有価証券報告書-第53期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/12/24 15:38
【資料】
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【項目】
137項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「元気な街、心豊かな暮らし」を経営理念としております。「私たちが住み、働く街を元気にする、活性化する。そして私たちが関わる全ての人に幸せになってもらう、心豊かな暮らしを送ってもらう。そんな社会を実現したい」これが当社グループの経営理念の根幹であります。この経営理念の下、“ライフスタイルに合った良質な「すまい」を提供し、持続的に発展する「まち」を作る”をミッションとし、本社のある北九州市を中心に、マンション事業は沖縄県を除く九州全域と山口県で事業を展開、また住宅事業は福岡県全域と山口県・佐賀県・熊本県の一部にて事業を展開し、お客様一人ひとりに寄り添った「すまい」の提供を行っております。
また、当社の誇りは働く従業員です。お客様の想いを預かる大切な仕事だからこそ、いつも元気で溌溂とした対応にて、お客様や取引業者、そして一緒に働いている仲間を大切にしながら業務を遂行し、従業員個々人の日々成長へと繋げたいと考えております。
以上のような経営理念、ミッションを基に持続的な会社の成長を続け、株主、お客様、取引先、地域社会から愛され、必要とされる企業となることを目指しております。
(2)経営環境ならびに中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループが属する不動産業におきましては、金融緩和による低金利が続いており、コロナ禍の厳しい経済環境の中でも急激な市況下落には陥っておりません。しかしながら地政学的問題や新型コロナウイルスを影響とした資材の高騰など、経済環境が変化しつつあります。このような経済環境が変化する中、当社グループは、経済資源の効率化と多種多様な「すまい」の提供に邁進し、各エリアでの地域に根差した事業の浸透を目指してまいります。
①マンション事業
マンション分譲事業におきましては、「プロジェクト用地の取得および建物原価の上昇」、「売上時期の偏重」、「完成在庫の圧縮」の3点が挙げられます。
(a)「プロジェクト用地の取得および建物原価の上昇」
分譲マンションを建設するエリアや立地条件は、マンション分譲事業の販売に大きく影響致します。そのため市場における需要と供給のバランスが崩れた場合、販売の進捗の遅れや価格の競争を生むこととなり、いかにお客様に求められるプロジェクト用地を取得できるかがポイントとなります。ここでいう立地条件とは、一概に駅に近いという条件だけではなく、生活利便施設や学校区、住環境など、利便性、環境を含め、お客様の住みやすい場所を指しており、マンション分譲業者において、立地条件が追求されるがゆえ、プロジェクト用地取得の競争が激化し、公開入札によるプロジェクト用地の募集となり、価格高騰へと繋がっております。
また、コンクリートや鉄筋などの主要部分、原油の高騰に塩化ビニール、輸送費などの経費を含めた資材の高騰、さらに労務人員費用の高騰の影響による建築費の高騰は依然続いており、販売価格の抑制が難しい状況であります。今後は土地の情報網拡大、マーケティングを駆使した用地選定基準の厳格化、一部資材の一括発注などにより、周辺相場より販売価格が高くてもお客様に選んでいただける好立地の用地を仕入れられる体制の構築に努めてまいります。
(b)「売上時期の偏重」
マンション分譲事業においては、青田売り(建物完成前から販売を行うこと)という販売手法を用いることにより、建物が竣工したタイミングでお客様への引渡しを行い、売上を計上します。当社マンション事業においては、第4四半期に建物の竣工が偏っており、売上が偏って計上されております。また土地の仕入から竣工までの期間は約2年前後必要であるため、売上時期の偏重をすぐに対処することが難しい状況ではありますが、今後は土地の仕入や工期を計画的かつ平準的に進捗できるよう努めてまいります。
(c)「完成在庫の圧縮」
当マンション事業における事業展開エリアは九州・山口県(沖縄県を除く)としており、そのほとんどが地方エリアでの販売となります。そのため、青田売りを行う中でも、実物の建物を見ないと決められないというお客様が多く、竣工時に一定の割合で在庫が残る状況となっております。完成在庫の増加は資金の滞留を生むため、完成までの早期販売手法を模索し、完成在庫をできるだけ最小限として、資金の回転率を上げることに努めてまいります。
②住宅事業
分譲住宅事業におきましては、「競合他社との差別化商品の開発」、「施工業者の確保」の2点が挙げられます。
(a)「競合他社との差別化商品の開発」
新型コロナウイルス感染症による米国の住宅需要の増加に伴い、国内の木材需要が高まり価格が高騰(いわゆるウッドショック)したことから、競合他社含め戸建て住宅の販売価格の高騰、または利益率を下げざるを得ない状況になりました。このような外部環境の変化にも対応できる資材調達の体制、また価格が高騰しても、お客様に選択いただける差別化された商品の開発を行っていくことが必須であると考えております。
(b)「施工業者の確保」
当住宅事業の展開エリアは福岡都市圏を中心に九州北部、山口県としております。新型コロナウイルス感染症の影響により、戸建て需要は増加、地場の工務店による建売住宅の販売が増えつつある中で、施工業者の引き合いが一層強くなっている状況にあります。当社グループでは株式会社大英工務店にて大工工事を行うなど建築原価を内製化し、出来る限りの原価圧縮に努めてまいります。
不動産流通事業におきましては、仕入れの安定確保が当面の課題です。当事業は自社で仕入れた物件をリフォームして付加価値を付けたうえで転売するものであるため、仕入れ価格を抑制することが粗利の確保に直結します。競合他社が多い中、価格を抑制し仕入れを行うことは容易ではありません。今後は自社の強みを生かした仕入れルートを強化し事業拡大を目指してまいります。
③既存事業による収益基盤の維持強化と経営体質の向上
現状では、マンション事業および住宅事業が当社グループの総売り上げの9割を占めておりますが、好不調の激しい不動産業界においては、長期的な安定経営を行うことが重要となります。大きな景気変動下でも揺るがない経営体質の保持のため、マンション事業、分譲住宅事業の安定的な売り上げの確保、また、新たな柱となる事業の成長として街づくり事業を確固たる事業に成長させ、急速な時代の変化に対応出来る新たな事業の創生を行い、経営の安定化と拡大化を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
企業を継続的に安定成長させるためには、利益の確保が重要であることから、当社は売上高経常利益率を重要な経営指標として認識しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。