有価証券届出書(新規公開時)

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2020/11/16 15:00
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153項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
①経営成績等の状況
第4期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、米中貿易摩擦をはじめとする世界的な政治的・経済的混迷により先行き不透明感が深まったものの、堅調な企業収益や雇用・所得環境の着実な改善が続く中、緩やかな回復基調で推移してまいりましたが、年末に発生した新型コロナウイルスによる全世界的な経済活動への影響等から、2020年3月期の上場企業の業績は2019年3月期に続き減益となる見通しになるなど経済情勢が変化しております。
このような環境の中、少子高齢化に伴う労働者不足の加速化、産業構造の変化による多様な人材の活用が求められていることを背景に、政府の様々な女性活躍支援策を受けた共働き世帯数や女性の就業率は引き続き上昇傾向にあり、保育を含む子育て支援、介護支援、家事支援に対する需要は、一段と高い状況で推移しております。
このような状況において当社グループは、2019年3月において、学童・児童館及び保育施設の運営並びに保育士派遣事業を展開する株式会社ウィッシュを連結子会社として取得しました。これにより、エデュケア事業の一層の拡大を図ってまいりました。在宅サービス事業においては、さらなる高付加価値サービスを追求し、選ばれるサービス展開を推進するとともに、ポピンズシステムを改良し、自動マッチング機能の拡充等による業務の効率化を図ってまいりました。
この結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高21,548百万円(前期比25.8%増)、営業利益1,401百万円(同33.3%増)、経常利益1,360百万円(同36.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は900百万円(同305.1%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。
(在宅サービス事業)
当連結会計年度における在宅サービス事業を取り巻く状況は、台風19号など大規模な風水害によるマイナス影響はあったものの、内閣府による企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における「ベビーシッター派遣事業」による割引制度の周知及び利用の拡大や、東京都8区において導入済(2019年12月現在)である地域型保育給付による「居宅訪問型保育事業」の順調な利用拡大など、チャイルドケアサービス事業の需要が堅調に推移しました。
加えて、厚生労働省が「介護離職ゼロ」をキーワードに、仕事と介護の両立に当たっての課題や企業の両立支援策の状況を把握し、介護休業制度等の周知を行う等の対策を総合的な推進への取り組みを本格化したことから、シルバーケアサービス事業にも、追い風を受ける状況にあります。
このような状況のもと、24時間365日対応や、プレミアムコースにみられる多様な顧客ニーズへ応える当社グループの質の高いサービスの浸透、オプションサービス(現 ポピンズプラス)を組み合わせたきめ細かなプランの提案など、そのサービスの拡充に注力したことにより、2019年12月末時点のナニーサービス会員数は前期末比で13.0%増の14,929人と、堅調に推移しました。また、介護保険では対応しきれない様々な要望に応えるオーダーメイドの在宅ケアサービスである「ポピンズVIPケア」においても、当社グループのサービス差別化への取り組みが奏功し、新規入会及びご利用者が増加いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,381百万円(前年同期比15.6%増)、セグメント利益は1,017百万円(同16.2%増)となりました。
(エデュケア事業)
政府・自治体が保育の受け皿拡大を目的に保育所整備や保育士確保の施策を進めた結果、保育所数は増加しており、保育所の新設に対する需要は今後、ややペースダウンすることが想定されるものの、より一層の女性の社会進出のためにはさらなる高水準の保育環境の整備、保育の質向上が求められることから、引き続き堅調に保育所需要が継続しました。さらに2019年10月から開始された3歳児以上幼児教育無償化施策によって、今後ますますの保育ニーズの高まりが予想されます。
このような状況のもと、当社グループは、東京都や神奈川県、埼玉県、静岡県、大阪府、京都府において、保育所等の開設を進め、当連結会計年度において、以下のとおり認可保育所4施設をはじめとした合計17施設を新規に開設しております。
加えて、2019年3月には学童・児童館及び保育施設を運営する株式会社ウィッシュを新規に連結子会社とした結果、学童72施設、保育所等17施設が当社グループに新たに加わり、当連結会計年度の増加施設数は、上記の新規開設施設と合わせ106施設となりました。
この結果、当社グループは、当連結会計年度末時点で認可保育所62施設、認証保育所36施設、認定こども園1施設、事業所内保育所86施設、学童・児童館87施設、その他40施設の計312施設を営んでおります。
<新規に開設した施設>(認可保育所) 合計4施設
東京都
ポピンズナーサリースクール都立大学
ポピンズナーサリースクール越中島
ポピンズナーサリースクール東長崎
神奈川県
ポピンズナーサリースクール十日市場
(事業所内保育所) 合計10施設
東京都 7施設
埼玉県 1施設
静岡県 1施設
京都府 1施設
(その他施設) 合計3施設
東京都 1施設
大阪府 2施設
<株式会社ウィッシュの新規連結子会社化により増加した施設>(認可保育所) 合計6施設
東京都 2施設
神奈川県 2施設
千葉県 2施設
(認証保育所) 合計3施設
東京都 3施設
(事業所内保育所) 合計1施設
神奈川県 1施設
(学童・児童館) 合計72施設
東京都 72施設
(その他施設) 合計7施設
以上の結果、当連結会計年度における売上高は17,411百万円(前年同期期比26.3%増)、セグメント利益は1,668百万円(同4.5%増)となりました。
(その他)
教育研修・調査事業においては、自治体主催の保育士研修や子育て支援員研修事業について、全国の都道府県から受託地域が拡大しました。加えて、前連結会計年度において設立いたしました株式会社保育士GOの保育士紹介事業の拡大、さらには株式会社ウィッシュの買収により保育士の人材紹介・派遣事業が加わったことにより、大幅な売上高及び営業利益の増加を実現しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は977百万円(前年同期比85.8%増)、セグメント利益は167百万円(同53.8%増)となりました。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は、前第3四半期連結累計期間については四半期連結財務諸表を作成していないため、前年同四半期連結累計期間との比較分析は行っておりません。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の全世界的な蔓延が第1四半期連結累計期間において顕在化したことにより、人が直接、サービスを提供する業界においては急激にサービス利用の停止・自粛が基本となり、2020年5月25日に緊急事態宣言が全国で解除された後も、引き続き先行きが不透明な状況となっております。
当社グループが事業展開しているベビーシッター業界、介護業界、保育業界におきましては、対面のサービス提供であることから新型コロナウイルス感染症によるサービス利用の停止・自粛の影響を大きく受けております。
このような状況のもと、当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績については、売上高16,835百万円、営業利益933百万円、経常利益1,086百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益722百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。
(在宅サービス事業)
在宅サービス事業の売上高は2,055百万円、セグメント利益は583百万円となりました。
(エデュケア事業)
エデュケア事業の売上高は14,261百万円、セグメント利益は1,284百万円となりました。
(その他)
その他の売上高は658百万円、セグメント利益は90百万円となりました。
<新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業及び業績への影響>全世界での新型コロナウイルス感染症との戦いが続いておりますが、当社グループは、この有事における業務運営の基本方針として「安全に 強く 優しく 支える」を信念に行動してまいります。
新型コロナウイルスへの当社グループの対応といたしましては、危機対策本部を設置し、自治体や保健所と連携しながら、エデュケア事業(保育所・学童施設等)にてお預かりするお子さま・保護者やご家族の皆さま、在宅サービス事業(ベビーシッター・介護)をご利用下さるお客さま・従業員・取引先の安全確保を最優先に考え、ナニーやケアスタッフを含む従業員及び事業関係者への最大限の感染予防対策を講じたうえで、事業継続体制を構築しております。なお、当社グループの本支社全従業員においては、緊急事態宣言期間中は一部の業務を除き、原則在宅勤務に移行しました。また、緊急事態宣言が解除された後も在宅勤務や時差出勤を併用しながら、新型コロナウイルス感染症専門家会議から提唱されている「新しい生活様式」に対応しております。
第1四半期連結累計期間におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた全国の小学校・中学校及び高校などの臨時休校要請や、政府方針を受けた企業の在宅勤務の拡大、ならびに大規模なイベント開催の自粛などに伴い、予定されていた保育サービスの予約キャンセル・変更や、イベント託児のキャンセルの影響を受ける事業環境となりましたが、新型コロナウイルス感染症の業績への影響度は、全社として軽微に留まっておりました。
一方で、事態が深刻化した4月以降につきましては、以下に示すとおり、多方面にわたる事業影響が発生いたしました。
「在宅サービス事業(チャイルドケアサービス事業)」においては、政府による緊急事態宣言の発令直後より、ナニー訪問による感染拡大を防ぐため、ナニーサービスの提供を、医療関係者等のエッセンシャルワーカー、その他ライフラインを維持する業務に従事するキーワーカーの方々、または特別な事由でナニーサービスが必要不可欠な場合を除き、原則として一時自粛する判断を当社独自にしており、業績への影響が大きくなりました。
一方で、自治体からの要請による保育園休園や登園自粛の影響で、多くの働く保護者様がお子さまの育児をしながらの在宅勤務を余儀なくされることとなり、政府による5月末までの緊急事態宣言の延長を受け、困難を感じられている多くの保護者様に対し、既存のお客様へのサービスご提供及び新規のお客様からの入会受付を順次再開する方針を公表いたしました。その後、緊急事態宣言が解除されて以降は、業績へのマイナス影響は緩和に向かいましたが、7月以降、感染拡大の第二波影響が深刻化するなどの懸念が一時的に高まった結果、保護者様からのサービス利用状況の回復スピードが再び抑制されました。しかしながら、9月以降は新型コロナウイルス感染症の感染者数も東京都内の1日あたり新規陽性者数(7日間移動平均)が安定的に200人を下回って推移するなど、その懸念は落ち着きつつあり、業績へのマイナス影響も徐々に緩和するものと考えられます。
「在宅サービス事業(シルバーケアサービス事業)」においても、ケアスタッフ訪問による感染拡大を防ぐため、VIPケアサービスの提供を、特別な配慮が必要な場合を除き、原則として一時自粛しておりましたが、当社のサービスを必要不可欠とされるご利用者やご家族が高い割合を占めることから、業績への影響は軽微に止まりました。
「エデュケア事業」においては、自治体からの要請による保育園休園や登園自粛によって、事業運営に大きな影響は受けるものの、認可事業の委託料収入の減額には直結しないため、業績へのマイナス影響は軽微に留まっております。ただし、感染拡大の影響が改めて深刻化するなどの懸念が今後顕在化し、万が一、休園や利用自粛が再度発生及び長期化する場合には、認可外事業の売上に影響を及ぼす懸念があります。
しかしながら、新型コロナウイルスによる影響が長期化する事態となった場合には、集団保育のみではカバーできない、在宅での子育て支援サービスに対する需要は今後ますます強まることが予想されます。加えて、緊急事態宣言を受け、各自治体の判断により一時休園となるお子様の心身の成長そして働く保護者様の支援を契機として導入した「オンライン保育」「オンライン育児相談」などの新規サービスによって、急変する事業環境に即応してまいります。
なお、第5期連結会計年度への新型コロナウイルスの影響についてはそのおおよその算定を終えており、今後、通期業績等の開示を通して公表予定であります。
②財政状態の状況
第4期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当連結会計年度末における総資産は10,092百万円(前期比1,654百万円の増加)となりました。これは、主に、株式会社ウィッシュ(以下、「ウィッシュ」という。)の連結子会社化による現金及び預金、受取手形及び売掛金の増加等によるものであります。
流動資産につきましては、6,751百万円(前期比981百万円の増加)となりました。その主な要因は、ウィッシュの連結子会社化による現金及び預金、及び受取手形及び売掛金の増加によるものであります。
固定資産につきましては、3,341百万円(前期比673百万円の増加)となりました。その主な要因は、ウィッシュの連結子会社化による有形固定資産及びのれんの増加、及び新規開設の保育所に係る有形固定資産及び敷金及び保証金の増加によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は8,151百万円(前期比953百万円の増加)となりました。
流動負債につきましては、4,355百万円(前期比683百万円の増加)となりました。その主な要因は、事業拡大に伴う未払金及び未払法人税等の増加によるものであります。
固定負債につきましては、3,795百万円(前期比270百万円の増加)となりました。その主な要因は、保育所新規開設投資に係る長期借入金の増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、1,941百万円(前期比700百万円の増加)となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益900百万円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は19.2%(前期比4.5ポイントの増加)となりました。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は10,199百万円(前期比106百万円の増加)となりました。
流動資産につきましては、6,888百万円(前期比136百万円の増加)となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加及び受取手形及び売掛金の減少によるものであります。
固定資産につきましては、3,311百万円(前期比29百万円の減少)となりました。その主な要因は、建物及び構築物の取得による増加及び有形固定資産その他の減少によるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は7,780百万円(前期比370百万円の減少)となりました。
流動負債につきましては、3,930百万円(前期比425百万円の減少)となりました。その主な要因は、短期借入金、未払金及び未払法人税等の減少、賞与引当金の増加によるものであります。
固定負債につきましては、3,850百万円(前期比55百万円の増加)となりました。その主な要因は、資産除去債務の増加によるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は2,418百万円(前期比476百万円の増加)となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益722百万円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。
この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は、23.7%(前期比4.5ポイントの増加)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
第4期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、4,058百万円(前期比647百万円の増加)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,295百万円(前期比1,275百万円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払額161百万円(前期比159百万円の減少)等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益1,358百万円(前期比931百万円の増加)、役員特別功労金の支払額の減少(前期300百万円で当期支払なし)及び減価償却費230百万円(前期比35百万円の減少)等の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、716百万円(前期比317百万円の減少)となりました。これは主に、助成金の受取額329百万円(前期比447百万円の減少)等があったものの、認可保育所等の新規開設に関する有形固定資産の取得による支出693百万円(前期比347百万円の減少)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出104百万円(前期の支払なし)及び基幹システム開発等に関する無形固定資産の取得による支出135百万円(前期比117百万円の増加)等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、68百万円(前期比1,309百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,169百万円(前期比299百万円の増加)及び短期借入金の純増減額△55百万円(前期比394百万円の減少)等の減少要因があったものの、施設整備のための長期借入れによる収入1,500百万円(前期比655百万円の減少)等の増加要因があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは、受注活動を行っていないため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第4期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第5期第3四半期
連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
金額(百万円)前年同期比
(%)
金額(百万円)
在宅サービス事業3,220113.71,945
エデュケア事業17,411126.314,261
報告セグメント計20,632124.216,207
その他916179.4628
合計21,548125.816,835

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、第3期連結会計年度、第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間ともに、100分の10以上を占める相手先がないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度において、エデュケア事業及びその他の販売実績に著しい変動がありました。これは、株式会社ウィッシュを連結子会社化したこと等によるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で認められている将来に対する見積りが含まれております。この見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
これら連結財務諸表の作成にあたって当社グループが採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の分析
第4期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)
売上高(百万円)17,12721,5484,42125.8
売上原価(百万円)13,01416,6543,64028.0
売上総利益(百万円)4,1134,89478019.0
売上総利益率24.0%22.7%--
販売費及び一般管理費(百万円)3,0613,49243114.1
営業利益(百万円)1,0511,40134933.3
営業利益率6.1%6.5%--
経常利益(百万円)9981,36036136.2
税金等調整前当期純利益(百万円)4261,358931218.2
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)222900678305.1

(売上高、売上総利益)
売上高については、各セグメントにおいて堅調に推移し、また株式会社ウィッシュの連結子会社化により9か月間の売上高を取り込んだ結果、4,421百万円増加し21,548百万円となりました。売上総利益については、売上高増加に伴い780百万円増加して4,894百万円となったものの、保育所職員等の給与改定による人件費増加、株式会社ウィッシュの買収によるエデュケア事業及びその他の売上増加により、全社に占める在宅サービス事業の売上高構成比が減少した結果、全社の売上総利益率は1.3ポイント減少し、22.7%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費については、売上拡大を担う人員補強、買収による組織拡大、管理体制の構築等による人員体制の強化等及び租税公課の増加等により、431百万円増加し3,492百万円となりました。営業利益については、売上総利益の増加率ほどは販売費及び一般管理費が増加しなかったため、349百万円増加し1,401百万円となるとともに、営業利益率は0.4ポイント増加し6.5%となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外損益については、事業拡大に伴い金融機関からの借入金が増加した結果、前連結会計年度より支払利息が8百万円増加し30百万円となったものの、和解金27百万円等の影響がなくなったことにより、経常利益は361百万円増加し1,360百万円となりました。
※当社グループでは、保育所等の開設に関して自治体からの補助金により固定資産を取得した場合には、当該補助金額を控除した純額をもって固定資産を計上しております(「直接減額方式の圧縮記帳」と呼ばれます)。したがって、当該補助金額は収益に計上されることはありませんが、固定資産が補助金控除後の純投資額として計上されることにより、将来の減価償却費が減少することになります。当社グループにおいては、これら減価償却費の効果は、固定資産を助成金を控除しない総投資額で計上した場合と比較して、将来の売上原価の減少として影響いたします。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損失について、前連結会計年度においては、子会社における役員退職に伴う特別功労金300百万円、エデュケア事業において不採算の保育設備を対象とし建物及び構築物等で減損損失268百万円等を計上しておりましたが、当連結会計年度におきましては、固定資産除却損2百万円のみとなりました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は678百万円増加し、900百万円となりました。なお、減損損失につきまして、2017年12月期においても251百万円を計上しておりますが、当連結会計年度においては減損損失を計上すべき固定資産はありません。
売上高・営業利益(セグメント間取引を相殺消去する前の金額)のセグメント別の増減
セグメントの名称前連結会計年度当連結会計年度増減
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
増減率
(%)
売上高在宅サービス事業2,92517.03,38115.545515.6
エデュケア事業13,78480.017,41180.03,62726.3
その他5263.09774.545185.8
営業利益在宅サービス事業
(営業利益率)
875
(29.9%)
33.91,017
(30.1%)
35.7
-
142
-
16.2
-
エデュケア事業
(営業利益率)
1,596
(11.6%)
61.91,668
(9.6%)
58.5
-
71
-
4.5
-
その他
(営業利益率)
109
(20.7%)
4.2167
(17.2%)
5.8
-
58
-
53.8
-

(在宅サービス事業)
個人及び法人契約を対象としたチャイルドケアサービス事業、介護保険外の個人を対象としたシルバーケアサービス事業とも売上が拡大し、当セグメントにおける当連結会計年度の売上高は対前年比455百万円増加し、3,381百万円となりました。また、高付加価値サービスの継続的な実現により、営業利益も対前年比142百万円増加し、1,017百万円と順調に拡大するとともに、営業利益率も30.1%(前期比0.2ポイントの増加)を実現することができました。
(エデュケア事業)
当社グループの子会社であります株式会社ポピンズにおいて、東京都や神奈川県、埼玉県、静岡県、大阪府、京都府において認可保育所4施設をはじめとした合計17施設の新規開設等による売上増1,536百万円、株式会社ウィッシュの連結子会社化による売上増2,090百万円により、当連結会計年度の売上高は対前年比3,627百万円増加し17,411百万円となりました。
なお、当連結会計年度におきましては、将来の成長源泉であります保育士確保を確実なものとするため、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の認可保育所及び認証保育所に勤務する保育士の新卒初任給を保育サービス業界トップへ引き上げるとともに、当社グループで働く保育士全体の月給につきましても大幅に改善しました。これにより、売上原価における人件費が増加いたしましたが、前連結会計年度に開設した認可保育所が当連結会計年度に順調に利益貢献したこと、及び事業所内保育所の新規受託、株式会社ウィッシュの連結子会社化による利益貢献により、人件費の増加を吸収した結果、当セグメント利益は対前期比71百万円増加し1,668百万円となりました。今後はこの対前年比人件費増の影響が少なくなることから、当セグメントにおいては、さらなる利益の拡大を見込んでおります。
(その他)
その他の区分には教育研修・調査事業、高齢者向けデイサービス施設等の運営事業、人材紹介・派遣事業等が含まれております。
教育研修・調査事業におきましては、東北、関東、中部、近畿、中国地区にわたり研修事業を受託しており、順調に受託地区を拡大するとともに、売上高・営業利益とも増加いたしました。また、保育士紹介事業を運営する株式会社保育士GOの事業開始、及び新たな連結子会社の株式会社ウィッシュで運営する交流館事業、人材派遣事業等による売上高及び営業利益が加わったことにより、その他の区分におきましては、売上高977百万円(対前期比451百万円の増加)、営業利益167百万円(対前期比58百万円の増加)となりました。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(売上高、売上総利益)
売上高については、16,835百万円となりました。これは主に、在宅サービス事業において新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、エデュケア事業における認可保育所6施設の開園など合計11施設の開園の影響によるものであります。これより、売上総利益については3,538百万円となり、売上総利益率は21.0%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費については、売上拡大を担う人員補強、買収による組織拡大、管理体制の構築等による人員体制の強化等及び租税公課の増加等により、2,605百万円となりました。営業利益については、933百万円となるとともに、営業利益率は5.5%となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外損益については、事業拡大に伴い金融機関からの借入金が増加した結果、支払利息は21百万円となったものの、保育所開設に係る助成金や、雇用調整助成金等による助成金収入191百万円を計上したこと等により、経常利益は1,086百万円となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する四半期純利益)
特別損失について、固定資産除却損0百万円のみとなりました。その結果、当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益は722百万円となりました。
なお、売上高・営業利益のセグメント別の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フローの状況の分析)
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(財政政策)
当社グループは、運転資金、設備資金及びシステム開発資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、短期運転資金については金融機関からの短期借入金によって、長期運転資金及び保育所の新規開設に伴う設備投資、システム開発資金については、長期借入金によって調達しております。
d.経営者の問題認識と今後の方針について
2019年10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、都市部における保育ニーズは当面高止まりすると見込まれます。しかしながら、中長期的には少子高齢化の進行により、子育て業界は量的ニーズから質的ニーズへと移行すると想定されております。当社グループは、この環境変化を好機と捉え、高付加価値を求める顧客層向けのサービスを推進してまいります。
「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育におきましては、ハーバード大学、スタンフォード大学、ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施して、世界最先端の教育科学を取入れるとともに、当社グループの保育理論を深化・体系化させております。
また、保育士、ナニー、ケアスタッフなどのサービスの担い手に対して、各種様々な研修制度による人財育成を行っており、研修によるクオリティ維持強化の仕組みを確立しております。
子育て支援・乳幼児教育・介護支援・家事支援・人材紹介・派遣・研修・調査研究・コンサルティング事業までライフステージで変化する、働く・働きたい女性の課題に切れ目なく対応する当社グループの事業形態は、他社のサービススコープには見られないユニークなビジネスモデルであると当社としては捉えており、「働く女性」という顧客基盤を活用して、顧客のライフステージに応じたサービスラインナップの展開・拡張により、既存事業の拡大とともに、新たな市場機会・成長機会を捕捉してまいります。
e.経営戦略の現状と見通し
当社グループは、利益成長と同時に社会的課題の解決を意識した経営を行っております。
高付加価値・高収益である在宅サービス事業の全社事業ポートフォリオにおける構成比を高めていく事、及び現状において、エデュケア事業において事業所内保育所や学童保育等、設備負担が小さいサービスを伸ばしている事、そして、認可保育所についても、中長期的な保育ニーズが見込まれる東京・大阪・名古屋という三大都市圏を中心としたエリアに展開している事等の戦略を進めておりますが、今後も継続してこれらの戦略を進め、利益成長を実現してまいります。
また、当社グループの事業領域は、「待機児童の解消」といった短期的な社会的課題及び「女性の職場復帰・再就職の支援」「介護離職ゼロ」といった中長期的な社会的課題に対応しており、事業を通して、これらの課題解決による社会的貢献が可能であると考えております。
当社グループは、利益成長の実現と同時に社会的課題の解決に資することで、当社グループの更なる発展と企業価値の向上を目指してまいります。
さらに将来、保育所が淘汰される時代の到来に向けて、収益性とシナジー効果を考慮し、案件を厳選したM&Aを推進し、日本のSDGsをリードする企業として一層の成長を続ける方針であります。