有価証券報告書-第14期(平成30年7月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/09/27 14:30
【資料】
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【項目】
120項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営方針
当社の経営理念は「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」であります。
世界の人が安心、安全で平和に暮らすためには、共存共栄を基本にそれぞれの国の特徴を活かせる科学技術の発展と、そこに産業があり、やりがいを持てる仕事があることだと確信しています。当社は会社設立以来、「人の創造力とコンピューティングを融合させ未来をつくる企業になる」というビジョンを持ち、人類の難題に挑戦している研究者や開発者に寄り添い、知恵、努力、コミュニケーションとコンピューティングを通じてそれぞれが抱えている課題やニーズを共に考え、「研究者には研究する力、開発者には製品を開発する力を提供すること」をミッションとし、それが当社の果たすべき役割であると位置づけています。
その当社の果たすべき役割を実行していくいために、研究者や開発者に徹底的に寄り添い、研究者や開発者が本当に抱える課題を探り出し、その課題に対して、製品やサービスを組み合わせるだけのソリューション提供ではなく、当社の持つ付加価値を追加し、最適化したソリューションを提供してまいります。
(2) 経営戦略等
当社は、HPC事業とCTO事業の二つの事業に取り組んでおり、これらの事業を拡大させることが、当社の更なる成長と発展のために必要であると認識しております。そのために顧客志向を徹底し、顧客が実現したいことや課題を解決するために、当社が用意した3つの強力なソリューション・ツールが互いに掛け合わされて3乗の効果で発揮する「S3 as a Service」(Sキューブソリューション as a Service)という独自のソリューションサービス戦略を展開してまいります。当社は、「S3 as a Service」を提供することで、研究者や開発者に徹底的に寄り添ってまいります。
S3 as a Service
① System as a ServiceHPC SIサービス、AI/ディープラーニング SIサービス、CTOサービス アプライアンス顧客のニーズに沿って最適化されたシステム(ハードウェア及びソフトウェアプログラム)を提供する(HPC分野及び産業用コンピュータ分野)
※アプライアンス:特定の機能や用途に特化した専用機器
※SI:システムインテグレーション
② Science as a Service計算科学/計算化学ソリューション
計算科学分野では、主に自社開発の計算技術ノウハウを提供する
(セミナー、計算支援、研究支援、技術支援 、プログラム高速化サービス等)
③ Science as a Cloudサイエンスクラウドサービス
高スペックのコンピュータをベアメタル(OSなどソフトウェアプログラムがインストールされていないサーバ)で提供する一般的なクラウドサービスとは異なり、アプリケーションごとに最適化された計算環境とストレージ環境と世界でオンリーワンのソフトウェアプログラム群(デファクトスタンダードな計算科学又は計算化学用ソフトウェアプログラム及び当社のオリジナルソフトウェアプログラム)で構成された、顧客ユーザにとって使い勝手のよい計算環境のクラウドサービスを提供する

(3) 目標とする経営指標
当社は、事業拡大、企業価値向上を目指し、売上高成長率、営業利益成長率を重要な経営指標と位置付けており、これらを中長期的に成長させていくことを基本的な考え方としております。
(4) 対処すべき課題
① 成長分野への対応
最新のICT(情報通信技術)分野では、 AI や機械学習の本格導入が始まり、関連市場が成長期に移行しつつあると考えております。当社がHPC事業にて推進している計算科学分野でも、 AI 技術を活用した研究開発活動がさまざまな課題解決に向けて広がりを見せるとともに活発化しています。また、5Gサービスの開始により多くの産業分野や社会基盤に関わるところで本格的なIoTの実現と成長が見込まれており、エッジコンピューティングと親和性の高いCTO事業の拡大が見込まれています。
このように当社は、最先端のコンピューティング技術を活用したサービス展開を追求しています。そのために、AI、エッジコンピューティングといった最先端のコンピューティングにまつわる技術を関連技術とともに常に捕捉し、新しい技術を研究・獲得し、社内共有することで新たなサービスの開発へと結び付けていく必要があります。
最近ではCTO事業の顧客企業の製造現場においても、AI、特にディープラーニングといった従来であれば HPC事業に属するニーズも出てきております。つまり、AI、ディープラーニングやエッジコンピューティングといった最先端のコンピューティング技術においては、当社の両事業の垣根を越えた体制が必要となる可能性が考えられますので、当社では、まず両事業の技術部門のコミュニケーションの強化を図る方針であります。既にCTO事業の産業用コンピュータの開発段階において、HPC事業のAI等に関する先端技術情報を共有し、産業用コンピュータの開発段階に組込むことでCTO事業の顧客企業の製造現場のニーズに応えております。このように先端技術情報の共有を図り、成長分野における新しい商機への対応を図ってまいります。
② 優秀な人材の確保
継続的な成長の原資である人材は、当社にとって、最も重要な経営資源と認識しております。当社の技術開発力やサービス企画力及び販売力を維持し、継続的に発展、強化していくために、優秀な社員を継続的に雇用し、その成長の機会を提供し、かつ事業規模を拡大させていくための人材を獲得する方針であります。
③ 従業員の意欲、能力の向上
当社は、従業員に対し目標管理制度を導入しております。目標の設定など査定方法を明確化し、従業員の評価の適正化を図るとともに、急速なIT技術の進歩にあわせて、この変革のスピードに対応できるような人材を育成していく体制を整えることも急務であると考えております。今後はそれらを見据え、従業員一人一人への適正な評価、研修の実施や各種資格取得の推奨・補助を行うことを通じて、能力の向上を図っていく方針であります。
④ 内部管理体制、コーポレート・ガバナンスの充実
当社では継続的な成長を実現していくために、事業規模に応じた内部管理体制の充実が不可欠であると認識しております。金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価へ対応すべく、業務の適正性や効率性、財務報告の信頼性の確保に努める必要があります。
今後も事業規模の拡大に合わせ管理部門の一層の強化による内部管理体制の整備を図るとともに、会議体及び職務権限の見直しや各種委員会の設置など、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組む方針であります。
⑤ 認知度の向上
当社は、これまで自社WEBサイトの運営、学会、展示会への出展等を通じて顧客を獲得してまいりました。提供するサービスを顧客企業へ拡販し、当社の成長を実現するためには、当社及び提供するサービスの認知度の向上も必要であると考えております。今後も、費用対効果を見極めながら従前のインターネット、展示会に加えてマスメディア等を活用し、さらなる認知度の向上に努めてまいります。