有価証券報告書-第11期(2025/01/01-2025/12/31)

【提出】
2026/03/27 15:30
【資料】
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【項目】
111項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、眼科領域に特化しグローバルに医療用医薬品、医療機器の研究開発を行う眼科医療ソリューション・カンパニーです。
当連結会計年度におきましては、ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギー価格や主要原材料費の高騰、輸送コストの上昇など、先行き不透明な状況が依然として続きました。アジア経済は、中国において製造業を中心に一部持ち直しの動きが見られたものの、内需回復の遅れや不動産市場の調整局面が継続しており、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。その他の地域においても景気回復のペースが緩やかになる傾向が見られました。日本経済においては国内外の金利差が影響を受け、円安基調が継続しました。このような事業環境のもと、当社グループは以下のとおり事業展開及び研究開発を推進しました。
[医療機器]
(ウェアラブル近視デバイス(Kubota Glass))
現在、当社は Kubota Glass の事業拡大に向けて、地域ごとの市場特性を踏まえた戦略的な展開を進めております。
中でも中国市場においては、複数のディストリビューター(現在4社)と連携し、役割や取り組みフェーズを明確にしたうえで販路開拓を本格的に推進しており、これまでの市場探索・仮説検証の段階から、具体的な実行フェーズへと進展しています。これらの取り組みを通じて、事業面における初期の成果も徐々に顕在化し始めています。
また、中国・上海においては臨床試験を新たに開始しており、現在までのところ順調に進捗しています。これらの活動を通じて、製品価値の検証及び将来的な事業展開に向けた基盤整備を着実に進めています。
併せて、今後の持続的な成長と展開拡大を見据え、製造、供給、オペレーション全体における最適化に向けた継続的な投資及び体制整備を行っております。
今後は、既に販売を開始している日本国内におけるマーケティング活動の強化に加え、グローバル展開を見据えた外部パートナーとの協業や新たな事業機会の探索を進めることで、中長期的な事業成長につなげていく方針です。
具体的には、海外市場における認知拡大及び将来的な事業機会の創出を目的として、英国で開催される国際展示会「100% Optical」への出展準備を進めているほか、台湾市場においては販売体制構築に向けた取引開始の可能性を視野に入れた準備・調整を行っております。また、南アジア地域においては、複数の可能性を視野に入れつつ、現地パートナーとの間で市場性や事業性を慎重に見極めるための協議を継続しており、現時点では観察・検討段階に位置付けています。
加えて、日本国内においては、Kubota Glassの提供価値をより多様かつ継続的に届けることを目的として、新たな販売手法の可能性について検討・準備を進めております。
中国市場については、過去に一時的にクローズしていたeコマースチャネルに関し、市場環境や運営体制を踏まえつつ、将来的な再開を視野に入れた準備を進めております。
これらの取り組みはいずれも、今後の市場環境、パートナーとの協議内容及び社内検討の進捗等を踏まえながら、段階的に判断していく予定です。当社は引き続き、事業リスクを適切に管理しつつ、持続的な成長機会の創出に取り組んでまいります。
(在宅・遠隔医療モニタリング機器)
当社が開発する超小型モバイルOCT(光干渉断層計)の「eyeMO」は、眼科において網膜の状態の検査に用いられるOCTの超小型モデルのことで、モバイルヘルスを含む在宅・遠隔医療分野での需要を見据えた在宅眼科医療機器ソリューションです。
ウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫等の網膜浮腫による網膜疾患患者が自宅にて患者自身で網膜の状態を測定することを可能にする検査デバイスです。インターネットを介して、網膜の構造や視力の変化といった病状の経過を、医師が遠隔で診断できるシステムを確立することにより、個別の患者に適した眼科治療を実現し、視力の維持向上を目指します。2023年1月より、ハーバード大学医学部付属ジョスリン糖尿病センターで、糖尿病網膜症患者のスクリーニング装置として実用可能であるかの評価、及び市販のOCT装置と比較する臨床試験を実施しております。今後も理想的な実用モデルを検証しつつ、パートナー企業との共同開発、商業化の可能性を模索しております。
[低分子化合物]
エミクススタト塩酸塩については、主にスターガルト病を適応症とした治療薬としての承認・上市を目標に開発を進めております。2018年11月に開始した第3相臨床試験では主要評価項目及び副次的評価項目を達成せず、治療群間の有意差も確認できなかったものの、その後のサブグループ解析において、ベースライン時の萎縮病巣領域が小さい被験者グループに対して変数減少法による単変量と多変量分析を行い、このサブグループにおける萎縮病巣の進行に影響する独立したベースラインの因子を特定しました。この解析の結果、エミクススタト投与群の24カ月目の黄斑萎縮の進行率が、プラセボ投与群に比べ40.8%抑制されたことを確認しました(p=0.0206、エミクススタト投与群 n=34、プラセボ群 n=21)。上記の結果にもとづき、改めて第3相臨床試験を実施すべく、米国FDA(米国食品医薬品局)と協議を重ねております。一方で、未承認薬を人道的な目的で利用可能とするコンパッショネート・ユース制度(CUP)の活用により早期の収益化を目指しており、グローバルな提携パートナー候補へのアプローチを継続して進めております。当連結会計年度においては、潜在的な提携の可能性(商業化協業を含む)について協議・検討するため、Laboratoires KÔL(本社:フランス・クレルモン=フェラン、Founder and CEO; Sophie Momège)との間で、意向表明書(Letter of Intent、以下「LOI」)を締結しました。現在は、当該LOIに基づき、エミクススタト塩酸塩の販売権及び独占権に関するライセンス契約について、先方から受領した契約書ドラフトの精査を実施し、速やかな契約締結に向けて実務的な詳細事項について協議中です。
a.経営成績
当連結会計年度の事業収益は21百万円(前年度比21.5%減)、売上原価は26百万円(前年度比406.8%増)となりました。研究開発費、販売費及び一般管理費については以下のとおりです。
(研究開発費)
当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度と比較して233百万円減少(前年度比△42.9%)し、311百万円となりました。これは、エミクススタト塩酸塩、及びウェアラブル近視デバイスの開発費用が減少したことが主な要因です。
(単位:%を除き、千円)
2024年12月期2025年12月期増減額増減率(%)
研究開発費543,835310,546△233,289△42.9

(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して168百万円減少(前年度比△23.6%)し、543百万円となりました。これは、ウェアラブル近視デバイス Kubota Glassに関する支払報酬、及び特許関連費用が減少したことが主な要因です。
(単位:%を除き、千円)
2024年12月期2025年12月期増減額増減率(%)
販売費及び一般管理費710,515542,991△167,524△23.6

b.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末と比べて438百万円増加し、1,969百万円となりました。これは、現金及び現金同等物が増加したことが主な要因です。
(非流動資産)
当連結会計年度末の非流動資産は、前連結会計年度末と比べて0百万円減少し10百万円となり、大きな変動はありませんでした。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末と比べて6百万円増加し、157百万円となりました。これは、未払債務が増加したことが主な要因です。
(非流動負債)
当連結会計年度末の非流動負債は、前連結会計年度末と比べて7百万円増加し8百万円となり、大きな変動はありませんでした。
(資本)
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末と比べて424百万円増加し、1,814百万円となりました。これは、当期損失の計上により繰越損失(利益剰余金のマイナス)が拡大した一方、普通株式の発行により資本金及び資本剰余金が増加したことが主な要因です。
② キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、取得日後3ヶ月以内に満期が到来する短期の流動性の高いすべての投資を含み、現金同等物はマネー・マーケット・ファンドで構成されております。取得日現在の満期が3ヶ月から1年の間である投資は、短期投資に分類されます。
当社グループが保有する現金、現金同等物及び短期・長期の金融商品は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ1,455百万円及び1,919百万円でありました。第三者金融機関への預金額は、連邦預金保険公社及び証券投資家保護公社の適用ある保証上限を超える可能性があります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度及び当連結会計年度における営業活動に使用した現金及び現金同等物(以下、資金)は、それぞれ1,195百万円及び583百万円となりました。使用した資金が612百万円減少した主な要因は、前連結会計年度に比べ、当連結会計年度は研究開発及び一般管理費等の支払いに関する資金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度及び当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、それぞれ43百万円及び4百万円となりました。使用した資金が39百万円減少した主な要因は、前連結会計年度に比べ、当連結会計年度は有形固定資産の取得に関する支払いが減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度における財務活動に使用した資金は88百万円、当連結会計年度に得られた資金は1,066百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、当連結会計年度は普通株式の発行による収入が増加したことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.商品(製品)仕入実績
当社グループは、医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年1月1日
至 2025年12月31日)
前年同期比(%)
医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業(千円)35,747185.9

(注) 中国市場向け商品具材購入のため、前年同期比で増加しております。
c.受注実績
当社グループは、医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業21,33594.8--

(注) 市場調査・販売チャネル検討等に注力したため、受注高が前年同期比で減少しております。
d.販売実績
当社グループは、医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年1月1日
至 2025年12月31日)
前年同期比(%)
医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業(千円)21,33578.5

(注)1.市場調査・販売チャネル検討等に注力したため、前年同期比で減少しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
当連結会計年度
(自 2025年1月1日
至 2025年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
IQVIAサービシーズ ジャパン合同会社5,50020.23,75017.6

3.日本市場での広告宣伝費減の影響を受け、前年同期比で減少しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準を適用しております。重要性がある会計方針、重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載のとおりであります。
当社経営陣は連結財務諸表及び添付の注記で報告された数値に影響を与える見積り及び仮定を行わなければなりません。実際の結果はこれらの見積りと相違する場合があります。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
また、経営成績に重要な影響を与える要因については、本報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)パイプライン」をご参照ください。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要は、研究開発投資が中心となります。当社グループでは流動資産が流動負債を大きく上回っており、資金の源泉については内部資金の充当を基本と致しますが、市場環境を考慮して株式市場からも機動的に資金調達するとともに、パートナー企業との提携を通じた資金確保も検討し、財務の健全性や安全性の確保を目指してまいります。
当連結会計年度末の流動資産が1,969百万円(うち、現金及び現金同等物は1,919百万円)がある一方で、流動負債は157百万円であり、当連結会計年度末現在において必要な流動性は十分に満たしていると認識しています。

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