有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/07/20 15:00
【資料】
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【項目】
124項目

事業内容

当社は「関わる従業員、お客様、取引先様の幸せを実現する」ことを企業理念に掲げ、事業運営を行っております。その実現のために「いつも最新、常に最適」をスローガンにクラウド型ECプラットフォーム「ebisumart」の開発および保守サービスの提供を行っております。
2018年12月に株式会社野村総合研究所が公表した「ITナビゲーター2019年版」によれば、国内のBtoCのEC市場規模は2024年には2018年の1.5倍にあたる27.2兆円まで拡大するとされております。また、2019年5月に発表された経済産業省による「平成30年度電子商取引に関する市場調査」では、2018年のBtoBのEC市場規模は344.2兆円で前年に比べ約26兆円増加しており、EC化率も30.2%であることから今後の拡大が見込まれます。インターネットテクノロジーの発展に伴いEC化率は今後も上昇していくと考えられますが、そのような状況の中、企業はEC事業を展開していくうえで同業他社との差別化を図っていく必要があり、当社はそのために必要となるオムニチャネル戦略やグローバル化、マルチブランド戦略等を実現し、顧客企業の売上およびブランド価値を最大化するためのソリューションを提供しております。
(1)当社の事業内容について
当社事業は、クラウド型ECプラットフォーム構築事業の単一セグメントでありますが、クラウド型ECプラットフォーム「ebisumart」に係る①システム受託開発サービス、②システム運用保守サービス、③その他のサービスの3つのサービスを提供しております。
①システム受託開発サービス(フロー)
通常、ベンダーの環境に依存するクラウド型サービスでは個別の要望に応じるカスタマイズの自由度は大幅に低くなりますが、「ebisumart」はクラウド型サービスでありながらカスタマイズが可能であるという特徴を有しております。当社はシステム導入に際し顧客の要望に応じてカスタマイズを実施することが一般的であるほか、システム導入後につきましても新たな機能追加等の依頼に応じて追加カスタマイズを行います。
カスタマイズ業務におきましてはプロジェクト・マネジメント制を採用し、要件定義から設計、開発、テスト、納品まで同一のメンバーが担当することにより品質強化はもちろん、障害発生時の対応も迅速且つ効率的に行える体制とし、顧客に安心・安全を提供できるよう取り組んでおります。
これらの業務に対し、カスタマイズ料という形で報酬を受領するフロー型ビジネスとなっております。
②システム運用保守サービス(ストック)
「ebisumart」上に顧客の店舗がオープンした後は、顧客のサポートを専門に行うECコンシェルジュによるきめ細かな保守サービス、セミナーの開催や、カスタマーサクセスチームによるコンサルティング等の各種サポートサービスを通じて個々の顧客に対し最適なサービスの提供に努めております。また、クラウド型の利点を生かし、毎週機能の追加、更新、修正等を行い、顧客に対し常に最新・最適なサービスの提供に努めております。これらの業務に対し、月額利用料という形で報酬を受領するストック型ビジネスとなっております。
報酬の内訳は、「基本料金」、「変動料金」、「その他」で構成されており、それぞれの内容は以下のとおりとなっております。
区分内容
基本料金月額固定料金で、基本的な保守サービスの対価であります。
変動料金各顧客のシステム利用状況に応じて課金する料金であります。
その他オプションサービスの利用料等であります。

③その他のサービス
既存顧客に対し、提携先企業の各種サービス(ディスプレイ広告サービス、商品のレコメンド機能、各種分析機能等)の紹介、運用代行サービス、ECに関するビジネス支援サービス等のカスタマーサクセスを目的とした各種サービスを提供しております。
(2)当社の事業及びサービスの特徴について
「ebisumart」は、「拡張性・最新性・安心性」の3つの特性により、中規模から大規模のEC事業者のニーズに最適なソリューションを提供しております。
■拡張性
「ebisumart」はASPサービス(注1)の「システムが古くならない」メリットとパッケージソフトの「他システムとの連携等のカスタマイズができる」メリットの両方を備えており、クラウドサービスでありながら顧客の様々な要望に柔軟に対応することが可能です。
■最新性
パッケージソフトは時の経過とともに陳腐化していきますが、「ebisumart」は機能の追加やアップデートを毎週行っており、全ての顧客は常に最新・最適なサービスを利用することが可能です。
■安心性
システムの利用状況に応じてサービス提供の基盤であるインフラ環境を柔軟に変更することが可能となっており、最適かつ無駄のない状態に保つことができるため、一時的な高負荷にも対応することが可能です。また、通常のセキュリティ対策に加え、通信の監視・ブロックを行うオプションも利用可能となっており、安心してシステムを利用していただくことが可能です。
カスタマイズが可能な「クラウド型ECプラットフォーム」
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販売体制としましては顧客ニーズを的確に把握できるダイレクトセールスを主体としておりますが、API(注2)を公開することによりプラットフォームのオープン化を進め、パートナー開拓を通じた事業拡大のための基盤構築を進めるとともに、「ebisumart」上にアプリ連携サービス「AppConnect」を展開し、パートナー企業に「ebisumart」上で動作するEC支援サービスアプリケーションの開発環境を提供しております。これによりパートナー企業にはEC支援サービスアプリを提供する機会を提供し、顧客企業には幅広いEC支援サービスを受ける機会を提供します。各パートナーの機能及び役割は以下のとおりとなっております。
(1) OEMパートナー
「ebisumart」をOEM商品として第三者に販売します。
(2) ソリューションパートナー
「ebisumart」の販売代理業務に加え、エンドユーザーに対し「ebisumart」のカスタマイズ業務を行います。
(3) セールスパートナー
「ebisumart」の取次店業務及び販売代理店業務を行います。
(4) アプリケーションパートナー
「ebisumart」カスタマイズ用アプリケーションの開発及び販売を行います。
(5) アウトソースパートナー
当社の委託を受け、「ebisumart」のカスタマイズ業務を行います。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
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(注1)アプリケーションサービスプロバイダのことで、インターネットを介したサービス提供で、すぐに導入でき、コストが安くシステムが古くならないメリットはありますが、カスタマイズができない点がデメリットであります。
(注2)アプリケーションプログラミングインターフェースのことで、あるコンピュータプログラムの機能や管理するデータ等を外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式等を定めたものであります。