有価証券報告書-第21期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)

【提出】
2020/05/28 14:57
【資料】
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【項目】
139項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社グループは「挑戦」を企業理念とし、「BAROQUE発のファッションブランドを日本の代表的なファッションブランドとして世界へ飛躍させる」という目標に向けて、世界中のお客様から支持されるグローバル企業を目指しております。
その「挑戦」をより具現化する為に、“Enjoy fashion and enjoy life more.”「もっとファッションを楽しもう。もっと人生を楽しもう。」をCorporate Sloganに、存在意義と行動指針を“OUR MISSION”に、重視する共通の価値観を“OUR VALUES”に示しております。

(2) 目標とする経営指標
当社グループは将来にわたり企業価値向上を図るために国内事業、海外事業の収益性を重視しながら事業の成長性を高め、連結業績における営業利益、経常利益及び自己資本利益率(ROE)の向上を目指してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営指標
当社グループでは、国内外における持続的成長とステークホルダーからの高い評価を得ることを重視し、2020年2月期を初年度とする新中期(5年)計画 “GLOBAL NEW RETAIL 1stステージ2024”を策定いたしました。
以下のコンセプトを元に企業価値の向上に取り組んでまいります。

以下の数値を主要な目標として取り組んでまいります。
2019年2月期2024年2月期
売上高710億円1,000億円
営業利益47億円85億円
経常利益45億円87億円
親会社株主に帰属する当期純利益29億円57億円
海外売上比率(小売売上ベース)24.0%33.0%
自己資本利益率(ROE)16.0%20.0%

(4) 会社の対処すべき課題
当社グループでは国内事業の収益性の改善、中国を含めた海外事業の継続的な拡大という優先課題に取り組む他、ブランド価値の更なる向上、サステナビリティ活動の推進、商品品質の向上、人材の確保と育成、内部管理体制の強化、基幹システムの機能性向上及び安定稼働、及び新型コロナウィルス感染拡大による事業運営リスクへの対応という課題に取り組んでまいります。
① 国内事業の収益性の改善
イ.新規事業による新しいお客様の開拓
当社グループは、自分たちが「着たいものを作る」という創業精神に基づき、多様な個性、感性をお持ちのお客様に様々なブランドを提供しております。また、他社に先駆けてEC事業を手掛ける等、他にはない独創性のあるビジネスモデルを展開することでお客様の獲得に注力してきました。
新規事業としましては、当社らしいファッション性の高いブランドを拡充していくのみならず、当社がこれまでに手掛けていない潜在層へのアプローチ等により新たな価値を創造していきます。一方、不採算ブランドについては廃止し、ブランドの選択と集中を実現してまいります。
また、個人における価値観の多様化、ICT・デジタル化の進展等により、シェアリング、EC主体のオーダーメイド、越境EC等、新たなビジネスモデルが台頭しております。当社においても時代の潮流を的確に捉え、ブランド事業の補完・強化が見込める新事業への投資を推進し、お客様に新たな価値観及び更なる利便性を提供しまいります。
これらの新ブランド及び新規事業により、新しいお客様の開拓、獲得に取り組んでまいります。
ロ.継続的な顧客関係の構築に関する取組み
国内事業につきましては、引き続きデジタルマーケティングによる新規及び既存のお客様へのアプローチを継続すると共に、会員制ポイントアプリ「SHEL'TTER PASS」を活用し、アクティブユーザー率向上に向けた施策によるサービス向上を実現いたします。また、同アプリをコアとして店舗とECの連携(オムニチャネル化)を一層強め、お客様と継続的な関係を構築することを目指します。
当社グループは、これまでに「SHEL'TTER PASS」の会員データと自社ECシステムの会員データの統合を行い、会員の購買・閲覧情報をもとにお客様の嗜好にあったお勧め商品情報の配信やクーポン等のお得情報の配信を行ってまいりましたが、掛かる機能に加え、商品を購入しない時でも日々お客様が閲覧し、コミュニティが形成される会員アプリへの進化を目指します。
また、本連結会計年度下期より自社ECサイトと主力ブランドの全直営店舗において、ECサイト上での店舗在庫表示、店舗用在庫と自社通販在庫の自動連携、EC在庫の店舗決済等、連携強化施策の運用をスタートしました。
これらの施策により、お客様に更なる魅力と利便性を提供しながら、店舗及び自社ECサイトへの来店促進に取り組んでまいります。
ハ.売上総利益率の向上
各ブランド事業において、商品の強みを明確にした主軸商品の開発及び実需に合わせた販売価格設定等のマーチャンダイジングの精緻化により値引きに頼らない販売を強化します。
また、中国生産に関して商社に頼らない直接貿易の推進、ASEAN等の第三国生産の活用等のサプライチェーンマネージメント改革を通じ、仕入原価の適正化を図ります。
さらに、NEW RETAIL施策の一環として、デジタル技術を活用し、ビックデータに基づくマーチャンダイジング設計及びディストリビューションの最適化を図るツールの導入等により、データと人を融合した戦略を推進いたします。
これらの施策により、売上総利益率の向上に取り組んでまいります。
ニ.主要販管費目の抑制、効率化
新規事業及び強化対象のブランドについては、成長に向けて積極的に投資することを基本線としつつも、広告宣伝費、人件費など主要販管費の抑制、効率化に向けて、ICT技術を活用しながらコスト構造改革、店舗運営の効率化、店舗及び本社人員配置最適化等を図っていきます。
具体的には、デジタルマーケティングを推進し、紙媒体ではできない流入経路別分析を強化することにより、プロモーション費用の効率化を図っていきます。
また、RFID商品タグの導入、カートンごとの商品データを登録、積送中の位置情報を管理するシステムの導入、コンテナ積載率を向上させる統一カートンの採用等により、物流効率の向上に取り組んでまいります。
さらに、店舗にRFID対応した運営システムを導入することにより、棚卸業務、レジ対応等業務の効率化を図り、店舗運営の効率化を推進してまいります。合わせて店舗の戦略的なスクラップ&ビルドにより、店舗人員の効率化に取り組んでまいります。
これらの施策により、広告宣伝費、物流費、人件費の抑制に取り組んでまいります。
以上により、国内事業の収益性の改善に取り組んでまいります。
② 海外事業の拡大
中国事業においては、ブランド認知度の高まりを背景にEC事業を強化するほか、店舗網拡大の巡航速度を年間20~30店舗程度の純増に抑えながら安定的な事業の拡大に取り組んでまいります。
米国事業においては、好調なMOUSSYの卸事業を、米国に留まらず米国発で世界へ展開いたします。
ENFÖLDにおいても日本発で海外での卸事業を拡大しており、これらの卸事業を通じ、各国における評価・評判を見極めながら、アジア等への具体的な出店に繋げ、世界進出を加速してまいります。
以上により、海外事業の拡大に取り組んでまいります。
③ ブランド価値の更なる向上
当社は、自社企画のファッション性の高い商品を中心にアパレル及び服飾雑貨の製造・販売を行っており、日本及び中国を中心にファッション感度の高いお客様から高い支持を得ております。当社としては、今後も商品開発力の強化や新規事業の展開等により、お客様の嗜好に応えるとともに顧客層の拡大を図り、ブランド価値の更なる向上に取り組んでまいります。
④ サステナビリティへの対応
「大量生産・大量消費・大量廃棄」を繰り返すアパレル業界の特性は、業界のみならず地球全体のサステナビリティにおける課題として認識しております。持続的な企業価値向上の一環として、課題克服を意識した取り組みに注力してまいります。
具体的には、無駄なものは作らないことを念頭にマーチャンダイジングの精緻化を進めると共に、環境配慮型素材活用の取組みとして、自社ブランドで回収した羽毛と新毛を混ぜたリサイクルダウン、ペットボトルをリサイクルして作ったポリエステル素材等を採用した商品の展開を行います。
これらの施策を元に、全てのステークホルダーの方々に豊かで広がりのある未来を提供できるよう取り組みを進めてまいります。
⑤ 商品品質の向上
当社で取り扱う商品について、品質を重視した生産委託先の選定、検品、物流、在庫管理の徹底により、商品品質のより一層の向上に取り組んでまいります。
⑥ 人材の確保と育成
当社では、ファッション性の高い商品をお客様の個性にあったパーソナルなコーディネート提案により、店舗においてお客様との関係性を構築しております。また、商品の企画に自社の販売スタッフから抜擢した社員を登用する等によりオリジナル性の高い商品を開発するとともに、マーケティングにおいても販売スタッフによるデジタルメディアでの発信を多用化する等の手法により集客を図っております。
このように当社にとって重要な経営資源である人材の確保及び育成を強化してまいります。また、ICT活用による業務の効率化を推進し、働き方改革に対応してまいります。
⑦ 内部管理体制の強化
当社は、企業価値の継続的な拡大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。引き続き、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、法令遵守を徹底してまいります。
⑧ 基幹システム及び業務システムの安定稼働及び機能性向上
当社は事業運営において、POSシステム、会計システム、通販システム等の各種システムを使用しており、これらの安定稼働及び継続的な機能改善が事業の継続と発展に不可欠と認識しております。基幹システム及び各種業務システムに係るシステム開発及び保守点検の体制を強化し、安定稼働及び機能性向上に取り組んでまいります。
⑨ 新型コロナウィルス感染拡大による事業運営リスクへの対応
今後の見通しにつきまして、現段階では新型コロナウイルス感染症の影響が全世界に拡大するなど、楽観的な見通しは立てられない状況にあります。このような状況認識の下、2021年2月期につきましては国内、海外とも在庫の適正化及びコスト管理を徹底し、利益確保を最優先に取り組みます。