有価証券報告書-第43期(2025/01/01-2025/12/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナや中東地域をはじめとする地政学的リスクの高止まりが、エネルギー価格や物流コストの不安定化を招き、景気の下押し圧力となりました。また、主要な市場である米国においては、通商政策の変化に伴う関税強化や貿易摩擦の再燃などにより、先行きの不透明感が一段と強まりました。我が国経済においても、円安基調の継続による原材料価格の高騰や物価上昇が家計を圧迫し、個人消費が伸び悩むなど、依然として予断を許さない状況が続いております。
当社グループが属する楽器関連機器業界におきましては、コロナ禍の特需の反動による在庫調整が継続したことに加え、世界的な物価高を背景とした消費者の節約志向により、趣味・娯楽への支出が抑制されるなど、厳しい販売環境で推移いたしました。
このような環境の下、期首想定を上回る事業環境の悪化が上半期を通じて顕在化いたしました。当社グループの業績につきましては、国内及び欧州市場は比較的堅調に推移したものの、最大の市場であり利益率が高い北米市場において、相互関税の影響及び個人消費の減退に伴う販売不振に見舞われ、売上高及び売上総利益が当初想定を大きく下回る結果となりました。
当社グループはこの事態を重く受け止め、これを「有事」と認定したうえで、年度途中から事業運営の前提を見直し、各種対応を進めることとなりました。以下は、その判断に至るまでの経過と、判断後に実施した主な取り組み及びその成果になります。
「取り組み1」市場構造変化を踏まえた製品戦略の検証と見直し
ハンディオーディオレコーダー市場では、ワイヤレスマイクの普及やスマートフォンの録音性能向上により、汎用的な録音用途の価値が他デバイスへ移行する構造変化が進行しております。一方で、音楽用途や高音質・高信頼性を求める用途、業務用途など、録音品質や信頼性そのものが評価軸となる領域では、引き続き一定の需要が存在しているものと認識しております。
こうした市場環境を踏まえ、高音質録音を明確な価値とするStudioシリーズを投入し、販売は堅調に推移しました。一方、汎用用途を主眼としたEssentialシリーズについては、市場における価値軸の変化との乖離が顕在化しました。このため、ファームウェアアップデート、プロモーション・マーケティング施策、バンドル販売の拡大などの対応を講じましたが、需要構造の変化の大きさを踏まえると、既存製品を前提とした対応には限界があり、かつ効果の発現に一定期間を要することから、販売は想定を下回る結果となりました。
これらの結果を通じて、当社は、従来の製品構成や価格帯を前提とした事業運営には見直しが必要であるとの認識に至り、成長が見込める領域に経営資源を再配分するための事業構造の再定義に着手しました。
「取り組み2」関税影響の顕在化を踏まえた収益管理の見直し
米国向け製品において追加関税の影響が本格化し、当社の収益性に大きな影響を与えました。当初、関税については、中国とその他アジア地域との間で関税水準に大きな差が生じる前提での適用を想定しており、関税影響の緩和を目的として生産地移管を進めるとともに、販売価格の調整など既存施策による対応を実施しました。
しかしながら、実際には地域間の関税差は当初想定より限定的であり、かつ税率水準自体も高水準で推移したことから、生産地移管による短期的なコスト吸収効果は想定を下回る結果となりました。この結果、外部環境の変動が収益性に与える影響の大きさが改めて顕在化しました。
これらを受け、当社は、外部要因の変動をより前提とした収益管理の必要性を認識し、事業運営上の不確実性を低減するための対応を進めてまいりました。
「取り組み3」有事対応としての組織再編及び事業基盤の整理
上記の環境変化を受け、有事対応の一環として、組織体制及びコスト構造の見直しに着手しました。本社機能を中心としたリストラクチャリングを実施する一方で、将来の成長に不可欠な開発の中核リソースについては維持・強化を図り、メリハリのある組織運営を推進してまいりました。
また、北米事業を担うZoom North America LLCにおいては、市場環境や事業見通しの変化を踏まえ、将来の収益計画との整合性を図る観点から、保有資産の評価見直しを行い、のれんの減損処理を実施しました。これにより、資産価値を実態に即した水準へと適正化するとともに、次期以降の収益性を改善し、将来的な追加損失のリスクを低減させております。
これらの取り組みにより、当連結会計年度には一時的な費用負担が生じたものの、損益分岐点の引き下げと事業運営の効率化が進み、次期以降に向けて、より持続可能な事業基盤の構築を図ることができました。
上記の構造改革に伴い、割増退職金の支払いや棚卸資産の処分に伴う損失、及び将来の収益性の低下に鑑みたのれんの減損損失など、合計10億円弱の特別損失を計上いたしました。
この結果、営業利益以下の各段階利益につきまして、誠に遺憾ながら損失を計上するに至りましたが、今回の措置により次期以降の固定費削減及び資産の健全化が図られたものと考えております。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は17,437,011千円(前期比3.5%減)、営業損失は56,959千円(前期は営業利益531,518千円)、経常損失は231,076千円(前期は経常利益554,189千円)、及び親会社株主に帰属する当期純損失は1,728,030千円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益40,876千円)となりました。
当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。製品カテゴリー別の説明は以下のとおりであります。
(ハンディオーディオレコーダー)
ハンディオーディオレコーダーは、音楽・業務用途など録音品質や信頼性が重視される領域で需要が引き続き堅調であり、そのニーズを的確に捉えた新製品「Studio シリーズ」は好調な販売を記録し、当カテゴリーの新たな柱となっています。一方、スマートフォンの性能向上等により、手頃な価格が特徴の「Essential シリーズ」は苦戦を強いられ、各種販促施策を講じたものの想定を下回る結果となりました。さらに欧州等の地域で前期の旧Hシリーズ最終販売に伴う反動減もあり、売上高は3,665,596千円(前期比5.3%減)となりました。
(デジタルミキサー/マルチトラックレコーダー)
デジタルミキサー/マルチトラックレコーダーは、2025年9月から新製品3機種を順次市場へ投入いたしました。これら新製品の立ち上がりは概ね堅調に推移したものの、既存製品の販売減少分をカバーするまでには至らず、売上高は2,011,189千円(前期比3.3%減)となりました。
(マルチエフェクター)
マルチエフェクターは、前期に実施した「MultiStompシリーズ(MS+シリーズ)」の刷新及びラインナップ拡充に伴う需要が一巡したことに加え、低価格帯製品における競合他社との競争激化の影響を受け、売上高は1,377,868千円(前期比20.1%減)となりました。
(プロフェッショナルフィールドレコーダー)
プロフェッショナルフィールドレコーダーは、2023年以降、新製品の投入がなかったこと等により、売上高は1,075,516千円(前期比25.4%減)となりました。
(ハンディビデオレコーダー)
ハンディビデオレコーダーは、2022年以降、新製品の投入がなかったこと等により、売上高は465,149千円(前期比21.8%減)となりました。
(Mogar取扱いブランド)
Mogar取扱いブランドは、現地通貨ベースの売上高は前年同期並みとなったものの、ユーロに対する円安進行の影響を受け、売上高は1,254,611千円(前期比3.1%増)となりました。
(フックアップ取扱いブランド)
フックアップ取扱いブランドは、高価格帯製品に対する需要が低調に推移したことから、売上高は1,706,399千円(前期比8.4%減)となりました。
(Sound Service取扱いブランド)
Sound Service取扱いブランドは、「Nord Keyboards」や「LTD」の販売が好調に推移したことに加え、英国の拠点であるSound Service U.K. Limitedが、2024年10月にオーディオブランドの販売代理店であるSCV Distribution Limitedの商圏を承継したことも寄与し、売上高は4,717,466千円(前期比18.9%増)となりました。
なお、従来独立したカテゴリーとして記載しておりました「マイクロフォン」「ボーカルプロセッサー」及び「オーディオインターフェース」につきましては、直近の販売実績の推移及び今後の開発計画を鑑み、重要性が低下したことから、当連結会計年度より独立した説明を省略することといたしました。
また、財政状態については、当連結会計年度末の資産合計は18,743,778千円となり、前連結会計年度末と比べ1,344,098千円減少しました。これは主に、流動資産が308,678千円、固定資産が1,035,420千円減少したことによるものであります。
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ308,678千円減少し、14,656,341千円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が291,589千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ1,035,420千円減少し、4,087,436千円となりました。これは主に、工具、器具及び備品が71,257千円、投資有価証券が216,885千円増加した一方で、償却の進行や一部減損損失の計上によりのれんが1,100,454千円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ354,100千円増加し、8,114,787千円となりました。これは主に、買掛金が81,397千円減少した一方で、短期借入金が723,390千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ496,670千円減少し、3,208,662千円となりました。これは主に、長期借入金が466,566千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,201,528千円減少し、7,420,327千円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が349,683千円、非支配株主持分が323,948千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が1,874,341千円減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ253,300千円減少し、3,034,649千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は601,939千円(前年同期は584,571千円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失を1,221,342千円計上した一方、減価償却費368,594千円、のれん償却額475,158千円及び減損損失862,626千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は690,113千円(前年同期は241,611千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出398,839千円及び関係会社株式の取得による支出216,885千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は113,086千円(前年同期は15,111千円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額656,620千円があった一方、長期借入金の返済による支出509,742千円及び配当金の支払額135,100千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ. 生産実績
当社グループは、外部に製造を委託しており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ. 製品仕入実績
当連結会計年度における製品カテゴリー別の仕入実績は次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.当社グループの製品は、当社ブランドの製品については全て生産委託しております。
3.従来独立したカテゴリーとして記載しておりました「マイクロフォン」「ボーカルプロセッサー」及び「オーディオインターフェース」につきましては、直近の販売実績の推移及び今後の開発計画を鑑み、重要性が低下したことから、当連結会計年度より「その他」に含めております。
ハ. 受注実績
当社グループは、需要予測による見込みで販売数量を決定しており、受注生産の形態を採っておりません。
ニ. 販売実績
当連結会計年度における製品カテゴリー別の販売実績は次のとおりであります。
(注) 1.従来独立したカテゴリーとして記載しておりました「マイクロフォン」「ボーカルプロセッサー」及び「オーディオインターフェース」につきましては、直近の販売実績の推移及び今後の開発計画を鑑み、重要性が低下したことから、当連結会計年度より「その他」に含めております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注) 当該顧客と同一の企業集団に属する顧客への販売実績を集約して記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
イ. 棚卸資産
当社グループは、棚卸資産の保有期間及び将来の需要予測に基づき検討した結果、正味売却価額が帳簿価額を下回るものについては商品評価損を計上しておりますが、想定よりも実際の市況が悪化した場合は追加の評価減が必要となる可能性があります。
ロ.貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しておりますが、取引先の財務状況が悪化しその支払い能力が低下した場合又は債権が回収不能となった場合、追加の引当又は損失の計上が必要となる可能性があります。
ハ. 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性を慎重に検討し、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
ニ.のれん
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
② 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前期比3.5%減の17,437,011千円となりました。これは主に、米国市場における相互関税の影響や需要減退に加え、スマートフォン等の普及による代替需要の拡大に伴い、汎用価格帯製品の競争が激化したこと等によるものであります。
(売上総利益)
売上総利益は、前期比6.6%減の6,471,003千円となり、売上総利益率は前期比1.2%減少の37.1%となりました。これは主に、相互関税による売上原価の上昇や、在庫評価基準の保守的運用により棚卸資産評価損の増加が要因となります。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、前期比2.0%増の6,527,963千円となりました。これは主に、研究開発費の増加によるものであります。
以上の結果、営業損失は56,959千円(前期は営業利益531,518千円)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、前期比49.8%減の85,044千円となりました。これは主に、前期にあった保険解約返戻金51,050千円及び非連結子会社であるZOOM HK LTDからの受取配当金50,384千円の計上がなかったことによるものであります。一方で、営業外費用は、前期比76.5%増の259,162千円となりました。これは主に、支払利息を125,061千円、及び為替差損を132,204千円計上したことによるものであります。その結果、経常損失は231,076千円(前期は経常利益554,189千円)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
経常損失の計上に加え、特別損失としてのれん等の減損損失を862,626千円及び事業構造改善費用を128,003千円計上したことにより、税金等調整前当期純損失は1,221,342千円(前期は税金等調整前当期純利益554,188千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、1,728,030千円(前期は税金等調整前当期純利益40,876千円)となりました。これは法人税等の計上に加え、非支配株主を抱える子会社(Mogar Music S.r.l.、Sound-Service Musikanlagen-Vertriebsgesellschaft mbH及びSound Service U.K. Limited)の当期純利益等の49%を、非支配株主に帰属する当期純利益に139,214千円計上したことによるものであります。
(経営上の目標達成状況)
中期経営計画「第4次中期経営計画2024-2026」において、2026年度の数値目標を、連結売上高220億円、連結営業利益22億円としておりました。しかしながら、計画していた大型M&Aが不成立したことに加え、米国市場における通商政策(相互関税)の影響や需要減退、更にはスマートフォンの普及に伴う顧客ニーズの多様化といった構造的な変化に直面しました。これら外部環境の急変を受け、2025年度の販売実績は当初計画を大幅に下回る結果となりました。
こうした環境変化に対応し、持続的な成長基盤を再構築するため、当社グループは既存事業の効率化及び不採算領域の整理といった構造改革にリソースを最優先で配分し、収益力の回復を喫緊の課題として取り組んでおります。具体的には、損益分岐点を大幅に引き下げることで、売上高が2025年度と同水準であっても安定的な利益を創出できる財務体質への変革を推進しております。以上の状況を鑑み、中期経営計画の最終年度である2026年度の目標数値を、連結売上高175億円、連結営業利益6.5億円へと見直しております。
なお、本計画における資本効率性の指標(2026年度のROE及びROIC 10%以上)につきましても、現時点では2026年度中の達成は困難な見通しとなりました。
しかしながら、資本効率を重視する経営方針に変更はなく、中長期的な達成目標として維持してまいります。
③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの主な資金需要は、製品の仕入れ、人件費や外注先への支払等の営業費用及び金型等の設備投資であります。これらの資金需要は自己資金を充当し、不足が生じる場合は金融機関からの借入で調達を行っております。なお、取引金融機関との関係は良好であり、当座貸越枠を確保していることから、充分な資金流動性を確保していると考えております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスクが当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると考えております。中でも為替の変動リスクについては、当社グループの売上高は米国ドル建て又はユーロ建てが多いことから、当社グループの業績へ与える影響は特に大きいと考えております。加えて、米国における新政権の経済・通商政策の不確実性や、世界各地で高まる地政学的リスクが、グローバルな需要動向やサプライチェーンに予期せぬ停滞を招く懸念があります。 今後の政治・経済動向には不透明な要素が多く、これらの変化が当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナや中東地域をはじめとする地政学的リスクの高止まりが、エネルギー価格や物流コストの不安定化を招き、景気の下押し圧力となりました。また、主要な市場である米国においては、通商政策の変化に伴う関税強化や貿易摩擦の再燃などにより、先行きの不透明感が一段と強まりました。我が国経済においても、円安基調の継続による原材料価格の高騰や物価上昇が家計を圧迫し、個人消費が伸び悩むなど、依然として予断を許さない状況が続いております。
当社グループが属する楽器関連機器業界におきましては、コロナ禍の特需の反動による在庫調整が継続したことに加え、世界的な物価高を背景とした消費者の節約志向により、趣味・娯楽への支出が抑制されるなど、厳しい販売環境で推移いたしました。
このような環境の下、期首想定を上回る事業環境の悪化が上半期を通じて顕在化いたしました。当社グループの業績につきましては、国内及び欧州市場は比較的堅調に推移したものの、最大の市場であり利益率が高い北米市場において、相互関税の影響及び個人消費の減退に伴う販売不振に見舞われ、売上高及び売上総利益が当初想定を大きく下回る結果となりました。
当社グループはこの事態を重く受け止め、これを「有事」と認定したうえで、年度途中から事業運営の前提を見直し、各種対応を進めることとなりました。以下は、その判断に至るまでの経過と、判断後に実施した主な取り組み及びその成果になります。
「取り組み1」市場構造変化を踏まえた製品戦略の検証と見直し
ハンディオーディオレコーダー市場では、ワイヤレスマイクの普及やスマートフォンの録音性能向上により、汎用的な録音用途の価値が他デバイスへ移行する構造変化が進行しております。一方で、音楽用途や高音質・高信頼性を求める用途、業務用途など、録音品質や信頼性そのものが評価軸となる領域では、引き続き一定の需要が存在しているものと認識しております。
こうした市場環境を踏まえ、高音質録音を明確な価値とするStudioシリーズを投入し、販売は堅調に推移しました。一方、汎用用途を主眼としたEssentialシリーズについては、市場における価値軸の変化との乖離が顕在化しました。このため、ファームウェアアップデート、プロモーション・マーケティング施策、バンドル販売の拡大などの対応を講じましたが、需要構造の変化の大きさを踏まえると、既存製品を前提とした対応には限界があり、かつ効果の発現に一定期間を要することから、販売は想定を下回る結果となりました。
これらの結果を通じて、当社は、従来の製品構成や価格帯を前提とした事業運営には見直しが必要であるとの認識に至り、成長が見込める領域に経営資源を再配分するための事業構造の再定義に着手しました。
「取り組み2」関税影響の顕在化を踏まえた収益管理の見直し
米国向け製品において追加関税の影響が本格化し、当社の収益性に大きな影響を与えました。当初、関税については、中国とその他アジア地域との間で関税水準に大きな差が生じる前提での適用を想定しており、関税影響の緩和を目的として生産地移管を進めるとともに、販売価格の調整など既存施策による対応を実施しました。
しかしながら、実際には地域間の関税差は当初想定より限定的であり、かつ税率水準自体も高水準で推移したことから、生産地移管による短期的なコスト吸収効果は想定を下回る結果となりました。この結果、外部環境の変動が収益性に与える影響の大きさが改めて顕在化しました。
これらを受け、当社は、外部要因の変動をより前提とした収益管理の必要性を認識し、事業運営上の不確実性を低減するための対応を進めてまいりました。
「取り組み3」有事対応としての組織再編及び事業基盤の整理
上記の環境変化を受け、有事対応の一環として、組織体制及びコスト構造の見直しに着手しました。本社機能を中心としたリストラクチャリングを実施する一方で、将来の成長に不可欠な開発の中核リソースについては維持・強化を図り、メリハリのある組織運営を推進してまいりました。
また、北米事業を担うZoom North America LLCにおいては、市場環境や事業見通しの変化を踏まえ、将来の収益計画との整合性を図る観点から、保有資産の評価見直しを行い、のれんの減損処理を実施しました。これにより、資産価値を実態に即した水準へと適正化するとともに、次期以降の収益性を改善し、将来的な追加損失のリスクを低減させております。
これらの取り組みにより、当連結会計年度には一時的な費用負担が生じたものの、損益分岐点の引き下げと事業運営の効率化が進み、次期以降に向けて、より持続可能な事業基盤の構築を図ることができました。
上記の構造改革に伴い、割増退職金の支払いや棚卸資産の処分に伴う損失、及び将来の収益性の低下に鑑みたのれんの減損損失など、合計10億円弱の特別損失を計上いたしました。
この結果、営業利益以下の各段階利益につきまして、誠に遺憾ながら損失を計上するに至りましたが、今回の措置により次期以降の固定費削減及び資産の健全化が図られたものと考えております。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は17,437,011千円(前期比3.5%減)、営業損失は56,959千円(前期は営業利益531,518千円)、経常損失は231,076千円(前期は経常利益554,189千円)、及び親会社株主に帰属する当期純損失は1,728,030千円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益40,876千円)となりました。
当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。製品カテゴリー別の説明は以下のとおりであります。
(ハンディオーディオレコーダー)
ハンディオーディオレコーダーは、音楽・業務用途など録音品質や信頼性が重視される領域で需要が引き続き堅調であり、そのニーズを的確に捉えた新製品「Studio シリーズ」は好調な販売を記録し、当カテゴリーの新たな柱となっています。一方、スマートフォンの性能向上等により、手頃な価格が特徴の「Essential シリーズ」は苦戦を強いられ、各種販促施策を講じたものの想定を下回る結果となりました。さらに欧州等の地域で前期の旧Hシリーズ最終販売に伴う反動減もあり、売上高は3,665,596千円(前期比5.3%減)となりました。
(デジタルミキサー/マルチトラックレコーダー)
デジタルミキサー/マルチトラックレコーダーは、2025年9月から新製品3機種を順次市場へ投入いたしました。これら新製品の立ち上がりは概ね堅調に推移したものの、既存製品の販売減少分をカバーするまでには至らず、売上高は2,011,189千円(前期比3.3%減)となりました。
(マルチエフェクター)
マルチエフェクターは、前期に実施した「MultiStompシリーズ(MS+シリーズ)」の刷新及びラインナップ拡充に伴う需要が一巡したことに加え、低価格帯製品における競合他社との競争激化の影響を受け、売上高は1,377,868千円(前期比20.1%減)となりました。
(プロフェッショナルフィールドレコーダー)
プロフェッショナルフィールドレコーダーは、2023年以降、新製品の投入がなかったこと等により、売上高は1,075,516千円(前期比25.4%減)となりました。
(ハンディビデオレコーダー)
ハンディビデオレコーダーは、2022年以降、新製品の投入がなかったこと等により、売上高は465,149千円(前期比21.8%減)となりました。
(Mogar取扱いブランド)
Mogar取扱いブランドは、現地通貨ベースの売上高は前年同期並みとなったものの、ユーロに対する円安進行の影響を受け、売上高は1,254,611千円(前期比3.1%増)となりました。
(フックアップ取扱いブランド)
フックアップ取扱いブランドは、高価格帯製品に対する需要が低調に推移したことから、売上高は1,706,399千円(前期比8.4%減)となりました。
(Sound Service取扱いブランド)
Sound Service取扱いブランドは、「Nord Keyboards」や「LTD」の販売が好調に推移したことに加え、英国の拠点であるSound Service U.K. Limitedが、2024年10月にオーディオブランドの販売代理店であるSCV Distribution Limitedの商圏を承継したことも寄与し、売上高は4,717,466千円(前期比18.9%増)となりました。
なお、従来独立したカテゴリーとして記載しておりました「マイクロフォン」「ボーカルプロセッサー」及び「オーディオインターフェース」につきましては、直近の販売実績の推移及び今後の開発計画を鑑み、重要性が低下したことから、当連結会計年度より独立した説明を省略することといたしました。
また、財政状態については、当連結会計年度末の資産合計は18,743,778千円となり、前連結会計年度末と比べ1,344,098千円減少しました。これは主に、流動資産が308,678千円、固定資産が1,035,420千円減少したことによるものであります。
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ308,678千円減少し、14,656,341千円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が291,589千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ1,035,420千円減少し、4,087,436千円となりました。これは主に、工具、器具及び備品が71,257千円、投資有価証券が216,885千円増加した一方で、償却の進行や一部減損損失の計上によりのれんが1,100,454千円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ354,100千円増加し、8,114,787千円となりました。これは主に、買掛金が81,397千円減少した一方で、短期借入金が723,390千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ496,670千円減少し、3,208,662千円となりました。これは主に、長期借入金が466,566千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,201,528千円減少し、7,420,327千円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が349,683千円、非支配株主持分が323,948千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が1,874,341千円減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ253,300千円減少し、3,034,649千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は601,939千円(前年同期は584,571千円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失を1,221,342千円計上した一方、減価償却費368,594千円、のれん償却額475,158千円及び減損損失862,626千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は690,113千円(前年同期は241,611千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出398,839千円及び関係会社株式の取得による支出216,885千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は113,086千円(前年同期は15,111千円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額656,620千円があった一方、長期借入金の返済による支出509,742千円及び配当金の支払額135,100千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ. 生産実績
当社グループは、外部に製造を委託しており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ. 製品仕入実績
当連結会計年度における製品カテゴリー別の仕入実績は次のとおりであります。
| 製品カテゴリーの名称 | 当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) | |
| 金額 (千円) | 前年同期比 (%) | |
| ハンディオーディオレコーダー | 1,180,558 | 51.3 |
| デジタルミキサー/マルチトラックレコーダー | 1,061,127 | 108.8 |
| マルチエフェクター | 878,821 | 94.4 |
| ハンディビデオレコーダー | 445,330 | 476.6 |
| プロフェッショナルフィールドレコーダー | 307,477 | 84.9 |
| Mogar取扱いブランド | 863,533 | 109.8 |
| フックアップ取扱いブランド | 1,156,951 | 83.3 |
| Sound Service取扱いブランド | 3,831,799 | 114.6 |
| その他 | 1,189,835 | 105.1 |
| 連結消去額 | △10,141 | 10.3 |
| 合計 | 10,905,295 | 97.2 |
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.当社グループの製品は、当社ブランドの製品については全て生産委託しております。
3.従来独立したカテゴリーとして記載しておりました「マイクロフォン」「ボーカルプロセッサー」及び「オーディオインターフェース」につきましては、直近の販売実績の推移及び今後の開発計画を鑑み、重要性が低下したことから、当連結会計年度より「その他」に含めております。
ハ. 受注実績
当社グループは、需要予測による見込みで販売数量を決定しており、受注生産の形態を採っておりません。
ニ. 販売実績
当連結会計年度における製品カテゴリー別の販売実績は次のとおりであります。
| 製品カテゴリーの名称 | 当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比 (%) | |
| ハンディオーディオレコーダー | 3,665,596 | 94.7 |
| デジタルミキサー/マルチトラックレコーダー | 2,011,189 | 96.7 |
| マルチエフェクター | 1,377,868 | 79.9 |
| プロフェッショナルフィールドレコーダー | 1,075,516 | 74.6 |
| ハンディビデオレコーダー | 465,149 | 78.2 |
| Mogar取扱いブランド | 1,254,611 | 103.1 |
| フックアップ取扱いブランド | 1,706,399 | 91.6 |
| Sound Service取扱いブランド | 4,717,466 | 118.9 |
| その他 | 1,163,213 | 88.4 |
| 合計 | 17,437,011 | 96.5 |
(注) 1.従来独立したカテゴリーとして記載しておりました「マイクロフォン」「ボーカルプロセッサー」及び「オーディオインターフェース」につきましては、直近の販売実績の推移及び今後の開発計画を鑑み、重要性が低下したことから、当連結会計年度より「その他」に含めております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| Thomann GmbH (注) | 2,778,556 | 15.4 | 2,907,458 | 16.7 |
| Amazon.com, Inc. (注) | 3,308,222 | 18.3 | 2,837,755 | 16.3 |
(注) 当該顧客と同一の企業集団に属する顧客への販売実績を集約して記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
イ. 棚卸資産
当社グループは、棚卸資産の保有期間及び将来の需要予測に基づき検討した結果、正味売却価額が帳簿価額を下回るものについては商品評価損を計上しておりますが、想定よりも実際の市況が悪化した場合は追加の評価減が必要となる可能性があります。
ロ.貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しておりますが、取引先の財務状況が悪化しその支払い能力が低下した場合又は債権が回収不能となった場合、追加の引当又は損失の計上が必要となる可能性があります。
ハ. 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性を慎重に検討し、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
ニ.のれん
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
② 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前期比3.5%減の17,437,011千円となりました。これは主に、米国市場における相互関税の影響や需要減退に加え、スマートフォン等の普及による代替需要の拡大に伴い、汎用価格帯製品の競争が激化したこと等によるものであります。
(売上総利益)
売上総利益は、前期比6.6%減の6,471,003千円となり、売上総利益率は前期比1.2%減少の37.1%となりました。これは主に、相互関税による売上原価の上昇や、在庫評価基準の保守的運用により棚卸資産評価損の増加が要因となります。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、前期比2.0%増の6,527,963千円となりました。これは主に、研究開発費の増加によるものであります。
以上の結果、営業損失は56,959千円(前期は営業利益531,518千円)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、前期比49.8%減の85,044千円となりました。これは主に、前期にあった保険解約返戻金51,050千円及び非連結子会社であるZOOM HK LTDからの受取配当金50,384千円の計上がなかったことによるものであります。一方で、営業外費用は、前期比76.5%増の259,162千円となりました。これは主に、支払利息を125,061千円、及び為替差損を132,204千円計上したことによるものであります。その結果、経常損失は231,076千円(前期は経常利益554,189千円)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
経常損失の計上に加え、特別損失としてのれん等の減損損失を862,626千円及び事業構造改善費用を128,003千円計上したことにより、税金等調整前当期純損失は1,221,342千円(前期は税金等調整前当期純利益554,188千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、1,728,030千円(前期は税金等調整前当期純利益40,876千円)となりました。これは法人税等の計上に加え、非支配株主を抱える子会社(Mogar Music S.r.l.、Sound-Service Musikanlagen-Vertriebsgesellschaft mbH及びSound Service U.K. Limited)の当期純利益等の49%を、非支配株主に帰属する当期純利益に139,214千円計上したことによるものであります。
(経営上の目標達成状況)
中期経営計画「第4次中期経営計画2024-2026」において、2026年度の数値目標を、連結売上高220億円、連結営業利益22億円としておりました。しかしながら、計画していた大型M&Aが不成立したことに加え、米国市場における通商政策(相互関税)の影響や需要減退、更にはスマートフォンの普及に伴う顧客ニーズの多様化といった構造的な変化に直面しました。これら外部環境の急変を受け、2025年度の販売実績は当初計画を大幅に下回る結果となりました。
こうした環境変化に対応し、持続的な成長基盤を再構築するため、当社グループは既存事業の効率化及び不採算領域の整理といった構造改革にリソースを最優先で配分し、収益力の回復を喫緊の課題として取り組んでおります。具体的には、損益分岐点を大幅に引き下げることで、売上高が2025年度と同水準であっても安定的な利益を創出できる財務体質への変革を推進しております。以上の状況を鑑み、中期経営計画の最終年度である2026年度の目標数値を、連結売上高175億円、連結営業利益6.5億円へと見直しております。
なお、本計画における資本効率性の指標(2026年度のROE及びROIC 10%以上)につきましても、現時点では2026年度中の達成は困難な見通しとなりました。
しかしながら、資本効率を重視する経営方針に変更はなく、中長期的な達成目標として維持してまいります。
③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの主な資金需要は、製品の仕入れ、人件費や外注先への支払等の営業費用及び金型等の設備投資であります。これらの資金需要は自己資金を充当し、不足が生じる場合は金融機関からの借入で調達を行っております。なお、取引金融機関との関係は良好であり、当座貸越枠を確保していることから、充分な資金流動性を確保していると考えております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスクが当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると考えております。中でも為替の変動リスクについては、当社グループの売上高は米国ドル建て又はユーロ建てが多いことから、当社グループの業績へ与える影響は特に大きいと考えております。加えて、米国における新政権の経済・通商政策の不確実性や、世界各地で高まる地政学的リスクが、グローバルな需要動向やサプライチェーンに予期せぬ停滞を招く懸念があります。 今後の政治・経済動向には不透明な要素が多く、これらの変化が当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。