有価証券報告書-第12期(平成29年7月1日-平成30年6月30日)

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2018/09/28 15:36
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【項目】
77項目
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
当事業年度(平成29年7月1日から平成30年6月30日)において、当社は当社独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を活用した3つの事業戦略:①創薬共同研究開発契約、②PDPSの技術ライセンス、③戦略的提携による自社パイプラインの拡充を進めてきました。
当社の事業戦略 当事業年度末パートナー数
創薬共同研究開発契約18社
PDPSの非独占的技術ライセンス許諾6社
戦略的提携による自社パイプラインの拡充4社及び1アカデミア、1機関

当社では、平成30年6月30日現在、84のプログラムが進行しております(前期末比24プログラム増加)。下表は、各研究開発ステージにおけるプログラム数を前期末時点のものと比較したものです。
【プログラム数の推移】
平成29年6月末時点平成30年6月末時点
進行プログラム数6084
リード化合物(Hit-to-Lead Stage)2334
前臨床試験対応化合物88
臨床候補化合物(Clinical candidates)34
臨床試験 第1相(フェーズ1)12
臨床試験 第2相(フェーズ2)00
臨床試験 第3相(フェーズ3)00

1つ目の事業戦略であるPDPSを活用した国内外の製薬企業との創薬共同研究開発契約については、平成30年4月25日に、当社は米国メルク社(米国以外ではMSD)との間で実施している創薬共同研究開発において、見出された特殊環状ペプチドが、あらかじめ設定していたクライテリア(共同研究開発先とそれぞれ合意している生物活性及び物性等の基準の総称)を満たしたことを発表しました。本マイルストーン達成に伴い、当社は米国メルク社からマイルストーンフィーを第4四半期に受領しております(金額は非公開)。これは米国メルク社との共同研究開発プログラムにおいて3つ目のマイルストーン達成となります。このプログラムはHit-to-Leadのステージに入っており、臨床候補化合物の同定に向けた研究開発を進めております。
平成30年6月25日に、当社は米国ジェネンテック社との間で、複数の創薬標的タンパク質に対して特殊環状ペプチドを創製する創薬共同研究開発の拡大契約を締結したことを発表しました。米国ジェネンテック社とは平成27年12月より、複数の創薬標的タンパク質に対する特殊環状ペプチドを創製・最適化及び低分子化も含めた創薬共同研究開発契約下にあります。今回の拡大契約により、米国ジェネンテック社はさらに多くの創薬標的タンパク質に対して創薬共同研究開発を始める権利を獲得しました。本拡大契約に伴い、当社は米国ジェネンテック社から契約一時金を第4四半期に受領しております(金額は非公開)。
また、第4四半期においても創薬共同研究開発契約企業から複数のプログラムに対し研究開発支援金を受け取りました。当社は、現在進行しているプログラムにおいて、さらなるマイルストーンが達成され、パートナー企業の許諾を得た上で、新たな進捗の報告をできるものと考えております。それに加えて当社は、創薬共同研究開発に関心のある複数の企業と新たな契約締結交渉を進めております。
2つ目の事業戦略であるPDPSの技術ライセンスについては、平成30年6月30日現在、6社;米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(平成25年)、スイス・ノバルティス社(平成27年)、米国リリー社(平成28年)、米国ジェネンテック社(平成28年)、塩野義製薬(平成29年)、米国メルク社(平成30年)と非独占的なライセンス許諾契約を締結しております。
平成30年5月17日に、当社は塩野義製薬への技術移管が完了し、移管先企業内でPDPSが運用開始されたことを発表しました。当社は塩野義製薬から2回目の技術ライセンス料を第4四半期に受領しております(金額は非開示)。
平成30年6月29日に、当社は米国メルク社との間で非独占的なライセンス許諾契約を締結したことを発表しました。当社は技術ライセンス料(契約一時金、金額は非開示)を段階に分けて受け取ることになり、その一部を第4四半期に受領しました。技術移管については平成30年7月に開始する予定になっております。
また、第4四半期においては、上記以外にも複数の技術移管先企業から技術ライセンス関連収入を受領しております(金額は非開示)。同事業については、技術移管先企業がマイルストーンを達成するまでは、どのような発見が行われ、開発が進んでいるかについて当社は知らされませんが、これらのライセンス先企業から技術ライセンス料とともに開発プログラムの進捗ごとのマイルストーンが当社に支払われることになります。なお、当社はPDPSの非独占的ライセンス許諾に関心をもつ複数の企業との交渉を継続的に進めております。
3つ目の事業戦略は、世界中の特別な技術を有する創薬企業・バイオベンチャー企業及びアカデミア等の研究機関と戦略的提携を組むことで、自社の医薬品候補化合物(パイプライン)の拡充を図ることです。この事業は当社の将来の業績をけん引するものと予想しております。当社は新しい本社・研究所が神奈川県川崎市に完成し、平成29年8月に移転したことで、必要とされていた研究スペースや新たな設備の問題が解決しました。当社の同事業のプログラム数は大きく拡大しました。同事業の目標は、当社の強力な製薬企業とのネットワークを活用して、これらのプログラムを少なくとも第Ⅰ相に入る段階もしくは、第Ⅰ相に入った後、可能であれば第Ⅱ相に入った後まで開発することにより、通常の開発候補品よりも収益性の高い契約条件で大手製薬企業にライセンスアウト(導出)することです。当社では、PDPS技術を用いて同定したヒット化合物を、①特殊ペプチド医薬品、②ペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)、③低分子医薬品という3カテゴリーの医薬品群として開発する創薬能力を拡充しております。戦略的パートナーの独自の技術・ノウハウと当社の技術を組み合わせることで生まれたプログラムは、開発費用を両社で負担することにより、開発に成功した場合は、得られる収益のより多くを得ることができる契約となっております。
自社創薬については、ヘマグルチニン(HA)を標的タンパク質とした抗インフルエンザウイルス特殊環状ペプチド「PD-001」に加えて、複数のプログラムが進行しています。今後、臨床開発に向けた新たな進捗の報告ができるものと考えております。
戦略的提携による創薬については、当社はこれまで4社(JCRファーマ株式会社、モジュラス株式会社、英国Heptares Therapeutics社、米国Kleo Pharmaceuticals社)との戦略的提携を発表しております。また、川崎医科大学とは難治性希少疾患に対するペプチド創薬に関する共同研究を実施し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団からは結核及びマラリア感染症の新規治療薬に関する研究開発助成金を受けております。
JCRファーマ株式会社(以下「JCRファーマ」)とは、血液脳関門(Blood-Brain Barrier:BBB)通過を可能とするキャリアペプチドの創製を行っております。開発されたペプチドに低分子医薬品やペプチド医薬品、抗体医薬品を中心とするタンパク製剤などを結合することにより、これまでBBBを通過できなかった薬を脳内に届けることができ、様々な新しい中枢系神経障害の治療薬となる可能性があります。JCRファーマと当社は疾患モデル動物を用いた試験により安全性や有効性の評価を計画しており、評価が得られた後に疾患ごとに製薬企業にライセンスアウトする計画です。当社はこれらペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)が神経疾患や骨格筋疾患の有力な治療薬となると考えております。BBB通過を可能とするキャリアペプチドに関心を持つ企業から数多く問い合わせを受けており、ライセンスアウト戦略についてJCRファーマとの協議を進めております。
モジュラス株式会社(以下 モジュラス)とは、これまで開発が難しかった創薬ターゲットに対する低分子医薬品候補化合物の開発を目指しております。モジュラスは最先端の計算科学を駆使した高速かつ効率的な低分子医薬品候補化合物のデザインに関する技術を有する会社です。両社は開発コストを分担し、得られた成果も両社で保有します。当社はPDPSを用いてキナーゼの変化の影響を受けないATP-非競合型インヒビター(アロステリックインヒビター)であるキナーゼ阻害剤の候補となるヒットペプチドをすでに数多く同定しております。両社は得られたヒットペプチドを計算科学を用いて低分子医薬品候補化合物にデザインする能力を高める取組みを進めております。これらの取り組みは順調に進捗しており、両社は今後の創薬ターゲット拡大に関する議論を進めております。
英国Heptares Therapeutics社(以下 ヘプタレス)とは、疼痛、がん、炎症性疾患など複数の適応症において既に検証されているGタンパク質共役受容体(GPCR)として知られるプロテアーゼ活性化受容体(PAR2)を標的として新規治療薬の研究開発・商業化を目的とした戦略的共同研究を行っております。この共同研究では、両社のもつ業界屈指のプラットフォーム技術を集結します。両社で選択したGPCRターゲットに対して、ヘプタレス社のStaRプラットフォームを用いて安定化し、当社のPDPSを用いてヒット化合物を得ることで、両社が有する技術の強みを融合します。本契約のもと、両社はコストを分担し、得られたすべての成果を共同で保有します。平成30年5月24日に報告しましたとおり、両社はPAR2に対し、高い親和性と選択性を有するペプチド・アンタゴニストを同定しており、このプログラムは現在、Hit-to-Leadのステージに入っております。
米国Kleo Pharmaceuticals(クリオ・ファーマシューティカル、以下 クリオ)とは、複数の適応症でがん免疫治療薬の共同研究開発を行っております。クリオが選択した複数のがん細胞表面及び免疫細胞表面の受容体ターゲットに対して当社のPDPSを用いて特殊環状ペプチドを特定し、最適化を実施します。それらとクリオが有するAntibody Recruiting Molecule(ARM)及びSynthetic Antibody Mimic(SyAM)の技術を用いたPDC医薬品候補化合物を合成します。当社は製品開発の貢献度に応じて、すべての製品から生じる一定の収益を得る権利を有しております。両社はすでにARM及びSyAMの技術を用いたいくつかの化合物の合成が完了し、それらを用いた機能試験の結果は極めて良好で、治療薬としての有望性を示唆するものとなっております。
川崎医科大学とは、難治性希少疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対するペプチド創薬の共同研究開発を続けています。DMDは進行性の筋力低下を特徴とする遺伝疾患で、有効な治療法が確立されていません。共同開発したマイオスタチンを標的タンパク質としたペプチド医薬品候補は、DMDのモデル動物に投与した際に筋力低下を有意に改善しており、革新的筋萎縮阻害剤に向けて順調に進捗しております。川崎医科大学と当社は現在前臨床試験を加速しており、近い将来に臨床試験に入れるよう全力で取り組んでおります。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下 ゲイツ財団)とは、世界の最貧国において大きな問題となっている2つの感染症である結核及びマラリアを治療するための新規特殊環状ペプチドを見出すことを目的とした複数のプログラムにつき、ゲイツ財団からの助成金による研究開発を行っております。この助成金により開発される治療薬は、ゲイツ財団との合意に基づき、貧しい国においては安価で提供されます。一方、先進国においては、ペプチドリームが自社での製品化及び自由なライセンス活動の権利を有しております。
当社は今後も特定の分野で世界をリードする優れた技術を有するバイオベンチャー企業やアカデミア等の研究機関との戦略的提携を通じて、次世代のファーストインクラス(first-in-class)及びベストインクラス(best-in-class)となる優れた治療薬の開発に向けた取組みを加速して参ります。
当社は塩野義製薬、積水化学工業株式会社と合弁で特殊ペプチド原薬の研究開発、製造及び販売を行うCMO(Contract Manufacturing Organization:医薬品製造受託機関)・ペプチスター株式会社(以下 ペプチスター)を設立しました。ペプチスターは日本の様々な会社の技術を基に高品質、高純度でしかも製造コストを大幅に下げる最先端技術を開発、提供することを目指しております。ペプチスターは当社の創薬共同研究開発企業だけでなく、戦略的提携により自社開発品の製造も請け負うことが予想されます。同社の工場は大阪府摂津市に建設中で、平成31年に商業生産を開始する計画です。
平成30年6月29日に、当社は社外取締役である菅裕明(東京大学大学院教授)の退任を発表しました。菅教授は当社の創業者の一人であり、平成18年7月の創業以来、当社の取締役を務めてきました。菅教授は大阪大学との共同研究の成果を活用し、次世代抗体技術の商業化を行う新たなベンチャー企業として、ミラバイオロジクス株式会社(以下 ミラバイオロジクス)を設立しました。菅教授はミラバイオロジクスの主要株主であり、ミラバイオロジクスの取締役を務めています。加えて、当社とミラバイオロジクスは今後、技術ライセンスを含めた協業可能性について議論をしていきます。こうした背景を勘案し、また利益相反に準じる関係が生じてしまう懸念を回避する上でも、当社と菅教授間で協議の結果、菅教授が当社の社外取締役を退任するという形が最適解であるという合意に至りました。なお、菅教授の退任後も、東京大学から許諾を受けているPDPS技術関連の特許ライセンスについて何ら変更はございません。また、今後、東京大学の菅教授の研究室で得られる新たな関連技術についても、当社が引き続きライセンスを受ける関係性に変更はございません。
当社の従業員は平成30年6月30日現在で91名(派遣を含む。女性社員比率は約4割)となっております(第3四半期末比7人増)。取締役6名を含めると総勢97名の体制となりました。なお、中国でアミノ酸や低分子化合物の合成や製造等を委託しているCRO内には当社専属で15名が勤務しております。
以上の結果、当事業年度における売上高は6,426,891千円(前年同期比1,531,143千円増加)、営業利益2,910,980千円(前年同期比420,565千円増加)、経常利益3,154,489千円(前年同期比530,042千円増加)、当期純利益2,335,216千円(前年同期比444,466千円増加)となりました。費用面では研究開発費がクリオへの一時金314,804千円という特殊要因があったため921,343千円(前年同期比558,662千円増加)と大きく増加し、新本社・研究所が完成し移転したことによる一時的な移転関連費用の発生及び減価償却費の増加がありましたが、PDPSの技術ライセンス料や創薬共同研究開発の拡大契約による契約一時金収入等がけん引し、売上高、利益ともに過去最高を更新いたしました。また、平成29年8月に発表した通期業績予想に対して、営業利益、経常利益、当期純利益において業績予想通りの結果となりました。
なお、当社の事業は単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当社は生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
② 受注実績
当社のアライアンス事業による共同研究は受注形態をとっておりませんので、記載を省略しております。
③ 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 平成29年7月1日
至 平成30年6月30日)
販売高(千円)前年同期比(%)
アライアンス事業6,426,891+31.3
合計6,426,891+31.3

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前事業年度
(自 平成28年7月1日
至 平成29年6月30日)
販売高
(千円)
割合
(%)
イ社1,745,00035.6
ロ社1,211,62424.7
ハ社1,137,72323.2

相手先当事業年度
(自 平成29年7月1日
至 平成30年6月30日)
販売高
(千円)
割合
(%)
A社2,539,98039.5
B社1,206,66618.8
C社1,130,33917.6

(注)当社顧客との共同研究開発契約においては秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。
(2) 財政状態
当事業年度末における総資産は前事業年度末に比べ、2,873,812千円増加し、16,502,264千円となりました。この主な要因は、現金及び預金の減少3,051,330千円、売掛金の増加1,338,922千円、有形固定資産の増加1,287,137千円等によるものであります。
負債は前事業年度末に比べ、345,898千円増加し、1,793,549千円となりました。この主な要因は、未払法人税等の増加351,813千円、前受金の減少17,394千円、役員株式給付引当金の減少19,506千円等によるものであります。
純資産は前事業年度末に比べ、2,527,913千円増加し、14,708,715千円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加2,335,216千円、資本金の増加45,214千円、資本剰余金の増加45,214千円によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ3,051,330千円減少し、3,505,349千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額544,333千円、売上債権の増加額1,338,922千円などがあったものの、当事業年度における税引前当期純利益の計上3,151,730千円、 減価償却費の計上493,084円等により、1,022,716千円の収入(前年同期比508,060千円の収入減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、補助金の受取額による収入136,323千円があったものの、関係会社株式の取得による支出1,900,000千円、有形固定資産の取得による支出2,437,268千円、無形固定資産の取得による支出34,443千円等により、4,245,393千円の支出(前年同期比2,305,994千円の支出増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による株式の発行による収入88,936千円、新株予約権の発行による収入81,410千円等により、170,287千円の収入(前年同期比124,707千円の収入増加)となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
財務政策につきましては、当社の事業活動の維持拡大に必要な資金は、手許資金で賄っております。
主な資金需要につきましては、運転資金として製造原価、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等があります。また、設備資金として、研究開発のための設備投資等があります。
有価証券報告書提出日現在において支出が予定されている重要な資本的支出はありません。

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