有価証券届出書(新規公開時)

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2021/11/17 15:00
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当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態の状況
第10期連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は58,023,861千円となり、前連結会計年度末に比べ5,515,195千円増加いたしました。これは主に合同会社サクシード四日市山田、多治見北小木匿名組合事業及びえびの匿名組合事業の発電所建設工事の進捗等による仕掛販売用発電所の増加6,416,285千円、ルーフエナジー匿名組合事業への追加出資等による営業投資有価証券の増加1,215,370千円、三重県津市島崎町発電所の取得による販売用発電所の増加359,631千円等によるものであります。
固定資産は5,369,039千円となり、前連結会計年度末に比べ2,509,110千円増加いたしました。これは主に販売用発電所及び仕掛販売用発電所の土地の保有目的変更等による土地の増加1,232,091千円、長期安定電源ファンド匿名組合事業への追加出資等による投資有価証券の増加118,775千円等によるものであります。
この結果、総資産は63,392,900千円となり、前連結会計年度末に比べ8,024,306千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は12,642,111千円となり、前連結会計年度末に比べ2,067,487千円減少いたしました。これは主にSJソーラー北海道匿名組合事業の発電所建設工事費用の支払等による買掛金の減少1,354,349千円、金融機関への借入金の返済等による1年内返済予定の長期借入金の減少862,380千円、金融機関への借入金の返済等による1年内返済予定のノンリコース長期借入金の減少615,443千円等によるものであります。
固定負債は44,434,861千円となり、前連結会計年度末に比べ8,336,899千円増加いたしました。これは主に発電所開発資金等の新規借入等による長期借入金7,416,925千円増加、多治見北小木匿名組合事業の発電所開発資金の追加借入等によるノンリコース長期借入金の増加1,404,312千円等によるものであります。
この結果、負債合計は57,076,973千円となり、前連結会計年度末に比べ6,269,412千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は6,315,927千円となり、前連結会計年度末に比べ1,754,893千円増加いたしました。これは主に関西電力株式会社に対して第三者割当増資により普通株式を発行したこと等による資本金及び資本準備金の増加990,000千円、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の売却等により資本剰余金が306,126千円増加、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加462,784千円等によるものであります。
この結果、自己資本比率は9.3%(前連結会計年度末は7.4%)となりました。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年9月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は96,947,813千円となり、前連結会計年度末に比べ38,923,952千円増加いたしました。これは主に多治見北小木発電所及び八戸是川発電所の商業運転開始に伴う仕掛販売用発電所からの振替等による販売用発電所が18,137,019千円増加、RJエネルギー新潟阿賀野匿名組合事業および一関大東匿名組合事業の新規連結等による仕掛販売用発電所が13,110,091千円増加したこと等によるものであります。
固定資産は12,601,036千円となり、前連結会計年度末に比べ7,231,997千円増加いたしました。これは主に赤芝水力発電株式会社の新規連結等による建物及び構築物が3,533,812千円増加、多治見北小木発電所用地の取得等による土地の増加が1,429,083千円増加、赤芝水力発電株式会社の新規連結等によるのれんが1,257,828千円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、109,548,849千円となり、前連結会計年度末に比べ46,155,949千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は21,110,362千円となり、前連結会計年度末に比べ8,468,251千円増加いたしました。これは主に金融機関からの新規借入等による1年内返済予定の長期借入金が6,005,302千円増加、金融機関からの新規借入等による1年内返済予定のノンリコース長期借入金が2,602,542千円増加したこと等によるものであります。
固定負債は78,606,157千円となり、前連結会計年度末に比べ34,171,295千円増加いたしました。これは主に金融機関からの新規借入等によるノンリコース長期借入金が23,697,974千円増加、金融機関からの新規借入等による長期借入金が9,159,078千円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、99,716,519千円となり、前連結会計年度末に比べ42,639,546千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は9,832,330千円となり、前連結会計年度末に比べ3,516,403千円増加いたしました。これは主にRJエネルギー新潟阿賀野の新規連結等による非支配株主持分が3,048,761千円増加、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により利益剰余金が566,825千円増加したこと等によるものであります。
②経営成績の状況
第10期連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、当初緩やかな景気回復の動きが見られたものの、米中の貿易摩擦や新型コロナウイルスによる影響の長期化による経済の下振れリスク等世界経済の不確実性の高まりもあり、今後の先行きは極めて不透明な状況となりました。
このような状況の中でも、再生可能エネルギー市場では、2020年6月に「エネルギー供給強靭化法」が成立した他、菅前首相による2020年10月の所信表明演説において、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言する等、再生可能エネルギー導入に対する政府の支援姿勢は継続しており、今後も再生可能エネルギー市場はより一層拡大していく見通しです。
経営理念である次の3つのミッションに基づき、事業に取り組んでおります。
(ⅰ)クオリティの高い再生可能エネルギー発電所をつくり、安全に運営します
当連結会計年度においては、130.5MWの運転開始案件の増加を実現しました。その結果、現在、当社は118箇所、729.2MW(契約締結ベース)を運営しております。
(ⅱ)金融のノウハウを活かし、再生可能エネルギーをひろげます
ポートフォリオ型私募ファンドを設立し、その資金調達において、金融ノウハウを生かしたプロジェクトボンドを発行いたしました。(対象12物件、ファンドの資産規模総額175億円、資金調達額145.0億円)
(ⅲ) 再生可能エネルギーで地域社会を元気にします
当社、東急不動産株式会社、大阪ガス株式会社、株式会社Looop、東京ガス株式会社の5社で、再生可能エネルギー事業者を中心に一丸となって再エネ発電所のある地域を応援し共に発展することを目指した新たな枠組み「FOURE(*Reciprocal and Regional Revitalization with Renewable energy:再生可能エネルギーを通じた互恵的な地方活性化:フォーレ)構想」の共同検討をスタート致しました。
当社は、既に資本業務提携している東急不動産株式会社、ENEOS株式会社に加えて、2020年7月には関西電力株式会社との間で資本業務提携を行う等、持続的な成長を目指し、パートナー企業との提携を継続して強化しております。
今後も当社グループの再生可能エネルギー事業に関する知見・ノウハウ・実績と合わせて、今後もクオリティの高い発電所の共同開発と安全な運営を進めてまいります。
当連結会計年度における当社グループの「再生可能エネルギー事業」は、運転開始済みの発電所に加えて130.5MWの運転開始案件の増加により売電収入や発電所運営管理報酬等が増加、2020年8月にポートフォリオ型私募ファンドへ当社グループの発電所(対象物件7件)を売却、また開発事業について気仙沼漆原匿名組合事業、一関大東匿名組合事業、吉野匿名組合事業及び気仙沼泉沢匿名組合事業等に対する報酬を計上しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は22,276,045千円(前期比8.1%増)、営業利益は1,673,354千円(同67.8%増)、経常利益は731,546千円(同131.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は462,784千円(同85.0%増)となりました。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年9月30日)
当第3四半期連結累計期間(2021年1月1日~2021年9月30日)における我が国の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症拡大が続く中、主として個人向けサービスや宿泊・飲食サービス等個人関連の業種などで低迷が続きましたが、ワクチン接種が進み、9月30日には全都道府県において緊急事態宣言が解除され、今後本格的な経済回復が期待されます。
このような状況の中、当社グループが位置する再生可能エネルギー事業においては、2020年10月26日の菅前政権発足後初の所信表明において、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとし、脱炭素(カーボンニュートラル)社会の実現を目指すこと、そのために、省エネルギーを徹底し再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、規制改革などの政策を総動員しグリーン投資の更なる普及を進めることなどが宣言されました。更に4月22日、菅前首相が政府の地球温暖化対策推進本部の会合において、2030年の温室効果ガスの削減目標を2013年度比で従来の26%減から46%減に大幅に積み増しすると発表しました。
10月には、第6次エネルギー基本計画が閣議決定され、2030年における全電源構成に占める再生可能エネルギーの割合が、従来の22~24%から、36~38%に引き上げられました。
また、2022年4月1日より施行が予定されている「強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」では、固定価格買取制度に加え、新たに市場価格に一定のプレミアムを上乗せして交付する制度(Feed in Premium制度)の創設、再生可能エネルギーの導入拡大に必要な地域間連系線等の系統増強の費用の一部を、全国における賦課金方式で支える制度の創設などがその骨子として盛り込まれています。再生可能エネルギー導入に対する政府の支援姿勢は継続しており、今後も再生可能エネルギー市場はより一層拡大していく見通しです。
当社グループは、経営理念である次の3つのミッションに基づき、事業に取り組んでいます。
(ⅰ)クオリティーの高い再生可能エネルギー発電所をつくり、安全に運営します
(ⅱ)金融のノウハウを活かし、再生可能エネルギーをひろげます
(ⅲ)再生可能エネルギーで地域社会を元気にします
当第3四半期連結累計期間における当社グループの事業においては、まず、電源多様化の一環として、赤芝水力発電株式会社の株式を取得しました。当社グループとして初となる水力発電所は、山形県西置賜郡に所在し、赤芝発電所と第二赤芝発電所の2設備で、発電した電力は当該地域で全量消費される地産地消型の重要な電源となっています。
太陽光発電所関連では、開発中太陽光発電所である阿賀野市山寺太陽光発電所を、第一生命保険株式会社と共同出資により取得しています。
また、太陽光発電所開発等の資金調達として、グリーンプロジェクトボンドを発行しました。岩手県一関市における開発資金として127億円、鹿児島県南九州市のプロジェクトに対して101.5億円、京都府南丹市のプロジェクトに対して47億円を調達しました。当社として10件目となるプロジェクトボンドの発行となり、発行総額は863億円となりました。
次に、固定価格買取制度(FIT制度)に依存しない再生可能エネルギー電源の普及・拡大に向け、2月に東京ガス株式会社との間で「非FIT太陽光発電所の電力購入契約」を締結するとともに、株式会社エコスタイルとの間で「業務連携協定書」を締結しました。EPC事業者である株式会社エコスタイルが開発する太陽光発電所を当社が取得し、発電した電力・環境価値を小売電気事業者である東京ガス株式会社へ販売します。本事業における太陽光発電所の規模は、合計500MWを目指しています。また、9月には第一生命保険株式会社との間で「オンサイト型コーポレートPPAに関する基本合意」を締結し、本基本合意は同社の営業拠点のビル屋上に当社が太陽光発電設備を設置し、同社の営業拠点へ電力を供給するといった計画となっています。同じく9月に北陸電力株式会社との間で「北陸地域における再生可能エネルギー事業に関する協定」を締結し、北陸地域における再生可能エネルギーの開発について協働して取り組んでまいります。
更に、再生可能エネルギー発電所のある地域を応援し共に発展していくことを目指し、当社及び東急不動産株式会社他、全10社により、「一般社団法人再生可能エネルギー地域活性協会(FOURE)」が設立され、当社も加入いたしました。
連結子会社関係では、小売電気事業者である株式会社みらい電力において、今冬の厳しい寒さや天候不順による電力需給の逼迫により、2021年1月の卸電力市場(スポット市場)の月間平均価格過去最高となるなどの影響を受け、収益環境は厳しいものとなりました。また、当社をメインスポンサーとする日本再生可能エネルギーインフラ投資法人が、稼働済太陽光発電所9物件を追加取得し、当該9物件に関し、当社がオペレーター業務を受託しました。
当社グループは、今後も再生可能エネルギー事業の拡大を通じてCO2削減に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は11,418,463千円、営業利益は1,708,950千円、経常利益は884,056千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は566,825千円となりました。
なお、当社グループは、再生可能エネルギー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ149,905千円減少し、12,056,085千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、当社は主に発電所の取得及び開発資金等で資金を使用したため、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっております。
営業活動の結果使用した資金は6,729,569千円(前年同期の使用した資金は12,609,543千円)となりました。これは主に増加要因として、税金等調整前当期純利益が754,665千円(前年同期比387,663千円増加)、減価償却費が1,308,391千円(前年同期比927,949千円増加)、未収消費税の減少額が1,227,073千円(前年同期は未収消費税の増加額が882,932千円)となった一方で、減少要因として、たな卸資産の増加額が7,791,840千円(前年同期比6,633千円減少)、仕入債務の減少額が1,353,198千円(前年同期は仕入債務の増加額が57,216千円)、営業投資有価証券の増加額が1,103,337千円(前年同期比12,285千円増加)となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,323,085千円(前年同期の使用した資金は389,925千円)となりました。これは主に増加要因として、投資有価証券の償還による収入が136,382千円(前年同期比66,890千円増加)となった一方で、減少要因として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の取得による支出が1,018,069千円(前年同期比972,277千円減少)、敷金及び保証金の差入による支出が384,242千円(前年同期比340,454千円増加)となったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は7,972,609千円(前年同期の得られた資金は20,189,100千円)となりました。これは主に増加要因として、長期借入れによる収入が20,919,800千円(前年同期比15,134,600千円減少)となった一方で、減少要因として、長期借入金の返済による支出が14,093,845千円(前年同期比5,201,844千円増加)となったこと等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、受注生産を行っていないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループは、再生可能エネルギー事業の単一セグメントであり、開発事業(ストック収入)、発電・運営事業(ストック収入)の第10期連結会計年度および第11期第3四半期連結累計期間の販売実績は、次のとおりであります。
(第10期連結会計年度)
売上高
(千円)
前年同期比
(%)
売上総利益
(千円)
前年同期比
(%)
開発事業(フロー)13,834,70787.12,859,87591.7
発電・運営事業
(ストック)
売電収入等6,041,417171.41,012,988770.0
AM133,502152.1133,502152.1
O&M921,794166.4394,053229.2
子会社1,344,624244.1367,767116.6
合計22,276,045108.14,768,186124.7

(第11期第3四半期連結累計期間)
売上高
(千円)
売上総利益
(千円)
開発事業(フロー)2,098,0861,679,925
発電・運営事業
(ストック)
売電収入等6,911,8541,954,737
AM95,40895,408
O&M872,003472,368
子会社1,441,109118,369
合計11,418,4634,320,809

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先第9期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第10期連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
第11期第3四半期
連結累計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人3,946,65919.2
合同会社RJソーラー3,027,08014.7
合同会社ミエトバ2,524,73812.3
合同会社RJソーラー211,869,92453.3
中部電力ミライズ株式会社1,606,82514.1

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り及び当該見積に用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表の作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更により、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定は慎重に検討しておりますが、将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
第10期連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ8.1%増加し、22,276,045千円となりました。これは主に、発電所の運転開始や稼働済み案件の取得による売電収入の増加2,517,292千円、販売用発電所売却による増加1,124,426千円等によるものであります。
(売上原価・売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度と比べ4.4%増加し、17,507,859千円となりました。これは主に、発電所の運転開始や稼働済み案件の取得により減価償却費が増加した影響等による売電原価の増加1,635,862千円、販売用発電所の売却による販売用発電所売却原価の増加690,241千円等によるものであります。
以上の結果、売上総利益は、前連結会計年度と比べ24.7%増加し、4,768,186千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ9.5%増加し、3,094,832千円となりました。これは主に業容拡大による人件費の増加287,197千円、新規事務所設立による地代家賃の増加25,719千円等によるものであります。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度と比べ67.8%増加し、1,673,354千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比べ51.8%減少し、93,281千円となりました。これは主に、受取保険金の減少105,112千円等によるものであります。また、営業外費用は、18.3%増加し、1,035,089千円となりました。発電所開発・新規取得に関連した資金調達に伴う支払利息の増加374,488千円等によるものであります。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度と比べ131.7%増加し、731,546千円となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益の計上により、24,757千円となりました。前連結会計年度に計上した契約解除益が当連結会計年度の計上はなかったこと等により、前年同期比で減少しました。また、特別損失は関係会社株式評価損の計上等により、1,637千円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ85.0%増加し、462,784千円となりました。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年9月30日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間の売上高は、発電所の運転開始や稼働済み案件の取得による売電収入、AM報酬及びO&M報酬といったストック型収益の増加等により、11,418,463千円となりました。
(売上原価・売上総利益)
当第3四半期連結累計期間の売上原価は、発電所の運転開始や稼働済み案件の取得により減価償却費が増加した影響等による売電原価の増加等により、7,097,653千円となりました。
以上の結果、売上総利益は4,320,809千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、業容拡大に伴う人件費の増加等により、2,611,859千円となりました。
以上の結果、営業利益は1,708,950千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第3四半期連結累計期間の営業外収益は、受取補償金を計上したこと等により166,067千円となりました。営業外費用は、支払利息が増加したこと等により、990,961千円となりました。
以上の結果、経常利益は884,056千円となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
当第3四半期連結累計期間の特別利益は、投資有価証券売却益を計上したこと等により、16,062千円となりました。また、特別損失は、固定資産除却損を計上したことにより、2,770千円となりました。
当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する当期純利益は、566,825千円となりました。
なお、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析等は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.資本の財源
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、太陽光発電所等の設備取得および子会社SPCに対する匿名組合出資資金が主なものであります。
これらの資金需要に対する資金財源は、手元資金、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により必要とする資金を調達しております。
なお、当面の資金繰りの為の資金は十分に確保していると判断しております。
b.資金の流動性に関する分析
週次で代表取締役社長含め関係者集めた資金繰会議及び月次での資金計画等により資金管理に努めており、また、複数の金融機関と、当座貸越契約締結やコミットメントライン等の確保により、必要に応じて資金調達ができる体制を整えることで十分な流動性を確保しております。
④経営上の目標及び達成状況の分析
当社グループは、多額の設備投資を必要とする発電事業の割合が高まっており、減価償却費等の割合が大きくなっています。減価償却費等の一過性の償却負担に過度に左右されることなく、株式価値の向上を目指すことが重要と認識していることから、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、EBITDAを目標とする経営指標としております。
今後もフロー収益とストック収益のバランスを取りながら、安定的なEBITDAの拡大を目指してまいります。
2016年12月期2017年12月期2018年12月期2019年12月期2020年12月期
EBITDA(百万円)4851,1182,0461,6583,103

(注)EBITDAは、経常利益+支払利息+支払手数料+減価償却費+のれん償却額+その他償却にて算出しています。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、再生可能エネルギー事業を展開しております。当社グループの経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥経営戦略の現状と見通し
当社グループが取り組む再生可能エネルギー事業は、従来は、垂直統合型のディベロッパーとして事業用土地の確保と測量、造成、発電所の設計・資材の調達・建設及び発電所の運営管理を一気通貫して行うこと、さらに再生可能エネルギー発電所の開発に必要な投資額を事業そのものから得られるキャッシュ・フローに依拠したノンリコース・ローンで資金調達して事業を推進するところに特徴がありました。また、再生可能エネルギー発電所開発・運営の事業性を様々なデータに基づき、精緻に分析して選定した上で開発し、竣工までの対価として得られる、開発報酬やEPC請負報酬を得ること、及び第三者への発電所の売却による売却収入を得ることによるフロー型ビジネスを強みにしてきました。
現在は、竣工後の発電事業のマネジメント業務として、発電所稼働期間において継続的に生じる自社グループ保有の売電収入、再生可能エネルギー発電所の保守・運営に係る管理報酬や、事業主体であるSPCの管理業務受託によるAM報酬、小売電気事業の収入、更に上場インフラファンドから賃借する再生可能エネルギー発電所のオペレーション業務に係る報酬等によるストック型ビジネスへシームレスに連携できる体制を構築しております。
当社グループは、フロー型のビジネスとストック型のビジネスを組合せて継続的な収益機会を確保しながら景気変動の影響を受けにくい強固な経営基盤を築いていく所存です。
⑦経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、直近の太陽光発電事業に対するビジネス環境の変化に鑑みますと、当社グループを取り巻く事業環境は、厳しさを増すことが予想されております。具体的には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。