有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/13 15:00
【資料】
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【項目】
97項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは創業以来、「住生活産業として生み出した新たな価値により、地域や顧客に喜びや豊かさを供給する」という経営理念のもと、兵庫県の播磨地区を中心に建設・不動産事業を手掛けてまいりました。現在はグループ事業会社5社において、注文住宅請負、不動産販売をメインに地域顧客の家づくり及び住宅取得に関するサポートを行っております。今後もコストと付加価値のバランスのとれたサービスを提供するとともに、街づくり、家づくりを通して地域の活性化を図る方針です。
(2) 経営環境
住宅業界におきましては、総人口の減少や住宅ストックの累積等により中長期的に減少傾向であった国土交通省発表の新設住宅着工戸数(当社グループがメインとする住宅請負のほか、分譲戸建て・分譲マンション含む)は、平成20年のリーマンショックを受け、平成21年度には80万戸を下回る77.5万戸まで落ち込みました。その後、平成22年度は81.9万戸、平成23年度は84.1万戸、平成24年度は89.3万戸、平成25年度も消費税増税前の駆け込み需要や東日本大震災の復興需要及び住宅ローンの低金利継続から、着工戸数が98.7万戸と4年連続で増加しました。しかし、平成26年度は消費税増税前の駆け込み需要の反動減を大きく受け、88.0万戸と一時的に落ち込みましたが、相続税対策としての貸家需要の高まりや、サービス付き高齢者向け住宅の増加の影響で平成27年度は92.0万戸、平成28年度は97.4万戸と回復したものの、着工戸数全体を牽引してきた貸家が失速したことにより、平成29年度は94.6万戸と3年ぶりの減少となりました。今後も貸家を取り巻く環境の悪化から、当面弱含みの傾向が続くと予想されておりますが、住宅ローン金利が引き続き低位で推移すると見込まれることや、住宅ローン減税制度、戸建住宅向けのZEH(ゼロエネルギー住宅)補助金などの各種住宅支援策が下支え要因になるとみられます。
(3) 経営戦略等
当社グループは、連結子会社5社がそれぞれの特色を活かした独自のブランドを構築するマルチブランド戦略とエリア拡大及び顧客層の拡大により地域におけるマーケットを確立し、長期的に成長することを経営戦略としております。
a. マルチブランド戦略
現代社会のライフスタイルは多岐にわたっており、顧客のニーズも多種多様なものとなっていることから、顧客が家づくりを企業に依頼する段階において、当社グループが選択されるには、企業としてUSP(Unique Selling Proposition:他社にはない特徴と強み、さらにそれらから得られるメリット)を顧客に訴求する必要があり、ひとつのブランドによる商品ラインナップだけでは対応できないと考えております。そこで、顧客が求めるライフスタイルや性能さらに感性・価値に至るまで、様々なUSPを訴求するためにマルチブランドを構築し、プロモーションにより集客段階から差別化を図っております。また、顧客のニーズを実現するために、それぞれのブランドが自由設計の家づくりを行っております。
このように顧客ニーズを満たしていくことにより各社のブランドを確立するとともに、それぞれのブランドにおける技術力を蓄積することでさらなる付加価値を生み出すことを目指しております。
なお、各社の事業内容の詳細は「第1 企業の概況 3事業の内容」に記載しております。
b. マーケット戦略
エリア拡大及び顧客層の拡大に区分し、それぞれのターゲットに応じた戦略を構築しております。
(a) エリア拡大
当社グループは、在来線でのアクセス(姫路駅から明石駅までは最短24分、明石駅から三ノ宮駅までは最短15分、三ノ宮駅から大阪駅までは最短22分)等の交通の利便性から、大阪・神戸のベッドタウンである兵庫県播磨地域周辺を中心とするエリアにおいて注文住宅・分譲用土地販売を主に展開してまいりました。今後は、地域に密着した営業展開による分譲用土地の販売拡充とショールーム併設型既存店舗の周辺にサテライト型店舗を出店することで、低コストでのエリア拡大を実現する戦略としております。また、商品土地による集客に頼らない「住空間設計Labo」ブランドで阪神間及び大阪エリアへ進出するため、株式会社Laboにおいては、平成26年2月の西宮事務所の開設に加え、平成31年1月に大阪府茨木市に茨木出張所準備室を開設し、平成31年4月の出張所オープンに向けた準備を進めております。
(b) 顧客層の拡大
当社グループは、住宅請負において一次取得者層(20代から30代の若いファミリーや初めて住宅を購入する方、マンションからの住み替えの方等)を顧客ターゲットとしておりますが、今後は、顧客層に合わせた新商品の開発と商品バリエーションの打ち出し、株式会社Laboによる建替え需要の掘り起こし等を行うことにより、顧客層の拡大を図ってまいります。また、新築戸建てだけではなく、デザインを基軸とする提案力を活かしたリフォーム事業の強化や、保育園の建設をはじめとする中大規模木造建築にも注力してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上を目指すにあたり、収益力重視の観点から、本業での収益を表す営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① 安全管理の強化
当社グループは、住宅請負をメインとした事業を行っており、現場の安全管理が重要であると認識しております。現場の安全管理を徹底するために、引き続き、安全担当者による現場の安全パトロールを実施し、安全に対する注意喚起を行っていくとともに、外注先に対しても月次で安全衛生協議会を開催し、現場の安全に万全を期してまいります。
② 品質管理の強化
当社グループは、「住生活産業として生み出した新たな価値により、地域や顧客に喜びや豊かさを供給する」という経営理念のもと、顧客に対し家づくり及び住宅取得のサポートを行っており、顧客の満足を第一と考えております。安心・安全な家づくりにより快適な住空間を提供することは、顧客満足度の向上につながることから、品質管理の強化・徹底は、当社グループの経営理念を実現するうえで、重要であると認識しております。引き続き、品質管理の強化を図るため、標準施工マニュアルの充実、専任スタッフによる検図及び第三者による検査を実施し一貫した品質管理に努めてまいります。
③ 事業エリアの拡大
当社グループは、在来線でのアクセス(姫路駅から明石駅までは最短24分、明石駅から三ノ宮駅までは最短15分、三ノ宮駅から大阪駅までは最短22分)等の交通の利便性から、大阪・神戸のベッドタウンである兵庫県播磨地域周辺を中心とするエリアにおいて事業を展開しており、新たなエリアへの展開が今後の課題であると考えております。新規エリアにおいては、既存店舗周辺におけるサテライト店舗の出店と商品土地による集客に頼らない「住空間設計Labo」ブランドでの新たな拠点開設により、引き続き、エリア拡大を図ってまいります。
さらに、M&Aやアライアンス等も視野に入れ、検討することにより、既存エリアの深耕やエリア拡大を図ってまいります。
④ 人材の確保と育成
当社グループの事業においては、専門的な知識や高いコミュニケーション能力が求められており、さらに、今後は事業規模の拡大に伴い、企画提案力や革新的なサービスを創出できる構想力を持つ人材確保の必要性が高まっていくと考えております。
以上のような人材ニーズに対応するため、個人の能力を最大限に活かすための適材適所の人員配置と、社内外の研修を通じた人材育成により、人材の確保と育成を推進してまいります。
⑤ コンプライアンス体制の強化・徹底
当社グループは、建設業法、建築士法及び宅地建物取引業法等の多くの法令の規制を受けており、これら法令等を遵守するためのコンプライアンス体制の強化を図ることは重要であると認識しております。このため、当社グループ各社にコンプライアンス担当責任者を置くとともに、リスク案件の報告及び対応を検討する場としてコンプライアンス・リスク管理委員会を定期的に開催しております。今後も当該体制を継続していくとともに、引き続き、コンプライアンス体制の強化を図ってまいります。
⑥ コーポレート・ガバナンスの充実
当社グループの継続的な発展と信頼性の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組むことが重要であると認識しております。このため、当社グループは経営監督機能の強化に努め、強固な内部管理体制の構築を図り、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。