有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/05/21 15:00
【資料】
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【項目】
122項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第20期事業年度(自 2019年7月1日 至 2020年6月30日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,537,891千円で前事業年度末に比べ122,622千円増加いたしました。これは主にモバイルエンジニアリングサービスの売上が増加したことに伴う売掛金を回収し、現金及び預金が110,982千円増加したことによるものであります。固定資産は158,243千円で前事業年度末に比べ20,142千円減少いたしました。これは主に自社開発システム等の減価償却費を計上したことによるものであります。
この結果、資産合計は、1,696,135千円となり前事業年度末に比べ102,479千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は960,223千円で前事業年度末に比べ92,495千円増加いたしました。これは主にモバイルエンジニアリングサービスの売上増加に伴いベイシスパートナーズへの業務委託費が増加したことにより買掛金が73,160千円増加したことによるものであります。固定負債は105,000千円で前事業年度末に比べ60,000千円減少いたしました。これは長期借入金を返済したことによるものであります。
この結果、負債合計は、1,065,223千円となり前事業年度末に比べ32,495千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、630,912千円で前事業年度末比69,983千円の増加となりました。これは、当期純利益を69,983千円計上したことによるものであります。この結果、自己資本比率は37.2%となり、1株当たり純資産額は403.89円となりました。
第21期第3四半期累計期間(自 2020年7月1日 至 2021年3月31日)
(資産)
当第3四半期末における流動資産は1,734,884千円で前事業年度に比べ196,992千円増加いたしました。これは主にモバイルエンジニアリングサービスの売上が増加したことにより売掛金が398,303千円増加したこと、及び仕掛品が101,013千円増加したこと、一方で短期借入金を200,000千円及び長期借入金を45,000千円返済したことにより現金及び預金が303,905千円減少したことによるものであります。
固定資産は184,283千円で前事業年度に比べ26,039千円増加いたしました。これは主に自社システムの開発でソフトウェアが13,586千円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は、1,919,167千円となり前事業年度に比べ223,032千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期末における流動負債は1,011,476千円で前事業年度に比べ51,253千円増加いたしました。これは主にモバイルエンジニアリングサービスの売上増加に伴いベイシスパートナーズへの業務委託費が増加したため買掛金が140,098千円増加したこと、税引前当期純利益の増加に伴い未払法人税等が95,871千円増加したこと、一方で短期借入金が200,000千円減少したことによるものであります。固定負債は60,000千円で前事業年度に比べ45,000千円減少いたしました。これは長期借入金を返済したことによるものであります。
この結果、負債合計は、1,071,476千円となり前事業年度に比べ6,253千円減少いたしました。
(純資産)
当第3四半期末における純資産合計は847,690千円となり、前事業年度末に比べ216,778千円増加いたしました。これは四半期純利益を216,778千円計上したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第20期事業年度(自 2019年7月1日 至 2020年6月30日)
当事業年度におけるわが国の経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症拡大の影響による企業収益の低下や雇用環境の悪化が続いており、極めて厳しい状況にあります。景気の先行きについては、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動レベルの段階的引き上げや各種政策の効果等により持ち直しの動きがみられました。
このような経済環境のもと、当社の事業領域である情報通信分野におきましては、通信事業者への5G周波数の割当及びサービス本格化への投資拡大、第4のキャリアのサービス開始に伴うエリア拡充に向け急ピッチで通信インフラの構築が進んでおり、足もとでは新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であります。
また、AI、IoT時代におけるビジネスモデルの変革やテクノロジーの進化に合わせて通信事業者による国内外のM&Aや新規事業の立ち上げも活性化しています。
通信事業者以外では、電力会社のスマートメーターの構築は概ね順調に進んでいるだけでなく、生活インフラ提供事業者のスマートメーター以外にも製造業や農業などあらゆる産業分野においてIoTインフラ及びサービスの導入が進んでいます。
このような経営環境のもとではありますが、中国で生産しているスマートメーターについては、新型コロナウイルス感染症の影響で部材が輸入されず、当社の事業においては、スマートメーター設置業務の現場稼働が抑制されました。
そのため、通信キャリアを顧客としたモバイルエンジニアリングサービスにおいては前年に比べ売上高は増加しましたが、新型コロナウイルスの影響でガス会社のスマートメーター設置は遅れ、電力会社のスマートメーター設置業務減少による売上の減少を埋められずIoTエンジニアリングサービスは前年に比べ売上高が減少しました。
また、通信事業者向けの作業効率化や世の中の働き方改革へのニーズの高まりを受け、RPAの体制を拡大し、その他サービスの売上高は前年に比べ増加しました。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高が3,263,020千円(前期比5.5%増)、営業利益は123,902千円(前期比13.8%増)、経常利益117,606千円(前期比15.9%増)、当期純利益69,983千円(前期比13.6%増)となりました。
第21期第3四半期累計期間(自 2020年7月1日 至 2021年3月31日)
当第3四半期累計期間(2020年7月1日から2021年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、政府による経済対策等により持ち直しの動きが見られましたが、感染再拡大によって、先行きの不透明感は一層強まってまいりました。
このような経済環境のもと、当社の事業領域である情報通信分野においては、通信キャリア各社が楽天モバイル株式会社に対応してグループのサブブランドを使った通信料の値下げを行っており、これにより将来のインフラ投資に影響を与える可能性がありますが今のところその影響は出ておりません。むしろ現状は5Gのインフラ投資が本格化しており、当社におきましてもモバイルエンジニアリングサービスは計画を上回る売上を計上しております。
一方で通信事業者以外では、IoTエンジニアリングサービスで展開しているスマートメーター設置サービスでは当事業年度上期は新型コロナウイルス感染症により中国で生産していた設置機器の物流の遅れによる一時的な機器の枯渇や、ガス会社の構造改善事業の開始が遅れる等の影響が見られ、遅れを取り戻すべく取り組んでまいりましたが挽回するには至らず計画未達となっております。
この結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高3,461,975千円、営業利益316,302千円、経常利益315,115千円、四半期純利益216,778千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第20期事業年度(自 2019年7月1日 至 2020年6月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度と比較して110,982千円増加し、期末残高は、764,026千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとお
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上計上からの入金サイクルが短い楽天モバイル株式会社との取引が増加したことで売掛金の回収が早期化された影響などもあり206,037千円の増加となりました。その他にも税引前当期純利益が117,719千円、仕入債務の増加が73,160千円、その他負債の増加が34,616千円となった一方で、売上債権の増加7,658千円及び未払金の減少16,864千円となったこと等を要因としたものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、35,055千円の支出となりました。これは主に自社利用ソフトウエアの開発により無形固定資産の取得による支出26,117千円、保険積立金の積立による支出10,013千円となったことを要因としたものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、60,000千円の支出となりました。これは長期借入金の返済による支出が60,000千円となったことを要因としたものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績は、次のとおりであります。
当事業年度
(自 2019年7月1日
至 2020年6月30日)
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
2,661,177-1,364,389-

(注)1.当社はインフラテック事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
当事業年度
(自 2019年7月1日
至 2020年6月30日)
金額(千円)前年同期比(%)
3,263,020105.5

(注)1.当社はインフラテック事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
2.最近2事業年度及び第21期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2018年7月1日
至 2019年6月30日)
当事業年度
(自 2019年7月1日
至 2020年6月30日)
第21期第3四半期累計期間
(自 2020年7月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
ソフトバンク株式会社1,110,70635.91,440,69044.21,405,58240.6
楽天モバイル株式会社--348,22610.7614,67117.8
東京電力パワーグリッド株式会社736,37723.8----

3.前事業年度の楽天モバイル株式会社及び当事業年度の東京電力パワーグリッド株式会社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
また、当社が行っております会計上の見積りのうち特に重要なものは、繰延税金資産の計上であり、当社は繰延税金資産の回収可能性について毎期検討を行っております。当社の繰延税金資産の回収可能額は、将来の課税所得の予測に大きく依存しておりますが、課税所得の予測は将来の事業環境や当社の事業活動の推移、その他の要因により変化いたします。将来、課税所得の予測に影響を与える諸要因に変化があり、当社が繰延税金資産の回収可能性がないと判断した場合には繰延税金資産を取り崩し、損益計算書の法人税等調整額が増加し、当期純利益が減少いたします。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
第20期事業年度(自 2019年7月1日 至 2020年6月30日)
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績
第20期事業年度(自 2019年7月1日 至 2020年6月30日)
(売上高)
当事業年度における売上高は、3,263,020千円(前期比5.5%増)となりました。主な要因は、携帯電話事業者のインフラ投資の復調と作業効率化を目的としたシステム開発を行ったことによります。一方、電力会社向けの売上については、電力会社のスマートメーター設置計画が減少したため前年に比べ減少となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、2,292,827千円(前期比13.4%増)となりました。主な要因は、給与手当の増加166,112千円、業務委託費の増加56,878千円であります。
この結果、売上総利益は970,193千円(前期比9.3%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、846,290千円(前期比12.0%減)となりました。主な要因は、給与手当の減少78,732千円、法定福利費の減少16,775千円であります。
この結果、営業利益は123,902千円(前期比13.8%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は、764千円(前期比7.7%増)、営業外費用は、7,061千円(前期比13.0%減)となりました。営業外費用の主な内訳は、支払利息6,954千円であります。
この結果、経常利益は117,606千円(前期比15.9%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別利益は、113千円となりました。また、法人税等(法人税等調整額を含む)は47,735千円となりました。
この結果、当事業年度の当期純利益は69,983千円(前期比13.6%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
e.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。 当社は、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した自己資金に加え、一部資金を銀行借入等により調達しており、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は764,026千円となっており、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しております。
f.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社の売上高は主にモバイルエンジニアリングサービスとIoTエンジニアリングサービスで構成されております。モバイルエンジニアリングサービスはストック案件の売上高が大半を締めており、その売上高は稼働人員数x平均単価で形成されております。そのため、①稼働人員数と②平均単価を事業拡大に係る重要な指標としております。また、IoTエンジニアリングサービスはフロー案件の売上高が大半を締めており、その売上高は設置台数x平均単価で形成されております。そのため、③設置台数と④平均単価を事業拡大に係る重要な指標としております。なお、過年度の各指標の推移は下記となります。
KPI第19期実績第20期実績第21期第3四半期累計実績
①稼働人員数2,948人3,393人3,223人
②平均単価626千円622千円620千円
③設置台数202千台124千台262千台
④平均単価2,480円1,827円1,562円