有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/18 15:00
【資料】
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【項目】
126項目
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「働く世代に豊かさを」というミッションを掲げ、働く世代の豊かな老後のために、「長期・積立・分散」の資産運用を全自動化したサービス、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を提供しております。そのため、経営の透明性と客観性を確保したうえで、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図ることが重要であり、コーポレート・ガバナンスの充実が経営の最重要課題の一つだと認識しております。お客様の利益と利便性を最優先するという考えのもと、社会からの高い信頼を得ることが事業の継続には必須であり、またそれが企業価値の最大化に繋がるものと認識しております。
これらを踏まえ、当社の取締役、監査役、従業員は、それぞれが求められる役割を理解し、金融事業者に求められる法令、社会規範、倫理等について継続的に意識の維持向上を図り、事業活動の透明性及び客観性の確保に取り組むことで、コーポレート・ガバナンスの充実に努めております。また、会社法で求められる機関に加えて、リスク・コンプライアンス委員会及び投資委員会等の任意の機関を設置することにより、コーポレート・ガバナンスの強化を図っております。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
a. 企業統治の体制の概要
当社は会社法上の機関として、株主総会、取締役会、監査役会及び会計監査人を設置しております。当社の企業統治体制の模式図は以下のとおりであります。

イ. 取締役会
当社の取締役会は取締役3名(うち社外取締役1名)で構成され、「取締役会規程」に基づき重要事項を決議し、取締役の職務の執行を監督する権限を有しております。独立役員として東後澄人氏を招聘し、経営の意思決定の健全性や透明性の向上を可能とする経営体制を推進しております。
取締役会は原則として、毎月1回の定時取締役会を開催するほか、必要に応じて機動的に臨時取締役会を開催しております。
ロ. 監査役会
当社は、監査役会を設置しております。監査役会は、監査役3名(うち社外監査役3名)で構成され、取締役の職務の執行を含む日常活動の監査を行っております。監査役は、会計士、税理士、弁護士経験者がおり、知見を生かして独立・中立の立場から客観的な意見表明を行っております。また、株主総会や取締役会への出席や、取締役・従業員・監査法人からの報告収受など法律上の権利行使のほか、常勤監査役は経営会議に出席するなど実効性のあるモニタリングに取り組んでおります。
監査役会は原則として、毎月1回の定時監査役会を開催するほか、必要に応じて臨時で開催しております。
ハ. 内部監査
当社では、内部監査部(2名)が事業の適正性を検証し、業務の有効性及び効率性を担保することを目的として、年間内部監査計画に基づいて内部監査を実施し、監査結果を代表取締役に報告することに加えて、監査役、経営会議及び取締役会へ報告しております。内部監査部は、監査対象となった各部門に対して監査結果及び業務改善等のための指摘を行い、改善状況について継続的に確認を実施し、確認結果について経営会議に報告しております。
ニ. 会計監査人
当社は、有限責任 あずさ監査法人と監査契約を締結しております。なお、同監査法人及び当社監査に従事する同監査法人の業務執行社員と当社の間には特別な利害関係はありません。
ホ. 経営会議
当社の経営会議は、議長である代表取締役、取締役(社外取締役を除く)、常勤監査役、執行役員、内部管理統括責任者及び議長が必要と認めた者で構成され、原則として週1回開催しております。経営全般に関する議論、経営上の重要事項等の審議を行い、経営活動の効率化を図っております。
ヘ. リスク・コンプライアンス委員会
当社は、リスク管理及びコンプライアンスの推進に関する協議・検討機関として、リスク・コンプライアンス委員会を設置しております。議長である代表取締役、取締役(社外取締役を除く)、内部管理統括責任者、コーポレートグループ長、議長もしくは内部管理統括責任者が指名する者で構成されております。
リスク・コンプライアンス委員会は、原則として四半期に一度開催するほか、必要に応じて機動的に臨時で開催し、当社のリスク管理及びコンプライアンスに関する方針、組織体制、規程等の策定及び改廃、法令順守の状況のモニタリング、コンプライアンス意識の啓発や研修計画、リスクマネジメントに関して協議を行っております。
ト. 投資委員会
当社は、お客様のために忠実に業務を行うことを業務運営の基本とし、お客様の利益に即した投資運用を行うため、また当社の投資運用業務に影響を与えうる経済環境や市場環境など外部環境の変化に適確に対応するため投資委員会を設置しております。投資委員会は、委員長であるリサーチ&クオンツ部門の責任者、副委員長である代表取締役、委員である国内外の投資理論や資産運用の社外の専門家で構成されております。委員長及び委員は取締役会の承認に基づき、代表取締役が任命しております。
投資委員会は、原則として四半期に一度開催し、最適ポートフォリオの推奨アルゴリズムの適正性の検証、マーケット環境の急変時における当社リサーチ&クオンツ部門への助言、最適ポートフォリオでの実際の運用状況の検証、その他の投資運用業務を適切に運営するために必要な事項の検証及び助言を行っております。
チ. 賞罰委員会
当社の賞罰委員会は、代表取締役を委員長とし、代表取締役が選任した委員で構成され、「就業規則」等の規程に該当する事案が発生する都度、開催しております。本委員会は、表彰に関する事案と懲戒に関する事案に関する決議を行い、当社の従業員の賞罰に関して公正を期すことを目的として設置しております。
リ. 執行役員制度
当社は、業務執行機能の強化を図るため、執行役員制度を導入しております。執行役員は、取締役会によって選任され、所管業務の執行を行っております。執行役員の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までであります。
b. 上記の企業統治体制を採用する理由
当社は、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に基づき、取締役会に業務執行の決定権限・責任を集中させ、業務執行及び取締役会から独立した監査役及び監査役会に取締役会に対する監査・監督機能を担わせることで、適切な経営の意思決定と業務執行を実現するとともに、組織的に牽制が効く監査役会設置会社の体制を選択しております。
具体的には、当社は、社外取締役(1名)及び社外監査役(3名)を選任しており、社外取締役は意思決定の妥当性や経営の効率化、経営全般にわたる監督機能を担い、社外監査役は金融、会計・税務、リスク管理及び法令遵守等に関する多様な知見・専門性を持つ専門家を起用することにより、独立・公正な立場で専門的かつ客観的な観点から経営を監視しております。
また、当社は執行役員制度を導入し、経営監督機能と業務執行機能を分離することで、経営の健全性と効率性を確保し、リスク・コンプライアンス委員会、投資委員会及び賞罰委員会の3つの任意の専門委員会を設置し、必要に応じて弁護士等の外部専門家の助言及び指導を頂くことで、コーポレート・ガバナンス体制を強化しております。
③ 企業統治に関するその他の事項
a. 内部統制システムの整備状況
当社は業務の適正性を確保するための体制として、取締役会において「内部統制システムの整備に関する基本方針」を定める決議を行っており、現在その基本方針に基づき内部統制システムの運用を行っております。その概要は以下のとおりです。
イ. 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
(a) 当社は、コンプライアンス・マニュアルを制定し、法令等を遵守することはもとより、社会の信頼に応える高い倫理観を持って、取締役及び従業員一人ひとり行動することが必要不可欠と認識し、コンプライアンスの徹底を経営上の最重要課題と位置付ける。
(b) 当社は、コンプライアンス管理規程に基づき、コンプライアンスに係る事項を管理及び推進する。
(c) 取締役会は、取締役会規程に基づき月1回開催することを原則とし、取締役間の意思疎通及び相互の業務を監督する。また、社外取締役が取締役会に参加することにより、経営の透明性及び健全性の維持に努めることとする。
(d) 取締役及び使用人の職務執行について、適正な職務の執行を徹底するとともに、代表取締役直轄の独立組織である内部監査部による内部監査を実施、社外監査役を含む監査役会がその定めによる監査方針に従い監督強化を図ることとする。
(e) 取締役及び使用人は、反社会的勢力との一切の関係を遮断し排除する体制の整備に努める。
ロ. 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
(a) 取締役は、職務の執行に係る重要な情報及び文書は文書管理規程に従い適切に保存及び管理し、取締役及び監査役が当該文書等を常時閲覧できることとする。
ハ. 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
(a) 当社は、事業活動に伴い生じる各種リスクについては、リスク管理規程等に基づき適切に対処するとともに、未然防止策の策定及び進捗管理を行う。異例事態の発生の際には迅速かつ適切な情報伝達及び緊急体制を整備することとする。
(b) 情報セキュリティに係るリスクは、情報セキュリティ管理規程等に基づき、情報管理統括責任者を置き、リスク管理体制の構築及び継続的な改善等を行う。
ニ. 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
(a) 当社は、経営環境等の変化に迅速に対応するため、執行役員制度を導入し、また職務権限規程等に基づき、適切かつ効率的な意思決定及び職務執行等を図ることとする。
ホ. 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
(a) 当社は、役員及び従業員の行動規範としてコンプライアンス・マニュアル等を定め、これの浸透を図ることとする。
(b) 企業内不祥事の未然・拡大防止を目的として、内部通報規程に基づき内部通報制度を構築し、法令違反又はそのおそれのある事実の早期発見に努める。
ヘ. 当社の監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項及びその独立性に関する事項並びに当社の監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
(a) 監査役会が職務を補助すべき使用人を求めた場合、指名された使用人がその職務を行うこととする。
(b) 監査役の職務を補助する使用人への監査業務に関する指揮命令権は、監査役に属するものとする。
ト. 当社の取締役及び使用人又はこれらの者から報告を受けたものが当社の監査役に報告するための体制その他の監査役への報告に関する体制、及び当社の監査役に報告した者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
(a) 取締役会は監査役及び監査役会に対して、当社における次の事項を報告することとする。
① 会社に著しい損害を及ぼす事項
② 毎月の経営状況として重要な事項
③ 監査状況及びリスク管理に関する重要な事項
④ 重大な法令及び定款の違反
⑤ その他内部通報制度により通報されたコンプライアンス上重要な事項
(b) 前記に関わらず、監査役は必要に応じて、役員及び従業員に対して報告を求めることができる。
(c) 取締役及び使用人が監査役に報告を行ったことを理由として、当該報告を行った者に対して不利益な取扱いをしないこととする。
(d) 公益通報制度の通報者が不利な扱いや報復、差別を受けないことを明文化するとともに、プライバシー・人権配慮の確保を図ることとする。
チ. 監査役会設置会社の監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
(a) 監査役より監査費用の前払請求及び立替金の精算請求があった場合、会社は直ちにこれを支払うこととする。
リ. 監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
(a) 監査役会規則の定めに基づき、監査役は重要な会議に出席して意見を述べるとともに、代表取締役と定期的に会合を持ち、代表取締役の経営方針を確かめるとともに会社が対処すべき課題、会社を取り巻くリスクのほか、監査役監査の環境整備状況、監査上の重要課題等について意見を交換することとする。
(b) 監査役は、必要に応じて取締役及び重要な使用人等からの個別ヒアリングの機会を設けることができる。
b. リスク管理体制の整備の状況
当社は、リスク管理及びコンプライアンスの徹底を経営上の最重要課題の一つと位置付けています。当社の役職員の行動規範として「コンプライアンス・マニュアル」を制定し、法令等を遵守することはもとより、「良心に基づいた倫理判断」を持って一人ひとり行動することを求めております。また、当社の役職員が業務を遂行する上での基本的な心構えとして「倫理コード」を定め、その遵守を役職員に徹底しております。
当社のリスク管理体制として、「リスク管理規程」を制定し、リスク管理の主管部門であるコーポレートグループに所属するリスク・コンプライアンス部門が、各部門との業務執行などに関する情報収集・共有を行い、事業のリスクの早期発見と未然防止に努めております。加えて、当社はコンプライアンスに関する意識の向上、及びコンプライアンスに関する施策を円滑かつ効果的に実施するための組織体制及び運営方法を構築しており、その旨を「コンプライアンス管理規程」において定めております。また、コンプライアンス体制の維持・向上のため、四半期に一度リスク・コンプライアンス委員会を開催し、当社のコンプライアンス体制の状況について継続的に協議を行っております。
事業活動に伴い生じる各種リスクについては、「リスク管理規程」において損失の危険の管理方法を定め、財務の健全性に留意するとともに、危険の回避に努めております。情報セキュリティに係るリスクは、「情報セキュリティ管理規程」「セキュリティポリシー」「外部委託管理規程」等に基づき、情報管理統括責任者を置き、情報セキュリティに関わるリスク管理体制の構築及び継続的な改善等を行っております。
また、当社は、職務執行上取得した個人情報を含む情報の取扱いに関する適切な措置を図っており、「個人情報等取扱規程」「特定個人情報等取扱規程」「法人関係情報管理規程」「苦情・紛争処理規程」等において定めております。加えて、「事務処理規程」を定め、相互牽制及びリスクが高いとされる事務処理について承認を要する態勢を構築しております。
当社は、金融商品取引法その他関係法令、加入する自主規制機関等の諸規則及び社内規程等の遵守に関する意識の向上を目的として、定期的に役職員向けのコンプライアンス研修を行っており、業務に直結するコンプライアンス関連知識の拡充及び周知を行っております。
c. 株主総会の決議事項を取締役会で決議することができるとした事項
当社は、会社法第426条第1項に基づき、取締役会の決議をもって、取締役(取締役であった者を含む。)及び監査役(監査役であった者を含む。)の会社法第423条第1項の損害賠償責任を法令の定める限度において、免除することができる旨を定款に定めております。ただし、当該決議に基づく賠償責任の免除額は、賠償責任額から法令に定める最低責任限度額を控除して得た額を限度とする旨定款に定めております。
d. 取締役の定数
当社の取締役は10名以内とする旨を定款で定めております。
e. 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨及び選任決議は、累積投票によらない旨を定款で定めております。
f. 株主総会の特別決議の要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うことを目的として、会社法第309条第2項に定める特別決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。
g. 責任限定契約の内容の概要
当社と社外取締役1名及び社外監査役3名は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、会社法第425条第1項が定める最低責任限度額としております。なお、当該責任限定契約が認められるのは、当該社外取締役及び社外監査役が責任の原因となった職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合に限られます。
h. 中間配当
当社は、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。これは、株主に対して機動的な利益還元を可能とするためであります。
i. 自己の株式の取得
当社は、自己の株式の取得について、機動的な資本政策を遂行することを可能とするため、会社法第165条第2項の規定に基づき、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨を定款で定めております。