有価証券報告書-第31期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/28 9:04
【資料】
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【項目】
142項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進展したものの、ウクライナ情勢の長期化をはじめとする不安定な国際情勢及び円安の進行によるエネルギー・原材料価格の高騰に伴う物価高が継続しており、先行きは不透明な状態が続いております。
このような状況下において、グループ全体での事業規模の拡大を推進するとともに、事業運営におけるリスク管理体制の一層の強化を図るなどの取り組みを推進することで、グループ企業理念の実現及び企業価値の向上に努めております。
広告事業におきましては、連結子会社である株式会社ジチタイアドにて、当連結会計年度においても引き続き生産性を可能な限り維持しつつ、「利益創出事業」として計画的な事業規模の再拡大を目指し、事業全体におけるコスト効率化と受注単価の向上に向けた取り組みを行ってまいりました。具体的には、主にSCサービスにおけるマチレットの季節偏重を緩和するために、第1四半期(4月~6月)に集中している冊子の発行時期を平準化することで、効率的な販売及び制作活動を実現し、一件当たりの収益性の向上に努めてまいりました。
ジチタイワークス事業におきましては、官民連携に対する需要が大きく、市場の開拓余地は十分に存在することから、連結子会社である株式会社ジチタイワークスにおいて、自治体情報を最上流でキャッチできるポジションの確立を目指し、コンテンツ拡充・情報発信力の強化と情報キャッチアップ力の向上による自治体ビジネスのニーズの顕在化に対応していくことで、サービス提供機会を増やし売上拡大を図るとともに、サービス品質の向上に尽力し、『ジチタイワークス』ブランドの価値を確固たるものにすることで、堅実な成長を推進してきました。
その中において、株式会社ジチタイワークスは、マチイロ事業(以下「本事業」)に関する権利義務を単独の簡易新設分割により新設会社(以下「本新設会社」)に承継させるとともに、本新設会社を当社の完全子会社とすることを決議し、2024年3月1日付で株式会社マチイロを設立いたしました。スマートフォンアプリという情報インフラの特性から、本事業は当社グループの各事業等と有機的に連携するとともに、損益管理の明確化及び将来の戦略実行のための柔軟な体制構築の観点から、独立的に運営していくことが望ましいと判断したものです。
なお、本事業が当社グループ全体の売上高及びセグメント利益等に占める割合は僅少であることから、当連結会計年度におけるセグメント情報上、その他に区分されております。
以上の結果、当社の当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(財政状態)
当連結会計年度末における資産合計は、1,984,476千円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、981,311千円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、1,003,164千円となりました。
詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ロ.財政状態の分析」をご参照ください。
(経営成績)
売上高は2,553,699千円、営業利益は228,052千円、経常利益は228,187千円、親会社株主に帰属する当期純利益は261,865千円となりました。
詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 イ.経営成績の分析・評価」をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.広告事業
広告事業におきましては、自治体から様々な媒体の広告枠を入札により仕入れ民間企業に販売するSR(SMART RESOURCE)サービス、また、自治体から市民へ専門性が高い情報をよりわかりやすく確実に伝える情報冊子マチレットを自治体と協働発行(無料)し、自治体の経費削減を支援するSC(SMART CREATION)サービス等を提供しており、収益性改善を目的とした事業規模の適正化を推進してまいりました。
当連結会計年度においては、上述のマチレットに係る冊子発行時期の平準化施策の結果、SC(SMART CREATION)サービスによる売上が好調に推移しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は1,660,185千円(前年同期比13.5%増)、セグメント利益は346,981千円(前年同期比1.6%増)となりました。
b.ジチタイワークス事業
ジチタイワークスは、当社グループの官民連携を推進する様々なサービスを総称するブランドの名称とし、「自治体で働く“コトとヒト”を元気に。」をコンセプトに「BtoGソリューション等」、「行政マガジン『ジチタイワークス』」及び「ジチタイワークス HA×SH(ハッシュ)」など複数のサービスを展開しております。
行政マガジン『ジチタイワークス』は、2022年3月より全国1,788自治体の市区町村・47都道府県に加え、地方議会議員へも無償提供を開始しております。その結果、自治体職員・地方議会議員向け総合情報誌として一号あたりの発行部数が国内最多約11.5万部の発行に達するなど、行政マガジン『ジチタイワークス』を通じて事業全体の持続的なブランディングの向上を実現し、その結果として前年同期を上回る実績となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は755,787千円(前年同期比20.1%増)、セグメント利益は241,015千円(前年同期比8.7%増)となりました。
c.その他
その他には、企業版ふるさと納税支援事業やマチイロなど他の報告セグメントに含まれないサービスが含まれております。
当連結会計年度における売上高は137,727千円(前年同期比111.6%増)、セグメント利益は5,206千円(前年同期はセグメント損失17,506千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ485,962千円減少し、1,012,185千円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、143,931千円(前年同期は得られた資金93,053千円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益228,187千円の計上、棚卸資産の減少93,916千円、未払金の増加46,661千円、未払又は未収消費税等の増加43,961千円があったものの、売上債権の増加158,087千円、仕入債務の減少97,446千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、31,672千円(前年同期は使用した資金1,474千円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出15,197千円、敷金及び保証金の差入による支出12,029千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、598,221千円(前年同期は得られた資金500,453千円)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出597,705千円があったことによるものであります。
また、資本の財源及び資金の流動性については次のとおりです。
a.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、仕入費用及び外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
b.財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、長期借入金(1年内返済含む)、当座貸越契約、社債(1年内償還含む)で調達しております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は、長期借入金(1年内返済含む)及び社債(1年内償還含む)の199,593千円となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前期比(%)
広告(千円)525,049△24.0
ジチタイワークス(千円)--
小計(千円)525,049△24.0
その他(千円)--
合計(千円)525,049△24.0

(注)広告事業及びジチタイワークス事業に係る外注費については、記載を省略しております。
c.受注実績
当社は受注生産が僅少であるため、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前期比(%)
広告(千円)1,660,18513.5
ジチタイワークス(千円)755,78720.1
小計(千円)2,415,97215.5
その他(千円)137,727111.6
合計(千円)2,553,69918.4

(注)1.主要な販売先については、相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な見積りは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績の分析・評価
広告事業におけるSRサービスの収益性改善、ジチタイワークス事業における幅広い広告媒体の提案及びBtoGソリューション等のサービス拡大等もあり、売上高は2,553,699千円(前年同期比18.4%増)、売上総利益は1,438,028千円(前年同期比20.0%増)となり、また、販売費及び一般管理費は1,209,976千円(前年同期比18.9%増)となりました。その結果、営業利益は228,052千円(前年同期比25.8%増)と、黒字の段階利益となりました。
営業外損益(純額)は135千円の利益(前連結会計年度は20,827千円の損失)となりました。これは、主に支払利息が9,949千円、株式交付費が16,422千円減少したことによるものであります。
以上の結果、経常利益は228,187千円(前年同期比42.2%増)となりました。
法人税等は、主に税金等調整前当期純利益の計上による48,236千円があったものの、法人税等調整額の計上による△81,914千円があったため、△33,677千円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は261,865千円となりました。これにより、1株当たり当期純利益は15.94円となりました。
ロ.財政状態の分析
a.資産
当連結会計年度末の総資産合計は1,984,476千円となり、前連結会計年度末に比べて354,317千円減少しました。流動資産は1,775,771千円となり、前連結会計年度末に比べて451,115千円減少しました。これは主として売掛金及び契約資産が158,087千円増加した一方で、現金及び預金が485,961千円減少、商品及び製品が94,084千円減少したことによるものであります。固定資産は208,704千円となり、前連結会計年度末に比べて96,798千円増加しました。これは主として繰延税金資産が81,973千円増加、投資その他の資産のその他が13,663千円増加したことによるものであります。
b.負債
当連結会計年度末の負債合計は981,311千円となり、前連結会計年度末に比べて615,421千円減少しました。流動負債は981,311千円となり、前連結会計年度末に比べて415,828千円減少しました。これは主として1年内償還予定の社債が100,000千円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が498,112千円減少したことによるものであります。固定負債は0円となり、前連結会計年度末に比べて199,593千円減少しました。これは社債が100,000千円減少、長期借入金が99,593千円減少したことによるものであります。
c.純資産
当連結会計年度末における純資産合計は1,003,164千円となり、前連結会計年度末から261,104千円増加しました。これは主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が261,865千円増加したことによるものであります。
なお、2023年6月29日開催の第30回定時株主総会における決議に基づき、2023年7月21日付で資本金及び資本準備金の額の減少の効力が発生し、資本金を20,430千円、資本準備金を661,725千円減少し、資本金を10,000千円、資本準備金を0円とし、減少額の全額をその他資本剰余金に振り替えるとともに、その他資本剰余金528,119千円を繰越利益剰余金に振り替え、欠損の填補を行いました。これらの資本金及び資本準備金の額の減少並びに欠損填補は貸借対照表の純資産の部における勘定科目間の振替処理であり、純資産額に変更はございません。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の31.5%から50.4%となりました。
ハ.経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した経営課題への対応、及び内部管理体制の強化を通して、リスクの低減に努めてまいります。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、営業利益、売上高営業利益率及び従業員一人当たりの売上総利益を経営指標としております。
当連結会計年度においては、広告事業による収益性の改善とジチタイワークス事業における業容の拡大により売上高営業利益率は8.9%、従業員一人当たりの売上総利益は8,371千円となりました。引き続きこれらの指標について、改善・向上されるよう取り組んでまいります。