有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/08/09 15:00
【資料】
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【項目】
134項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第22期事業年度(自 2020年12月1日 至 2021年11月30日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じるとともに、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、経済活動の正常化が見込まれているものの、新たな変異株による感染例が報告されるなど、依然として国内外の感染症の動向は楽観視できない状況が続いており、先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社は感染症対策によるリモートワーク需要、電子商取引の需要増などへの対応をおこなってまいりました。年度後半におきましては、当社の主要顧客であるシステム開発企業やシステムインテグレーターを中心にITエンジニアの高い需要があり、計画以上にエンジニアを採用することで稼働数の増加に努めてまいりました。また、新卒社員の早期稼働を図りました。
これらの結果、売上高は7,243,666千円(前期比8.6%増)、営業利益は341,780千円(同17.5%増)、経常利益は363,217千円(同19.5%増)、当期純利益は275,896千円(同16.7%増)となりました。
なお、当社は先端エンジニアリング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第23期第2四半期累計期間(自 2021年12月1日 至 2022年5月31日)
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症変異株による再拡大に対してまん延防止等重点措置が発令されました。また、原油価格や原材料価格の高騰によるインフレ懸念やロシアによるウクライナ侵攻等、先行き不透明な状態が続いております。
このような中、当社の先端エンジニアリング事業においては、慢性的なIT人材不足に伴う企業によるIT人材に対する高い需要が継続していることから、オンサイト型開発支援業務、受託開発業務とも増加しました。一方で、企業からの高い需要に応えるため積極的にエンジニアを採用したことに伴い、人件費を中心に売上原価は増加しました。
これらの結果、売上高は3,939,222千円、営業利益は250,134千円、経常利益は253,274千円、四半期純利益は172,718千円となりました。
当社は先端エンジニアリング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。


② 財政状態の状況
第22期事業年度(自 2020年12月1日 至 2021年11月30日)
(資産)
当事業年度末の流動資産合計は、前事業年度末と比べ25,965千円減少し、2,870,645千円となりました。主な要因は、売掛金が161,272千円増加し、電子記録債権が48,919千円増加しましたが、現金及び預金が203,262千円減少し、仕掛品が46,615千円減少したことによるものであります。固定資産合計は289,678千円となり、前事業年度末に比べ43,973千円減少いたしました。主な要因は、助成金の税務上の収益計上時期の差異、事業税の損金計上時期の差異等により繰延税金資産が22,687千円減少し、品川開発センターの移転に伴い敷金差入保証金が9,183千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は3,160,323千円となり、前事業年度末に比べ69,938千円減少いたしました。
(負債)
当事業年度末の流動負債合計は、前事業年度末と比べ83,808千円減少し、997,012千円となりました。主な要因は、未払金が49,850千円増加し、未払費用が32,167千円増加しましたが、未払法人税等が83,190千円減少し、未払消費税等が82,655千円減少したことによるものであります。
当事業年度末の固定負債合計は207,600千円となり、前事業年度末に比べ8,887千円減少いたしました。これは主に退職金の支給に伴い役員退職慰労引当金が7,887千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は1,204,612千円となり、前事業年度末に比べ92,696千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比べ22,757千円増加し、1,955,711千円となりました。主な要因は、繰越利益剰余金が145,496千円増加しましたが、自己株式が122,739千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は61.9%(前事業年度末は59.8%)となりました。
第23期第2四半期累計期間(自 2021年12月1日 至 2022年5月31日)
(資産) 当第2四半期会計期間末の流動資産合計は、前事業年度末と比べ422,819千円増加し、3,293,464千円となりました。主な要因は、現金及び預金が419,866千円増加し、売掛金が15,926千円増加し、電子記録債権が1,483千円減少し、前払費用が9,338千円増加し、未収入金が5,224千円減少し、立替金が12,429千円減少したことによるものであります。
固定資産合計は454,907千円となり、前事業年度末に比べ165,229千円増加いたしました。これは主に繰延税金資産が172,280千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は3,748,372千円となり、前事業年度末に比べ588,049千円増加いたしました。
(負債) 当第2四半期会計期間末の流動負債合計は、前事業年度末と比べ546,200千円増加し、1,543,212千円となりました。主な要因は、未払法人税等が229,925千円増加し、未払費用が417,898千円増加し、未払消費税等が12,760千円減少し、預り金が68,553千円減少し、未払金が39,887千円減少し、未払賃金給与が21,969千円減少したこと等によるものであります。
固定負債合計は214,647千円となり、前事業年度末に比べ7,047千円増加いたしました。これは主に役員退職慰労引当金が7,314千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は1,757,860千円となり、前事業年度末に比べ553,248千円増加いたしました。
(純資産) 当第2四半期会計期間末の純資産合計は、前事業年度末と比べ34,801千円増加し、1,990,512千円となりました。これは四半期純利益172,718千円の計上、剰余金の配当137,916千円の支出等によるものであります。
この結果、自己資本比率は53.1%(前事業年度末は61.9%)となりました。

③ キャッシュ・フローの状況
第22期事業年度(自 2020年12月1日 至 2021年11月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べ203,262千円減少し、1,719,471千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果、得られた資金は64,015千円となりました。これは主に税引前当期純利益を398,299千円計上したこと、法人税等の支払額183,264千円、売上債権の増加210,192千円によるものであります。以上の結果、全体で前期比84.9%減となりましたが、新規採用活動に注力したことに伴う採用宣伝費等の諸費用の増加が主な原因として挙げられます。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果、使用した資金は12,206千円(前期比68.6%減)となりました。これは主に有形固定資産(本社内のネットワーク整備費)の取得による支出8,047千円、無形固定資産(自社利用ソフトウエア)の取得による支出4,448千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果、使用した資金は255,071千円(前期比101.6%増)となりました。これは主に配当金の支払額130,400千円、自己株式の取得による支出122,739千円によるものであります。
第23期第2四半期累計期間(自 2021年12月1日 至 2022年5月31日)
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した収入は530,523千円となりました。これは、主に税引前四半期純利益253,274千円に未払費用の増加額417,897千円等を加算し、その他流動負債の減少額135,576千円を差し引いた結果によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は132千円となりました。これは、主にその他の投資(敷金の支払い)の増加による支出960千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は110,525千円となりました。これは、主に配当の支払額109,754千円によるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社の提供する事業の性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当社は、提供するサービスの大部分がオンサイト型開発支援であるため、受注実績については記載を省略しております。
c 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は先端エンジニアリング事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
先端エンジニアリング事業7,243,6668.6
合計7,243,6668.6

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度及び第23期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第21期事業年度第22期事業年度第23期第2四半期
累計期間
(自 2019年12月1日
至 2020年11月30日)
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
(自 2021年12月1日
至 2022年5月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
株式会社アルファシステムズ897,58513.51,043,59914.4624,31015.8

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであり、将来に関する事項は不確実性を重視しており、実際の結果と異なる可能性もありますのでご留意ください。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績の分析
第22期事業年度(自 2020年12月1日 至 2021年11月30日)
当社の当事業年度の経営成績について、売上高は7,243,666千円(前年同期比8.6%増)となりました。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の制限による影響はありましたが、既存顧客との取引強化をはじめ、サービス強化のためのエンジニア採用及びエンジニアの稼働時間が増加したことにより増加しました。
売上原価は5,533,880千円(同6.7%増)となりました。顧客のエンジニアに対する高い需要に応えるためのエンジニア数の増加及び低採算の案件でも積極的に受注したことやリモートワーク環境を整備し顧客からの在宅勤務ニーズに対応したことに伴いエンジニアの稼働時間が増加したことにより増加しました。
販売費及び一般管理費は1,368,005千円(同13.5%増)となりました。顧客のエンジニアに対する高い需要に応えるためのエンジニア採用に伴い採用関連費が増加したことにより、売上高に対する構成比率は18.9%(同0.8ポイント増)となりました。
営業利益及び経常利益は、売上高の増加により増益になりました。営業利益は341,780千円(同17.5%増)、経常利益は363,217千円(同19.5%増)となり、当期純利益は275,896千円(同16.7%増)となりました。
第23期第2四半期累計期間(自 2021年12月1日 至 2022年5月31日)
当社の当第2四半期累計期間の経営成績について、売上高は3,939,222千円となりました。新型コロナウイルス感染症変異株による再拡大に対してまん延防止等重点措置が発令されました。また、原油価格や原材料価格の高騰によるインフレ懸念やロシアによるウクライナ侵攻等、先行き不透明な状態が続いております。このような中、当社の先端エンジニアリング事業においては、慢性的なIT人材不足に伴う企業によるIT人材に対する高い需要が継続していることから、オンサイト型開発支援業務、受託開発業務とも増加しました。
売上原価は2,982,823千円となりました。顧客のエンジニアに対する高い需要に応えるためのエンジニア数の増加により労務費は増加しましたが、専門的な技術を有するエンジニアを中心とした採用を行うことによりエンジニアの非稼働期間が抑制されたことで稼働率が向上し、売上高に対する構成比率は75.8%となりました。
販売費及び一般管理費は706,263千円となりました。顧客のエンジニアに対する高い需要に応えるためのエンジニア採用に伴い採用関連費が増加しましたが、社内業務の電子化等の業務効率化に取り組むことで労務費の上昇を抑制したことにより、売上高に対する構成比率は17.9%となりました。
営業利益及び経常利益は、売上高の増加により、営業利益は250,134千円、経常利益は253,274千円となり、四半期純利益は172,718千円となりました。
(b) 財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。
(c) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、景気動向や市場環境の変化、法的規制、同業他社、人材等の様々なリスク要因があると認識しております。詳細については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
(d) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりとなります。
資本政策につきましては、内部留保の充実を図るとともに、経営基盤の長期安定に向けた財務体制の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させることと、株主への利益還元を考慮し、実施していくこととしております。
また、株主還元の方針については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
当社の資金需要の主なものは、主たる事業である先端エンジニアリング事業に係る人件費の他、販売費及び一般管理費の採用紹介料、人件費等の事業に係る運転資金であります。
当社は必要になった資金について、内部留保と営業活動によるキャッシュ・フローで賄っております。また、借入金等の負債はございません。
当事業年度末における有利子負債はリース債務のみとなっており、その残高は1,455千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,719,471千円となっております。
なお、必要資金を適時に確保する体制として、金融機関と当座貸越契約を締結しております。
③ 重要な会計上の見積もり及び当該見積もりに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、報告期間における収益・費用の報告値に影響を与える見積及び予測を行わなければなりません。見積特有の不確実性が存在するため、結果として見積と実績が異なる場合があります。
当社の財政状態及び経営成績にとって重要であり、かつ、相当程度の経営判断や見積を必要とする重要な会計方針について、以下のとおり説明いたします。
(a) 貸倒引当金(債権の回収可能性)
当社は、売上債権その他これに準ずる債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、又、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。相手先の財政状態が悪化しその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生することにより、当社の業績又は財政状態に影響を与える可能性があります。
(b) 繰延税金資産
繰延税金資産の回収可能性に関しては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(c) 役員退職慰労引当金
当社は、役員の退職慰労金の支出に備えるため、当社内規に基づき役員の在任期間に対応する役員退職慰労引当金を計上しております。
(d) 受注損失引当金
受注損失引当金に関しては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(e) 固定資産の減損損失
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから
得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減
額し当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたって
は慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更
が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
④ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の分析
経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 」に記載のとおり、売上高成長率及び経常利益成長率を経営指標として重視しております。また、エンジニア数、稼働率、一人当たり売上高を経営指標の目標達成状況を計るためのKPIとしております。