有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/10/23 15:00
【資料】
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【項目】
139項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第11期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、1,943,793千円となり、前連結会計年度末に比べ293,133千円増加いたしました。主な増減要因は、借入及び第三者割当の実施による現金及び預金の増加223,990千円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、1,904,724千円となり、前連結会計年度末に比べ123,995千円増加いたしました。主な増減要因は、短期借入金の増加175,000千円、長期借入金の増加36,764千円、未払法人税等の増加35,844千円、その他の流動負債の増加48,787千円、預り金の減少196,909千円によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は、39,068千円となり、前連結会計年度末に比べ169,138千円増加いたしました。主な増減要因は、第三者割当増資により200,000千円の新株発行を行ったことによるものであります。
第12期第2四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年8月31日)
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、2,693,056千円となり、前連結会計年度末に比べ749,263千円増加いたしました。主な増減要因は、現金及び預金の増加647,298千円、受取手形及び売掛金の増加102,085千円によるものであり、これはマーケットプレイスサービスにおける取引量の増加に伴うものであります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、2,417,216千円となり、前連結会計年度末に比べ512,492千円増加いたしました。主な増減要因は、預り金の増加544,774千円によるものであり、これはマーケットプレイスサービスにおける取引量の増加に伴うものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、275,839千円となり、前連結会計年度末に比べ236,770千円増加いたしました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益236,804千円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第11期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)
当社グループでは、「まるくて大きな時代をつくろう」を企業理念に、その実現に向けた第一弾の事業として、 クリエイターエンパワーメント事業を推進しています。
日本ならびに中国語圏におけるグローバルハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の運営を行うマーケットプレイスサービス、「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援を行うプラットフォームサービス、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベントの開催や、「Creema Store(新宿・札幌)」等の店舗を展開するイベント・ストアサービスなど、クリエイターの活動を支援するサービスを様々な角度から展開し、まだ見ぬ巨大なクリエイター経済圏の確立と、クラフトカルチャーの醸成に力を注いでおります。
当連結会計年度においては、マーケットプレイスサービスにて、広告宣伝の徹底した効率的運用を行うと同時に、マーチャンダイジングと連携したキャンペーンを強化したほか、「Creema」で購入可能な作品の魅力をSNS向けの短尺動画で紹介する「Creemaの気になる世界」の展開や、動画配信を通じてユーザーがリアルタイムで作品制作を体験できるオンラインワークショップの実施、及び新カテゴリーとして地酒・地ビールを主軸とした「お酒」カテゴリーの新設など、クリエイターや作品との新たな出会いをユーザーに提案し、利用者数の一層の拡大に努めました。また、検索エンジンの最適化や、アプリ・スマホ版の作品詳細画面をより使いやすくリニューアルするなど、プロダクトの磨き込みにも継続して取り組み、「Creema」のユーザビリティ向上にも努めました。これにより、当期間における流通総額は8,998,374千円(前年同期比14.3%増)、売上高は886,883千円(前年同期比16.7%増)での着地となりました。
プラットフォームサービスにおいては、「Creema」のプラットフォームならびに会員基盤を活用した企業・地方公共団体向けの外部広告サービスで、省庁・地方公共団体と連携した地方創生プロジェクトに加え、商業施設におけるイベント実施や、大手メーカーブランド等とのコラボレーション企画などの案件の受注・納品が進みました。また、クリエイターが自身の作品を「Creema」上でプロモーションできる内部広告サービスである作品プロモーション機能について、利用促進のための各種キャンペーン等に取り組んだ結果、利用者数が順調に成長いたしました。その結果、売上高288,364千円(前年同期比75.3%増)での着地となりました。
イベント・ストアサービスにおいては、まず、ストア領域にて、今期3月にオープンした「Creema Store 札幌(札幌ステラプレイス)」が順調に立ち上がったことに加え、9月には新店となる「Creema Store 熊本(SAKURA MACHI Kumamoto)」と、新コンセプトとなる「Creema &Essence(コレド室町テラス)」がオープンしました。イベント領域では、4月には関西最大級のクラフトイベント「Creema Craft Party 2019」をインテックス大阪にて、7月には、日本最大級のクラフトイベント「HandMade In Japan Fes' 2019」を東京ビッグサイトにてそれぞれ開催し、例年通り盛況のなか幕を閉じました。また、台湾の首都、台北にて「Creema Craft Party 2019 in 台湾」を12月に開催し、世界に向けて「Creema」ブランドの発信も行いました。これにより、売上高は336,339千円(前年同期比54.9%増)での着地となりました。
これら全てのサービスが連携しあいながら、当社サービスの認知度向上及び市場の拡大、クリーマ経済圏の確立に取り組んでおります。なお、当連結会計年度におけるクリエイター数は約16.6万人、登録作品数は約860万点、スマートフォンアプリのダウンロード数は約970万回を突破しました。
上記の結果、当連結会計年度における全社業績は、売上高1,517,668千円(前年同期比31.9%増)、営業利益48,685千円(前年同期は営業損失366,565千円)、経常利益45,914千円(前年同期は経常損失372,886千円)、親会社株主に帰属する当期純損失28,035千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失373,402千円)となりました。
なお、当社グループでは、クリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
第12期第2四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年8月31日)
当社グループでは、「まるくて大きな時代をつくろう」を企業理念に、その実現に向けた第一弾の事業として、クリエイターエンパワーメント事業を推進しています。
日本ならびに中国語圏におけるグローバルハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の運営を行うマーケットプレイスサービス、「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援を行うプラットフォームサービス、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベントの開催や、「Creema Store(新宿・札幌)」等の店舗を展開するイベント・ストアサービス、さらには、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化したクラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」など、クリエイターの活動を支援するサービスを様々な角度から展開し、まだ見ぬ巨大なクリエイター経済圏の確立と、クラフトカルチャーの醸成に力を注いでおります。
当第2四半期連結累計期間は、マーケットプレイスサービスにおいて、前期から力強い成長トレンドが継続していることに加え、新型コロナウィルス感染拡大防止のための生活様式変容における「巣ごもり消費」のニーズを捉えた各種マーチャンダイジング・キャンペーン施策の展開が功を奏し、マーケットプレイス全体の利用者数・購入品数が大きく伸長しました。加えて、スマートフォン向けサイトのリニューアルをはじめとした「Creema」プロダクトの使いやすさの改善や、カスタマーサポートの強化等も昨年度に引き続き継続して取り組み、「Creema」の体験価値向上にも努めました。これにより、当第2四半期連結累計期間における流通総額は7,997,315千円、売上高は804,624千円での着地となりました。
プラットフォームサービスにおいては、「Creema」のプラットフォームならびにユーザー基盤を活用した企業・地方公共団体向けのPR支援を行う外部広告サービスで、地域産品を発掘するクラフトコンテストや、大手メーカーブランドとのコラボレーション企画、伝統工芸産業のデジタルシフト支援などの案件の受注・納品が進みました。また、クリエイターが自身の作品を「Creema」上でプロモーションできる内部広告サービスである作品プロモーション機能について、利用促進のための各種キャンペーンに引き続き取り組んだ結果、利用者数が順調に成長いたしました。その結果、売上高186,692千円での着地となりました。
イベント・ストアサービスにおいては、新型コロナウィルス感染拡大防止のための外出自粛要請等による影響を大きく受けました。まず、ストア領域では、当社ストアが出店するショッピングセンターが4月下旬以降、次々と休業となったため、当社ストアも全店が約1カ月の間、営業できない状態に陥りました。そのため当第2四半期では、日本橋にある「コレド室町テラス」に出店していた「Creema &Essence」と、熊本にある「SAKURA MACHI Kumamoto」に出店していた「Creema Store 熊本」の2店舗を閉店いたしました。また、イベント領域でも、毎年開催してきた関西最大級のクラフトイベント「Creema Craft Party(インテックス大阪)」及び、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes'(東京ビッグサイト)」の開催を断念するに至りました。これらの状況が重なった結果、売上高は41,354千円での着地となりました。
さらに、6月には、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化した購入型クラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」をリリースし、8月にはタレントの千秋氏が創業・団長を務め、ハンドメイド関連事業を展開する「ハローサーカス」をM&Aし、事業及び商標権を譲受するなど、クリエイターの方々の活動を今まで以上にエンパワーメントすべく、サービス領域を拡張させました。
これら全てのサービスが連携しあいながら、当社グループのサービスの認知度向上及び市場の拡大、クリーマ経済圏の確立に取り組んでおります。その結果、当第2四半期連結累計期間におけるクリエイター数は約19万人、登録作品数は約1,000万点、スマートフォンアプリのダウンロード数は約1,000万回を突破しました。
上記の結果、当第2四半期連結累計期間における全社業績は、売上高1,037,519千円、営業利益248,593千円、経常利益242,834千円、親会社株主に帰属する四半期純利益236,804千円となりました。
なお、当社グループでは、クリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
③ キャッシュ・フローの状況
第11期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、223,990千円増加し、当連結会計年度末には1,403,426千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は164,590千円(前連結会計年度は262,904千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益8,856千円、預り金の減少額197,078千円によるものであります。預り金が大幅に減少した要因は、クリエイター売上金の払出ルールの変更を行ったことによるものであり、より安心で健全なマーケットプレイス運営のための一助になるものと考えております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、29,195千円(前連結会計年度は90,124千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出32,569千円によるものであり、業容拡大に伴う本社事務所の移転及び新規店舗の内装工事を行ったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、422,732千円(前連結会計年度は515,267千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入199,269千円、短期借入れによる収入275,000千円によるものであり、事業運営にあたり十分な流動性が確保できたものと考えております。
第12期第2四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年8月31日)
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末から647,298千円増加し、2,050,724千円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は664,524千円となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益238,792千円の計上及び、流通総額の拡大に伴う預り金の増加額544,953千円、売上債権の増加額102,207千円によるものであり、業績が順調に推移しているものと考えております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、2,892千円となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出3,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、13,980千円となりました。これは長期借入金の返済による支出13,980千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはクリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
クリエイターエンパワーメント事業1,517,668131.9
合計1,517,668131.9

(注)1.主要な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える判断・仮定・見積りを必要としております。経営者は、これら貸倒引当金とポイント引当金等に関する判断・仮定・及び見積りについては過去の実績等に基づき、また、固定資産の減損処理については過去の実績等に基づいて将来キャッシュ・フローを予測し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第11期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)
a.当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
b.当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
c.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
第12期第2四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年8月31日)
a.当第2四半期連結累計期間の経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間の経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
b.当第2四半期連結累計期間の財政状態の分析
当第2四半期連結累計期間の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
c.当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの分析
当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスの認知度向上及び会員獲得のための広告宣伝費、及び事業拡大のための開発にかかる人件費及び外注費であり、さらにM&A等の投資を実施していく方針であります。これらの資金需要につきましては、自己資金、金融機関からの借入及び新株発行等により資金調達していくことを基本方針としておりますが、財政状態を勘案しつつ、資金使途及び需要額に応じて、柔軟に検討を行う予定であります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向、政府の政策に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保と育成等に力を入れ、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスクに対し、適切に対応を行ってまいります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、登録作品数、アプリダウンロード数及び流通総額を重要な経営指標と位置付けております。
当該指標については、次表のとおり継続的に増加しており、当第2四半期連結累計期間末の登録作品数は、前連結会計年度末と比べ117.8%、アプリダウンロード数は同107.8%、また、当第2四半期連結累計期間の流通総額はすでに前連結会計年度の88.9%の水準となっております。これは、現時点において予定通りの進捗となっており、今後の業績に寄与するものと期待できることから、順調に推移しているものと認識しております。
<「Creema」重要指標推移表>
2017年
2月期末
実績
2018年2月期末2019年2月期末2020年2月期末2021年2月期第2四半期末
実績
実績前期比実績前期比実績前期比
登録作品数(万点)358529147.9%695131.3%866124.7%1,019
アプリダウンロード数(万回)468654139.9%838128.0%974116.2%1,049
流通総額(百万円)6,5377,375112.8%7,875106.8%8,998114.3%7,997

※登録作品数はサービス開始時点から当該期末までの累積数、アプリダウンロード数はアプリリリース時点から当該期末までの累積数、流通総額は期末時点の各期の合計