訂正有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
当社グループを取り巻く経営環境は、国内市場に関しては、消費増税や人口減少・少子高齢化の進行、消費ニーズの多様化、外資系企業の参入等により販売競争が激化し、依然として厳しい状況が継続しております。
また、アパレルの主要な生産地である中国の人件費上昇や為替変動による調達価格高騰の懸念など、業界を取り巻く環境も引き続き厳しいものとなっております。
このような状況の下、当社グループは次のような経営戦略により、引き続き事業拡大に取り組んでまいります。
(1) アパレル事業のイノベーション
① 既存ブランドの再整理によるブランド価値の向上、収益性の改善
当社グループは、ブランドの多角化戦略により、幅広い事業領域をカバーしておりますが、ブランドの立上げから5年以上経過したブランドでは、顧客年齢があがることへの対応と若年層からの新規顧客の取込みにいかに対処するかが課題となっています。
また、立上げから5年未満の新規ブランドでは、顧客拡大のためのブランド認知度の向上等が課題となっております。
(立上げから5年以上のブランドの課題と対処)
当社のファッションビル・駅ビル系アパレルのブランドは、対象とする顧客を再定義し、ブランドのオリジナリティとファッショントレンドの両方を兼ね備えた商品開発を強化し(下記②参照)、新作商品カタログやSNSでのスタイル提案等、最適と考えられる情報提供手段を活用することにより、顧客のブランド認知度の向上と新規顧客の獲得を図ります。特に「MOUSSY」は、SHEL’TTER表参道店2階を旗艦店と位置づけ、インバウンド需要を取り込みつつ、新たなグローバル展開に向けた商品構成の見直しを図ります。また、北米で展開する事業に関連して、ニューヨーク発のブランド情報発信を行うことにより日本・中国市場を含むアジア市場でのブランド価値を高めてまいります。
ショッピングセンター系アパレルのブランドは、国内市場での継続的な出店により店舗網が拡大する中で、これまでは各店への画一的な商品展開や販売指導による効率的な運営に取り組んできましたが、既存店売上の改善には、店舗の特徴(顧客層の違い、購買行動の違い)に対処した事業運営が課題となっております。そのため、オリジナリティを重視した商品開発を進めると共に(下記②)、出店立地の特性にあわせた商品計画施策の見直し(トレンド商品とベーシック商品の比率を変える等)に取組みます。
(立上げから5年未満のブランドの課題と対処)
立上げから5年未満のブランドについては、立上げから5年以上が経過したブランドに比して購買客数が少ないことから、展示会の開催や期間限定ショップの出店、既存店舗でのカタログ配布やSNSのフォロワーの拡大策などを通じて、ブランド認知度の向上に取り組んでまいります。加えて、「ENFÖLD 」については、今期より開始する北米事業に関する広報活動等を通じて、海外で通用するファッション性の高いブランドとしての認知を高めていくことにより、新規顧客のさらなる獲得を図ります。
② 商品の市場競争力の追求
平成20年に外資系ファストファッション(注)の日本市場への参入が話題となって以降、インターネットでの最新ファッション情報の入手がしやすくなった状況とあいまって、市場では最新のファッショントレンドをいち早く商品に取り入れるブランドが増えております。当社ブランドにおいても、消費者のニーズに応えるべく、最新ファッショントレンドの取込みを強化してまいりましたが、それを性急に追いかけるあまり、ブランドの特長が伝わりにくい商品が増える状況が生まれております。
(注)ファストファッション…最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドのこと
そのため、当社のすべてのアパレル事業において、ブランド商品の独自性(オリジナリティ)と品質の向上に取り組み、商品の市場競争力を高めます。
ファッションビル・駅ビル系アパレル事業のブランドは、各ブランドの特長・オリジナリティ(一例として、MOUSSYのデニム、SLYのミリタリーアウター、riendaのワンピース)を基本に、最新のファッショントレンドを取り込んだ商品とのコーディネートを提案するなど、「ここでしか買えない物づくり」を追求します。
百貨店系アパレル事業のブランドは、海外コンテンポラリーブランド(注)に匹敵するようなファッション性を目指しつつ、お客様が実生活で使いやすい汎用性・機能性と値ごろ感を兼ね備えた商品の開発を強化し、ブランドの希少価値を追求します。
(注)海外コンテンポラリーブランド…デザイナーの個性が明確で、海外コレクションに参加し、品質は高級ブランド並みでありながら、高級ブランドほど高くにない手に入りやすい価格で提供されるブランド
ショッピングセンター系アパレル事業のブランドは、価格を上回る価値を追求する物づくりを徹底し、外資系ファストファッションブランドとの差別化を図ります。特に「AZUL by moussy」は、海外販路での売上拡大を図るために季節の変化に応じた新作商品の導入に取り組んでまいります。
③ SNSを活用したお客様へのブランド発信やお客様の共感を呼び起こすサービス
現在、インターネット上にはファッション情報があふれ、海外ブランドのコレクション情報もほぼリアルタイムで誰でも見ることができる環境にあります。そのような中で、いかに魅力的なブランド情報を発信し、お客様の共感を得ることができるかが課題になっています。
当社ブランドは、早くからInstagram、Twitter、Facebook等のSNSを活用した情報発信に積極的に取り組んでおりますが、動画の掲載や画像品質の向上、頻繁な更新により、SNSオフィシャルアカウントのフォロワー数の更なる獲得を図ります。
また、ブランドイメージを高めるためにタレントやモデルを雑誌の広告等に起用することとあわせて、選抜された販売スタッフをブランドアイコン(ブランドを代表する存在)としてSNSの画像や動画の被写体に日常的に活用することで、お客様が身近に感じるブランディングに取り組んでおります。
さらに、販売接客においては、外資系ファストファッションブランドにはない、お客様の具体的な着用場面やすでにお持ちの商品との組合せをお聞きしたうえで、最適と思われる商品を提案したり、サイズ違いや色違いを懸念されるお客様への丁寧な対応を行うことで顧客満足の向上を図ってまいります。
(2) ブランド開発のイノベーション
国内アパレル市場の規模はここ数年、ほぼ横ばい状態であり、また当社ブランドの主たる購買層であるF1層(20歳から34歳の女性)の人口が徐々に減少することもあり、対象年齢層や事業領域をアパレル周辺に拡大した新ブランド、新規事業の開発が課題になっています。
そのため、当社グループでは、中長期にわたる成長戦略に不可欠な新規ブランド、新規事業の開発にも積極的に取り組んでまいります。
新規事業の開発には「新しい価値の創造」と「ビジネススキームの構築」が不可欠であり、企画立案フェーズから実行フェーズまで社内インキュベーション(事業の創出、開発支援)機能を強化してまいります。
新規ブランドの開発に関しては、企画立案フェーズにおいて、既存ブランド事業(社内、社外)との違いを明確にするため、ブランドコンセプト、事業領域を徹底検証します。またテストマーケティングなどを先行させ、事業計画を含む仮説の検証、修正を徹底します。さらに実行フェーズにおいては、商品サンプルを専門に制作するチームを活用した商品開発期間の短縮、IT・物流等のインフラ構築支援、事業計画の進捗管理などを行い、円滑な事業の立上げを実現します。
また、新規事業の開発に関しては、自社開発だけではなく、M&A及び提携・アライアンスを含めて検討してまいります。
(3) Eコマース事業のイノベーション
スマートフォン(スマホ)の普及により、Eコマースによるアパレル消費はますます拡大しております。当社でも早くから自社通販サイトを立ち上げ、Eコマース事業に積極的に取り組んでまいりましたが、今後、Eコマース事業のさらなる拡大を図るには、ユーザーの利便性の向上、店舗との連携強化が重要な課題になっております。
当社グループでは、現在、売上高構成比が10%程度のSHEL’TTERウェブストアを中心としたEコマース事業を長期的に20%まで高めるため、運営基盤を強化してまいります。
① ECエンジンの刷新による顧客データ管理の強化、データ連携による顧客利便性の向上
平成28年1月末現在、約90万人に達したSHELʼTTERウェブストア会員の顧客データベースを、新たに導入するCRMシステムで一元管理し、認知、検討、購買、受取、拡散に係る購買行動分析により買上げ率の向上に取り組みます。また、現在、別々に管理しているSHELʼTTERウェブストア会員の顧客データベースと店舗での購買ポイントやハウスカード等の顧客情報を連携させることで、ウェブストアと実店舗の間で相互誘導を図り、オムニチャネル化(注)による売上拡大に取り組んでまいります。さらに、在庫連携による売上機会ロスの最小化、商品受取の選択肢を広げる等の顧客利便性の向上にも取り組んでまいります。
(注)オムニチャネル化…実店舗やオンラインストアをはじめとする販売チャネルや流通チャネルを統合し、どのような販売チャネルからも同じように商品を購入できるようにすること
上記CRMシステムによる顧客情報は、商品企画やマーケティング手法の検討にも活用し、顧客のライフスタイルに多面的にアクセスし、購買につながる商品・販促施策に取り組んでまいります。
② 越境ECによる海外顧客へのアプローチ
現在、国内市場中心のSHEL’TTERウェブストアのグローバルサイト化を進めるほか、他社の海外ECモールへ出店することなどにより、海外ユーザーのアクセスを確保し、越境ECを推進します。
海外顧客への配送については、海外の物流拠点を経由せずに直接配送することで、早期受け取りを実現します。
(4) 中国事業の加速と海外新規マーケットの開発
国内アパレル市場での急速な事業拡大が見込めない中で、海外市場への進出とそこでの成功は、当社グループの事業戦略においてきわめて重要になっています。当社グループでは、すでに中国、香港、マカオにおいて、持分法適用関連会社の直営店(中国)および連結子会社が管理するFC店舗(香港・マカオ)を通じて、小売売上高で100億円超の海外事業を展開しており、これらの市場において積極的な事業拡大を継続するほか、新しい市場として北米事業に取り組んでまいります。
① 中国合弁事業による成長戦略とブランド認知の向上
戦略的事業パートナーであるBelle International Holdings Limitedとの連携を更に推し進め、「MOUSSY」「SLY」を中心に中国における新規出店を継続してまいります。さらに、SHEL’TTER店舗(セレクト・ショップ型店舗)を出店し、「MOUSSY」「SLY」の商品を販売するほか、今まで展開していないブランド商品のテストマーケティングの場としても活用してまいります。
また、日本企画商品の販売に加えて、中国の現地企画商品の開発を強化し、中国人の嗜好・ニーズにマッチした商品を増やすことにより売上の拡大を図ります。また、現在、生産工場が多い中国沿海部より人件費等が安い中国内陸部・北部、さらにはASEAN諸国等の生産工場に生産委託先をシフトすることにより、製造コストの低減及びカントリーリスクの低減に取り組んでまいります。
② 北米子会社設立による北米マーケット進出とグローバルマーケティングの実施
第18期連結会計年度(自 平成28年2月1日 至 平成29年1月31日)において、北米ニューヨークを中心に、テストマーケティング、ブランドコンセプトの検証を行いつつ、当社が日本で成功したSNSやSHEL’TTERウェブストアを活用したファンコミュニティ作りを通じてブランドの認知度向上を図ってまいります。あわせて上記の越境ECを活用するための効率的な物流体制を早期に構築し、米国でのEC事業の拡大に取り組んでまいります。
これらの事業戦略を円滑に推進するために、平成28年4月、米国に子会社を設立しました。北米事業の推進にあたっては、中国事業での当社の成功モデルである現地戦略的パートナーとの合弁・提携の可能性を含めて検討してまいります。
(5) サプライチェーンマネジメントの抜本的な見直し
当社グループの事業は、衣料及び服飾雑貨の製造小売、いわゆるSPAですが、これらの商品の企画及び販売は自ら行うものの、自社の生産設備は有しておらず、すべて社外へ生産を委託しております。これにより、多くの企画のアイデアを商品化する生産体制の構築が可能である一方で、企画を起点とした商品開発の計画性、生産委託先との間のコスト管理や品質管理、さらには商品を店舗まで届ける物流の効率化が、収益性改善のための重要な課題になっております。
当社グループでは、このようにSPAにおける効率性の要である企画から開発、生産委託、物流、販売へとつながるサプライチェーンマネジメントの抜本的な見直しを進めてまいります。具体的には、企画→開発→生産→物流→販売の各段階において、以下の改革に取り組み、新しい価値の創造と物流コスト・製造コストの低減を図ってまいります。
企画においては、新設のマーケティンググループがマーケットニーズを捕捉し、新規顧客や新規マーケットを創造するのに必要な情報やトレンドセッティングのための情報の収集にあたり、各ブランドの企画チームが差別化された独自性の高い商品を自社で企画できるようコントロールしてまいります。
開発においては、新設のR&D部が、価格及び品質の両面で競争力のある原料の調達と市場優位性のある新素材の開発に世界規模で取り組み、デニム等の自社に競争力があると考える商品の更なる品質向上を図ってまいります。
生産においては、仕入先とのパートナーシップ強化によって、品質の向上を図りつつ、仕入先の集約、直接貿易化及び新規生産工場の開拓、スケールメリットを生かすための組織集約によって、コスト低減を図ってまいります。また、中国合弁事業において強化する生産組織を活用し、商流の整理と生産工場の開発を進め、中国内販商品にとどまらず日本向け商品を含めた製造原価の低減に取り組んでまいります。
物流においては、イ)戦略的事業パートナーであるBelle International Holdings Limitedの倉庫を活用した日本への輸出のための出荷拠点の集約、ロ)計画配送(日本向け集約)による貿易費用の削減、ハ)商品の店舗への初回振分け数量を適量にすることによる店舗間移動の低減、ニ)店舗に同梱配送する商品に関して、仕入先からのセット納品・セット配送による、物流センターでの作業工数の削減、委託費の低減等に取組み、物流スキームを刷新してまいります。
販売においては、商品消化率及び換金率の向上による店頭での定価販売比率の最大化、接客コンクールなどによる販売モチベーションの向上、SNSを活用した情報発信型サービスの波及を図ってまいります。
(6) 人財の育成
当社グループの事業の成長をささえるのは人材であり、当社の経営理念にそった人材を採用、育成し、重要戦略分野に適切な人材を投入することが事業成功のための課題となっております。
当社グループでは、中期経営計画に基づき、イ)重点戦略分野への人材配置、ロ)重点戦略を実現できる人材の採用及び育成等により、戦略的な人事施策を実行してまいります。また、採用における雇用形態の最適化(正社員と臨時雇用社員の組合せ)、人材育成の強化やキャリアパスの確立、働き方の多様化への対応により、人材競争力の強化を図ります。さらに、グローバル事業展開への対応として、グループ人材の有効活用やグローバル人材の育成等を図ってまいります。
また、アパレルの主要な生産地である中国の人件費上昇や為替変動による調達価格高騰の懸念など、業界を取り巻く環境も引き続き厳しいものとなっております。
このような状況の下、当社グループは次のような経営戦略により、引き続き事業拡大に取り組んでまいります。
(1) アパレル事業のイノベーション
① 既存ブランドの再整理によるブランド価値の向上、収益性の改善
当社グループは、ブランドの多角化戦略により、幅広い事業領域をカバーしておりますが、ブランドの立上げから5年以上経過したブランドでは、顧客年齢があがることへの対応と若年層からの新規顧客の取込みにいかに対処するかが課題となっています。
また、立上げから5年未満の新規ブランドでは、顧客拡大のためのブランド認知度の向上等が課題となっております。
(立上げから5年以上のブランドの課題と対処)
当社のファッションビル・駅ビル系アパレルのブランドは、対象とする顧客を再定義し、ブランドのオリジナリティとファッショントレンドの両方を兼ね備えた商品開発を強化し(下記②参照)、新作商品カタログやSNSでのスタイル提案等、最適と考えられる情報提供手段を活用することにより、顧客のブランド認知度の向上と新規顧客の獲得を図ります。特に「MOUSSY」は、SHEL’TTER表参道店2階を旗艦店と位置づけ、インバウンド需要を取り込みつつ、新たなグローバル展開に向けた商品構成の見直しを図ります。また、北米で展開する事業に関連して、ニューヨーク発のブランド情報発信を行うことにより日本・中国市場を含むアジア市場でのブランド価値を高めてまいります。
ショッピングセンター系アパレルのブランドは、国内市場での継続的な出店により店舗網が拡大する中で、これまでは各店への画一的な商品展開や販売指導による効率的な運営に取り組んできましたが、既存店売上の改善には、店舗の特徴(顧客層の違い、購買行動の違い)に対処した事業運営が課題となっております。そのため、オリジナリティを重視した商品開発を進めると共に(下記②)、出店立地の特性にあわせた商品計画施策の見直し(トレンド商品とベーシック商品の比率を変える等)に取組みます。
(立上げから5年未満のブランドの課題と対処)
立上げから5年未満のブランドについては、立上げから5年以上が経過したブランドに比して購買客数が少ないことから、展示会の開催や期間限定ショップの出店、既存店舗でのカタログ配布やSNSのフォロワーの拡大策などを通じて、ブランド認知度の向上に取り組んでまいります。加えて、「ENFÖLD 」については、今期より開始する北米事業に関する広報活動等を通じて、海外で通用するファッション性の高いブランドとしての認知を高めていくことにより、新規顧客のさらなる獲得を図ります。
② 商品の市場競争力の追求
平成20年に外資系ファストファッション(注)の日本市場への参入が話題となって以降、インターネットでの最新ファッション情報の入手がしやすくなった状況とあいまって、市場では最新のファッショントレンドをいち早く商品に取り入れるブランドが増えております。当社ブランドにおいても、消費者のニーズに応えるべく、最新ファッショントレンドの取込みを強化してまいりましたが、それを性急に追いかけるあまり、ブランドの特長が伝わりにくい商品が増える状況が生まれております。
(注)ファストファッション…最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドのこと
そのため、当社のすべてのアパレル事業において、ブランド商品の独自性(オリジナリティ)と品質の向上に取り組み、商品の市場競争力を高めます。
ファッションビル・駅ビル系アパレル事業のブランドは、各ブランドの特長・オリジナリティ(一例として、MOUSSYのデニム、SLYのミリタリーアウター、riendaのワンピース)を基本に、最新のファッショントレンドを取り込んだ商品とのコーディネートを提案するなど、「ここでしか買えない物づくり」を追求します。
百貨店系アパレル事業のブランドは、海外コンテンポラリーブランド(注)に匹敵するようなファッション性を目指しつつ、お客様が実生活で使いやすい汎用性・機能性と値ごろ感を兼ね備えた商品の開発を強化し、ブランドの希少価値を追求します。
(注)海外コンテンポラリーブランド…デザイナーの個性が明確で、海外コレクションに参加し、品質は高級ブランド並みでありながら、高級ブランドほど高くにない手に入りやすい価格で提供されるブランド
ショッピングセンター系アパレル事業のブランドは、価格を上回る価値を追求する物づくりを徹底し、外資系ファストファッションブランドとの差別化を図ります。特に「AZUL by moussy」は、海外販路での売上拡大を図るために季節の変化に応じた新作商品の導入に取り組んでまいります。
③ SNSを活用したお客様へのブランド発信やお客様の共感を呼び起こすサービス
現在、インターネット上にはファッション情報があふれ、海外ブランドのコレクション情報もほぼリアルタイムで誰でも見ることができる環境にあります。そのような中で、いかに魅力的なブランド情報を発信し、お客様の共感を得ることができるかが課題になっています。
当社ブランドは、早くからInstagram、Twitter、Facebook等のSNSを活用した情報発信に積極的に取り組んでおりますが、動画の掲載や画像品質の向上、頻繁な更新により、SNSオフィシャルアカウントのフォロワー数の更なる獲得を図ります。
また、ブランドイメージを高めるためにタレントやモデルを雑誌の広告等に起用することとあわせて、選抜された販売スタッフをブランドアイコン(ブランドを代表する存在)としてSNSの画像や動画の被写体に日常的に活用することで、お客様が身近に感じるブランディングに取り組んでおります。
さらに、販売接客においては、外資系ファストファッションブランドにはない、お客様の具体的な着用場面やすでにお持ちの商品との組合せをお聞きしたうえで、最適と思われる商品を提案したり、サイズ違いや色違いを懸念されるお客様への丁寧な対応を行うことで顧客満足の向上を図ってまいります。
(2) ブランド開発のイノベーション
国内アパレル市場の規模はここ数年、ほぼ横ばい状態であり、また当社ブランドの主たる購買層であるF1層(20歳から34歳の女性)の人口が徐々に減少することもあり、対象年齢層や事業領域をアパレル周辺に拡大した新ブランド、新規事業の開発が課題になっています。
そのため、当社グループでは、中長期にわたる成長戦略に不可欠な新規ブランド、新規事業の開発にも積極的に取り組んでまいります。
新規事業の開発には「新しい価値の創造」と「ビジネススキームの構築」が不可欠であり、企画立案フェーズから実行フェーズまで社内インキュベーション(事業の創出、開発支援)機能を強化してまいります。
新規ブランドの開発に関しては、企画立案フェーズにおいて、既存ブランド事業(社内、社外)との違いを明確にするため、ブランドコンセプト、事業領域を徹底検証します。またテストマーケティングなどを先行させ、事業計画を含む仮説の検証、修正を徹底します。さらに実行フェーズにおいては、商品サンプルを専門に制作するチームを活用した商品開発期間の短縮、IT・物流等のインフラ構築支援、事業計画の進捗管理などを行い、円滑な事業の立上げを実現します。
また、新規事業の開発に関しては、自社開発だけではなく、M&A及び提携・アライアンスを含めて検討してまいります。
(3) Eコマース事業のイノベーション
スマートフォン(スマホ)の普及により、Eコマースによるアパレル消費はますます拡大しております。当社でも早くから自社通販サイトを立ち上げ、Eコマース事業に積極的に取り組んでまいりましたが、今後、Eコマース事業のさらなる拡大を図るには、ユーザーの利便性の向上、店舗との連携強化が重要な課題になっております。
当社グループでは、現在、売上高構成比が10%程度のSHEL’TTERウェブストアを中心としたEコマース事業を長期的に20%まで高めるため、運営基盤を強化してまいります。
① ECエンジンの刷新による顧客データ管理の強化、データ連携による顧客利便性の向上
平成28年1月末現在、約90万人に達したSHELʼTTERウェブストア会員の顧客データベースを、新たに導入するCRMシステムで一元管理し、認知、検討、購買、受取、拡散に係る購買行動分析により買上げ率の向上に取り組みます。また、現在、別々に管理しているSHELʼTTERウェブストア会員の顧客データベースと店舗での購買ポイントやハウスカード等の顧客情報を連携させることで、ウェブストアと実店舗の間で相互誘導を図り、オムニチャネル化(注)による売上拡大に取り組んでまいります。さらに、在庫連携による売上機会ロスの最小化、商品受取の選択肢を広げる等の顧客利便性の向上にも取り組んでまいります。
(注)オムニチャネル化…実店舗やオンラインストアをはじめとする販売チャネルや流通チャネルを統合し、どのような販売チャネルからも同じように商品を購入できるようにすること
上記CRMシステムによる顧客情報は、商品企画やマーケティング手法の検討にも活用し、顧客のライフスタイルに多面的にアクセスし、購買につながる商品・販促施策に取り組んでまいります。
② 越境ECによる海外顧客へのアプローチ
現在、国内市場中心のSHEL’TTERウェブストアのグローバルサイト化を進めるほか、他社の海外ECモールへ出店することなどにより、海外ユーザーのアクセスを確保し、越境ECを推進します。
海外顧客への配送については、海外の物流拠点を経由せずに直接配送することで、早期受け取りを実現します。
(4) 中国事業の加速と海外新規マーケットの開発
国内アパレル市場での急速な事業拡大が見込めない中で、海外市場への進出とそこでの成功は、当社グループの事業戦略においてきわめて重要になっています。当社グループでは、すでに中国、香港、マカオにおいて、持分法適用関連会社の直営店(中国)および連結子会社が管理するFC店舗(香港・マカオ)を通じて、小売売上高で100億円超の海外事業を展開しており、これらの市場において積極的な事業拡大を継続するほか、新しい市場として北米事業に取り組んでまいります。
① 中国合弁事業による成長戦略とブランド認知の向上
戦略的事業パートナーであるBelle International Holdings Limitedとの連携を更に推し進め、「MOUSSY」「SLY」を中心に中国における新規出店を継続してまいります。さらに、SHEL’TTER店舗(セレクト・ショップ型店舗)を出店し、「MOUSSY」「SLY」の商品を販売するほか、今まで展開していないブランド商品のテストマーケティングの場としても活用してまいります。
また、日本企画商品の販売に加えて、中国の現地企画商品の開発を強化し、中国人の嗜好・ニーズにマッチした商品を増やすことにより売上の拡大を図ります。また、現在、生産工場が多い中国沿海部より人件費等が安い中国内陸部・北部、さらにはASEAN諸国等の生産工場に生産委託先をシフトすることにより、製造コストの低減及びカントリーリスクの低減に取り組んでまいります。
② 北米子会社設立による北米マーケット進出とグローバルマーケティングの実施
第18期連結会計年度(自 平成28年2月1日 至 平成29年1月31日)において、北米ニューヨークを中心に、テストマーケティング、ブランドコンセプトの検証を行いつつ、当社が日本で成功したSNSやSHEL’TTERウェブストアを活用したファンコミュニティ作りを通じてブランドの認知度向上を図ってまいります。あわせて上記の越境ECを活用するための効率的な物流体制を早期に構築し、米国でのEC事業の拡大に取り組んでまいります。
これらの事業戦略を円滑に推進するために、平成28年4月、米国に子会社を設立しました。北米事業の推進にあたっては、中国事業での当社の成功モデルである現地戦略的パートナーとの合弁・提携の可能性を含めて検討してまいります。
(5) サプライチェーンマネジメントの抜本的な見直し
当社グループの事業は、衣料及び服飾雑貨の製造小売、いわゆるSPAですが、これらの商品の企画及び販売は自ら行うものの、自社の生産設備は有しておらず、すべて社外へ生産を委託しております。これにより、多くの企画のアイデアを商品化する生産体制の構築が可能である一方で、企画を起点とした商品開発の計画性、生産委託先との間のコスト管理や品質管理、さらには商品を店舗まで届ける物流の効率化が、収益性改善のための重要な課題になっております。
当社グループでは、このようにSPAにおける効率性の要である企画から開発、生産委託、物流、販売へとつながるサプライチェーンマネジメントの抜本的な見直しを進めてまいります。具体的には、企画→開発→生産→物流→販売の各段階において、以下の改革に取り組み、新しい価値の創造と物流コスト・製造コストの低減を図ってまいります。
企画においては、新設のマーケティンググループがマーケットニーズを捕捉し、新規顧客や新規マーケットを創造するのに必要な情報やトレンドセッティングのための情報の収集にあたり、各ブランドの企画チームが差別化された独自性の高い商品を自社で企画できるようコントロールしてまいります。
開発においては、新設のR&D部が、価格及び品質の両面で競争力のある原料の調達と市場優位性のある新素材の開発に世界規模で取り組み、デニム等の自社に競争力があると考える商品の更なる品質向上を図ってまいります。
生産においては、仕入先とのパートナーシップ強化によって、品質の向上を図りつつ、仕入先の集約、直接貿易化及び新規生産工場の開拓、スケールメリットを生かすための組織集約によって、コスト低減を図ってまいります。また、中国合弁事業において強化する生産組織を活用し、商流の整理と生産工場の開発を進め、中国内販商品にとどまらず日本向け商品を含めた製造原価の低減に取り組んでまいります。
物流においては、イ)戦略的事業パートナーであるBelle International Holdings Limitedの倉庫を活用した日本への輸出のための出荷拠点の集約、ロ)計画配送(日本向け集約)による貿易費用の削減、ハ)商品の店舗への初回振分け数量を適量にすることによる店舗間移動の低減、ニ)店舗に同梱配送する商品に関して、仕入先からのセット納品・セット配送による、物流センターでの作業工数の削減、委託費の低減等に取組み、物流スキームを刷新してまいります。
販売においては、商品消化率及び換金率の向上による店頭での定価販売比率の最大化、接客コンクールなどによる販売モチベーションの向上、SNSを活用した情報発信型サービスの波及を図ってまいります。
(6) 人財の育成
当社グループの事業の成長をささえるのは人材であり、当社の経営理念にそった人材を採用、育成し、重要戦略分野に適切な人材を投入することが事業成功のための課題となっております。
当社グループでは、中期経営計画に基づき、イ)重点戦略分野への人材配置、ロ)重点戦略を実現できる人材の採用及び育成等により、戦略的な人事施策を実行してまいります。また、採用における雇用形態の最適化(正社員と臨時雇用社員の組合せ)、人材育成の強化やキャリアパスの確立、働き方の多様化への対応により、人材競争力の強化を図ります。さらに、グローバル事業展開への対応として、グループ人材の有効活用やグローバル人材の育成等を図ってまいります。