有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/12 15:00
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96項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第34期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用情勢の改善などから景気は緩やかに回復いたしました。一方、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響などにより、先行きは不透明な状況で推移しております。
当社グループが属する警備業界につきましては、建設投資が順調に推移する中、凶悪犯罪や自然災害への対策を背景に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の警備においても大きな期待が寄せられるなど、警備業に対する社会的な需要が増加傾向にあります。その一方で、警備業における人手不足は深刻であり、平成30年3月の警備員を含む保安の職業の有効求人倍率は7.37倍(「職業安定業務統計」厚生労働省)と高く推移しており、採用難および雇用維持に伴う労務コストの上昇等、依然として厳しい経営環境下に置かれております。
このような経営環境の中、当社グループは、「教育のレベルは、会社のレベル。」をスローガンに掲げ、警備員の資質向上に取り組み、「『誠実』かつ『確実』」な警備業務の提供拡大を推進しております。さらに、既存契約先の料金改定、人事制度改革や長時間労働抑制などの「働き方改革」実施による離職率低下に取り組み、人件費や募集広告費の上昇に対応することにより、従業員数は1,595(うち、平均臨時雇用人員数1,165)名となりました。
エリア戦略として平成27年に進出した北海道は、建設投資が平成28年度から拡大に転じており、北海道新幹線関連工事の需要拡大も想定されること等から、提供拡大に取り組んでおります。
また、コイン式駐車場の機器トラブルの駐車場障害対応業務は、コイン式駐車場が平成19年から平成27年において1.8倍増加する等、成長している分野であり、対応エリアを拡大展開して取り組んでおります。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高は前連結会計年度比60,198千円増収(+1.1%)の5,347,389千円、営業利益は前連結会計年度比21,770千円減益(△6.7%)の305,329千円、経常利益は前連結会計年度比2,113千円増益(+0.5%)の388,983千円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比19,628千円(+8.2%)増益の260,037千円となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度より60,198千円(1.1%)増加し、5,347,389千円となりました。これは主として、施設警備の新規開始、既存契約先の料金改定に取り組んだ結果、施設・巡回警備分野が堅調に推移したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度より94,954千円(2.3%)増加し、4,138,903千円となりました。これは主として、警備員のモチベーション向上及び離職率低下を目的とした人事制度改革に伴う警備員の給与水準の見直しを行ったことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べて34,755千円(2.8%)減少し、1,208,486千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて12,985千円(1.4%)減少し、903,156千円となりました。これは主に前連結会計年度に営業所の統合を行ったことに伴う諸経費の削減、減少によるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて21,770千円(6.7%)減少し305,329千円となりました。
(経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて3,608千円(3.3%)減少し、105,199千円となりました。これは主に助成金収入が減少したことによるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べて27,492千円(56.1%)減少し、21,545千円となりました。これは主に為替差損及び保険解約損の減少によるものであります。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて2,113千円(0.5%)増加し、388,983千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は129,062千円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて19,628千円(8.2%)増加し、260,037千円となりました。
なお、当社グループは警備事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、分野別の業績は以下の通りであります。
分野別の状況について
施設・巡回警備分野
大学、酒造メーカー工場、データセンター、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の会場施設等の新規取引開始、また既存先の料金改定が順調に推移しました。その結果、当連結会計年度における当該警備分野の売上高は、前連結会計年度比5.7%増収の3,582,873千円となりました。
雑踏・交通誘導警備分野
施設・巡回警備分野で新規取引開始に注力、また長時間労働抑制による受注量抑制に取り組んだため、当連結会計年度における当該警備分野の売上高は、前連結会計年度比7.1%減収の1,560,884千円となりました。
その他
コイン式駐車場の障害対応業務は、当社は平成28年11月に㈱CSPパーキングサポートに出資し、持分法適用関連会社としたことから、当社の一部の既契約において、当社を介さず、㈱CSPパーキングサポートと直接の契約となったことや、契約満了物件があったことなどから、当連結会計年度におけるその他の分野の売上高は、前連結会計年度比6.1%減収の203,629千円となりました。
第35期第3四半期連結累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、企業収益や雇用情勢の改善などから景気は緩やかに回復いたしました。一方、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響などにより、先行きは不透明な状況で推移しております。
当社グループが属する警備業界におきましては、凶悪犯罪や相次いでいる自然災害の影響を背景に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の警備においても大きな期待が寄せられるなど、警備業に対する社会的な需要は益々増大しております。その一方で、警備業における人手不足は深刻であり、平成30年11月の警備員を含む保安の職業の有効求人倍率は8.52倍(「職業安定業務統計」厚生労働省)と高く推移しており、雇用環境改善による採用難および雇用維持に伴う労務コストの上昇等、依然として厳しい経営環境下に置かれております。
このような経営環境の中、当社グループは「教育のレベルは、会社のレベル。」というスローガンのもと、経営理念である「『誠実』かつ『確実』」な警備業務によって社会の安全に寄与するため、新幹線列車内を警戒する警乗警備や、駅ホーム等の警戒を行う鉄道警備隊の展開に取り組みました。また、施設警備の新規開始に取り組むとともに、相次いで我が国で開催されるスポーツ国際大会に向けた実績の積み上げとして、ラグビー国際試合、マラソン大会、プロゴルフメジャー大会の会場警備などに取り組みました。
また、首都圏に社員寮を新設し、警備員の採用強化に取り組んでおります。
その結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高は4,241,066千円、営業利益は355,735千円、経常利益は367,166千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は239,749千円となりました。
なお、当社グループは警備事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
第34期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて160,048千円(9.5%)増加し、1,851,493千円となりました。
これは主として、現金及び預金が145,896千円増加したことによります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べて6,406千円(0.5%)増加し、1,212,365千円となりました。
これは主として、保険積立金が27,983千円増加したことによります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて89,121千円(12.4%)減少し、631,448千円となりました。
これは主として、未払金が45,138千円、未払法人税等が41,086千円及び賞与引当金が38,232千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べて5,921千円(11.0%)減少し、47,779千円となりました。
これは主として、リース債務が4,141千円減少したことによるものであります。
なお、当連結会計年度における退職一時金制度廃止に伴い、退職給付に係る負債について、従業員に対する確定債務として21,185千円をその他に計上しております。
(純資産)
当連結会計年度における当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて261,498千円(12.3%)増加し、2,384,631千円となりました。これは当期純利益の計上に伴い利益剰余金の額が260,037千円増加したことによるものであります。
第35期第3四半期連結累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
当第3四半期連結会計期間の総資産は、前連結会計年度末に比べ270,468千円増加し、3,334,327千円(前連結会計年度末比8.8%増)となりました。その主な内容は、現金及び預金が286,729千円増加したことなどによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ31,502千円増加し、710,730千円(同4.6%増)となりました。その主な内容は、未払金が24,662千円増加したことなどによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ238,966千円増加し、2,623,597千円(同10.0%増)となりました。その主な内容は、利益剰余金が239,749千円増加したことなどによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第34期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ109,037千円増加し、624,548千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は153,359千円(前連結会計年度は401,590千円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益389,099千円の計上、法人税等の支払額156,731千円、賞与引当金の減少38,232千円、未払金の減少46,261千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は24,359千円(前連結会計年度は73,859千円の支出)となりました。この主な要因は、定期預金の純増加額39,910千円及び保険積立金購入による支出47,923千円があった一方で、投資不動産の賃貸による収入が50,784千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は19,962千円(前連結会計年度は89,679千円の支出)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出15,200千円があったこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、警備事業を行っており、生産活動を行っておりませんので、生産実績に関する記載をしておりません。
b. 受注実績
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載をしておりません。
c. 販売実績
販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは警備事業の単一セグメントであります。
警備分野の名称第34期連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
第35期第3四半期連結累計期間
(自 平成30年4月1日
至 平成30年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
施設・巡回警備分野3,582,873105.72,850,035
雑踏・交通誘導警備分野1,560,88492.91,186,377
その他203,62993.9204,655
合計5,347,389101.14,241,066

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先第33期連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
第34期連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
第35期第3四半期連結累計期間(自 平成30年4月1日
至 平成30年12月31日)
販売高
(千円)
割合
(%)
販売高
(千円)
割合
(%)
販売高
(千円)
割合
(%)
㈱サン総合メンテナンス765,07314.5727,17513.6496,74511.7
㈱アサヒファシリティズ630,45211.9645,67812.1451,88010.7


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者より一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 当社グループの経営成績について
第34期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高が5,347,389千円、経常利益が388,983千円、親会社に帰属する当期純利益が260,037千円となり、成長が続いております。この要因として、施設警備の新規取引開始、既存契約先の料金改定に取り組んだためと分析しております。
第35期第3四半期連結累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
当第3四半期連結累計期間における当社グループの経営成績は、売上高が4,241,066千円、経常利益が367,166千円、親会社に帰属する四半期純利益が239,749千円となり、当連結会計年度の目標である年間売上高前年比6%増達成に向け、概ね順調に推移しております。この要因として、新幹線列車内を警戒する警乗業務や、駅ホーム等の警戒を行う鉄道警備隊の展開に取り組んだためと分析しております。
b 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、人件費を主とする営業費用(売上原価、販売費及び一般管理費)に用いる運転資金は自己資金を基本としております。なお、当連結会計年度末における金融機関からの借入金はありません。