有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/06/03 15:04
【資料】
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【項目】
79項目

対処すべき課題

当社は雑誌の定期購読サービスの提供を中心に事業を行っております。今後につきましては、既存事業に加え、雑誌の購買状況という、個人の趣味に直結するデータ及び出版社から預かっている雑誌の記事データを活用したEC事業(マガコマース)、メディア事業、広告配信事業等の展開により、新たな収益源を確保することが重要であると認識しております。
当社は、上記内容を踏まえ、以下の点に取り組んで参ります。
(1) 雑誌販売支援事業の収益拡大
当社が取り組む雑誌販売支援事業は、月額課金サービスの充実、定期購読の自動更新サービスの導入等、購読者の利便性を向上させるとともに、出版社への効果的なマーケティング手法の提供、購読者獲得から購読者への配送までを一括でサポートする「Fujisan VCS(Fujisan Value Chain Support)」サービスの提供により、購読者、出版社双方が雑誌の定期購読に取り組みやすくすることで、定期購読市場の拡大を図って参りました。
特に、ロイヤルパートナーと共同で定期購読読者獲得の最適な手法を探る「ロイヤルパートナー戦略」を柱に、月額課金サービスの充実、Webサイトリニューアル、デジタル雑誌の提供(タダ読み、紙媒体とのバンドル提供等)による定期購読の付加価値向上のための施策を促進することで、雑誌販売事業の収益性の向上を図って参る所存であります。
雑誌市場が8,500億円(公益社団法人全国出版協会調べ)と言われているのに対し、定期購読比率は9%から10%程度であり(一般社団法人日本ABC協会資料より当社推定)、いまだ拡大余地が大きい市場であると考えております。そのための当面の課題と致しましては、上記の取り組みを促進することによって雑誌市場の中での定期購読市場の拡大を図ることで、市場の拡大、収益性の向上を図って参る所存であります。
(2) サービスの拡充
当社は、購読者に当社サービスを継続利用して頂くためには、取扱雑誌数の充実のほかに、利便性、信頼性の向上が必要であると考えております。そのため、決済手段の多様化、配送速度の向上、配送情報の提供等、顧客の利便性、信頼性を向上させるための施策の導入を図って参ります。また、デジタル雑誌については、購入してから読書を行うまでの一連の操作性の向上や紙媒体では物理的な保管の制限がある蔵書の楽しみを体感できるサ―ビスの提供、具体的には、当社サイトによるサービス提供やデジタル雑誌を閲覧、保管するためのソフトウエアまたはアプリの提供等について、今後も継続的にサービス開発及び改良を行っていく予定です。
また、現在、試験的に一部の出版社と取組みを開始している雑誌の記事等と連動した商品を当社が運営する「Fujisan.co.jp」上で販売するEC事業(マガコマース)についても、今後、試験販売によって明らかになった課題等について改良を行い、サービスリリースを行う予定です。
当社は、更なる事業拡大を企図して、将来的に、雑誌定期購読者のデータベース及び当社が出版社から預かっている雑誌記事を活用した広告配信事業、メディア事業への展開も順次検討を進めて参る予定であります。
(3) 自社及び運営サイトの認知度向上
当社は新聞、テレビ等のマスメディア向けの広告を実施しておらず、当社が持つWebマーケティング技術等の有効活用により、利用者の獲得を図って参りました。しかしながら、当社事業の更なる拡大のためには、雑誌の定期購読サービス自体の利便性の認知度向上、当社自体のブランドの確立及び、認知度の向上が必要であると考えております。
したがって費用対効果を検討の上、メディアを活用した広告宣伝及びプロモーション活動を強化して参ります。
(4) システムの安定性の確保
当社の事業は、インターネット上でサービス提供を行っている関係上、安定した事業運営を行うために、アクセス数、外部攻撃を想定したサーバー設備の強化、負荷分散等が重要となります。
したがって、今後も継続的に設備投資を行いシステムの安定性確保に取り組んで参ります。
(5) 情報管理体制の強化
個人情報等の機密情報について、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、セキュリティシステムの整備等により、今後も引き続き、情報管理体制の強化を図って参ります。
なお、当社は一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマーク制度の認証を取得しており、情報管理の徹底を図っております。
(6) 社内体制の整備について
当社が継続的に企業価値を拡大していくためには、より専門性の高いサービスを構築できる専門的知識を有した優秀な人材の採用と教育、並びに組織体制の強化が重要な課題であると認識しております。
このため、労働条件の改善等による魅力ある職場作りの推進を中長期的視点で進めていくことで優秀な人材を確保するとともに、人材育成のために教育・研修制度を充実させること等によって、バランスの取れた組織体制の整備・強化を図る方針であります。
また、事業の拡大に応じた管理業務を支障なく遂行できるよう、内部統制の仕組みを改善し、管理体制の強化を図って参ります。