有価証券報告書-第37期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により政府から2度の緊急事態宣言が発出され、経済活動の停滞が長期化しており、現在もなお予断を許さない状況が続いております。国内では、2021年2月より新型コロナワクチンの接種が開始されておりますが、感染力が強いとされる変異株が感染拡大の様相を呈しており、抑制までには相当の時間を要すると見込まれ、先行きは不透明な状況が続いております。
警備業界(人的警備分野)においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、各種イベントの自粛・中止・延期、商業施設などの営業自粛、建設現場の工事中断などによる需要の減少がありました。このような環境の中、当社グループにおいても雑踏・交通誘導警備や臨時的警備の規模縮小・需要減少の影響を受けましたが、主軸である「施設警備」においては、当該警備が企業活動及び治安の維持に必要不可欠な恒常的・長期契約のサービスであることから、限定的な影響に留まっております。
足元においても3度目の緊急事態宣言が発令されるなど予断を許さない状況が続いておりますが、当社グループは、徹底した感染防止対策により、お客様及び従業員の安全確保に細心の注意を払うとともに、人材の積極採用とサービスレベルの維持・向上に取り組んでまいります。
(事業活動)
当連結会計年度においては、警備サービス提供先である商業施設等の営業自粛に伴う顧客からの要請等による警備体制の一時的縮小、大手鉄道関連警備の契約終了、臨時警備の受注減少等があったものの、主力であるオフィス系の施設警備は概ね従来通りの警備体制を維持するとともに、複数の新規受注案件の警備を開始、既存案件の警備員増員要請への対応等により、当社グループの施設警備分野全体としての影響は限定的なものとなっております。また、制約された経営環境下において、当社グループは営業活動も自粛を余儀なくされる厳しい状況であった一方で、若手人材の採用に経営資源を投下し、例年にない多くの有望な人材を確保するなど、積極的な正社員採用を進めております。さらに、今後回復が見込まれる警備需要に備え、当社の警備品質の向上を念頭に管理職をはじめとする教育研修や資格取得支援にも注力してまいりました。この結果、期末の就業人員数(連結)は1,841名(うち年間平均の臨時従業員数1,276名)、正社員の平均年齢は38.4歳(前期44.3歳)となり、若手正社員の大幅な増加により人員構造が大きく変化する1年となりました。
(グループ成長活動)
当社は、第1四半期連結会計期間において、警備業界最大手であるセコム株式会社と業務・資本提携を実施いたしました。本提携は、人的警備業を担う当社が全国へのエリア展開と警備品質の向上を進めていくうえで、極めて重要な意義を持つものと考えており、今後も同社との良好な協力関係を維持・強化してまいります。
第2四半期連結会計期間においては、病院経営・運営の総合支援事業を担う株式会社キャピタルメディカと業務提携契約を締結し、感染症対策ガイドラインに基づいた「コロナ対策警備」を運用するなど、社員及びお客様の安全確保、感染拡大の防止を最優先に取り組んでおります。
第3四半期連結会計期間においては、不動産関連領域において、独自の事業を展開する株式会社ビーロットと警備事業拡大を視野に業務提携契約を締結いたしました。
今後も中長期的及び持続的企業成長に関する取り組みを積極的に推進してまいります。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は6,184,320千円(前年同期比3.6%減)、営業利益は329,002千円(前年同期比26.2%減)、経常利益は419,782千円(前年同期比15.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は274,991千円(前年同期比15.5%減)となりました。
新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により、各種活動に自粛を余儀なくされておりますが、事業継続性の確保及び企業として社会的責任遂行の両立を進め、社会の安全を守るべく、必要とされる警備需要の期待に応えられるよう尽力してまいります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度より231,488千円(3.6%)減少し、6,184,320千円となりました。この減少は、主に前連結会計年度の臨時的警備の減少があったことなどによるものであります。売上高の内訳の詳細及び主な要因については、後述の「分野別の状況について」をご参照ください。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度より173,030千円(3.6%)減少して4,590,949千円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度の74.3%から74.2%となりました。これは、主に前連結会計年度に大型臨時警備の受注が一定量発生した反動によるものであります。なお、当連結会計年度に発生した費用の一部は、積極採用による教育研修・OJT等に関する人件費であり、次期に発生する収益に対応する先行投資的な費用であります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より58,240千円(4.8%)増加して1,264,368千円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度の18.8%から20.4%となりました。これは、主に第2新卒及び新卒採用の積極化による募集採用費が増加したこと、内部体制強化に伴う内勤社員の増加に伴う人件費の増加によるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度より116,698千円(26.2%)減少して329,002千円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度の6.9%から5.3%となりました。これは、主に売上総利益の減少と、前述のとおり募集採用費の増加、内勤社員の増加に伴う人件費の増加などの販売費及び一般管理費の増加によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度より、76,851千円(15.5%)減少して419,782千円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度の7.7%から6.8%となりました。この減少は、主に営業利益の減少によるものでありますが、保険積立金の解約に伴う保険解約返戻金の増加により6.8%となっております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より50,605千円(15.5%)減少して274,991千円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度の5.1%から4.4%となりました。
なお、当社グループは警備事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、分野別の業績は以下のとおりであります。
(分野別の状況について)
各分野別の売上高及び売上高全体に占める割合は、下記のとおりです。
| 分野別売上高及び 構成比率 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |||
| 金額(千円) | 構成比 | 金額(千円) | 構成比 | 金額(千円) | 構成比 | |
| 施設警備分野 | 4,528,855 | 70.6% | 4,293,969 | 69.4% | △234,885 | △1.2% |
| 雑踏・交通誘導警備分野 | 1,595,431 | 24.9% | 1,578,075 | 25.5% | △17,355 | 0.7% |
| その他 | 291,522 | 4.5% | 312,275 | 5.0% | 20,752 | 0.5% |
| 合計 | 6,415,809 | 100.0% | 6,184,320 | 100.0% | △231,488 | - |
※増減欄における構成比は、前連結会計年度と当連結会計年度の構成比の増減を示しております。
以下に、各分野ごとの要因について、契約の長期・短期(臨時)別に内訳を記載して、説明いたします。
a.施設警備分野
当連結会計年度の施設警備分野の売上高は、前連結会計年度比234,885千円(5.2%)減少し、4,293,969千円となりました。この減少は、主に前連結会計年度において受注した施設警備分野に含まれる大型臨時(短期)警備の反動と当連結会計年度において新型コロナウィルス感染症の影響を大きく受けている大手鉄道関連の(長期)警備契約の終了によるものであります。こうした状況にありながらも、当社が事業の柱として位置づけている長期・安定的な施設警備の契約については、下記の通り増加しており、着実な積み上げができております。
| (単位:千円) | ||||
| 期間区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | |
| 長 期 | 3,907,362 | 4,122,907 | 215,545 | |
| 短期(臨時) | 621,493 | 171,062 | △450,430 | |
| 合 計 | 4,528,855 | 4,293,969 | △234,885 |
b.雑踏・交通誘導警備分野
当連結会計年度の雑踏・交通誘導警備分野の売上高は、前連結会計年度比17,355千円(1.1%)減少し、1,578,075千円となりました。この減少は、主に長期工事に伴う警備契約が一部終了したことによるものであります。
| (単位:千円) | ||||
| 期間区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | |
| 長 期 | 503,770 | 469,625 | △34,145 | |
| 短期(臨時) | 1,091,660 | 1,108,450 | 16,789 | |
| 合 計 | 1,595,431 | 1,578,075 | △17,355 |
c.その他の分野
当連結会計年度のその他の分野の売上高は、前連結会計年度比20,752千円(7.1%)増加し、312,275千円となりました。この増加は、マンション代行管理の規模拡大などによるものであります。
| (単位:千円) | ||||
| 期間区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | |
| 長 期 | 239,930 | 221,589 | △18,341 | |
| 短期(臨時) | 51,591 | 90,686 | 39,094 | |
| 合 計 | 291,522 | 312,275 | 20,752 |
当連結会計年度末の財政状態につきましては、次のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ287,027千円(6.3%)増加し、4,875,233千円となりました。この増加は、現金及び預金の増加などによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ332,941千円(40.6%)増加し、1,152,358千円となりました。この増加は、借入金の増加などによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ45,914千円(1.2%)減少して3,722,875千円となり、自己資本比率は76.4%(前連結会計年度末は82.1%)となりました。この減少は、自己株式の取得などによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ357,809千円増加し、2,472,926千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動から得られた資金は、前連結会計年度比76,810千円減少し、157,447千円(前連結会計年度は、234,258千円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が419,102千円と前年同期と比べ74,920千円(15.2%)の減益などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動から得られた資金は、前連結会計年度比71,784千円増加し、93,299千円(前連結会計年度は、21,515千円の収入)となりました。これは主として、投資有価証券の取得による支出及び売却による収入がそれぞれ増加したこと、保険積立金の解約による収入が増加したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動から得られた資金は、前連結会計年度比224,464千円増加し、107,061千円(前連結会計年度は、117,403千円の支出)となりました。これは主として、長期借入による収入の発生と自己株式の取得による支出などによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは警備事業の単一セグメントであります。
| 警備分野の名称 | 第37期連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比 (%) | |
| 施設警備分野 | (千円) | 4,293,969 | 94.8 |
| 雑踏・交通誘導警備分野 | (千円) | 1,578,075 | 98.9 |
| その他 | (千円) | 312,275 | 107.1 |
| 合計 | (千円) | 6,184,320 | 96.4 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
| 相手先 | 第36期連結会計年度 | 第37期連結会計年度 | ||
| 販売高 (千円) | 割合 (%) | 販売高 (千円) | 割合 (%) | |
| セコムジャスティック㈱ | - | - | 620,368 | 10.0 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度のセコムジャスティック㈱への販売高及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、「会社の経営の基本方針」に記載のとおり、「『誠実』かつ『確実』」な経営を念頭におき、社会の安全・安心に寄与することを使命として事業活動を行っております。お客様がいつも安心して過ごすことのできる1日のために、あたり前で平凡な1日を幸せに過ごせるように、警備会社として「必要とされる時に、必要とされる場所で、必要とされるサービスを提供したい」そんな想いを込めて、「今日も、そこにいます。」という言葉を大切にしております。また、当社グループは、社会的意義のある企業であり続けるために、また持続的な企業成長を進めていくために、警備員数1万人を誇る日本一の人的警備企業グループを目指しております。新型コロナウイルス感染症が経済活動に大きな影響を及ぼす中、上記の方針を継続し、引き続き事業規模拡大と収益力向上に取り組んでおります。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当期の業績と取り組みの概要
当期は、新型コロナウイルス感染症の波は、当社が当初想定した以上に国内外において長期化し、想定していた以上に企業活動の制約及び警備需要減退の影響を受け、残念ながら売上高の目標数値を達成するには至らない結果となりました(予算達成率95.5%)。これに伴い、売上総利益額も減少しておりますが、前期に実施した高利益率・大型臨時警備実施の反動を最小限に抑制できており、売上総利益率は25.8%(前年比0.0%)となっております。厳しい受注環境下にあった一方で、当社の人材採用環境については大きく好転し、今後見込まれている警備需要に備え、多くの若い世代の人材獲得に経営資源を投下いたしました。その結果、販売管理費が上昇し、営業利益率は5.3%(前年比△1.6%)となっております。これは、来期以降に向けた重要な先行投資として戦略的位置づけを行って採用活動に取り組んだ結果であり、その成果は既に具現化しつつあります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は6,184,320千円と前年同期と比べ231,488千円(3.6%)の減収、営業利益は329,002千円と前年同期と比べ116,698千円(26.2%)の減益、経常利益は419,782千円と前年同期と比べ76,851千円(15.5%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は274,991千円と前年同期と比べ50,605千円(15.5%)の減益となりました。
この減収は、主に当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症拡大の影響による警備需要の減退と前連結会計年度に受注した大型臨時警備の反動によるものであると分析しております。
売上総利益率については、高利益率の臨時警備が減少したものの、前期中に受注した利益率の高い施設警備が通年寄与したことにより、積極的な採用活動の結果増加する人件費等の原価の増加を概ね吸収し、前年同期と比べ0.0%増の25.8%で推移しております。また、営業利益率については、主に、政策的に投下した募集採用費の増加及び業務管理体制強化のための内勤社員人件費の増加などの販売費及び一般管理費の増加の影響により、前年同期に比べ1.6%低下し、5.3%となっております。経常利益率については、保険積立金の解約に伴う保険解約返戻金が増加したものの営業利益率の低下をカバーする水準に足りず、6.8%となり、前年同期と比べ0.9%減少しております。
以下に、当期における当社グループの事業活動の概要や結果、重要課題として取り組んでいる点についての考察を記載いたします。
警備事業における当社グループの人材の採用方針及び警備品質の維持・向上
当社グループは、マンパワーを資源とする人的警備会社であり、人材の量的側面と質的側面の両面の強化を重要課題として位置づけております。人員規模のみならず、構成人員の質の向上も重要な要素であり、顧客からの期待に応えて企業成長を目指すために、有力な人材の十分な確保と資格取得や経験値の積み重ねを継続して実施していくことが大切であると認識しております。
警備業は、自然災害や事件、事故が発生した場合に、臨機応変かつ柔軟な対応が求められる事業です。当社グループが成長していくためには、こうした場面において、いつでも対応できる体制を組織的に構築・維持することは、社会的信用の観点からみても極めて肝要であると考えております。
新型コロナウイルス感染症が社会経済活動に大きな影響を及ぼす環境下においては、当社においても事業活動の自粛を余儀なくされ、売上高の確保が困難な状況にありましたが、経営資源を有力な若手人材の積極採用に向け、多くの人材を確保することに成功しております。2019年3月の上場から2年が経過しましたが、通年を通した第2新卒採用やこの春から迎えた新卒採用という人材採用面において、上場効果を実感する1年でもありました。また、社員の警備及び周辺業務の資格取得支援も積極的に行っており、警備現場での様々な経験を積み重ねると共に教育訓練も充実させ、質的向上にも注力しております。今後も当方針を継続してまいりますが、この1年の取り組みは、今後の当社グループの成長に非常に大きな意義を有するものと確信しております。来期も選択と集中により、メリハリをもって企業活動を進めていきます。
収益確保と投資に関する考え方
上記の人材への投資を積極的かつ継続的に行い、持続的な企業成長を進めていくためには、安定した収益及び利益を生み出す基盤の確保は非常に重要であると考えております。雑踏・交通誘導警備分野については、相対的に利益率は高めではあるものの、臨時・短期的かつ天候等の影響も受けやすいことから、収益の安定的確保という面では変動要素を多分に含んでおり、売上高は不安定になりやすい傾向にあります。したがって、安定的収益の確保という観点からは、長期的契約である施設警備分野の拡大が大きなポイントとなり、当社グループは、その売上高占有比率を高めていくことにより、更なる堅固な収益基盤を構築してまいります。ただし、イベント、インフラ整備、災害対応等、人的警備が必要とされる緊急・臨時的な業務についても社会的要請に対応すべく、積極的に取り組み、利益率の向上にも取り組んでまいります。
今後も顧客の大切な施設の常駐警備を中心に、コロナ関連対応を含め、事件事故・自然災害等発生時における緊急・臨時的な警備、各種大規模イベント関連警備等、各種業務に万全な体制をもって取り組み、企業規模拡大と収益性の向上の両立を目指してまいります。
セコム株式会社との資本業務提携
2020年5月に業界を牽引するリーディングカンパニーであるセコム株式会社と資本業務提携を行いました。当提携は、人的警備業を担う当社が全国へのエリア展開と警備品質の向上を進めていくうえで、極めて重要な意義をもつものと考えております。今後も同社との良好な協力関係を維持・強化しつつ、顧客から選ばれる警備会社としての地位を高めてまいります。
「多様性」を活かす組織づくり、ダイバーシティ推進等
多様な要望に応え、持続可能な成長を推進していくためには、新たな視点も必要であり、登用人材の多様化を促進することも必要であると考えております。当社では女性社員の採用にも積極的であり、かつ管理職登用も推進しております。当社グループにおける女性管理職は2021年3月末現在、全管理職(役員を含む)の16.0%を占める8名在籍しております。こうした活動は、顧客へのきめ細かなサービス提供やニーズに対応するうえで、大きく貢献しているものと考えており、今後も継続してまいります。(「当社グループのESG・事業活動を通じたSDGsへの貢献」参照)
株主還元
当社は上場来、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置づけており、業績、配当性向、内部留保の充実と財務体質の強化等を総合的に勘案して、安定的かつ継続的に利益配分を行うことを基本方針としております。2020年3月期(前期)の業績は、設立以来の最高益を計上しておりましたが、前期末時点において新型コロナウイルス感染症が急速に猛威をふるい、先行き不透明な状況にあったことから前期の配当は1株75円に留めることと致しました。結果として当期は予算未達に終わったものの、厳しいコロナ環境下において一定の利益を稼得できたと考えており、かつ足元の受注状況は堅調であり、来期の見通しは明るい状況にあります。また期中において、機動的な資本政策遂行に備えること及び株主還元の充実を目的として、自己株式の取得を実施いたしました。こうした状況を踏まえ、2021年3月期(当期)は昨年の1株75円に5円増配し、1株80円の配当を実施する予定でございます。
今後も株主の皆様へ安定的かつ継続的な利益還元に努めるとともに内部留保資金につきましては、不透明な経済環境下における企業体質の強化および事業展開の原資等に活用してまいります。
持続可能な環境や社会の実現にむけた当社グループの事業活動・取り組み
| ESG | 事業アクション | 目的:SDGs |
| 環境 (Environmental) | 自社施設への太陽光発電モジュールを設置し、クリーンエネルギーの活用をおこなっており、温室効果ガス排出削減にも取り組んでおります。 | 7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに 13.気候変動に具体的な対策を |
| 社会 (Social) | 当社グループは、警備事業を提供するにあたり、ご契約先施設や周辺地域の防災・減災、またBCPに携わります。 2018年の西日本豪雨では、広島県と岡山県において、公共交通機関が寸断されたことによる鉄道施設内外の案内・安全確保の警備を実施しました。最近ではコロナ感染症拡大防止に伴う警備を通じて、貢献してまいります。 | 1.貧困をなくそう 11.住み続けられるまちづくりを 13.気候変動に具体的な対策を |
| 当社は、教育スローガンを「教育のレベルは、会社のレベル。」と掲げており、資格取得に必要な費用負担や手当の支給、教育研修の実施を含め、積極的な支援活動をおこなっております。 交通誘導警備において事故の懸念がありますが、「絶対に事故を起こさない警備員の育成」をモットーに警備員教育に注力しています。 また、社員による危機管理に関する講演や護身術講座なども行っています。 また、大学などへの寄付活動も行っております。 | 3.人々に健康と福祉を 4.質の高い教育をみんなに | |
| 人事・福利厚生面においては、持ち株会制度を導入し、奨励金支給を実施するとともに、万が一の場合の不安要素を少しでも解消し、安心して働ける環境づくりの一環としてGLTD制度を導入しております。 | 3.人々に健康と福祉を 8.働きがいも経済成長も | |
| 当社グループは警備事業を通じて、ご契約先施設や周辺地域などの防犯活動に寄与し、安全・安心に貢献します | 16.平和と公正をすべての人に | |
| 社会 (Social) & ガバナンス (Governance) | ダイバーシティの尊重と働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。 ジェンダー平等を目指して、女性の役員登用および管理職登用比率向上に取り組むとともに、男性警備員担当の勤務シフトを女性警備員担当の勤務シフトに組み替えるなど、女性の活用にも注力しています。 (2021年3月末現在の状況) ・女性の役員登用比率 役員のうち12.5% ・女性の管理職登用比率 管理職のうち16.0% 同様に、「アクティブシニア」の皆さんが楽しく働くことができる職場づくりを推進し、雇用機会の提供による社会貢献を果たしてまいります。また、労働基準法の遵守、違反ゼロを念頭に取り組み、短時間・短期間労働など様々な勤務体系に対応するよう努めています。 | 5.ジェンダー平等を実現しよう 8.働きがいも経済成長も 10.人や国の不平等をなくそう |
| ガバナンス (Governance) | 経営理念に従い、「『誠実』かつ『確実』」な経営を念頭におき、法令遵守のもとでSDGsへ貢献してまいります。 ①コーポレートガバナンス体制として、女性役員1名を含む社外役員が3名在籍しており、透明性ある公正な企業経営に努めております。 ②各種規程の遵守により、インサイダー取引の防止や個人情報の保護に配慮しております。 ・インサイダー情報等の管理及びインサイダー取引の未然防止に関する規程 ・個人情報保護方針・規程、プライバシーマーク保有 ③企業情報の適時適切な開示を実施するとともに、IR活動にも取り組み投資家との建設的対話にも積極的に取り組んでおります。 | 16.平和と公正をすべての人に |
b.今後の事業展望
2022年3月期は、7月から東京オリンピック・パラリンピックが予定されており、当社グループとして相当数の警備人員を動員する予定です。世界から注目される当イベントにおける警備体制及び業務は、その後の当社の警備品質を大きく向上する好機と捉えております。新型コロナウイルス感染症の影響により、当イベントが無事開催されるまでは不確実な状況が続くと考えておりますが、開催が確定した場合、比較的短期間での社員の経験値積み上げが可能となり、警備品質の向上に寄与するとともに、収益面においても大きく貢献することが想定されます。また、万が一中止となった場合においても、施設警備案件の順調な受注が見込まれており、2022年3月期の業績は堅調に推移すると見込んでおります。これらを踏まえ、2022年3月期の業績予想は、連結業績として、売上高7,043百万円、経常利益498百万円、親会社株主に帰属する当期純利益331百万円としております。当連結業績予想は、増収増益の当社グループにおける最高収益及び最高益予想であり、来期の配当予想(80円/株)とともに実現可能な必達目標として取り組んでまいります。
営業的側面においては、当社は各省庁が実施する入札へ参加するための「全省庁統一資格」が最上位のA等級に位置付けられていることから、この強みを活かし、通常の受注営業活動に加え、警備周辺業務にも視野を広げて積極的な入札参加も試みてまいります。
当社グループの展開事業分野については、建物総合管理分野におけるビル設備管理事業会社、清掃事業会社との協力関係強化や当事業の育成、マンション管理事業の育成等、警備業務の周辺に位置する事業分野の育成も進めてまいります。
さらに、エリア展開及びグループ成長の手段としてのM&Aや業務提携等については、継続的な情報収集及び検討、親和性のある企業との関係強化に努めてまいります。
c.新型コロナウイルス感染症の影響と対策
新型コロナウイルス感染症の拡大により、政府から発令された緊急事態宣言を受けて、外出自粛や移動制限等、個人のみならず企業活動も制約された環境下におかれた1年となりました。当ウイルスがもたらす世界規模の経済活動の抑制は、あらゆるビジネスにおける不確実性が増しており、ワクチンの普及に期待が寄せられているものの、更なる感染症拡大の危険もあり、景気の見通しはいまだ不透明な状況にあります 。このような状況下における新型コロナウイルス感染症拡大が当社グループに与える影響と対策は下記のとおりです。
(影響)
プラス影響
・人材採用面における有望な人材の積極採用の促進
・若手を中心とした人員構成へ改革促進
・女性社員の増加による多様性促進
・コスト全体の見直しによるスリム化
マイナス影響
・営業活動の自粛による収益規模の成長鈍化懸念
・イベントや工事中断等による受注減少懸念
・同業他社との価格競争激化による価格下落懸念
(対策)
資本業務提携先であるセコム株式会社の安否確認サービスを導入し、従業員の日々の体温や体調の変化を補足することで、体調管理に努めております。また、病院経営・運営の総合支援事業を担う株式会社キャピタルメディカと業務提携契約を締結し、医療専門機関たる第三者からの認定を受け、感染症対策ガイドラインに基づいた「コロナ対策警備」を運用するなど、社員及びお客様の安全確保、感染拡大の防止を最優先に取り組んでおります。日常業務における行動としては、マスク着用、手洗いの徹底、空気循環、時差出勤、交代勤務、在宅勤務の実施、不要不急の出張の制限といった予防措置をとり、感染リスクの最小化に努めています 。
各マイナス影響への対策として、通常の受注営業活動に加え、積極的な入札参加と分野拡大に取り組むとともに、価格下落リスクに関しては、将来有望な人材確保と警備品質向上のための教育訓練に注力することで、同業他社との差別化を図り、業界において数少ない上場企業として力量を高めてまいります。
② 財政状態に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの財政状態は、(1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況に記載のとおり、当連結会計年度末における自己資本比率が76.4%(前連結会計年度末82.1%)であり、強固な財政基盤を維持しております。前連結会計年度末に比較して5.8%減少している主な理由は、金融機関からの借り入れによる資金調達と自己株式の取得によるものであります。金融機関からの資金調達は、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症拡大の影響が不透明な状態にあり、万が一の資金需要に備えるため、7月に5億円を借り入れを行ったものであります。なお、調達金利は、0.18%(加重平均)と比較的低い金利で調達しており、連結会計年度末借入金残高431,664千円であります。また、自己株式の取得は、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を行うため及び株主の皆様への株主還元を充実させるために実施したものであります。
当社が強固な財務基盤を維持する理由は、警備事業を営む企業として、万が一の事態に備え、通常時において余力ある状態を維持していくことが大切であるためです。これまでの数十年を振り返っても、バブル崩壊、阪神・淡路大震災、リーマンショック、東日本大震災、そして昨今猛威を振るう新型コロナウイルス感染症等、社会経済を大きく揺るがす事象は定期的に発生しております。こうした世の中の大きな波が訪れる中で、同時に当社の経営が揺らいでいては、社会の安全・安心に寄与するという警備会社としての使命を全うすることは不可能でございます。そんな時こそ、率先して社会的使命を全うできる会社であるべきという信念のもと、強固な財務基盤を維持することは非常に重要な要素であると認識しております。
同時に、当社グループの事業規模はまだまだ小さい規模にありますが、日本全国において安全・安心を届ける企業グループとして成長する意欲は大きく、成長投資等の今後発生する資金需要に備えていることも大きな理由の1つでもあります。
今後も企業成長のための原資確保・維持と社会的使命全うのための強固な財務基盤の維持は、引き続き当社グループの重要な課題として経営に取り組んでまいります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 73.3% | 77.8% | 81.7% | 82.1% | 76.4% |
| 時価ベースの 自己資本比率(%) | - | - | 94.0% | 88.0% | 89.6% |
| キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) | 0.1 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | 2.7 |
| インタレスト・ カバレッジ・レシオ(倍) | 830.6 | 681.6 | 1,814.9 | 926.3 | 196.5 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式と除く発行済株式総数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。利払いは、連結損益計算書の支払利息を利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5.「時価ベースの自己資本比率」について、当社株式は2019年3月期に上場しており、2018年3月期以前は株価が存在しないため、記載しておりません。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、人件費を主とする営業費用(売上原価、販売費及び一般管理費)に用いる運転資金は自己資金を基本としております。なお、当連結会計年度末における金融機関からの借入金は431,664千円であり、これは先に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する懸念があり、万が一の資金需要に備えて資金調達したものであります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。