有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/05/24 15:02
【資料】
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【項目】
143項目
当社グループ(当社及び連結子会社)の業績、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の分析
第18期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の鎮静化に向けた兆しが見られた一方で、我が国を含む世界各国では感染が再拡大しており、依然として収束の目途はたっておらず、経済活動に今後も一定の制約が課されるおそれがあり、不確実性に留意する必要がございます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう全国的なテレワークの普及に伴い、遠隔コミュニケーションの強化、データ・ナレッジ共有などのサービスの需要の高まりや、大手企業を中心に社内で活用していた各種コミュニケーションや情報共有をクラウドサービスに集約するといった動きが進展していているものと考えられ、今後もこの傾向は継続していくと予測しています。なお、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、社内外への感染防止と全従業員の安全確保を最優先とすべく、2020年4月より国内拠点に勤務する従業員は原則として在宅で業務を行ってまいりました。従来からテレワークをはじめ柔軟な働き方に対応した業務環境の整備等を推進していたということもあり、在宅勤務中心の事業活動体制へ比較的スムーズに移行しております。また、自社サービスの開発計画やクラウドサービス基盤の運用・保守体制等についても変更はなく、現時点において新型コロナウイルス感染症による事業活動、業績及び会計上の見積り等への重大な影響はないと考えております。
このような環境において、当社グループは「チームのコラボレーションを促進し、働くを楽しくするツールを提供する」という方針の下、プロジェクト管理ツール「Backlog」、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、ビジネスチャットツール「Typetalk」、組織の情報セキュリティ・ガバナンスを高めるツール「Nulab Pass」を提供してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高1,938,649千円(前年同期比22.3%増)、営業損失6,772千円(前年同期は39,847千円の営業損失)、経常損失8,522千円(前年同期は48,429千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は25,532千円(前年同期は52,915千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第19期第3四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞が続いており、新たな変異株による感染拡大や米国などの先進諸国における金融緩和の縮小といった要因により経済活動の先行きは不透明な状況となっております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう移動制限等が長期化する中で全国的にテレワークが定着する中、遠隔コミュニケーションの円滑化等のテレワークの実施に必要なツールや様々な業務のペーパレス化をサポートするツールの導入が進展しているものと考えられる一方、多くの企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が経営課題として意識されており、遠隔でのプロジェクト管理やコミュニケーションの強化、データ・ナレッジ共有等をサポートするサービスは今後も継続して需要が高まるものと想定しています。なお、当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、社内外への感染防止と全従業員の安全確保を最優先に掲げ、テレワークをはじめ柔軟な働き方に対応した業務環境の整備等を継続して行っております。このため、現時点において新型コロナウイルス感染症による事業活動、業績及び会計上の見積り等への重大な影響は軽微と考えております。
このような環境において、当社グループは「チームのコラボレーションを促進し、働くを楽しくするツールを提供する」という方針の下、プロジェクト管理ツール「Backlog」、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、ビジネスチャットツール「Typetalk」、組織の情報セキュリティ・ガバナンスを高めるツール「Nulab Pass」を提供してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高1,712,561千円、営業利益114,343千円、経常利益113,655千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は148,085千円となっております。
なお、当社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
第18期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末における資産総額は1,331,676千円となり、前連結会計年度末に比べ54,830千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が35,501千円、Backlogの利用増加により売掛金が21,740千円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債総額は1,149,018千円となり、前連結会計年度末に比べ89,983千円増加いたしました。これは主に長期借入金が95,058千円減少したものの、Backlogの利用増加により前受収益が164,517千円、広告宣伝費の支出増加により未払金が44,338千円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は182,657千円となり、前連結会計年度末に比べ35,152千円減少いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純損失の計上により、利益剰余金が25,532千円減少したことが主な要因です。
第19期第3四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産総額は1,512,685千円となり、前連結会計年度末に比べ181,009千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が95,256千円、サーバー費を年払いの契約へ変更したことにより、前払費用が52,875千円増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債総額は1,175,622千円となり、前連結会計年度末に比べ26,603千円増加いたしました。これは主に長期借入金が42,688千円、1年内返済予定の長期借入金が33,098千円減少したものの、Backlogの利用増加により前受収益が114,083千円増加したことによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は337,063千円となり、前連結会計年度末に比べ154,405千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が148,085千円増加したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
第18期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ35,501千円増加し、878,976千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失21,388千円はありましたが、Backlogなどのソフトウエアにかかる減価償却費66,896千円、主にパソコンなどの工具、器具及び備品にかかる減価償却費13,239千円、Backlogの利用増加による前受収益の増加額164,517千円などにより242,032千円の収入(前年同期比64,309千円増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金の回収による収入24,928千円はありましたが、主にソフトウエア及びソフトウエア仮勘定による無形固定資産の取得による支出74,326千円があり、全体として80,907千円の支出(前年同期比7,958千円増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出119,146千円等があったことにより119,656千円の支出(前年同期比497,038千円減少)となりました。

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
第18期連結会計年度及び第19期第3四半期連結累計期間の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。
サービスの名称第18期連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第19期第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
Backlog1,820,328122.41,611,023
Cacoo103,141116.184,620
Typetalk14,987148.412,318
Nulab Pass1904,598
合計1,938,649122.31,712,561

(注)1.当社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。
2.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実績等の記載は省略しております。
3.Nulab Passは第18期連結会計年度中に販売が開始されたものであるため、前年同期比(%)の記載はしておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
また、当社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第18期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
(売上高)
当社グループの主要サービスは、料金を顧客の使用期間及び使用容量、ユーザー数等に応じて定期定額契約(サブスクリプション)として課金することで、継続的な収益を獲得することができるものであるため、ARR、有料契約数及び解約率を指標として重視しております。
当連結会計年度における売上高は、積極的なマーケティング活動を行うことにより有料契約数が17,664件(Backlog11,534件、Cacoo5,963件、Typetalk156件、Nulab Pass11件)に増加した結果、1,938,649千円(前年同期比22.3%増)となりました。サービス別の売上高につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の実績」に記載しております。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、849,018千円(前年同期比5.9%増)となりましたが、売上原価率は前連結会計年度の50.6%から6.8ポイント改善し、43.8%となりました。これは、売上高の伸びに比して人材採用のペースを加速させなかったことによる売上原価の抑制等によるものであります。
この結果、売上総利益は1,089,630千円(前年同期比38.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業損失)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,096,403千円(前年同期比33.0%増)となりました。これは、テレビCMをはじめとするマーケティング施策の実施にともなう広告宣伝費の増加等によるものであります。
この結果、営業損失は6,772千円(前年同期は39,847千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損失)
当連結会計年度における営業外収益は5,281千円(前年同期は1,266千円)となりました。これは主に、補助金収入によるものであります。
また、営業外費用は7,031千円(前年同期は9,848千円)となりました。これは主に、支払利息及び為替差損によるものであります。
この結果、経常損失は8,522千円(前年同期は48,429千円の経常損失)となりました。
(特別損失及び親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度における特別損失は12,866千円となりました。これは、東京オフィスの移転にともなう固定資産除却損によるものであります。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は25,532千円(前年同期は52,915千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
第19期第3四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績等は、以下のとおりであります。
(売上高)
当第3四半期連結累計期間における売上高は1,712,561千円となりました。サービス別の売上高につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ④ 生産・受注及び販売の実績」に記載しております。
(売上原価及び売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上原価は681,145千円、売上原価率は39.8%となりました。これは主に、労務費等によるものであります。
この結果、売上総利益は1,031,415千円となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は917,072千円、売上高販管費率は53.5%となりました。これは主に、人件費や支払手数料、広告宣伝費等によるものであります。
この結果、営業利益は114,343千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当第3四半期連結累計期間における営業外収益は2,033千円となりました。これは主に、補助金収入によるものであります。また、営業外費用は2,721千円となりました。これは主に、支払利息及び為替差損によるものであります。
この結果、経常利益は113,655千円となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間における特別利益及び特別損失は発生しておりません。
法人税、住民税及び事業税を11,717千円、税効果会計による法人税等調整額を△46,146千円計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は148,085千円となりました。
なお、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析は「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの主な資金需要は、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には状況に応じて金融機関からの借入や各種資本政策等による資金調達で対応していくこととしております。
③ 経営戦略の現状と見通し
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、次のとおりであります。
当社グループは、「チームのコラボレーションを促進し、働くを楽しくする」というミッションを掲げ、企業や個人の生産性を向上させるべくクラウドサービス事業を拡大してきました。今後、当社グループが更なる事業拡大を図るためには、「第2 事業の状況 1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対処するため、経営者は最新のIT技術を探求し、あわせて事業環境を把握し、当社グループの強みであるスピード感ある実行力を発揮し、世界に向けて新しい価値を創造し続けていく方針であります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費、業務委託費等であります。資金の源泉と流動性を安定的に確保することを目的とし、資金需要の額や使途に合わせて自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。