有価証券報告書-第5期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/30 13:02
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績等の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、年初まで堅調な企業収益や雇用・所得環境の着実な改善が続く中、緩やかな回復基調で推移してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行(パンデミック)により景気動向は急速に悪化し、厳しい経済環境となりました。5月の緊急事態宣言の解除後、一時的に消費回復の兆しが見られたものの、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは、緊急事態宣言により外出自粛要請や営業活動の規制等の措置が取られたため、当社グループが子育て支援施設を運営する地域においても、自治体からの要請により一部の施設(保育所・学童クラブ・児童館)が臨時休園・休室・休館となり、その後も厳しい状況下で危機管理委員会を設置して安全を確保し運営を行ってまいりました。また、在宅サービス事業において、緊急事態宣言時には医療関係者等のエッセンシャルワーカー以外へのサービスを自粛したため、第2四半期連結会計期間の売上高に影響が生じましたが、第4四半期連結会計期間には、ほぼ前期比同水準近くまで回復するに至りました。
一方で、この変化が著しい経営環境を全社一丸となって乗り越えるべく、「働く女性を支援するどんな時代においても必要とされる会社・組織・人材になる」という信念のもと、緊急事態宣言翌日に「オンライン保育」を開始し、オンライン海外研修(オンラインシンポジウム)の開催や「ポピンズプラス」などの新規サービスを開発するなど、未曾有の危機に直面する中で、ピンチをチャンスに変え、イノベーションを起こしていくことに繋がりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は23,045百万円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益は1,466百万円(同4.6%増)、経常利益は1,569百万円(同15.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,051百万円(同16.8%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。
(在宅サービス事業)
菅総理大臣の就任後初の所信表明(2020年10月26日)において『待機児童の解消を目指し、女性の就業率の上昇を踏まえた受け皿整備、幼稚園やベビーシッターを含めた地域の子育て資源の活用を検討し、年末までにポスト「子育て安心プラン」を取りまとめます』と明言されており、ベビーシッターの活用が、あらためて国の最重要政策のひとつとして位置づけられました。また、公益社団法人全国保育サービス協会が発行する内閣府ベビーシッター割引券の年間発行枚数(1~12月)も、前年比5.2倍超の約76万枚と増加しております。
一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた全国の小学校・中学校及び高校などの臨時休校要請や、政府方針を受けた企業の在宅勤務の拡大、並びに大規模なイベント開催の自粛などに伴い、短期的には、予定されていたチャイルドケアサービスの予約キャンセル・変更や、イベント託児のキャンセルの影響を受ける事業環境となりました。特に緊急事態宣言の発令後の4~5月について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるサービス提供自粛の影響を受けることとなり、緊急事態宣言が解除された5月以降も、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する懸念が完全に払拭されない中、第2四半期及び第3四半期において一時的に売上が減少いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は2,850百万円(前連結会計年度比15.7%減)、営業利益は833百万円(同18.1%減)となりました。
(エデュケア事業)
2019年10月からの3歳児以上幼児教育無償化も影響して堅調な保育所需要が継続しており、当連結会計年度には以下のとおり保育所、学童施設合計19施設を開設しました。その結果、当連結会計年度末時点で認可保育所67施設、認定こども園1施設、認証保育所36施設、事業所内保育所87施設、学童クラブ・児童館89施設、その他施設42施設の計322施設を運営しております。
(認可保育所) 合計6施設
東京都 4施設
神奈川県 1施設
千葉県 1施設
(小規模認可保育所) 合計1施設
千葉県 1施設
(事業所内保育所) 合計3施設
東京都 3施設
(学童クラブ・児童館)合計6施設
東京都 5施設
愛知県 1施設
(その他) 合計3施設
東京都 2施設
兵庫県 1施設
(注)なお、認可外施設の1施設が小規模認可保育所に移行したほか、小規模認可保育所2施設、事業所内保育所2施設、学童クラブ・児童館4施設は閉園・閉室・閉館となっております。
売上高においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴い、緊急事態宣言期間において一部施設が休園・休室・休館となったことにより、保護者から直接徴収する給食費及び英語やリトミック・体操等の売上並びに写真販売等の物販収入等が減少したものの、新規施設の開設及び既存施設への受け入れ児童の増加、2019年3月に新たに連結子会社化した株式会社ウィッシュの売上高が当連結会計年度には1年分計上されたこと等から、前連結会計年度比で増収となりました。
営業利益においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を一部受けたものの、売上高の増収要因に加え、自治体要請による一部施設の休園・休室・休館に伴い売上原価が削減されたこと、また、販売費及び一般管理費についても各種費用削減に努めた結果、営業利益は前連結会計年度比で増加しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は19,350百万円(前連結会計年度比11.1%増)、営業利益は1,878百万円(同12.6%増)となりました。
(その他)
研修事業については保育士キャリアアップ研修などを中心に自治体研修の受託が拡大し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって受託済みの集合型研修の開催時期後ろ倒しなどの影響はあったものの、同研修のオンライン化などで対応を進めました。また、人材紹介・派遣事業については、保育士紹介事業の拡大、及び2019年3月に新たに連結子会社化した株式会社ウィッシュが運営する交流館事業、人材派遣事業等による売上高が1年分計上されることとなりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は1,038百万円(前連結会計年度比6.2%増)、営業利益は209百万円(同24.8%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は14,532百万円(前連結会計年度比4,439百万円増)となりました。
流動資産につきましては11,089百万円(前連結会計年度比4,338百万円増)となりました。その主な要因は、新株の発行に伴う現金及び預金の増加、事業拡大に伴う受取手形及び売掛金の増加によるものであります。
固定資産につきましては3,442百万円(前連結会計年度比101百万円増)となりました。その主な要因は、新規開設の保育所に係る建物及び構築物並びに敷金及び保証金の増加によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は7,773百万円(前連結会計年度比377百万円減)となりました。
流動負債につきましては、4,775百万円(前連結会計年度比419百万円増)となりました。その主な要因は、子会社の運転資金のための短期借入金の増加、事業拡大に伴い売上原価が増加したことによる未払金の増加によるものであります。
固定負債につきましては、2,997百万円(前連結会計年度比797百万円減)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による減少、役員の退任に伴う役員退職慰労引当金の減少、新規開設の保育所に係る資産除去債務の増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、6,758百万円(前連結会計年度比4,817百万円増)となりました。その主な要因は、新株の発行に伴う資本金及び資本剰余金の増加、親会社株主に帰属する当期純利益1,051百万円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、46.5%(前連結会計年度比27.3ポイント増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、8,123百万円(前連結会計年度比4,064百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,082百万円(前連結会計年度比212百万円減)となりました。これは主に、法人税等の支払額562百万円(前連結会計年度比400百万円増)、売上債権の増加額232百万円(同118百万円増)等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益1,569百万円(同211百万円増)、減価償却費245百万円(同15百万円増)等の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、274百万円(前連結会計年度比441百万円減)となりました。これは主に、助成金の受取額775百万円(前連結会計年度比445百万円増)等があったものの、認可保育所等の新規開設に関する有形固定資産の取得による支出795百万円(同101百万円増)、敷金及び保証金の差入による支出118百万円(同39百万円増)及び基幹システム開発等に関する無形固定資産の取得による支出136百万円(同1百万円増)等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、3,256百万円(前連結会計年度比3,187百万円増)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,867百万円(前連結会計年度比697百万円増)等の減少要因があったものの、株式の発行による収入4,011百万円(前連結会計年度はなし)、施設整備のための長期借入れによる収入1,100百万円(前連結会計年度比400百万円減)等の増加要因があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは、受注活動を行っていないため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
在宅サービス事業2,68983.5
エデュケア事業19,350111.1
報告セグメント計22,039106.8
その他1,006109.8
合計23,045106.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上を占める相手先がないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で認められている将来に対する見積りが含まれております。この見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
これら連結財務諸表の作成にあたって当社グループが採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の分析
前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)
売上高(百万円)21,54823,0451,4966.9
売上原価(百万円)16,65417,9911,3368.0
売上総利益(百万円)4,8945,0541593.3
売上総利益率22.7%21.9%--
販売費及び一般管理費(百万円)3,4923,587952.7
営業利益(百万円)1,4011,466644.6
営業利益率6.5%6.4%--
経常利益(百万円)1,3601,56920915.4
税金等調整前当期純利益(百万円)1,3581,56921115.6
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)9001,05115116.8

(売上高、売上総利益)
売上高については、在宅サービス事業における減少があったものの、他のセグメントにおいては堅調に推移し、また2019年3月に新たに連結子会社化した株式会社ウィッシュの売上高が1年分計上されることによる増加額899百万円の影響もあり、1,496百万円増加し23,045百万円となりました。売上総利益については、売上高増加に伴い159百万円増加して5,054百万円となったものの、保育所職員等の給与改定による人件費増加、エデュケア事業及びその他の売上が増加する一方で、利益率の高い在宅サービス事業の売上高が減少したことにより、全社に占める在宅サービス事業の売上高構成比が減少した結果、全社の売上総利益率は0.8ポイント減少し、21.9%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費については、売上拡大を担う人員補強、管理体制の構築等による人員体制の強化等、及び、消費税非課税売上の増加に伴う控除対象外消費税額の増加により租税公課が増加したこと等により、95百万円増加し3,587百万円となりました。営業利益については、売上総利益の増加率ほどは販売費及び一般管理費が増加しなかったため、64百万円増加し1,466百万円となりましたが、営業利益率は売上総利益率の減少をカバーするには至らず、0.1ポイント減少し6.4%となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外損益については、株式上場に伴う上場関連費用の発生等により営業外費用が増加したものの、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、政府や各自治体から支給された給付金等を助成金収入として営業外収益に計上したこと等により助成金収入が増加したため、経常利益は209百万円増加し1,569百万円となり、営業利益を超える結果となりました。
※当社グループでは、保育所等の開設に関して自治体からの助成金により固定資産を取得した場合には、当該助成金額を控除した純額をもって固定資産を計上しております(「直接減額方式の圧縮記帳」と呼ばれます)。したがって、当該助成金額は収益に計上されることはありませんが、固定資産が助成金控除後の純投資額として計上されることにより、将来の減価償却費が減少することになります。当社グループにおいては、これら減価償却費の効果は、固定資産について助成金を控除しない総投資額で計上した場合と比較して、将来の売上原価の減少として影響いたします。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損失については、前連結会計年度より2百万円減少し0百万円となりましたが、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用については、税金等調整前当期純利益の増加により前連結会計年度より60百万円増加し518百万円となりました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は151百万円増加し、1,051百万円となりました。
売上高・営業利益(セグメント間取引を相殺消去する前の金額)のセグメント別の増減
セグメントの名称前連結会計年度当連結会計年度増減
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
増減率
(%)
売上高在宅サービス事業3,38115.52,85012.3△531△15.7
エデュケア事業17,41180.019,35083.31,93811.1
その他9774.51,0384.5606.2
営業利益在宅サービス事業
(営業利益率)
1,017
(30.1%)
35.7
-
833
(29.3%)
28.5
-
△183
-
△18.1
-
エデュケア事業
(営業利益率)
1,668
(9.6%)
58.5
-
1,878
(9.7%)
64.3
-
209
-
12.6
-
その他
(営業利益率)
167
(17.2%)
5.8
-
209
(20.2%)
7.2
-
41
-
24.8
-

(在宅サービス事業)
個人及び法人契約を対象としたチャイルドケアサービス、介護保険外の個人を対象としたシルバーケアサービスとも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により売上が減少し、当セグメントにおける当連結会計年度の売上高は対前年比531百万円減少し、2,850百万円となりました。特に4月の緊急事態宣言時において医療従事者等のエッセンシャルワーカー以外へのサービス提供を自粛した結果、第2四半期連結会計期間の売上高は前期実績の65.7%まで減少しましたが、第4四半期連結会計期間の売上高については前期実績の90.1%、12月の単月売上高については前年同月実績の94.4%まで回復いたしました。また、売上減少により、営業利益も対前年比183百万円減少し833百万円となるとともに、営業利益率も前連結会計年度比0.8ポイント減少し29.3%となりました。
(エデュケア事業)
当社グループの子会社であります株式会社ポピンズにおいて、東京都や神奈川県、千葉県、愛知県、兵庫県において認可保育所6施設をはじめとした合計19施設の新規開設、前年の期中開設施設が当連結会計年度においては運営期間が1年となること、及び園児数が増加したこと等による売上増1,175百万円、株式会社ウィッシュの連結子会社化による売上増763百万円により、当連結会計年度の売上高は対前年比1,938百万円増加し19,350百万円となりました。
なお、前連結会計年度において、4月より、将来の成長源泉であります保育士確保を確実なものとするため、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の認可保育所及び認証保育所に勤務する保育士の新卒初任給を保育サービス業界トップ水準へ引き上げるとともに、当社グループで働く保育士全体の月給につきましても大幅に改善し、これにより売上原価における人件費が増加いたしましたが、当連結会計年度においては人件費増加が1年にわたっております。一方におきまして前連結会計年度に開設した認可保育所が当連結会計年度に順調に利益貢献したこと、及び事業所内保育所の新規受託、株式会社ウィッシュの通期にわたる連結効果により、上記の人件費の増加を吸収した結果、営業利益は対前連結会計年度比209百万円増加し1,878百万円となりました。今後はこの対前年比人件費増の影響が小さくなることから、当セグメントにおいては、さらなる利益の拡大を見込んでおります。
(その他)
その他の区分には教育研修・調査事業、高齢者向けデイサービス施設等の運営事業、人材紹介・派遣事業等が含まれております。
教育研修・調査事業におきましては、東北、関東、中部、近畿、中国地区にわたり研修事業を受託しており、順調に受託地区を拡大する一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって受託済みの集合型研修の開催時期後ろ倒しによる売上計上の遅れ等の影響はあったものの、同研修のオンライン化などで対応を進めてまいりました。また、人材紹介・派遣事業については、保育士紹介事業の拡大、及び2019年3月に新たに連結子会社化した株式会社ウィッシュが運営する交流館事業、人材派遣事業等による売上高が1年分計上されることにより136百万円増加したこと等の影響もあり、その他の区分におきましては、売上高1,038百万円(前連結会計年度比60百万円増)、営業利益209百万円(前連結会計年度比41百万円増)となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フローの状況の分析)
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(財政政策)
当社グループは、運転資金、設備資金及びシステム開発資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、短期運転資金については金融機関からの短期借入金によって、長期運転資金及び保育所の新規開設に伴う設備投資、システム開発資金については、新株発行による増資及び長期借入金によって調達しております。
d.経営者の問題認識と今後の方針について
2019年10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、都市部における保育ニーズは当面高止まりすると見込まれます。しかしながら、中長期的には少子高齢化の進行により、子育て業界は量的ニーズから質的ニーズへと移行すると想定されております。当社グループは、この環境変化を好機と捉え、高付加価値を求める顧客層向けのサービスを推進してまいります。
「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育におきましては、ハーバード大学、スタンフォード大学、ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施して、世界最先端の教育科学を取入れるとともに、当社グループの保育理論を深化・体系化させております。
また、保育士、ナニー、ケアスタッフなどのサービスの担い手に対して、各種様々な研修制度による人財育成を行っており、研修によるクオリティ維持強化の仕組みを確立しております。
子育て支援・乳幼児教育・介護支援・家事支援・人材紹介・派遣・研修・調査研究・コンサルティング事業までライフステージで変化する、働く・働きたい女性の課題に切れ目なく対応する当社グループの事業形態は、他社のサービススコープには見られないユニークなビジネスモデルであると当社としては捉えており、「働く女性」という顧客基盤を活用して、顧客のライフステージに応じたサービスラインナップの展開・拡張により、既存事業の拡大とともに、新たな市場機会・成長機会を捉えてまいります。
e.経営戦略の現状と見通し
当社グループは、創業以来、利益成長と同時に社会的課題の解決を意識した経営を行っております。
高付加価値・高収益である在宅サービス事業の全社事業ポートフォリオにおける構成比を高めていく事、及び現状において、エデュケア事業において事業所内保育所や学童保育等、設備負担が小さいサービスを伸ばしている事、そして、認可保育所についても、中長期的な保育ニーズが見込まれる東京・大阪・名古屋という三大都市圏を中心としたエリアに展開している事等の戦略を進めておりますが、今後も継続してこれらの戦略を進め、利益成長を実現してまいります。
また、当社グループの事業領域は、「待機児童の解消」といった短期的な社会的課題及び「女性の職場復帰・再就職の支援」「介護離職ゼロ」といった中長期的な社会的課題に対応しており、事業を通して、これらの課題解決による社会的貢献が可能であると考えております。
当社グループは、日本初のSDGs-IPO企業として、利益成長の実現と同時に社会的課題の解決に資することで、当社グループの更なる発展と企業価値の向上を目指してまいります。
さらに将来、保育所が淘汰される時代の到来に向けて、収益性とシナジー効果を考慮し、案件を厳選したM&Aや戦略的提携を推進するとともに、新規事業開発に取り組むことで日本のSDGsをリードする企業として一層の成長を続ける方針であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」 に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。
(資産除去債務)
当社は、保育施設等の開設にあたり、不動産所有者との間で不動産賃貸借契約を締結しており、退去時における原状回復義務に関し、「資産除去債務に関する会計基準」に基づき過去の実績等から合理的な見積りを行い、資産除去債務を計上しております。しかしながら、新たな事実の発生等に伴い、資産除去債務の計上額が変動する可能性があります。