有価証券報告書-第13期(2025/01/01-2025/12/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,648,439千円となり、前連結会計年度に比べ345,915千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金の減少379,466千円、売掛金の減少156,633千円、ソフトウエアの増加213,024千円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,062,657千円となり、前連結会計年度に比べ342,063千円の増加となりました。これは主に、短期借入金の増加300,000千円、長期借入金(1年以内返済予定含む)の増加37,064千円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は585,781千円となり、前連結会計年度に比べ687,979千円の減少となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失721,633千円を計上したことによる利益剰余金の減少、新株予約権行使に伴う新株発行により資本金が10,840千円、資本剰余金が10,840千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、賃上げの継続や雇用環境の改善を背景に、個人消費が底堅く推移するなど、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、海外経済の減速、米国の通商政策動向の不透明感、為替変動などの影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが関連するエネルギー業界においては、再生可能エネルギーの導入拡大が第7次エネルギー基本計画のもとで引き続き加速し、系統安定化に向けた蓄電システム及び分散型電源の整備が第4四半期以降一段と進展しております。また、電力需給逼迫リスクへの対応として、デマンドレスポンス(DR)支援サービスの活用が第3四半期以降さらに拡大し、需給調整力確保に向けた取り組みが一層強化されました。
こうした事業環境のもと、当社グループは、脱炭素社会の実現及びグリーントランスフォーメーション(GX)の推進を図るとともに、電力利用効率の向上に資する各種サービスの提供に注力してまいりました。具体的には、(ⅰ)消費者向け電力見える化サービスとして「ienowa(イエノワ)」、「enenowa(エネノワ)」及び「hitonowa(ヒトノワ)」、(ⅱ)電力事業者向けエネルギーマネジメントサービスとして、デマンドレスポンス(DR)支援サービス「BridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール)」、簡易電力見える化サービス「NILM Lite(ニルム ライト)」及び次世代(第2世代)スマートメーターに関連する受託開発等の取引拡大に努めました。
一方で、第4四半期に当社グループにおいて、主要取引先(大口顧客)である大手賃貸事業者との取引が当社グループの想定に反して急遽終了することとなり、これにより当該大口顧客向けの2025年12月期以降の「アップフロント」領域の売上及び2026年4月以降の「プラットフォーム・アプリ提供」領域の売上について、継続的な計上を見込めなくなりました。また、「プラットフォーム・アプリ提供」領域では、「NILM Lite」の引き合いは堅調であったものの、新規顧客の獲得及び導入スケジュールが後ろ倒しとなりました。さらに、「その他」領域では、各電力会社における次世代(第2世代)スマートメーターの導入計画自体は予定どおりであるものの、次世代(第2世代)スマートメーターのデータを活用する付随的な応用サービスの開発・導入スケジュールが後ろ倒しとなりました。
これらの状況を踏まえ、当社グループでは、収益基盤の安定化及び新たな収益創出力の向上を重要な経営課題として位置づけ、各種施策に取り組んでまいりました。
特に、電力需給逼迫リスクへの対応としてデマンドレスポンス(DR)支援サービスへの追い風が吹く中、「BridgeLAB DR」において、法人顧客が導入しやすい成果報酬型メニューを設定し、導入拡大を図りました。これにより、第4四半期の大幅伸長で、「BridgeLAB DR」の受注済契約数が前年の第4四半期比約2倍に増加いたしました。
加えて、「BridgeLAB DR」導入済法人顧客を起点に、DR運用で取得・蓄積されるデータをそのまま活用できることから、追加のデータ取得等を要さず導入できるアップセルとして、法人向けエネルギーマネジメント診断サービス及び「NILM Lite」による電力利用の簡易可視化・分析機能の開発・提供を進めました。
さらに、2024年12月に締結した株式会社フォーバルとの業務提携に関する契約に基づき、小規模法人向け脱炭素化支援サービスの商業展開を2025年12月に開始し、2026年12月期以降には全国展開を計画しております。
また、英国においては、2025年11月から、当社グループの技術・サービスを活用した「Budget Control(バジェット コントロール)」サービスを搭載するヒートポンプ(電気給湯器)製品ラインナップ「UP Series(アップ シリーズ)」の販売が、Daikin Airconditioning UK Ltd.により開始され、欧州における本格的な商業展開の第一歩となりました。
最後に、当社グループの中長期の成長戦略の中核をなす次世代(第2世代)スマートメーターに関しては、東京電力グループが次世代(第2世代)スマートメーターに関連する取り組みやカーボンニュートラルの実現に向けた各種施策を引き続き推進する中、当社グループは、東京電力グループとの合弁会社である株式会社エナジーゲートウェイを通じ、緊密な協力関係のもと、これらに関連するエネルギーインフラの開発を推進してまいりました。次世代(第2世代)スマートメーターのデータを活用した応用サービスの開発及び新規受託案件は一部で当初計画を下回ったものの、これまでの協働を礎に、東京電力グループとともに次世代(第2世代)スマートメーター時代に向けた取り組みを着実に進展させた意義ある一年となりました。
次世代(第2世代)スマートメーターの導入は、東京電力グループのみならず他エリアでも着実に前進しており、全国レベルでの本格展開に向けた環境が整いつつあります。実際に、関西電力送配電株式会社は2026年1月5日から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しており(出典:関西電力送配電株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2026年1月5日)、中部電力パワーグリッド株式会社も2026年1月から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しております(出典:中部電力パワーグリッド株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2025年12月8日)。こうした動きは、次世代(第2世代)スマートメーターを基盤とするデータ利活用・周辺サービスの需要拡大に向けた追い風となるものであり、当社グループは、この潮流を確実に捉え、事業機会の具体化及び収益化に向けて取り組んでまいります。
以上の結果、売上高は530,019千円(前年同期比46.0%減)、営業損失は628,704千円(前年同期は49,517千円の営業利益)、前述の大口顧客との取引終了を見据え、関連会社が保有するセンサー在庫について、その回収可能性を慎重に検討し、評価損を認識した結果、持分法による投資損失が61,133千円となったことを主因の一つとして、経常損失は717,785千円(前年同期は55,133千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は721,633千円(前年同期は56,471千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
なお、当社は、エナジー・インフォマティクス事業を単一セグメントで展開しているため、セグメント別の記載は省略しておりますが、事業領域は、事業を展開する地域により、①国内領域及び②海外領域に分かれております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は417,679千円となり、前連結会計年度末に比べ379,466千円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により使用した資金は、440,022千円(前年同期は12,509千円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費132,932千円、売上債権の減少158,985千円があった一方で、税金等調整前当期純損失720,683千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、284,922千円(前年同期は318,774千円の支出)となりました。
これは主に、無形固定資産の取得による支出264,751千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により得られた資金は344,277千円(前年同期は638,071千円の獲得)となりました。
これは主に、短期借入金の純増減額300,000千円、長期借入れによる収入400,000千円、長期借入金の返済による支出362,936千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりません。
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の国内領域及び海外領域をあわせた販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、収益区分ごとに売上高を記載しております。
(注) 1.金額は、売上高によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「アップフロント」は、未実現利益調整後の金額となっております。未実現利益の調整額は、株式会社エナジーゲートウェイの販売状況に影響を受けます。
4.その他の主なものは、次世代(第2世代)スマートメーターを中心とする受託開発です。
5.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績
各項目の経営成績の状況は、以下のとおりであります。
なお、当社グループは、エナジー・インフォマティクス事業を単一セグメントで展開しているため、セグメント別の記載は省略しておりますが、事業領域は、事業を展開する地域により、イ.国内領域及びロ.海外領域に分かれております。
(売上高)
イ.国内領域
「アップフロント」による売上高は、主要取引先(大口顧客)である大手賃貸事業者との取引が当社グループの想定に反して急遽終了することとなったものの、ハウスメーカーや住宅設備商社などへの電力センサーの販売が安定して継続し、需要の広がりを着実に捉えたことにより、15,091千円となりました。
また、「プラットフォーム・アプリ提供」による売上高は、「ienowa」、「enenowa」及び「hitonowa」が利用者数の増加を背景に順調に推移したことにより、299,950千円となりました。なお、「BridgeLAB DR」につきましては、成果報酬型メニューの導入により、受注済契約数が前年の第4四半期比で約2倍に増加するなど、取り組みの成果は既に出ておりますが、報酬金額の確定が2026年12月期後半に確定するため、売上・利益への本格的な貢献は2026年12月期後半を見込んでおります。
さらに、「その他」による売上高は、次世代(第2世代)スマートメーターに関連する受託開発を中心に201,791千円となりました。
この結果、当連結会計年度の国内領域の売上高は516,832千円となりました。
ロ.海外領域
2025年11月から、当社グループの技術・サービスを活用したDaikin Airconditioning UK Ltd.のヒートポンプ(電気給湯器)製品「UP Series」の英国販売が開始され、海外市場開拓が具体化いたしました。
この結果、当連結会計年度の海外領域の売上高は13,186千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は255,661千円となりました。これは、「アップフロント」の売上高において、センサー販売が発生しなかったことによる減少によるものであります。
この結果、売上総利益は274,358千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は903,062千円となりました。これは、管理費用の増加に加え、上場維持に係る費用の発生、上場準備期間中に抑制していた人件費の見直し(給与水準の適正化)に伴う人件費の増加及び外注費用の増加等によるものであります。
この結果、営業損失は628,704千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は587千円、営業外費用は89,669千円となりました。営業外費用の主なものとしては、前述の大口顧客との取引終了を見据え、関連会社が保有する電力センサー在庫について、当連結会計年度において回収可能性を慎重に検討し、評価損を認識した結果、当連結会計年度における持分法による投資損失として61,133千円を計上したことによるものであります。
この結果、経常損失は717,785千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は721,633千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資等を通して、安定的に開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、継続して企業価値を増加させるために、主に継続した技術開発や必要な運転資金となります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 継続企業の前提に関する重要事象等を改善するための対応策等
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (28)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当該事象を解決するための対応策を実施しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと認識しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業 の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載の通り、当社は、当社グループのSaaS型事業の成長率を正しく評価するための基準として、ARR(注1)を経営指標として位置付けております。
前連結会計年度末(2024年12月末)の数値は487百万円、当連結会計年度末(2025年12月末)の数値は、345百万円となっており、前年比で29.1%減となりました。この減少は、前述のとおり、当社グループの主要取引先(大口顧客)である大手賃貸事業者との取引が2026年3月末をもって終了することとなっていることに伴い、新規のユーザーの加入が停止した結果、退去等に伴うサービス加入者の自然減が発生していることにより、当該期間中に継続的な収益として計上される金額が抑えられたことによるものです。この取引の終了により2026年4月以降、ARRは一時的に大きく減少する見込みですが、「ienowa」による収入増及び成果報酬型メニューで受注した「BridgeLAB DR」による収入が2026年12月期後半から売上及び利益に本格的に寄与することにより、2026年12月期後半に向け回復していく見込みです。
注1 ARR(Annual Recurring Revenue):日本語で「年次経常収益」と呼ばれ、毎年繰り返し得られる収益・売上のことをいい、各期末の直前の6か月間のMRR(注2)の平均値を12倍して算出しております。
注2 MRR(Monthly Recurring Revenue):日本語で「月次経常収益」と呼ばれ、毎月繰り返し得られる収益・売上のことをいい、当社グループでは、「プラットフォーム・アプリ提供」に区分される収益・売上に加え、「その他」に区分される収益・売上のうち、繰り返し得られる収益・売上も含んでおります。
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,648,439千円となり、前連結会計年度に比べ345,915千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金の減少379,466千円、売掛金の減少156,633千円、ソフトウエアの増加213,024千円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,062,657千円となり、前連結会計年度に比べ342,063千円の増加となりました。これは主に、短期借入金の増加300,000千円、長期借入金(1年以内返済予定含む)の増加37,064千円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は585,781千円となり、前連結会計年度に比べ687,979千円の減少となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失721,633千円を計上したことによる利益剰余金の減少、新株予約権行使に伴う新株発行により資本金が10,840千円、資本剰余金が10,840千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、賃上げの継続や雇用環境の改善を背景に、個人消費が底堅く推移するなど、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、海外経済の減速、米国の通商政策動向の不透明感、為替変動などの影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが関連するエネルギー業界においては、再生可能エネルギーの導入拡大が第7次エネルギー基本計画のもとで引き続き加速し、系統安定化に向けた蓄電システム及び分散型電源の整備が第4四半期以降一段と進展しております。また、電力需給逼迫リスクへの対応として、デマンドレスポンス(DR)支援サービスの活用が第3四半期以降さらに拡大し、需給調整力確保に向けた取り組みが一層強化されました。
こうした事業環境のもと、当社グループは、脱炭素社会の実現及びグリーントランスフォーメーション(GX)の推進を図るとともに、電力利用効率の向上に資する各種サービスの提供に注力してまいりました。具体的には、(ⅰ)消費者向け電力見える化サービスとして「ienowa(イエノワ)」、「enenowa(エネノワ)」及び「hitonowa(ヒトノワ)」、(ⅱ)電力事業者向けエネルギーマネジメントサービスとして、デマンドレスポンス(DR)支援サービス「BridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール)」、簡易電力見える化サービス「NILM Lite(ニルム ライト)」及び次世代(第2世代)スマートメーターに関連する受託開発等の取引拡大に努めました。
一方で、第4四半期に当社グループにおいて、主要取引先(大口顧客)である大手賃貸事業者との取引が当社グループの想定に反して急遽終了することとなり、これにより当該大口顧客向けの2025年12月期以降の「アップフロント」領域の売上及び2026年4月以降の「プラットフォーム・アプリ提供」領域の売上について、継続的な計上を見込めなくなりました。また、「プラットフォーム・アプリ提供」領域では、「NILM Lite」の引き合いは堅調であったものの、新規顧客の獲得及び導入スケジュールが後ろ倒しとなりました。さらに、「その他」領域では、各電力会社における次世代(第2世代)スマートメーターの導入計画自体は予定どおりであるものの、次世代(第2世代)スマートメーターのデータを活用する付随的な応用サービスの開発・導入スケジュールが後ろ倒しとなりました。
これらの状況を踏まえ、当社グループでは、収益基盤の安定化及び新たな収益創出力の向上を重要な経営課題として位置づけ、各種施策に取り組んでまいりました。
特に、電力需給逼迫リスクへの対応としてデマンドレスポンス(DR)支援サービスへの追い風が吹く中、「BridgeLAB DR」において、法人顧客が導入しやすい成果報酬型メニューを設定し、導入拡大を図りました。これにより、第4四半期の大幅伸長で、「BridgeLAB DR」の受注済契約数が前年の第4四半期比約2倍に増加いたしました。
加えて、「BridgeLAB DR」導入済法人顧客を起点に、DR運用で取得・蓄積されるデータをそのまま活用できることから、追加のデータ取得等を要さず導入できるアップセルとして、法人向けエネルギーマネジメント診断サービス及び「NILM Lite」による電力利用の簡易可視化・分析機能の開発・提供を進めました。
さらに、2024年12月に締結した株式会社フォーバルとの業務提携に関する契約に基づき、小規模法人向け脱炭素化支援サービスの商業展開を2025年12月に開始し、2026年12月期以降には全国展開を計画しております。
また、英国においては、2025年11月から、当社グループの技術・サービスを活用した「Budget Control(バジェット コントロール)」サービスを搭載するヒートポンプ(電気給湯器)製品ラインナップ「UP Series(アップ シリーズ)」の販売が、Daikin Airconditioning UK Ltd.により開始され、欧州における本格的な商業展開の第一歩となりました。
最後に、当社グループの中長期の成長戦略の中核をなす次世代(第2世代)スマートメーターに関しては、東京電力グループが次世代(第2世代)スマートメーターに関連する取り組みやカーボンニュートラルの実現に向けた各種施策を引き続き推進する中、当社グループは、東京電力グループとの合弁会社である株式会社エナジーゲートウェイを通じ、緊密な協力関係のもと、これらに関連するエネルギーインフラの開発を推進してまいりました。次世代(第2世代)スマートメーターのデータを活用した応用サービスの開発及び新規受託案件は一部で当初計画を下回ったものの、これまでの協働を礎に、東京電力グループとともに次世代(第2世代)スマートメーター時代に向けた取り組みを着実に進展させた意義ある一年となりました。
次世代(第2世代)スマートメーターの導入は、東京電力グループのみならず他エリアでも着実に前進しており、全国レベルでの本格展開に向けた環境が整いつつあります。実際に、関西電力送配電株式会社は2026年1月5日から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しており(出典:関西電力送配電株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2026年1月5日)、中部電力パワーグリッド株式会社も2026年1月から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しております(出典:中部電力パワーグリッド株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2025年12月8日)。こうした動きは、次世代(第2世代)スマートメーターを基盤とするデータ利活用・周辺サービスの需要拡大に向けた追い風となるものであり、当社グループは、この潮流を確実に捉え、事業機会の具体化及び収益化に向けて取り組んでまいります。
以上の結果、売上高は530,019千円(前年同期比46.0%減)、営業損失は628,704千円(前年同期は49,517千円の営業利益)、前述の大口顧客との取引終了を見据え、関連会社が保有するセンサー在庫について、その回収可能性を慎重に検討し、評価損を認識した結果、持分法による投資損失が61,133千円となったことを主因の一つとして、経常損失は717,785千円(前年同期は55,133千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は721,633千円(前年同期は56,471千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
なお、当社は、エナジー・インフォマティクス事業を単一セグメントで展開しているため、セグメント別の記載は省略しておりますが、事業領域は、事業を展開する地域により、①国内領域及び②海外領域に分かれております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は417,679千円となり、前連結会計年度末に比べ379,466千円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により使用した資金は、440,022千円(前年同期は12,509千円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費132,932千円、売上債権の減少158,985千円があった一方で、税金等調整前当期純損失720,683千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、284,922千円(前年同期は318,774千円の支出)となりました。
これは主に、無形固定資産の取得による支出264,751千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により得られた資金は344,277千円(前年同期は638,071千円の獲得)となりました。
これは主に、短期借入金の純増減額300,000千円、長期借入れによる収入400,000千円、長期借入金の返済による支出362,936千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりません。
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 仕入商品 | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) |
| 電力センサー及び付属部品 | 114,789 | 92.5 |
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の国内領域及び海外領域をあわせた販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、収益区分ごとに売上高を記載しております。
| 売上区分 | 売上高(千円) | 前年同期比(%) |
| アップフロント | 15,091 | △92.9 |
| プラットフォーム・アプリ提供 | 309,883 | △16.0 |
| その他 | 205,045 | △49.0 |
| 合計 | 530,019 | △46.0 |
(注) 1.金額は、売上高によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「アップフロント」は、未実現利益調整後の金額となっております。未実現利益の調整額は、株式会社エナジーゲートウェイの販売状況に影響を受けます。
4.その他の主なものは、次世代(第2世代)スマートメーターを中心とする受託開発です。
5.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) | ||
| 販売高 (千円) | 割合 (%) | 販売高 (千円) | 割合 (%) | |
| 株式会社エナジーゲートウェイ | 665,413 | 67.7 | 311,839 | 58.8 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績
各項目の経営成績の状況は、以下のとおりであります。
なお、当社グループは、エナジー・インフォマティクス事業を単一セグメントで展開しているため、セグメント別の記載は省略しておりますが、事業領域は、事業を展開する地域により、イ.国内領域及びロ.海外領域に分かれております。
(売上高)
イ.国内領域
「アップフロント」による売上高は、主要取引先(大口顧客)である大手賃貸事業者との取引が当社グループの想定に反して急遽終了することとなったものの、ハウスメーカーや住宅設備商社などへの電力センサーの販売が安定して継続し、需要の広がりを着実に捉えたことにより、15,091千円となりました。
また、「プラットフォーム・アプリ提供」による売上高は、「ienowa」、「enenowa」及び「hitonowa」が利用者数の増加を背景に順調に推移したことにより、299,950千円となりました。なお、「BridgeLAB DR」につきましては、成果報酬型メニューの導入により、受注済契約数が前年の第4四半期比で約2倍に増加するなど、取り組みの成果は既に出ておりますが、報酬金額の確定が2026年12月期後半に確定するため、売上・利益への本格的な貢献は2026年12月期後半を見込んでおります。
さらに、「その他」による売上高は、次世代(第2世代)スマートメーターに関連する受託開発を中心に201,791千円となりました。
この結果、当連結会計年度の国内領域の売上高は516,832千円となりました。
ロ.海外領域
2025年11月から、当社グループの技術・サービスを活用したDaikin Airconditioning UK Ltd.のヒートポンプ(電気給湯器)製品「UP Series」の英国販売が開始され、海外市場開拓が具体化いたしました。
この結果、当連結会計年度の海外領域の売上高は13,186千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は255,661千円となりました。これは、「アップフロント」の売上高において、センサー販売が発生しなかったことによる減少によるものであります。
この結果、売上総利益は274,358千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は903,062千円となりました。これは、管理費用の増加に加え、上場維持に係る費用の発生、上場準備期間中に抑制していた人件費の見直し(給与水準の適正化)に伴う人件費の増加及び外注費用の増加等によるものであります。
この結果、営業損失は628,704千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は587千円、営業外費用は89,669千円となりました。営業外費用の主なものとしては、前述の大口顧客との取引終了を見据え、関連会社が保有する電力センサー在庫について、当連結会計年度において回収可能性を慎重に検討し、評価損を認識した結果、当連結会計年度における持分法による投資損失として61,133千円を計上したことによるものであります。
この結果、経常損失は717,785千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は721,633千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資等を通して、安定的に開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、継続して企業価値を増加させるために、主に継続した技術開発や必要な運転資金となります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 継続企業の前提に関する重要事象等を改善するための対応策等
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (28)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当該事象を解決するための対応策を実施しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと認識しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業 の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載の通り、当社は、当社グループのSaaS型事業の成長率を正しく評価するための基準として、ARR(注1)を経営指標として位置付けております。
前連結会計年度末(2024年12月末)の数値は487百万円、当連結会計年度末(2025年12月末)の数値は、345百万円となっており、前年比で29.1%減となりました。この減少は、前述のとおり、当社グループの主要取引先(大口顧客)である大手賃貸事業者との取引が2026年3月末をもって終了することとなっていることに伴い、新規のユーザーの加入が停止した結果、退去等に伴うサービス加入者の自然減が発生していることにより、当該期間中に継続的な収益として計上される金額が抑えられたことによるものです。この取引の終了により2026年4月以降、ARRは一時的に大きく減少する見込みですが、「ienowa」による収入増及び成果報酬型メニューで受注した「BridgeLAB DR」による収入が2026年12月期後半から売上及び利益に本格的に寄与することにより、2026年12月期後半に向け回復していく見込みです。
注1 ARR(Annual Recurring Revenue):日本語で「年次経常収益」と呼ばれ、毎年繰り返し得られる収益・売上のことをいい、各期末の直前の6か月間のMRR(注2)の平均値を12倍して算出しております。
注2 MRR(Monthly Recurring Revenue):日本語で「月次経常収益」と呼ばれ、毎月繰り返し得られる収益・売上のことをいい、当社グループでは、「プラットフォーム・アプリ提供」に区分される収益・売上に加え、「その他」に区分される収益・売上のうち、繰り返し得られる収益・売上も含んでおります。