有価証券報告書-第4期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/21 10:42
【資料】
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【項目】
113項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「不易流行」を経営理念とし、変化を恐れずに挑戦をし続け、ネット時代の新たなビジネスモデルとなる“世界に類のないコンテンツプラットフォーム”を確立することを目指しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは営業利益及び営業キャッシュ・フローを主な経営指標とし、収益性を向上させることを目指しております。
(3)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループの事業領域におけるマーケット環境について見渡しますと、出版市場は縮小している一方、電子書籍市場は拡大しております。また、高速通信網の整備によるスマートフォンをはじめとした各種デバイスの急速な普及に伴い、ネットワークエンタテインメント市場も拡大しており、メディアを取り巻く環境は大きな変化を続けております。このような環境下、当社グループは、コンテンツ創造力を継続的に成長させ、そこから生まれる潤沢で強力なIPをより多くのお客様に対して様々なメディアを駆使して展開することで、複数の事業領域を横断するビジネスを推進し、収益最大化を目指してまいります。
事業別の状況並びに課題は以下のとおりであります。
①Webサービス事業
Webサービス事業では、斬新なアイデアや高いネットワーク技術力による他にはない魅力あるサービス・コンテンツを提供いたします。
Webサービス事業のうち、ポータルでは、様々なネットサービスが次々と誕生し、ユーザーのニーズが多様化していることから、従来の「niconico」の延長線上にある機能・サービスでは減少傾向にある有料会員数を再び増加させることは易しくないと認識しております。そのため「niconico」では、インフラ基盤を一新し、ログイン無しでの動画視聴、投稿可能な動画ファイルのサイズ拡大、動画再生までの待ち時間の短縮、画質の向上や速度の改善等を実現いたしました。また、平成31年3月期にリリースを予定しております、新バージョン「niconico(く)」では、「niconico」ならではの新機能の実装や機能改善等を行い、ユーザーによりご満足頂けるサービスを提供できるよう開発を進めてまいります。
ライブでは、「ニコニコ超会議」や「ニコニコ超パーティー」、「ニコニコ町会議」など、「niconico」のコンテンツをリアルの場でユーザーに体験して頂ける新しい形のエンタテインメントの創造を目指してまいります。様々なイベントを通じて「niconico」の認知度だけでなく、ユーザーのロイヤリティの向上を目指してまいります。
モバイルでは、新たなサービス・コンテンツの提供を進め、着うた®や着うたフル®等を中心に人気楽曲の獲得や「niconico」発のコンテンツ等を揃え差別化を図るとともに、コストコントロールを行い、高い利益率を維持しながら継続的な利益創出ができるように取り組んでまいります。
②出版事業
引き続き強力なIPの創出に努め、メディアミックス戦略の強化と返品率の更なる改善を推進してまいります。
出版事業のうち、書籍では、ベテラン作家や人気作家の作品に加えて、「電撃大賞」、「えんため大賞」等の多彩な新人賞における新人の発掘を行うとともに、小説投稿サイト「カクヨム」等ネットでの原作の発掘にも引き続き注力し、メディアミックスの源泉となるIPの創出に努めてまいります。また、新文芸をはじめとした新ジャンルの開拓や児童・学生向けの書籍・電子書籍の拡販を目指してまいります。
返品率の改善につきましては、平成32年4月からフル稼働を予定しております製造・物流一体の最新鋭工場の建設に先駆け、デジタル印刷機を先行導入し、小ロット製造のテスト運転が順調に進んでおります。デジタル印刷機導入による小ロット・適時製造と最新物流設備の導入による適時配送を実現することで、製造コストの削減や更なる返品率の改善を行い、中長期的に収益力を向上させてまいります。加えて、同様の設備を備える海外拠点及びその協力会社との連携により、デジタルと紙の多言語サイマル出版やメディアミックスの多国同時展開を推進してまいります。
電子書籍では、電子書籍点数の増加や独自の付加価値戦略等の拡販施策に積極的に取り組み、
「BOOK☆WALKER」の高い収益成長率を維持してまいります。また、当社グループ内の書籍・電子書籍関連のネットサービスを㈱ブックウォーカーに集約し、プロモーションから販売までの一気通貫したサービス展開を推進いたします。
雑誌では、デジタル化への移行、収益の多軸化等の抜本的な構造改革を推進してまいります。
③映像・ゲーム事業
映像・ゲーム事業のうち、映像では、Webサービスや出版、ゲームから生み出される豊富なグループIPの映像化、映像作品発のIP創出、実写映画及びアニメ作品の制作、配給を行い、今後さらに市場の拡大が期待される映像配信にも積極的に取り組んでいくとともに、海外市場における拡販にも取り組んでまいります。また、アニメ制作機能をグループ内に確保し、安定的に作品を提供できるよう体制の構築を進めてまいります。
ゲームでは、ゲーム発のIP創出に加え、当社グループが創出する優良IPの活用や他社との協業を通じ、継続的にヒットコンテンツを提供するとともに、既存の有力コンテンツの更なる強化に努めます。また、マーケティングプロモーションに注力し、多様化・複雑化するユーザーとのコミュニケーションの接点を豊かにすることで、当社が企画・開発・販売するゲームコンテンツの魅力をユーザーに伝え、収益の最大化を図ってまいります。