有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/07/20 15:00
【資料】
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【項目】
124項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は「関わる従業員、お客様、取引先様の幸せを実現する」ことを企業理念に掲げ、事業運営を行っております。その実現のために「いつも最新、いつも最適」をスローガンにクラウド型ECプラットフォーム「ebisumart」の開発および保守サービスの提供を行っております。
(2)経営戦略等
当社は、既存顧客の満足度向上および新規顧客の開拓を図るため、組織改編およびマーケティング部門の強化を実施し、保守売上の積み上げおよび新規開発売上の獲得に努めてまいりました。また、「ebisumart」をより信頼性の高いECプラットフォームとするため、情報セキュリティマネジメントシステムISO/IEC27001の認証取得やクレジットカード業界における国際セキュリティ基準であるPCI-DSSへの準拠証明も実施、取得いたしました。
今後は、これらをベースにさらに快適・安全に「ebisumart」を利用していただくためシステムの継続的なアップデートを行ってまいります。具体的には機能拡充、品質向上、セキュリティ強化を重点的に取り組むとともに、ブランド戦略の強化、R&Dによる先端技術の開発、セールス・生産体制の強化を行いお客様の事業拡大に貢献してまいります。
また、「ebisumart」上にECに特化したアプリ連携サービス「AppConnect」を展開し、これを通じてパートナー企業とのアライアンスを強化し、手数料売上の拡大を見込むとともに、共存共栄を目的としたパートナープログラム「ebisumart ecosystem」を軸にしてECオープンプラットフォームとしての地位確立に努めてまいります。
これらの事業活動を通じ、収益手段の多様化を図り、保守売上の継続的な拡大並びに収益の向上を目指してまいります。
0202010_001.png
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は経営指標としてGMV(Gross Merchandise Value(総流通額))、期末店舗数を重視しております。各業種の上位企業をターゲットとして事業活動を行うことでGMVの最大化を図り、解約率を低減して着実に店舗数を積み上げることで売上高及び利益の安定的な成長を実現し、継続的な企業価値の向上を目指します。
(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当社が関連するEC市場は、経済産業省が2019年5月に公表した「平成30年度電子商取引に関する市場調査」によるとBtoB、BtoC共に引き続き拡大傾向が継続すると予想されますが、一方では業界におけるエンジニアの数が不足しており、当社におきましてもエンジニアの確保が重要な経営課題となっております。このような環境のなか、クラウド型ECプラットフォーム「ebisumart」の確固たる地位を構築・獲得し、中長期的な経営戦略を実現するため、以下の項目を今後の課題として位置付けております。
①オープンプラットフォーム化の推進
APIを公開し、当社のパートナー企業が広く「ebisumart」のカスタマイズに参加できる環境を整備することにより、パートナー開拓を通じた事業規模の拡大を進めてまいります。
また、パートナー企業に対しアプリ連携サービス「AppConnect」を展開することで、オープンプラットフォームとしての地位を明確化し、パートナー企業との連携を強固なものとすることにより顧客に対するサービス内容の向上を図ってまいります。
[API累計公開数の推移]
0202010_002.png(注)1.処理カスタマイズAPIとは「ebisumart」のシステムによる処理の一部をアプリによってカスタマイズするための仕組みであります。
2.データアクセスAPIとは、「ebisumart」が保持しているデータにアプリからアクセスするための仕組みであります。
②顧客満足度の向上
a.サポートサイトの充実
顧客向けサポートサイトの更なる充実を図り、マニュアルや各種説明資料、Q&Aコンテンツの拡充を通じて、わかりやすさを改善してまいります。
b.標準・オプション機能の追加開発
ECサイト構築プラットフォームという特性から、他社サービスと比較をして機能的な優位性を維持する必要があります。顧客ニーズを注意深く収集し、他社システムとの優位性を確保すべき機能を積極的に開発し、標準又はオプション機能(有償)として提供してまいります。
c.品質改善・セキュリティ対策
さらなるプログラムの品質向上を目指し、品質管理体制の強化、自動テストの導入などを実施し安定稼働とパフォーマンスの向上を目指します。また、ISO/IEC27001の認証、PCI-DSSへの準拠など、セキュリティ面の強化にも積極的に取り組んでまいります。
③営業力の強化
a.パートナーネットワークの構築
「ebisumart」の販売代理店となるセールスパートナー、「ebisumart」を利用したSI(システムインテグレーション)を行うソリューションパートナー、「ebisumart」を自社ブランドで提供するOEMパートナー、当社が受託したシステムの開発や当社サービスを用いたECサイトのデザインを委託するアウトソースパートナー、「ebisumart」向けのアプリケーションを開発するアプリケーションパートナーの開拓を引き続き行い、当社サービスの普及拡大を推進してまいります。
b.ブランディング・広告販売の強化
当社サービスの知名度をさらに高めるため、引き続き積極的なセールスプロモーション及びPRを行い、ブランド力の向上に努めてまいります。
c.人材の確保・育成について
当社はインターネットを通じたコンピュータサービスの提供を行っており、全てのサービスが直接的に人の手で構築運用されております。そういった環境の中で高度なシステムエンジニアリング及びコンタクトセンターサービスを提供する必要があり、有能な人材の採用及び継続的な教育は経営上の最重要課題として位置付けております。
d.顧客ニーズの収集体制強化
従来よりECコンシェルジュという専任のサポートスタッフによるコンタクトセンター運用を通じ、顧客満足度の向上を図って参りましたが、更なる顧客満足度の向上のためカスタマーサクセスチームを設置し、主体的に顧客のニーズを収集できる体制を構築いたしました。今後は収集した情報を基に顧客満足度及び品質の向上を図ってまいります。
e.エンジニアの強化
顧客のサイト新規オープン並びに運用後の修正作業について、今後アウトソースパートナーへの開発委託を積極的に推進する一方で、引き続きコアプロダクトは品質及びスピードを重視し社内で開発を行っていくため、継続的なエンジニアの採用及び教育を推進してまいります。
④収益力の強化
a.ストック収益の拡大
当社は収益力を強化するために、ストック収益であるシステム運用保守売上を最大化するため、新規店舗の獲得に努めてまいります。
b.プロジェクト・マネジメントの強化
現在比較的大規模のプロジェクトが増えており、不採算案件の発生は収益を大きく毀損することになるため、プロジェクト・マネジメントの強化を図り、不採算案件を発生させない取り組みを強化してまいります。
c.内部管理体制の強化
短期間で組織を拡大・構築する中で、従業員の確保・育成とともに知見の共有、業務の標準化及び効率化を図ることが重要であると考えております。また、コーポレート・ガバナンスを充実することで内部管理体制の強化を図り、企業価値の最大化に努めてまいります。
⑤財務基盤の強化
当社は事業の拡大に伴う運転資金の増加に対応するため、主として金融機関からの借入により調達してきたことから、有利子負債が増加傾向にあります。有利子負債の圧縮と自己資本比率の向上により財務基盤を強化し、企業経営の健全化に努めてまいります。