有価証券報告書-第10期(令和2年9月1日-令和3年8月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、依然として厳しい状況にある中、ワクチン接種など、その影響の縮小を目指した動きがみられています。日本経済においては、政府による経済対策等により持ち直しの動きが見られましたが、変異株の流行に伴う感染の再拡大により、断続的に緊急事態宣言の発令及びまん延防止等重点措置が実施されるなど、先行きの不透明な状況は継続しております。加えて、日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。
特に大手企業を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)に高い関心が寄せられており、既存のビジネスモデルや業界構造を大きく変化させる新たなデジタル化の流れが引き続き強いものとなっております。企業は顧客により高い付加価値を提供するため、クラウド等のプラットフォーム、スマートフォンやIoT等の新たなデバイス、AIやブロックチェーン等の新たなテクノロジーを組み合わせたサービスの開発が進められております。
このような事業環境の中、当社グループは「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」をビジョンとして掲げ、顧客企業が提供するサービスに期待される価値の創造を支援し、最適なデザインを設計するデザインパートナー事業、そして、自社サービスである「Goodpatch Anywhere」、「ReDesigner」、「Strap」、「Prott」及び「Athena」などのサービスで構成されるデザインプラットフォーム事業を主要事業と位置づけ、相互にシナジーを創出することに注力しながら各事業を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は2,741,275千円(前連結会計年度比27.9%増)、営業利益は406,211千円(前連結会計年度比87.5%増)、経常利益は393,907千円(前連結会計年度比85.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は327,653千円(前連結会計年度比51.9%増)となりました。
当社グループのセグメント別の業績は次のとおりであります。
a. デザインパートナー事業
デザインパートナー事業は、顧客企業の持つ本質的な価値を発見し、その要素を紐解きながら、顧客企業のユーザーが持つ価値観に則して、その価値が適切に伝わるように顧客企業の戦略やブランディング、ビジネスプロセス等も踏まえてデザインを実装していきます。その際に、当社のUXデザイナー及びUIデザイナーが中心となり、顧客企業のプロジェクトチームと一体となって、デザインプロジェクトをリードします。
主にWebサイトやアプリケーション等のデジタルプロダクトのデザイン開発を進めたい顧客企業に対しては、顧客企業が必要とするUI/UXデザイン(注2)の実現を支援します。さらにそのようなデジタルプロダクトの実装や開発まで希望する顧客企業に対しては、当社のエンジニアによりアプリケーション開発を行います。そのような過程において、顧客企業は既存ビジネスプロセスをデジタル化し、イノベーションの創出を図ることが可能です。また顧客起点の新たな価値創出のための変革を図りたい顧客企業に対しては新規事業の検証やアイデアを創出するための支援についても行っております。
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目を集め、企業がデジタル領域において変革を求められる状況の中で、デザインの持つ役割の重要性は益々高まっており、当社グループにおいても、日本国内を主として、当事業への問い合わせが増加する等、需要の増加が顕著な状況となります。そのような状況の中、当社グループとしては数多くのデジタルデザイン支援の知見を集約し、経験豊富なデザイナーを集め、育成することで、より多くの企業に対して、高品質なデザイン支援を行うことが可能になります。そのため、当社グループはデザイナーの採用活動を積極的に行い、提供リソースであるデザイナー人員を拡大するとともに、より幅広い業種業態の顧客企業に対してデザイン支援プロジェクト実施してまいりました。
当連結会計年度においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズの高まりを受け、月平均プロジェクト単価は5,588千円(前連結会計年度比0.6%増 上半期:5,412千円、下半期:5,729千円)となりました。また第3四半期連結会計期間より新規プロジェクトの開始が加速し、月平均プロジェクト件数は27.1件(前連結会計年度比23.3%増 上半期:27.0件、下半期:28.8件)となりました。また、社内デザイン組織のデザイナー数は順調に増加し、当連結会計年度末において122名(前連結会計年度末比10.9%増)となりました。
この結果、当連結会計年度におけるデザインパートナー事業の売上高は1,996,191千円(前連結会計年度比26.7%増)、営業利益は364,743千円(前連結会計年度比92.0%増)となりました。
b. デザインプラットフォーム事業
デザインプラットフォーム事業は、デザインパートナー事業によって行われるUI/UXデザイン支援を様々な側面からサポートするサービスを提供しております。具体的には、登録した外部デザイナー人材によるフルリモートでUI/UXデザインプロジェクトを実施する「Goodpatch Anywhere」、自社で構築したデザイン人材プールを活用したデザイナー採用支援サービス「ReDesigner」、2020年9月1日に正式リリースしたクラウドワークスペース「Strap」、デザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロトタイピングツール(注3)「Prott」及びVR(Virtual Reality:仮想現実)/AR(Augmented Reality:拡張現実)(注4)を活用したデザインツール「Athena」で構成され、それぞれのシナジーを創出し、デザインに関連したビジネスの拡大を行うものとなります。
当連結会計年度において、「Goodpatch Anywhere」は、外部デザイナー人材の登録者数が増加するとともに、デザインプロジェクトの件数が拡大しております。「ReDesigner」は、契約企業数や内定者数が増加し、採用支援実績を積み上げております。「Strap」並びに「Prott」においては、「Prott」のリソースを有効に活用し、「Strap」の機能開発を強化しております。また「Athena」は、カーデザインをVR環境で行うことができるソフトウェアの開発を連結子会社Goodpatch GmbHにて進め、機能拡充を図っております。
この結果、当連結会計年度におけるデザインプラットフォーム事業の売上高は745,083千円(前連結会計年度比31.1%増)営業利益は41,467千円(前連結会計年度比55.7%増)となりました。
(注)1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、Digital Transformationの略語で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客企業や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること、を意味します。
2.UI(User Interface/ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーがPCやスマートフォン等のデバイスとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味します。また、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを指します。
3.プロトタイピングとは、最終成果物の試作品を早い段階から作り、改善を繰り返す手法のことを意味します。
4.VRとは、Virtual Reality(仮想現実)の略であり、現物・実物(オリジナル)ではない機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザーの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術及びその体系を意味します。またARとは、Augmented Reality(拡張現実)の略であり、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を仮想的に拡張するという技術を意味します。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,917,882千円増加し、3,136,505千円となりました。主な要因は、2021年2月9日に発行した第6回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の行使等による現金及び預金の増加1,840,160千円であります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて10,471千円増加し、303,129千円となりました。主な要因は、デザインパートナー投資の実行等による投資有価証券の増加43,533千円及び在外連結子会社における使用権資産の減少20,100千円であります。
この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,928,354千円増加し、3,439,635千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ169,459千円増加し、551,163千円となりました。主な要因は、顧客企業から契約期間分の料金を一括で受領すること等による前受金の増加35,710千円、新規借入による1年内返済予定の長期借入金の増加22,749千円、未払金の増加31,060千円であります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ126,126千円増加し、317,208千円となりました。主な要因は、新規借入による長期借入金の増加146,685千円及び在外連結子会社におけるリース債務の減少20,071千円であります。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて295,585千円増加し、868,372千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べ1,632,769千円増加し、2,571,263千円となりました。主な要因は、2021年2月9日に発行した第6回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の行使等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ650,305千円増加したこと、並びに親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴う利益剰余金の増加327,653千円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,840,160千円増加し、2,780,074千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは483,316千円の収入(前連結会計年度は145,898千円の収入)となりました。これは、デザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業の売上高増加に伴う売上債権の増加48,480千円、デザインパートナー事業や「Goodpatch Anywhere」における請負契約案件にかかるたな卸資産の増加22,718千円、法人税等の支払額51,289千円等の減少要因があった一方で、デザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業が相互にシナジーを創出することに注力しながら各事業を推進してきたことの成果としての税金等調整前当期純利益の計上393,907千円、業務用PC及び事務所内装費用等にかかる減価償却費52,956千円、「ReDesigner」の採用実績積み上げによる前受金の増加35,684千円の増加要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは64,850千円の支出(前連結会計年度は77,618千円の支出)となりました。これは、事業拡大に伴う従業員増加による業務用PC等の有形固定資産の取得による支出21,619千円、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンの実現を目指し、スタートアップへ出資し、デザインに関する知見を提供することで出資先企業の成長をサポートするデザインパートナー投資の実行等に伴う投資有価証券の取得による支出43,982千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,418,110千円の収入(前連結会計年度は359,426千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出131,343千円等の減少要因があった一方で、事業拡大・機能拡充のためのデザイン人材の獲得や新たな自社製開発の新規事業への投資資金を資金使途とする2021年2月9日に発行した第6回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)等の行使による株式の発行による収入1,268,924千円、運転資金確保の為の長期借入れによる収入300,000千円の増加要因があったこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
当社では受注販売を行っておりますが、受注から売上高計上までの期間が短期であるため、「受注実績」は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、デザインパートナー事業において、月平均プロジェクト単価及び月平均プロジェクト件数が増加したことや、デザインプラットフォーム事業において、「Goodpatch Anywhere」のプロジェクト件数が増加したことによるものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の報告額並びに開示に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。経営者は、これらの見積り及び仮定について過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度においては、既存のデザインプロジェクトにおける高品質な役務提供の継続とともに、新規案件の受注にも積極的に取り組むなど、デザインパートナー事業の拡大に努めてまいりました。またデザインプラットフォーム事業は、主に「Goodpatch Anywhere」及び「ReDesigner」の売上獲得に努めてまいりました。
当連結会計年度の経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は2,741,275千円(前連結会計年度比27.9%増)となり、前連結会計年度に比べて597,764千円増加いたしました。これは、デザインパートナー事業において、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズの高まりを受け、月平均プロジェクト単価が5,588千円(前連結会計年度比0.6%増 上半期:5,412千円、下半期:5,729千円)と増加し、また、第3四半期連結会計期間より新規プロジェクトの開始が加速し、月平均プロジェクト件数が27.1件(前連結会計年度比23.3%増 上半期:27.0件、下半期:28.8件)に増加したこと、デザインプラットフォーム事業において、「Goodpatch Anywhere」の外部デザイナー人材の登録者数の増加及びデザインプロジェクトの件数が拡大し、「ReDesigner」にて、契約企業数や内定者数が増加し、採用支援実績を積み上げたことによるものであります。
セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は1,011,720千円(前連結会計年度比28.3%増)となり、前連結会計年度に比べ222,984千円増加いたしました。これは主に、デザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業における従業員数及び売上高の増加に伴う人件費の増加によるものであります。
以上の結果、売上総利益は1,729,555千円(前連結会計年度比27.7%増)となり、前連結会計年度に比べて374,779千円増加いたしました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,323,344千円(前連結会計年度比16.3%増)となり、前連結会計年度に比べ185,172千円増加いたしました。これは主に、採用活動の積極的な実施による採用費の増加及びデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業における従業員数増加に伴う人件費の増加によるものであります。
以上の結果、営業利益は406,211千円(前連結会計年度比87.5%増)となりました。
(営業外収益・営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は9,502千円(前連結会計年度比28.1%減)となり、前連結会計年度に比べ3,715千円減少いたしました。これは主に、在外子会社Goodpatch GmbHにおける受取家賃の増加があった一方で補助金収入の減少があったことによるものであります。また、営業外費用は21,806千円(前連結会計年度比22.0%増)となり、前連結会計年度に比べ3,935千円増加いたしました。これは主に、前連結会計年度において発生した東京証券取引所マザーズへの上場に伴う、上場関連費用の発生がないこと、第6回及び第7回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の発行に伴う新株予約権発行費が発生したことによるものであります。
以上の結果、経常利益は393,907千円(前連結会計年度比85.8%増)となりました。
(特別利益・特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益及び特別損失の発生はありません。法人税等(法人税等調整額を含む)は66,254千円(前連結会計年度は△14,013千円)となり、税金等調整前当期純利益の増加に伴い、前連結会計年度より80,267千円増加いたしました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は327,653千円(前連結会計年度比51.9%増)となりました。
③ 経営戦略の現状と見通し
当社グループをとりまく事業環境については、ユーザーエクスペリエンス(UX)を意識したデジタル化を軸に事業変革を図ろうとする企業ニーズが顕在化しつつあり、ビジネスモデルの変革や新しいビジネスの創出などの実現を目指す投資、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が拡大しております。米国のIT専門調査会社のIDCによる調査結果では、デジタルトランスフォーメーションの拡大を背景として、全世界におけるデジタルエージェンシー(当社グループを含む顧客企業のデジタル開発・進出を支援する事業を行う企業)の全市場の市場規模は、2020年において1,197億USドルと推測されています。そのうち、当社グループがデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業の「Goodpatch Anywhere」にて提供しているUI/UXデザイン支援に関連した領域(UI/UXデザイン市場)については、年平均成長率8.0%、市場規模では514億USドル(2020年)から756億USドル(2025年)に拡大すると予測されています。
日本企業を中心に、GAFAを始めとするグローバルIT企業やUI/UXデザインを初期から意識してきたベンチャー企業との競争に立ち向かうためには、新たな概念でデジタルへのシフトを加速させ、企業の体質そのものから変革をすすめる必要性が認識されています。日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。そのために「デザイン」を重要な経営資源として取り入れ、優れたサービスを実現するために、デザインへ投資する企業が増加しております。
そのような状況の中、当社グループは、ユーザーにフォーカスしたデザインプロセスをもとに、新規サービスの円滑な実装に貢献していきます。デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れにあわせて、ユーザー体験を意識した新しい考え方を提供し、収益基盤の拡大に取り組んでおります。
デザインパートナー事業においては、高まるデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズを受け、問い合わせ数が増加し、連動して受注が堅調に推移しております。また今後においては、引き続き、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズに合わせて、スマートフォンのアプリケーション等の新しいユーザーシーンを捉えて新しいユーザー体験をデザインするUI/UXソリューションの提供により収益の拡大及び安定化を図ってまいります。具体的には、「積極的な採用・人材投資を通したデザイン組織の連続的成長」、「バリューチェーンの拡張と深化」、「グローバル戦略の本格推進」の3つを成長戦略と掲げ、事業の拡大を図ってまいります。
デザインプラットフォーム事業においては、デザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロダクトの提供や、自社で構築したデザイン人材プールを活用したサービスを提供することで、収益の拡大を目指します。具体的には、「Goodpatch Anywhere」、並びに「ReDesigner」を主力サービスとして位置づけながら事業の成長を計画しております。「Goodpatch Anywhere」において、引き続きリモートデザインチームのタレントプールを拡充しつつ、プロジェクトの獲得及びサービス提供体制を強化していく計画です。人材紹介サービス「ReDesigner」においては、全てのデザイナーのためのキャリア支援プラットフォームを目指し、ビジネス領域を広げ、副業・フリーランスマッチングサービスを推進してまいります。加えて、2020年9月1日に正式版の提供を開始したクラウドワークスペース「Strap」は中長期の新たな事業の柱として、エンタープライズ向けの導入を促進し、拡販に努めてまいります。
なお、上記した各事業は、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことによりグループ全体としての収益拡大を目指します。
④ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しており、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、事業運営に努めてまいります。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資金需要は、事業拡大・機能拡充のための人材確保に係る採用及び人件費、将来の買収及び戦略的投資のための資金、新たな自社製開発の新規事業への投資資金が中心となります。
当連結会計年度においては、中長期的な視野に立った成長投資に向け、財務基盤の向上を図りかつ希薄化に配慮しながら企業価値の向上に資するエクイティ性資金調達の実施が適切であると判断し、2021年2月9日に第三者割当による行使価額修正条項付第6回及び第7回新株予約権(行使指定・停止条項付き)を発行いたしました。
当該新株予約権の行使による資金調達等により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,780,074千円(前連結会計年度末は939,913千円)となりました。また、流動比率(流動資産 / 流動負債)は569.1%と十分な流動性を確保しております。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、依然として厳しい状況にある中、ワクチン接種など、その影響の縮小を目指した動きがみられています。日本経済においては、政府による経済対策等により持ち直しの動きが見られましたが、変異株の流行に伴う感染の再拡大により、断続的に緊急事態宣言の発令及びまん延防止等重点措置が実施されるなど、先行きの不透明な状況は継続しております。加えて、日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。
特に大手企業を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)に高い関心が寄せられており、既存のビジネスモデルや業界構造を大きく変化させる新たなデジタル化の流れが引き続き強いものとなっております。企業は顧客により高い付加価値を提供するため、クラウド等のプラットフォーム、スマートフォンやIoT等の新たなデバイス、AIやブロックチェーン等の新たなテクノロジーを組み合わせたサービスの開発が進められております。
このような事業環境の中、当社グループは「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」をビジョンとして掲げ、顧客企業が提供するサービスに期待される価値の創造を支援し、最適なデザインを設計するデザインパートナー事業、そして、自社サービスである「Goodpatch Anywhere」、「ReDesigner」、「Strap」、「Prott」及び「Athena」などのサービスで構成されるデザインプラットフォーム事業を主要事業と位置づけ、相互にシナジーを創出することに注力しながら各事業を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は2,741,275千円(前連結会計年度比27.9%増)、営業利益は406,211千円(前連結会計年度比87.5%増)、経常利益は393,907千円(前連結会計年度比85.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は327,653千円(前連結会計年度比51.9%増)となりました。
当社グループのセグメント別の業績は次のとおりであります。
a. デザインパートナー事業
デザインパートナー事業は、顧客企業の持つ本質的な価値を発見し、その要素を紐解きながら、顧客企業のユーザーが持つ価値観に則して、その価値が適切に伝わるように顧客企業の戦略やブランディング、ビジネスプロセス等も踏まえてデザインを実装していきます。その際に、当社のUXデザイナー及びUIデザイナーが中心となり、顧客企業のプロジェクトチームと一体となって、デザインプロジェクトをリードします。
主にWebサイトやアプリケーション等のデジタルプロダクトのデザイン開発を進めたい顧客企業に対しては、顧客企業が必要とするUI/UXデザイン(注2)の実現を支援します。さらにそのようなデジタルプロダクトの実装や開発まで希望する顧客企業に対しては、当社のエンジニアによりアプリケーション開発を行います。そのような過程において、顧客企業は既存ビジネスプロセスをデジタル化し、イノベーションの創出を図ることが可能です。また顧客起点の新たな価値創出のための変革を図りたい顧客企業に対しては新規事業の検証やアイデアを創出するための支援についても行っております。
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目を集め、企業がデジタル領域において変革を求められる状況の中で、デザインの持つ役割の重要性は益々高まっており、当社グループにおいても、日本国内を主として、当事業への問い合わせが増加する等、需要の増加が顕著な状況となります。そのような状況の中、当社グループとしては数多くのデジタルデザイン支援の知見を集約し、経験豊富なデザイナーを集め、育成することで、より多くの企業に対して、高品質なデザイン支援を行うことが可能になります。そのため、当社グループはデザイナーの採用活動を積極的に行い、提供リソースであるデザイナー人員を拡大するとともに、より幅広い業種業態の顧客企業に対してデザイン支援プロジェクト実施してまいりました。
当連結会計年度においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズの高まりを受け、月平均プロジェクト単価は5,588千円(前連結会計年度比0.6%増 上半期:5,412千円、下半期:5,729千円)となりました。また第3四半期連結会計期間より新規プロジェクトの開始が加速し、月平均プロジェクト件数は27.1件(前連結会計年度比23.3%増 上半期:27.0件、下半期:28.8件)となりました。また、社内デザイン組織のデザイナー数は順調に増加し、当連結会計年度末において122名(前連結会計年度末比10.9%増)となりました。
この結果、当連結会計年度におけるデザインパートナー事業の売上高は1,996,191千円(前連結会計年度比26.7%増)、営業利益は364,743千円(前連結会計年度比92.0%増)となりました。
b. デザインプラットフォーム事業
デザインプラットフォーム事業は、デザインパートナー事業によって行われるUI/UXデザイン支援を様々な側面からサポートするサービスを提供しております。具体的には、登録した外部デザイナー人材によるフルリモートでUI/UXデザインプロジェクトを実施する「Goodpatch Anywhere」、自社で構築したデザイン人材プールを活用したデザイナー採用支援サービス「ReDesigner」、2020年9月1日に正式リリースしたクラウドワークスペース「Strap」、デザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロトタイピングツール(注3)「Prott」及びVR(Virtual Reality:仮想現実)/AR(Augmented Reality:拡張現実)(注4)を活用したデザインツール「Athena」で構成され、それぞれのシナジーを創出し、デザインに関連したビジネスの拡大を行うものとなります。
当連結会計年度において、「Goodpatch Anywhere」は、外部デザイナー人材の登録者数が増加するとともに、デザインプロジェクトの件数が拡大しております。「ReDesigner」は、契約企業数や内定者数が増加し、採用支援実績を積み上げております。「Strap」並びに「Prott」においては、「Prott」のリソースを有効に活用し、「Strap」の機能開発を強化しております。また「Athena」は、カーデザインをVR環境で行うことができるソフトウェアの開発を連結子会社Goodpatch GmbHにて進め、機能拡充を図っております。
この結果、当連結会計年度におけるデザインプラットフォーム事業の売上高は745,083千円(前連結会計年度比31.1%増)営業利益は41,467千円(前連結会計年度比55.7%増)となりました。
(注)1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、Digital Transformationの略語で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客企業や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること、を意味します。
2.UI(User Interface/ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーがPCやスマートフォン等のデバイスとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味します。また、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを指します。
3.プロトタイピングとは、最終成果物の試作品を早い段階から作り、改善を繰り返す手法のことを意味します。
4.VRとは、Virtual Reality(仮想現実)の略であり、現物・実物(オリジナル)ではない機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザーの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術及びその体系を意味します。またARとは、Augmented Reality(拡張現実)の略であり、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を仮想的に拡張するという技術を意味します。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,917,882千円増加し、3,136,505千円となりました。主な要因は、2021年2月9日に発行した第6回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の行使等による現金及び預金の増加1,840,160千円であります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて10,471千円増加し、303,129千円となりました。主な要因は、デザインパートナー投資の実行等による投資有価証券の増加43,533千円及び在外連結子会社における使用権資産の減少20,100千円であります。
この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,928,354千円増加し、3,439,635千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ169,459千円増加し、551,163千円となりました。主な要因は、顧客企業から契約期間分の料金を一括で受領すること等による前受金の増加35,710千円、新規借入による1年内返済予定の長期借入金の増加22,749千円、未払金の増加31,060千円であります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ126,126千円増加し、317,208千円となりました。主な要因は、新規借入による長期借入金の増加146,685千円及び在外連結子会社におけるリース債務の減少20,071千円であります。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて295,585千円増加し、868,372千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べ1,632,769千円増加し、2,571,263千円となりました。主な要因は、2021年2月9日に発行した第6回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の行使等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ650,305千円増加したこと、並びに親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴う利益剰余金の増加327,653千円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,840,160千円増加し、2,780,074千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは483,316千円の収入(前連結会計年度は145,898千円の収入)となりました。これは、デザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業の売上高増加に伴う売上債権の増加48,480千円、デザインパートナー事業や「Goodpatch Anywhere」における請負契約案件にかかるたな卸資産の増加22,718千円、法人税等の支払額51,289千円等の減少要因があった一方で、デザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業が相互にシナジーを創出することに注力しながら各事業を推進してきたことの成果としての税金等調整前当期純利益の計上393,907千円、業務用PC及び事務所内装費用等にかかる減価償却費52,956千円、「ReDesigner」の採用実績積み上げによる前受金の増加35,684千円の増加要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは64,850千円の支出(前連結会計年度は77,618千円の支出)となりました。これは、事業拡大に伴う従業員増加による業務用PC等の有形固定資産の取得による支出21,619千円、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンの実現を目指し、スタートアップへ出資し、デザインに関する知見を提供することで出資先企業の成長をサポートするデザインパートナー投資の実行等に伴う投資有価証券の取得による支出43,982千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,418,110千円の収入(前連結会計年度は359,426千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出131,343千円等の減少要因があった一方で、事業拡大・機能拡充のためのデザイン人材の獲得や新たな自社製開発の新規事業への投資資金を資金使途とする2021年2月9日に発行した第6回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)等の行使による株式の発行による収入1,268,924千円、運転資金確保の為の長期借入れによる収入300,000千円の増加要因があったこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
当社では受注販売を行っておりますが、受注から売上高計上までの期間が短期であるため、「受注実績」は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前連結会計年度比(%) |
| デザインパートナー事業 | 1,996,191 | 126.7 |
| デザインプラットフォーム事業 | 745,083 | 131.1 |
| 合計 | 2,741,275 | 127.9 |
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、デザインパートナー事業において、月平均プロジェクト単価及び月平均プロジェクト件数が増加したことや、デザインプラットフォーム事業において、「Goodpatch Anywhere」のプロジェクト件数が増加したことによるものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の報告額並びに開示に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。経営者は、これらの見積り及び仮定について過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度においては、既存のデザインプロジェクトにおける高品質な役務提供の継続とともに、新規案件の受注にも積極的に取り組むなど、デザインパートナー事業の拡大に努めてまいりました。またデザインプラットフォーム事業は、主に「Goodpatch Anywhere」及び「ReDesigner」の売上獲得に努めてまいりました。
当連結会計年度の経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は2,741,275千円(前連結会計年度比27.9%増)となり、前連結会計年度に比べて597,764千円増加いたしました。これは、デザインパートナー事業において、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズの高まりを受け、月平均プロジェクト単価が5,588千円(前連結会計年度比0.6%増 上半期:5,412千円、下半期:5,729千円)と増加し、また、第3四半期連結会計期間より新規プロジェクトの開始が加速し、月平均プロジェクト件数が27.1件(前連結会計年度比23.3%増 上半期:27.0件、下半期:28.8件)に増加したこと、デザインプラットフォーム事業において、「Goodpatch Anywhere」の外部デザイナー人材の登録者数の増加及びデザインプロジェクトの件数が拡大し、「ReDesigner」にて、契約企業数や内定者数が増加し、採用支援実績を積み上げたことによるものであります。
セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は1,011,720千円(前連結会計年度比28.3%増)となり、前連結会計年度に比べ222,984千円増加いたしました。これは主に、デザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業における従業員数及び売上高の増加に伴う人件費の増加によるものであります。
以上の結果、売上総利益は1,729,555千円(前連結会計年度比27.7%増)となり、前連結会計年度に比べて374,779千円増加いたしました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,323,344千円(前連結会計年度比16.3%増)となり、前連結会計年度に比べ185,172千円増加いたしました。これは主に、採用活動の積極的な実施による採用費の増加及びデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業における従業員数増加に伴う人件費の増加によるものであります。
以上の結果、営業利益は406,211千円(前連結会計年度比87.5%増)となりました。
(営業外収益・営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は9,502千円(前連結会計年度比28.1%減)となり、前連結会計年度に比べ3,715千円減少いたしました。これは主に、在外子会社Goodpatch GmbHにおける受取家賃の増加があった一方で補助金収入の減少があったことによるものであります。また、営業外費用は21,806千円(前連結会計年度比22.0%増)となり、前連結会計年度に比べ3,935千円増加いたしました。これは主に、前連結会計年度において発生した東京証券取引所マザーズへの上場に伴う、上場関連費用の発生がないこと、第6回及び第7回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の発行に伴う新株予約権発行費が発生したことによるものであります。
以上の結果、経常利益は393,907千円(前連結会計年度比85.8%増)となりました。
(特別利益・特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益及び特別損失の発生はありません。法人税等(法人税等調整額を含む)は66,254千円(前連結会計年度は△14,013千円)となり、税金等調整前当期純利益の増加に伴い、前連結会計年度より80,267千円増加いたしました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は327,653千円(前連結会計年度比51.9%増)となりました。
③ 経営戦略の現状と見通し
当社グループをとりまく事業環境については、ユーザーエクスペリエンス(UX)を意識したデジタル化を軸に事業変革を図ろうとする企業ニーズが顕在化しつつあり、ビジネスモデルの変革や新しいビジネスの創出などの実現を目指す投資、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が拡大しております。米国のIT専門調査会社のIDCによる調査結果では、デジタルトランスフォーメーションの拡大を背景として、全世界におけるデジタルエージェンシー(当社グループを含む顧客企業のデジタル開発・進出を支援する事業を行う企業)の全市場の市場規模は、2020年において1,197億USドルと推測されています。そのうち、当社グループがデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業の「Goodpatch Anywhere」にて提供しているUI/UXデザイン支援に関連した領域(UI/UXデザイン市場)については、年平均成長率8.0%、市場規模では514億USドル(2020年)から756億USドル(2025年)に拡大すると予測されています。
日本企業を中心に、GAFAを始めとするグローバルIT企業やUI/UXデザインを初期から意識してきたベンチャー企業との競争に立ち向かうためには、新たな概念でデジタルへのシフトを加速させ、企業の体質そのものから変革をすすめる必要性が認識されています。日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。そのために「デザイン」を重要な経営資源として取り入れ、優れたサービスを実現するために、デザインへ投資する企業が増加しております。
そのような状況の中、当社グループは、ユーザーにフォーカスしたデザインプロセスをもとに、新規サービスの円滑な実装に貢献していきます。デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れにあわせて、ユーザー体験を意識した新しい考え方を提供し、収益基盤の拡大に取り組んでおります。
デザインパートナー事業においては、高まるデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズを受け、問い合わせ数が増加し、連動して受注が堅調に推移しております。また今後においては、引き続き、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズに合わせて、スマートフォンのアプリケーション等の新しいユーザーシーンを捉えて新しいユーザー体験をデザインするUI/UXソリューションの提供により収益の拡大及び安定化を図ってまいります。具体的には、「積極的な採用・人材投資を通したデザイン組織の連続的成長」、「バリューチェーンの拡張と深化」、「グローバル戦略の本格推進」の3つを成長戦略と掲げ、事業の拡大を図ってまいります。
デザインプラットフォーム事業においては、デザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロダクトの提供や、自社で構築したデザイン人材プールを活用したサービスを提供することで、収益の拡大を目指します。具体的には、「Goodpatch Anywhere」、並びに「ReDesigner」を主力サービスとして位置づけながら事業の成長を計画しております。「Goodpatch Anywhere」において、引き続きリモートデザインチームのタレントプールを拡充しつつ、プロジェクトの獲得及びサービス提供体制を強化していく計画です。人材紹介サービス「ReDesigner」においては、全てのデザイナーのためのキャリア支援プラットフォームを目指し、ビジネス領域を広げ、副業・フリーランスマッチングサービスを推進してまいります。加えて、2020年9月1日に正式版の提供を開始したクラウドワークスペース「Strap」は中長期の新たな事業の柱として、エンタープライズ向けの導入を促進し、拡販に努めてまいります。
なお、上記した各事業は、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことによりグループ全体としての収益拡大を目指します。
④ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しており、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、事業運営に努めてまいります。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資金需要は、事業拡大・機能拡充のための人材確保に係る採用及び人件費、将来の買収及び戦略的投資のための資金、新たな自社製開発の新規事業への投資資金が中心となります。
当連結会計年度においては、中長期的な視野に立った成長投資に向け、財務基盤の向上を図りかつ希薄化に配慮しながら企業価値の向上に資するエクイティ性資金調達の実施が適切であると判断し、2021年2月9日に第三者割当による行使価額修正条項付第6回及び第7回新株予約権(行使指定・停止条項付き)を発行いたしました。
当該新株予約権の行使による資金調達等により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,780,074千円(前連結会計年度末は939,913千円)となりました。また、流動比率(流動資産 / 流動負債)は569.1%と十分な流動性を確保しております。