有価証券報告書-第51期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/12/26 16:14
【資料】
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【項目】
147項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「元気な街、心豊かな暮らし」を経営理念としております。本社のある北九州市を中心に、マンション事業は沖縄県を除く九州全域と山口県、住宅事業は福岡県全域と山口県・佐賀県の一部を商圏とし、お求めやすい価格と高い品質の両立を実現した住宅の販売とアフターサポートを通して、お客様の暮らしにおける物心両面の充実と、街づくりを通して地域の活性化をもたらす地域密着型経営を基本として事業を展開しております。
上記方針を活かしながら、持続的な成長へ結びつけるため収益性の向上及び財務体質の強化を推進し、株主・顧客・取引先・地域社会から真に信頼され、必要とされる企業となることを目指しております。
(2)経営環境ならびに中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループが属する不動産業界におきましては、金融緩和による低金利が続いており、堅調な市況となっております。しかしながら、土地価格は上昇基調が続き、人件費も含めた建築コストは依然として高い水準を推移しております。また、2019年10月より消費税増税も加わり、不動産販売価格の上昇は避けられず、購入者の購買意欲の減退も懸念されております。
このような環境の中で、当社グループは、今後の安定的な成長を推進する上で、下記の項目を重要な経営課題と認識しており、対処に努めていく所存であります。
①マンション事業
マンション分譲事業におきましては、プロジェクト用地の安定的な確保と原価圧縮が当面の課題です。土地価格の上昇により、マンション用地の取得が厳しさを増しております。プロジェクト用地は土地価格の上昇により、競合他社との良質なマンション用地の争奪戦に激しさを増し、土地価格の上昇に拍車が掛かっている状況にあります。また、土地の仕入価格の上昇は、昨今の建築費高騰と合わせ、原価の上昇に繋がっております。原価上昇に伴い、利益確保のために販売価格へ転嫁すると、顧客購入価格ニーズとの乖離が出てくる可能性が高くなります。
今後は、顧客購入価格ニーズに合わせた土地の選別と原価構成をバランスよく行い、当社グループに蓄積されたノウハウと新たな企画商品等を開発し、訴求性を出したマンション企画に注力してまいります。
賃貸マンション販売事業におきましては、投資マンション融資問題により賃貸マンションに対する金融機関融資が極めて厳しい状況下にあり、現在、賃貸マンション販売事業の積極的な展開を控えております。今後につきましても、市況的に金融機関の融資環境や原価圧縮等に投資効率の改善がみられた場合に事業計画の再考を検討したいと考えております。
タウンハウス事業におきましては、商品特性の認知向上と原価圧縮が当面の課題です。当社グループが展開する九州エリアでは、木造建築物のタウンハウス自体の開発事例が少なく、タウンハウスという住まいの形態をイメージしづらく、顧客の購買意欲を刺激するまでには至っていない状況であります。また、タウンハウスも他の建築物同様に建築費が上昇致しております。マンション分譲価格と分譲住宅価格との間の価格帯を目指しているタウンハウスにとっては、原価上昇は競合商品との差別化を不明瞭にする可能性があります。今後につきましては、マンション分譲や分譲住宅とは異なり、建物完成間近に販売を開始し、顧客の住まいのイメージを現実化しやすい状況で販売に臨み、供給数を増やすことにより認知の向上に努めます。また、原価上昇につきましては、第52期より住宅事業に業務管轄を移管することにより、分譲住宅事業での下請業者を総合的に発注することにより原価圧縮に努めてまいります。
マンション総合管理事業におきましては、自社開発物件のみの管理であることが当面の課題です。マンション管理業界は大手管理会社の九州進出により、既存管理組合よりの管理争奪が激しくなっております。自社開発物件のみの管理では、大手管理会社よりの管理争奪に巻き込まれ、管理数を減らす可能性があります。今後につきましては、自社開発物件のみの管理に満足せず、他社の管理組合への管理受注を目指す人員及び体制の充実を図り、顧客満足度や管理サービス内容の向上に努めてまいります。
②住宅事業
分譲住宅事業につきましては、原価圧縮と既存顧客との関係構築が当面の課題です。分譲住宅事業も他不動産商品と同じく土地価格の上昇や建築費高騰により、顧客への販売価格の転嫁が厳しい状況にきております。原価圧縮の為、現在の企画商品を安全性とデザイン性を保ちつつ、販売価格のバランスを考慮し、多方面より、設計・施工等の見直しを行っております。加えて、連結子会社大英工務店で木工事を行うことにより、原価圧縮が出来るものと考え、同社の大工育成に努めております。既存顧客との関係構築につきましては、長期設備保証の導入や引渡し後の定期訪問などのアフターサービス体制を充実し、将来的なリフォーム受注を見据えた体制としております。また、顧客が希望する場合には将来売却希望時の実勢価格に基づく買取を提案するなど、持続可能な建物として当社グループ建築した商材を将来に渡り管理していく体制の構築中であります。
注文住宅事業につきましては、規格型注文住宅の知名度の向上、受注体制の再構築が当面の課題です。規格型注文住宅ならではの価格メリットとプランの選択肢の広さ、バランスの良さをより訴求することで、分譲住宅ではご満足いただけないお客様を獲得いたします。また、規格型注文住宅では通常の分譲住宅販売と異なり、販売員の設計、インテリア知識を要します。そのために規格型注文住宅の適正な価格帯を設定することと専門知識を有する人材育成に努めてまいります。
不動産流通事業におきましては、仕入不動産の安定確保が当面の課題です。当事業は、自社で買い取った物件をリフォームし、付加価値をつけてうえで転売させるものであるため、仕入価格を抑えることが粗利の確保に繋がります。周辺相場を反映した値付けと粗利確保を両立させるために、安定的に仕入れできる物件情報網の整備と、リフォーム企画・施工・販売と事業を一気通貫したマネジメントの出来る人材の育成を行っております。また、北九州のみならず福岡都市圏、熊本市内までエリアを広げた当期は、より一層の基礎基盤を成立させ、今後はその他エリアへの進出を視野に入れた仕入や人材育成を行ってまいります。
土地分譲事業におきましては、取引先の確保が当面の課題です。当事業は、原則として同価格帯の競合他社ではなく、大手ハウスメーカーや地元工務店などの建設会社で注文住宅を予定しているお客様へ、土地の販売を行っております。大手ハウスメーカーや地元工務店に限定する販売を行うと、販売領域が広がらず、相手の受注状況に左右される可能性があるため、今後はより様々な取引先と密接な関係を構築し、課題の解消に努めてまいります。
現状では、マンション事業及び住宅事業の中でも、マンション分譲事業と分譲住宅事業が当社グループの総売り上げの約9割を占めております。今後は、大きな景気変動下でもゆるぎない経営体質の保持の為、これらの分譲2事業の他に第3の柱となる事業の育成に注力するとともに、新規事業へ模索を行いながら経営の更なる安定化を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
企業を継続的に安定成長させるためには、利益の確保が重要であることから、当社は売上高経常利益率を重要な経営指標として認識しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。