5,187千円から、当連結会計年度は374,914千円の経常損失へと転じました。これは、シンジケートローン組成に伴う支払手数料、ならびに中間期において発生したバイオシミラー原薬等の製造工程における棚卸資産廃棄損を営業外費用として計上したことが影響しています。
親会社株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度の当期純損失21,140千円から、当連結会計年度は、当期純損失413,994千円まで赤字幅が拡大しました。これは、上述の要因に加え、研究開発体制の効率化および重点領域への経営資源配分の最適化を目的とした組織再編に伴う東京ラボ閉鎖費用を特別損失として計上したことが主な要因となっております。なお、これらの要因はいずれも翌連結会計年度に影響を及ぼすものではなく、翌連結会計年度においては、供給価格改定および製造原価低減品への切替が通期で寄与することにより、当初計画どおり連結営業黒字を達成する見通しであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、企業価値の最大化と株価の回復・成長の早期実現を図るため、資金調達の最適化と財務基盤の強化に継続して取り組んでおります。バイオシミラー事業では、上市済みバイオシミラーの安定的な収支構造の維持に努める上で、GBS-007およびGBS-010の需要拡大や海外製造コストの上昇に伴う製造運転資金増、製造原価増に対応するため、一部バイオシミラー原薬等についてパートナー企業との支払条件見直し、供給価格改定等を実現し、その他においても追加の交渉を継続しております。
加えて、株式市場からの資金調達についても、行使価格と株価の乖離が大きく調達が長期化していた既存の新株予約権を買入消却し、実勢株価に即した第23回および第24回新株予約権を発行するリファイナンスを2024年12月に実施しております。その結果、第24回新株予約権は2025年4月までにすべての行使が完了しました。また、2022年7月発行の第4回無担保転換社債型新株予約権付社債についても2025年4月以降転換が大きく進んでいます。
更に、2025年11月には、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとする総額25億円のシンジケートローン契約を締結いたしました。本契約には既存借入金のリファイナンスも含まれており、複数の既存借入金を一本化することで資金調達構造の効率化と管理体制の強化を図ります。これにより、短期的には資金繰りの安定化および借り換えリスクの低減を実現するとともに、特定の金融機関に過度に依存しない安定した取引銀行群を確立し、より柔軟に中長期的な事業拡大に向けた新規資金調達に対応可能な体制を構築します。
以上のとおり、当社グループは財務体質の安定化に取り組む一方、バイオシミラー事業および細胞治療事業の成長に必要な研究開発投資については継続して行う必要があります。そのための資金確保手段として、開発パートナー企業等との資本業務提携や各種助成金等の活用に加え、間接金融からの借入等、資金調達手段の多様化と最適化に2026年度以降も継続して取り組んでまいります。また、両事業においては、研究開発活動の進捗および事業性に応じて優先順位を機動的に見直すとともに、早期のパートナリング等を通じた役割分担と費用負担の調整を進めることにより、メリハリのある研究開発投資の実行とリスクの低減に取り組み、将来の成長性を毀損することなく、「安定と成長の両立」の実現に向けたバランスの取れた財務基盤の確立を目指します。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りには不確実性が伴うため、将来において、これらの見積りおよび仮定とは異なる結果となる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

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