訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2016/03/11 15:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
98項目

事業等のリスク

当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要であると考えられる事項については、積極的に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
a.景気、金利及び住宅市場の動向等の外部環境による影響
当社グループは主に住宅不動産業界に属する企業を顧客としているため、住宅の建設動向、消費税やその他不動産に係る税制の改正、国内の人口減少等の影響を受ける可能性があります。そのため、住宅購入意欲の低減、住宅ローン金利の上昇、住宅着工棟数の縮小等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.法的規制
当社グループでは、当社子会社である株式会社ansにおいて宅地建物の取引に関わることから、「宅地建物取引業法」の法的規制を受けております。また、当社グループにおいては、個人情報の取得を行っており、電子メールにてメールマガジンの配信を行っているため、「個人情報の保護に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の法的規制も受けております。当社グループはこれらの法令の遵守を徹底し事業運営を行っておりますが、万一法令違反に該当するような事態が発生した場合や、今後新たな法令等の制定、既存法令等の解釈変更等がなされ事業が制約を受けることになった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.サービスの陳腐化
当社グループは「経営効率化パッケージ」において、営業活動プロセスの効率化や社員教育の効率化、顧客管理、原価管理の効率化といった経営(事業)におけるプロセスや機能に対するソリューションを提供しております。また、「ビジネスモデルパッケージ」においては、住宅建築や工事に必要な事業ノウハウや継続的な情報提供及びトレーニングの仕組み、営業支援等のオプションサービス、ローコストでの建築部材供給等を行っております。しかしながら、IT分野や住宅・建設業界における技術動向及び経営環境の変化に対応して、日々新たな商品やサービスの開発・提供が行われていることから、当社グループは常に顧客企業にとって競合他社よりも有益な価値を提供する必要があります。
当社グループでは、顧客企業のニーズに対応するため、常に新たな技術及びサービス等に係るノウハウの導入を図り、蓄積したノウハウの活用と併せてサービス機能の強化及び拡充を進めております。しかしながら、何らかの要因により、当社グループが保有しているサービス及びノウハウ等が陳腐化した場合や、変化に対する十分な対応が困難となった場合、顧客企業のニーズの的確な把握が困難となった場合、取引先や関係者の方針が変化した場合、またこれら要因により商品やサービスの開発の遅延があった場合等においては、顧客企業に対する当社グループサービスの訴求力低下や導入が進まない等の理由により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.情報の漏洩
当社子会社である株式会社ansにおいて、住宅取得希望の個人より相談を受ける場合があり、取り扱う個人情報に関しては、「個人情報の保護に関する法律」の対象となります。また、当社の業務の性質上、顧客企業の機密情報も扱っていることから、当社においては「プライバシーマーク制度(注1)」、株式会社ansにおいては「JAPHIC(ジャフィック)マーク制度(注2)」の認定を取得する等、情報の管理には万全を期した体制の強化に努めております。万が一これらの情報の漏洩や不正使用などがあった場合、損害賠償、社会的信用の失墜及び顧客企業との取引停止等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注1) プライバシーマーク制度とは、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が行う日本工業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に適合して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備する事業者等として認定する制度のことです。認定された事業者には「プライバシーマーク(Pマーク)」の使用が認められます。
(注2) JAPHIC(ジャフィック)マーク制度は、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年5月30日法律第57号)に基づき作られた「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」(平成16年10月22日厚生労働省・経済産業省告示第4号)(いわゆる「経済産業分野ガイドライン」)に準拠して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備し運用している事業者を認定して、その旨を示すJAPHICマークを付与し、事業活動に関してJAPHICマークの使用を認める制度となっております。
e.知的財産権
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように努めておりますが、係る知的財産権の侵害が生じてしまう可能性は否定できず、万が一知的財産権を侵害してしまった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは自社の知的財産権保全のために社内管理体制を強化しており、主要な商品サービス名については商標登録済か商標登録申請中であります。今後、知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決のため多くの労力が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
f.システム障害について
当社グループは、コンピュータシステムの管理に細心の注意を払い、システム障害のトラブルが発生することが無いよう運営に当たっており、万一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるような体制を整えております。しかしながら、大規模なプログラムの不良が発生した場合や、当該地域において当社グループの想定を上回る大地震、台風等の自然災害や事故、火災等が発生し、開発業務やシステム整備等に重大な被害が発生した場合及びその他何らかの理由によりシステム障害等が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障が生じることにより、顧客との信頼関係に悪影響を及ぼし、賠償責任の発生等によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
g.訴訟発生リスクについて
当社グループでは、コンプライアンス体制を整備し、役職員に対して法令遵守を徹底させることで法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、顧客企業や取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に関するリスク
a.事業提携先との関係等
当社グループが顧客へ提供している「ビジネスモデルパッケージ」及び「経営効率化パッケージ」等の各種パッケージは、当社と事業提携先との共同開発及び共同運営にて提供しており、事業展開上の重要な契約については「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しております。
これらの事業提携先との契約が解除された場合、当社グループにとって不利な契約改定が行われた場合、契約期間満了後に契約が継続されない場合、事業提携先の経営状態等が著しく悪化し事業継続が困難となった場合等においては、会員企業への各種パッケージの提供等に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.事業の収益構造について
イ.初期導入フィーについて
当社グループにおける主な収益構造は、会員企業へのサービス導入時に生じる「初期導入フィー」、毎月生じる「会費」、及び導入サービスの成果報酬たる「ロイヤルティ等」により構成されております。このうち、新規会員(一部既存会員)からの収入である「初期導入フィー」の売上高及び売上総利益における構成比率はそれぞれ以下のとおりとなっております。
初期導入フィー 構成比
平成26年4月期平成27年4月期平成28年4月期
第3四半期連結
累計期間
売上高に占める割合24.8%24.3%26.1%
売上総利益に占める割合37.1%35.4%36.4%

会員企業数が増加していくことで、「会費」、「ロイヤルティ等」などの安定的収益の構成比率が高まり、「初期導入フィー」が当社業績に与える影響は徐々に低下することを見込んでおりますが、現時点において初期導入フィーは、売上高及び売上総利益において一定の比率を占めていることに変わりはなく、新規会員獲得等が想定どおりに進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.ロイヤルティ等について
導入サービスの成果報酬たる「ロイヤルティ等」は、会員企業である専門工事会社、工務店及び不動産会社等における受注状況、エンドユーザーとの契約状況等に左右される性質があります。
当社においては、会員企業に対するセミナー、研修会の開催や営業支援等を行うことで会員企業の受注・契約獲得のサポート等も行っておりますが、会員企業の受注状況や経営環境等に不測の事態等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.特定パッケージへの依存
当社グループは多様なサービスをパッケージ化して提供しておりますが、特にビジネスモデルパッケージの「ハイスピード工法」(事業提携先:ハイスピードコーポレーション株式会社)及び「R+house」(事業提携先:株式会社アンビエントホールディングス)については、以下の表に記載のとおり、売上高全体に占める割合が高くなっております(初期導入フィー、会費、ロイヤルティ等すべての売上高の合計割合)。
提出日現在において上記事業提携先との関係性は良好でありますが、これらの事業提携先との契約が解除された場合、当社グループにとって不利な契約改定が行われた場合、契約期間満了後に契約が継続されない場合、事業提携先の経営状態等が著しく悪化し事業継続が困難となった場合等においては、会員企業への各種パッケージの提供等に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
売上高構成比
平成26年4月期平成27年4月期平成28年4月期
第3四半期連結
累計期間
ハイスピード工法37.1%26.4%19.2%
R+house30.6%36.3%43.0%
その他32.3%37.3%37.8%
合計100.0%100.0%100.0%

今後は「ハウス・イン・ハウス」等の新しいパッケージを継続的に開発、提供をすることによる商材ラインナップの拡充により、「ハイスピード工法」及び「R+house」への依存度は徐々に低下していくことを見込んでおりますが、現時点におきましては、「ハイスピード工法」及び「R+house」の依存度が高いことには変わりはなく、不測の事態等により、「ハイスピード工法」及び「R+house」の新規会員企業獲得や会員企業の受注状況等に影響が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
a.特定人物への依存
代表取締役社長である濵村聖一は、当社創業以来、最高経営責任者として経営方針や戦略の決定をはじめ、また業界内に持つ幅広い人脈によるアライアンスパートナーとの関係構築等、当社グループの事業活動上重要な役割を果たしております。
当社グループでは、過度に特定の役員に依存しない組織的な経営体制の構築を進めておりますが、現時点で何らかの事由で濵村聖一が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.小規模組織
当社グループは、従業員81名、取締役8名、監査役3名(平成28年1月31日現在)と小規模組織であり、内部管理体制もこのような規模に応じたものになっております。当社グループは重要ポストへの人材登用、業務内容に応じた適切な人材配置を行っており、現時点の規模においては、適切かつ組織的な対応に適した人員であると考えております。また、今後は事業の拡大に合わせて、人材の育成、人員の増強及び内部管理体制の一層の充実を図る予定であります。
しかしながら、何らかの事情により相当数の従業員が短期間のうちに退職する場合や、人材の確保、育成が予定どおり進まない場合には、業務運営の効率性が低下する恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.人材の獲得及び育成
当社グループが今後事業をさらに拡大し、成長を続けていくためには優秀な人材の確保が重要課題となっております。こうした人材の確保が計画どおりに進まなかった場合、育成が計画どおりに進まず、あるいは重要な人材が社外に流出した場合には、競争力の低下や事業の拡大の制約要因が生じる可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスク
a.自然災害等による影響
当社、会員企業及び事業提携先が、地震、津波、台風等の自然災害や、事故、火災等による人的・物的な被害を受けた場合、あるいはそれらの自然災害等の影響で正常な事業活動が阻害された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.新株予約権の行使による株式価値の希薄化
当社は、当社グループの役員、従業員及び社外協力者に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しております。本書提出日現在、新株予約権の目的である株式の数は351,600株であり、当社発行済株式総数1,861,500株の18.9%に相当しております。これら新株予約権又は今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、当社の株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
c.資金使途について
今回計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、現時点では、新商材の開発費用、既存商材のバージョンアップ、株式会社ansにおける新規出店その他広告宣伝費等に充当することを計画しております。しかしながら、当社グループの事業の特性上、当社グループの事業環境や経営環境は急速に変化する可能性があるため、計画に沿って使用されたとしても想定どおりの投資効果を得られない可能性もあります。
d.配当政策について
当社グループは将来の持続的な成長に必要な設備投資等や経営基盤の強化も重要な経営目標と考えており、創業以来平成27年4月期まで無配当としてまいりました。しかしながら、株主に対する利益還元は重要な経営目標と認識しており、今後は内部留保を確保しつつ、財政状態及び経営成績並びに経営全般を総合的に判断し、利益配当を行っていく方針であります。ただし、現時点では今後における配当実施の可能性及びその実施の時期等については未定であります。