有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/02/19 15:00
【資料】
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【項目】
141項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
第19期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は2,980,958千円となり、前連結会計年度末に比べ177,933千円増加いたしました。これは主に海外不動産事業にて不動産の売却が進んだことにより販売用不動産が239,540千円減少したものの、海外不動産事業における不動産売却にかかる売掛金の発生及び生命保険代理店事業における大口契約の発生により売掛金が130,529千円増加、海外不動産事業における事業提携会社と共同で行う大型不動産販売プロジェクトへの短期貸付を行ったことにより短期貸付金が127,366千円増加、海外不動産事業における不動産売却に伴う買主に対する長期貸付を行ったことにより長期貸付金が112,747千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は989,371千円となり、前連結会計年度末に比べ28,694千円増加いたしました。これは主に外貨建債権の為替変動リスクに対して、外貨建借入を利用しての為替変動リスクヘッジを行ったことにより短期借入金が213,299千円増加した一方、前連結会計年度に比べ法人税、住民税及び事業税が減少したことにより未払法人税等が96,871千円減少、事業活動に係る経費の未払残高が減少したことにより未払金が15,827千円減少、流動負債の「その他」に含めて表示されている未払消費税等が16,114千円減少、約定弁済により有利子負債の弁済が進んだことにより社債が12,000千円減少、長期借入金が18,784千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,991,586千円となり、前連結会計年度末に比べ149,238千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が155,130千円増加したことによるものであります。
(経営成績)
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦の長期化をはじめとした不安定な国際情勢、台風等の自然災害があったものの、全体としては回復基調で推移してまいりましたが、年度終盤に発生した新型コロナウイルス感染症の流行により、世界経済全体での景気減速懸念が強まっております。
当社グループの属する金融業界におきましては、一部企業にて不適切な保険募集が横行していたことが判明し、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の実現がこれまで以上に求められた他、フィンテック企業を想定した、保険や投資信託など複数の金融分野の商品を販売できる「金融サービス仲介業」の創設が見込まれるなど、事業環境の変化の兆しがこれまで以上に鮮明になってまいりました。
このような状況の下、当社グループにおきましては、お客様とオンライン面談をするためのソフトウエア開発や専用ブース設置等の設備投資、及びオンラインを活用した面談手法を確立することでより多くのお客様へ金融サービスを提供する体制を構築してまいりました。またお客様の様々なニーズに対応するため、子会社の海外不動産事業も含めた総合的なコンサルティングサービスの強化に努めてまいりました。
その結果、当社グループの顧客数(世帯数)は61,423世帯(前期比10.1%増)、うち新規獲得顧客数(世帯数)は6,308世帯(前期比7.8%増)となり、当社グループの当期売上高は3,244,620千円(前期比3.3%増)と増収となったものの、海外不動産事業において不動産の売却が進んだことによる原価が増加したこと、及び人員増加に伴う人件費が増加したことから、営業利益は301,247千円(前期比42.7%減)、経常利益は290,819千円(前期比47.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は177,980千円(前期比55.7%減)となりました。
なお、当社グループの事業セグメントは、フィナンシャルパートナー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第20期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は2,558,417千円となり、前連結会計年度末に比べ139,673千円増加いたしました。これは主に当第3四半期連結累計期間において利益を計上したことにより現金及び預金が130,696千円増加したことによるものであります。固定資産は530,154千円となり、前連結会計年度末に比べ32,060千円減少いたしました。これは主に繰延税金資産が減少したことにより投資その他の資産が24,947千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、3,088,571千円となり、前連結会計年度末に比べ107,613千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は881,684千円となり、前連結会計年度末に比べ97,504千円減少いたしました。これは主に未払消費税等及び2020年12月の賞与支給により社会保険料本人負担分の預り金が増加したことによりその他の流動負債が106,797千円増加したものの、外貨建債権が減少したことに伴い、当該債権の為替変動リスクに対するヘッジを目的とした外貨建借入も縮小させたことにより短期借入金が124,759千円減少、及び賞与引当金が98,667千円減少したことによるものであります。固定負債は600千円となり、前連結会計年度末に比べ9,583千円減少いたしました。これは社債が6,000千円減少、長期借入金が3,583千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、882,284千円となり、前連結会計年度末に比べ107,087千円減少いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は2,206,287千円となり、前連結会計年度末に比べ214,700千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益252,476千円の計上による増加、剰余金の配当22,850千円による減少によるものであります。
この結果、自己資本比率は71.4%(前連結会計年度末は66.8%)となりました。
(経営成績)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は依然として新型コロナウイルス感染症の影響下にあり、足下では新規感染者数が増加傾向を示す等、経済活動における不透明感は高まっております。
このような環境の下、家計の見直しや保障・投資といった分野でお客様の金融サービスに対するニーズは高まっており、当社グループにおける新規相談受付件数は堅調に推移いたしましたが、自社で開発したオンライン面談ツールの活用を通してお客様及び従業員の安全確保・感染拡大防止に留意しながら、多くのお客様のご相談に対して金融サービスを提供してまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における経営成績は、売上高2,574,804千円、営業利益377,107千円、経常利益376,773千円、親会社株主に帰属する四半期純利益252,476千円となりました。
なお、当社グループはフィナンシャルパートナー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
第19期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、税金等調整前当期純利益が284,987千円、販売用不動産の売却に伴うたな卸資産の減少による収入があったものの、法人税等の支払や米国不動産事業において短期貸付け及び長期貸付けによる支出があったことから、前連結会計年度末に比べ23,634千円減少し、1,365,915千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は156,227千円(前連結会計年度は473,165千円の収入)となりました。これは主に、増加の要因として税金等調整前当期純利益284,987千円(前年同期比49.7%減)、販売用不動産の売却が進んだことによるたな卸資産の減少額231,618千円(前連結会計年度は販売用不動産の仕入れがあったことから69,492千円の増加)があった一方、減少の要因として海外不動産事業における不動産売却にかかる売掛金の発生及び生命保険代理店事業における大口契約の発生による売上債権の増加額130,436千円(前年同期比64.9%増)、法人税等の支払額197,046千円(前年同期比95.4%増)があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は336,848千円(前連結会計年度は515,366千円の収入)となりました。これは主に、海外不動産事業において事業提携会社と共同で行う大型不動産販売プロジェクトへの貸付を行ったことによる短期貸付金の増加額132,638千円(前連結会計年度は別の大型不動産販売プロジェクトへの貸付金の回収があったことから484,300千円の減少)、海外不動産事業において不動産売却に伴う買主に対する長期貸付を行ったことによる長期貸付けによる支出112,633千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は157,846千円(前連結会計年度は162,389千円の支出)となりました。これは主に、外貨建債権の為替変動リスクに対して、外貨建借入を利用しての為替変動リスクヘッジを行ったことによる短期借入金の純増加額217,280千円(前連結会計年度は83,180千円の純減少)があった一方、約定弁済による長期借入金の返済による支出24,584千円(前年同期比29.1%減)、配当金の支払額22,850千円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはフィナンシャルパートナー事業の単一セグメントであるため、事業別に記載しております。
事業の名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
生命保険代理店業(千円)2,554,94695.4
損害保険代理店業(千円)172,763108.5
金融商品仲介業(千円)51,86291.0
住宅ローン代理業(千円)44,018103.5
不動産販売業(千円)326,917260.5
その他(千円)94,111121.7
合計(千円)3,244,620103.3

(注)1.最近2連結会計年度及び第20期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第18期連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第19期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第20期第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
メットライフ生命保険株式会社1,583,85050.41,538,68047.41,059,27041.1
マニュライフ生命保険株式会社258,4658.2335,30710.3246,5769.6

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(解約返戻引当金)
解約返戻引当金は、生命保険契約者の短期解約に伴い生命保険会社に対して返戻する代理店手数料の支払いに備えるため、過去3年間の生命保険会社への返戻額の実績を基礎にして返戻料率を算出し代理店手数料に乗じることで算定しております。
当該返戻額は、経済環境の悪化や生命保険契約者の個別的な理由等の外部要因により発生する可能性があり、将来的に発生する生命保険会社への返戻額の見積りは不確実性が高い領域であります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減少額を減損損失として計上しております。減損兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討してまいりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける主な資金需要としては、人件費等の営業費用、海外不動産販売業における不動産仕入及び大型不動産プロジェクトへの貸付金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としつつ、必要に応じて最適な方法による資金調達にて対応する方針であります。
資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉に流動性の確保を図っておりますが、より柔軟かつ安定的な流動性の確保を目的として、取引金融機関と総額500,000千円の当座貸越契約を締結しております。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。