有価証券報告書-第25期(平成29年7月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/09/28 13:30
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【項目】
69項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、政府や日銀による施策を背景に、企業収益及び雇用・所得環境の改善が続いたことで、個人消費にも持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、海外経済においては、欧米諸国の政治動向や、東アジアにおける地政学リスクによる金融資本市場への影響が懸念される中で、依然として先行き不透明な状況が続きました。
また、地方財政は、総務省発表の「地方財政の状況」(平成30年3月発表)によれば、平成28年度の歳入は101兆4,598億円(前年比0.4%減)、歳出は98兆1,415億円(同0.3%減)となっており、歳入・歳出共に減少する結果となりました。これは、東日本大震災分の決算規模の減少が、通常収支分の決算規模の増加を上回ったことによって、全体の決算規模が縮小したためです。歳入においては、国庫支出金の増加等により、通常収支分は1,311億円増となったものの、繰入金の減少等により、東日本大震災分は5,888億円減となりました。歳出においては、性質別に見ると、扶助費の増加等により、通常収支分は1,958億円増となったものの、普通建設事業費の減少等により、東日本大震災分は4,595億円減となりました。また、歳入のうち、当社の行う財源確保支援サービスに関連する財産収入は、6,080億円(同6.1%減)となりました。一方で、歳出のうち、自治体の広報印刷物の外注作成費を含む需用費は1兆6,213億円(同3.9%減)、自治体業務の外部委託(BPO)に関する委託料は5兆5,876億円(同2.2%増)となりました。
当社を取り巻く広告業界におきましては、前年のリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック等の反動減による影響から、前年実績を下回る結果となりました。経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(平成30年5月確報)によれば、平成29年の我が国における広告業の売上高は5兆9,993億円(同1.5%減)となっております。前年の業務種類別では、「インターネット広告」(同9.5%増)、「その他」(同4.7%増)が増加した一方、「4媒体広告(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)」(同2.6%減)、「屋外広告」(同4.8%減)、「交通広告」(同0.8%減)、「折込み・ダイレクトメール」(同3.8%減)、「海外広告」(同7.7%減)、「SP・PR・催事企画」(同6.1%減)が減少しております。
このような環境の中で、当社は「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」という企業理念のもと、前事業年度以降を「第二創業期」と捉え、さらなる成長のための施策を実施してまいりました。具体的には、既存事業の収益性回復・付加価値向上及び新規事業開発による新たな収益の柱の創出を目標として、厳しさを増す人材獲得競争に打ち勝つべく採用への投資を強化するとともに、事業開発、マーケティング、ITに係る機能を新たに設置し、経営資源を投下してまいりました。なお、事業開発活動においては、自治体の経費削減を支援することを主たる目的に、当事業年度から電力販売事業に参入いたしました。
以上の結果、当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(財政状態)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ273,206千円増加し、1,954,244千円となりました。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べて399,029千円増加し、1,508,278千円となりました。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて125,823千円減少し、445,966千円となりました。
詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ロ.財政状態の分析」をご参照ください。
(経営成績)
売上高は2,269,467千円(前期比27.9%増)、営業損失は121,817千円(前期は営業利益23,923千円)、経常損失は114,043千円(前期は経常利益34,626千円)、当期純損失は128,457千円(前期は当期純利益17,949千円)となりました。
詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 イ.経営成績の分析・評価」をご参照ください。
なお、当社は、PPS事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、財務活動により171,322千円増加した一方で、営業活動及び投資活動によりそれぞれ72,144千円、24,620千円減少したため、前事業年度末に比べ74,557千円増加し、当事業年度末には、432,077千円となりました。
当事業年度中に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、72,144千円(前期は使用した資金76,995千円)となりました。これは主に、仕入債務の増加115,191千円、その他による収入97,673千円があったものの、税引前当期純損失121,406千円の計上、売上債権の増加101,026千円、たな卸資産の増加85,904千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、24,620千円(前期は使用した資金94,064千円)となりました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入8,294千円があったものの、敷金及び保証金の差入による支出19,682千円、有形固定資産の取得による支出8,477千円、投資有価証券の取得による支出5,132千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、171,322千円(前期は使用した資金11,451千円)となりました。これは主に長期借入れによる収入200,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出28,754千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社の事業セグメントは、PPS事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。なお、BPO支援サービス、情報プラットフォームサービス及びマーケットプレイスサービスについては、「その他」にまとめて記載しております。
a.生産実績
当社は生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。
b.仕入実績
当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。
サービスの名称当事業年度
(自 平成29年7月1日
至 平成30年6月30日)
前期比(%)
財源確保支援サービス
DSサービス(千円)1,161,40110.9
MCサービス(千円)--
小計(千円)1,161,40110.9
その他(千円)6,730-
合計(千円)1,168,13111.6

(注)1.MCサービスに係る印刷・製本等の外注費については記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社は受注生産が僅少であるため、記載を省略しております。
d.販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
サービスの名称当事業年度
(自 平成29年7月1日
至 平成30年6月30日)
前期比(%)
財源確保支援サービス
DSサービス(千円)1,450,2745.9
MCサービス(千円)599,45567.5
小計(千円)2,049,73018.7
その他(千円)219,737359.8
合計(千円)2,269,46727.9

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主要な販売先については、相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。当該見積りに際しては、過去の実績や状況に応じて、合理的と思われる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績の分析・評価
DSサービスの拡大に加え、MCサービスが順調に展開したため、売上高は2,269,467千円(前期比27.9%増)となり、売上総利益は759,416千円(同20.4%増)となりました。販売費及び一般管理費は881,233千円(同45.2%増)となりました。これは、主に事業規模の拡大に伴う人件費及び採用関連費の増加によるものであります。結果として、営業損失は121,817千円(前事業年度は営業利益23,923千円)となりました。
営業外損益(純額)は7,774千円の利益(前事業年度は10,702千円の利益)となりました。これは、主に助成金収入が3,630千円減少した一方で、支払利息が509千円増加、営業外費用のその他が1,507千円減少したことによるものであります。
以上の結果、経常損失は114,043千円(前事業年度は経常利益34,626千円)となりました。
法人税等は、主に税引前当期純損失の計上等により、7,051千円(前期比65.0%減)となりました。
以上の結果、当期純損失は128,457千円(前事業年度は当期純利益17,949千円)となりました。これにより、1株当たり当期純損失は92.14円(前事業年度は1株当たり当期純利益12.89円)となりました。
なお、当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
ロ.財政状態の分析
a.資産
当事業年度末における総資産合計は1,954,244千円となり、前事業年度末に比べて273,206千円増加しました。流動資産は1,821,763千円となり、前事業年度末に比べて271,557千円増加しました。これは主として現金及び預金が74,560千円増加、売掛金が101,026千円増加、商品及び製品が85,747千円増加したことによるものであります。固定資産は132,481千円となり、前事業年度末に比べて1,648千円増加しました。これは主として有形固定資産が4,184千円増加、投資その他の資産が12,581千円増加した一方で、無形固定資産が15,117千円減少したことによるものであります。
b.負債
当事業年度末における負債合計は1,508,278千円となり、前事業年度末に比べて399,029千円増加しました。流動負債は1,368,272千円となり、前事業年度末に比べて259,023千円増加しました。これは主として買掛金が115,191千円増加、1年内返済予定の長期借入金が31,240千円増加、未払費用が29,432千円増加、流動負債のその他が40,994千円増加したことによるものであります。固定負債は140,006千円となり、前事業年度末と比べて140,006千円増加しました。これは長期借入金が140,006千円増加したことによるものであります。
c.純資産
当事業年度末における純資産合計は445,966千円となり、前事業年度末に比べて125,823千円減少しました。これは主として当期純損失計上により利益剰余金が128,457千円減少したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、前事業年度の34.0%から22.6%となりました。
ハ.経営成績に重要な影響を与える要因
当社が展開するPPS事業の主要取引先である自治体においては、引き続き自主財源確保に向けた取り組みが重要な位置付けにあり、また、地方創生を背景とした積極的な民間ノウハウの活用が拡大するものと考えております。
このような状況下、当社はDSサービスにおける収益性改善による利益の稼得や、MCサービスの収益拡大・営業効率の改善を実現するとともに、業務の省力化や人材育成の強化を軸とした生産性の向上が必須であると考えております。具体的には、販売状況のモニタリングの強化と営業力向上を目的とする教育制度の拡充を踏まえ、販売戦略実行の仕組みを改善し、また、特にMCサービスにおける季節変動を少しでも低減することで収益性に対する負担を減らし、生産性の向上を実現してまいりたいと考えております。
上記に加え、当社が将来継続的に企業価値の向上を実現していくためには、中長期的な視点において、高付加価値な事業・サービスの開発と、それを担う優秀な人材の育成及び確保が必須であると考えております。
なお、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
ニ.資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、仕入費用及び外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
b.財務政策
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、短期借入金又は長期借入金、当座貸越契約で調達しております。なお、当事業年度末における有利子負債の残高は、長期借入金の180,002千円となっております。