有価証券報告書-第12期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/23 9:59
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①人的資本に関する戦略
当社グループは、多様な社員や組織が互いに高め合い協力することが、最先端の技術力やグローバルな開発競争力を向上させ、さらには、持続的成長の基盤となり、当社グループのミッション「Together with our global partners, we bring innovation to everyone everywhere.」の実現につながると考えます。
「人材こそが企業価値の源泉である」という信念のもと、「人材育成」、「人権/ダイバーシティ&インクルージョン」、「安全衛生」、「健康経営」に注力し、多様な人材が最大限に能力を発揮できる環境づくりとその成長支援を積極的に推進しています。
こうした考えのもと、当社グループでは、事業特性に即した人材戦略の強化を重視しています。
当社グループは、カスタムSoCの設計・開発を中核とする事業を展開しており、エンジニアをはじめとする高度な専門性と創造性を有する人材こそが、持続的な成長および競争優位性の源泉であると考えています。技術革新のスピードが加速し、半導体産業を取り巻く競争環境が一層厳しさを増す中で、人材への投資は中長期的な企業価値向上に不可欠な取り組みであると認識しています。
一方で、当社グループのエンジニアの年齢構成は相対的にシニア層の比率が高く、今後、一定数のエンジニアが毎年退職を迎える局面にあります。このため、当社グループとして、将来的にエンジニア数が減少する可能性があると認識しており、こうした構造的な課題に対応しながら人的資本の持続性をいかに確保していくかが、当社グループの中長期的な成長に直結する重要な経営課題の一つと考えています。
さらに、当社グループでは、高度な設計・開発力を要する多数の商談を獲得しており、今後、複数の開発プロジェクトが同時並行で進行します。このため、各プロジェクトを着実に進めていくためには、従来以上にエンジニアリソースの確保が求められ、さらに各エンジニアの保有スキルの高度化およびマルチ化が必要になると考えています。このため、人材確保・人材育成が進まない場合、実際に保有するエンジニアリソースと、事業成長に伴い必要となるリソースとの間に乖離が生じる可能性があります。
これらの認識を踏まえ、当社グループでは、マテリアリティとして「人材確保・リテンションおよび人材育成」並びに「社員のエンパワーメント・エンゲージメント」を定めるとともに、「人材確保」「人材育成」および「開発生産性の高度化」を人的資本戦略の中核に位置づけ、人的資本の質と量の中長期的な安定化を図っています。特に、2026年3月期においては、将来の事業成長を支える人材基盤の強化を目的として、「人材育成」に重点を置いた取り組みを推進してきました。
当社グループは、人的資本への戦略的な取り組みを通じて、技術開発力の強化と事業成長の両立を図るとともに、社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境の整備を進めており、人材への継続的な投資を通じて、持続可能な成長と企業価値の向上を目指しています。
(a)人材育成について
当社グループは、最先端の「Solution SoC」ビジネスモデルを通じて、ステークホルダーの様々な期待/要望に応えるため、最先端技術を追求することで、世界のイノベーションを支える会社として持続的な成長を目指しており、そのために必要となる、仕事にオーナーシップを持ち、自律的/意欲的にあるべき姿にチャレンジするプロフェッショナルな人材の育成に取り組んでいます。
[エンジニア育成]
(ⅰ)求める人材の明確化
当社グループは、エンジニアの育成を重要な経営課題の一つと考えています。
当社グループは、中期事業計画において、AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)や車載センシング等の「オートモーティブ」、データセンターやAIアクセラレータ等の「データセンター/ネットワーク」、アクションカメラやネットワークカメラ等の「スマートデバイス」、FA(Factory Automation)機器や計測器等の「インダストリアル」の各領域を中心に事業規模の拡大を計画しています。
これらの事業領域において、お客様は、SoCのアーキテクチャーに対する知識はもとより、SoCが搭載される最終製品やサービスに関する高い知見、および差別化を可能とする先端のハードウエアからソフトウエアにいたるまでの技術を組み合わせて、最適なソリューションを提案できるパートナーを求めています。このような「Solution SoC」ビジネスモデルの実現には、以下のようなエンジニア人材が必要になると考えます。
- グローバルに開発競争力を維持し続けるためのメソドロジスト
- お客様の要求に基づき最適なSoCアーキテクチャー仕様を提案/策定できるシステムアーキテクト
- アーキテクチャー仕様から実装仕様作成、設計を行える各分野のエキスパート
- お客様からの信頼を得て、開発を円滑にゴールに導くプロジェクトマネジャー
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(ⅱ)求める人材に必要となるスキルの明確化
必要とされるエンジニア人材の拡大を図るために、当社グループは、必要なスキルおよび経験を明確に定義し、エンジニア一人ひとりが保有するスキル等の可視化に取り組んでいます。
<エンジニアロールモデルとスキル/重要度のマトリックス>0102010_026.png
(ⅲ)スキル習得に向けた人材育成プログラム
<エンジニア育成のロードマップ>当社グループは、エンジニア育成の一環として、エンジニア一人ひとりが上司との1on1面談を実施する制度を設けており、自身のキャリアパスおよびその実現に向けた具体的なアクションを共有することで、個人の成長をサポートしています。また、エンジニア一人ひとりが求められる人材に必要なスキルおよび経験を確実に身に付けるために、エンジニアのレベルに応じた教育プログラムを策定/実践しています。さらに、海外のお客様、海外パートナーとのビジネスを進めていくうえで欠かせない語学/コミュニケーションスキルについても、教育支援体制を強化しています。
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(※) 語学/コミュニケーションスキル育成のプログラム
リーダー層向け・コミュニケーションスキル上級(1on1研修)
・グローバルマインド研修(グループ研修)
・グループコーチング研修
一般社員向け・コミュニケーションスキル初級(グループ研修)
・グローバルマインド研修(グループ研修)
・英語運用力研修
・新入社員向け語学研修(グループ研修)
全社員共通・基礎英語力強化(語学研修アプリ)

<エンジニア教育の実施状況>
2024年
3月期
2025年
3月期
2026年
3月期
総教育時間(時間)19,50018,90019,000
エンジニア
一人あたり
教育時間(時間)13.212.812.7
投資額(万円)2.042.872.32

(ⅳ)人材育成に関する指標/実績
中長期的には、さらなる海外商談の増加に加え、最新の技術を提供するIPベンダーやツールベンダー、ファウンドリ、OSAT等のグローバルなパートナーとの協働が増加していくことが見込まれます。これらに対応していくために、多くのエンジニアに対し戦略的に海外ビジネスや先端テクノロジービジネスに参画する機会の創出を進めるとともに、エンジニアが得たノウハウ/経験を組織として蓄積/活用することを進めています。特に若手社員については、実務の中でしか積むことのできない経験の場を得る機会を早い段階から意図的に設けてきた結果、グローバルプロジェクトの経験人数比率、先端プロジェクトの経験人数比率はいずれも9割に迫る水準となっています。
<エンジニアのプロジェクト経験状況>
2024年
3月期
2025年
3月期
2026年
3月期
2030年までの目標
グローバルプロジェクトの経験人数比率(%)828789Over 90
先端プロジェクト(7nm以細)の
経験人数比率(%)
758287Over 90

また、開発リソースマネジメントおよび開発プロセスの高度化に向けた取り組みにも着手しています。具体的には、タレントマネジメントシステムの活用を通じて、エンジニアのスキル、経験、研修履歴等の人材データを体系的に把握・管理する仕組みの整備を進めており、今後、個人および組織の強み・課題を可視化し、中長期的な人材育成や人材配置の検討・判断をデータに基づいて行っていくことを目指しています。これらの取り組みにより、スキルと経験に基づいた中長期における人材配置が可能となり、特定のエンジニアに依存しない形で重要度・戦略性の高い開発案件を安定的に遂行できる体制を実現します。
あわせて、プロジェクトマネジメントおよび開発品質マネジメントの強化に向け、開発プロセスの標準化および運用定着に向けた検討・取り組みを進めています。これらの施策を推進することで、将来の開発案件を見据えた開発計画・リソース見積り精度の向上を図り、多数のプロジェクトが同時に進行する状況においても、プロジェクト全体の進捗や負荷状況を可視化しながら開発を推進できる仕組みを高度化し、開発期間の長期化リスクの低減につなげていきます。
これらの取り組みの進捗および成果を把握するための指標として、「基準を満たしたエンジニア」の状況を定期的にモニタリングしています。「基準を満たしたエンジニア(メソドロジスト、システムアーキテクト、エキスパート、プロジェクトマネジャー)」は、計画に沿って順調に推移しています。特に、メソドロジストについては、指標が大きく改善しています。これは、大規模かつ先端テクノロジーを用いた開発プロジェクトの比率が高まっており、グローバルに開発競争力を維持・強化していくためには、開発方針の決定やグランドデザインを担うメソドロジストの育成が急務であると認識し、戦略的に取り組んできた結果です。
<基準を満たしたエンジニア>※2023年3月期の人員を基準(100)とした指数
2023年
3月期
2024年
3月期
2025年
3月期
2026年
3月期
目標
メソドロジスト100200225500前年比での指数改善
システムアーキテクト100118141145前年比での指数改善
エキスパート100101105106前年比での指数改善
プロジェクトマネジャー10097115118前年比での指数改善

(ⅴ)エンジニアのエンゲージメントのモニタリングと改善サイクル
当社グループでは、エンジニアのエンゲージメントを人的資本の重要な指標の一つと位置づけ、定期的なアンケート調査を通じてその状況を把握しています。エンジニアが自身の役割や成果に対して納得感を持ち、意欲的に業務に取り組めている状態は、当社グループの技術開発力や開発生産性を支える重要な要素であると考えています。
エンゲージメントのモニタリングにあたっては、年齢層、等級、組織、評価方法といった切り口から分析を行い、全体傾向だけでなく層別・組織別の課題を把握しています。主な観点としては、エンジニア制度に対する印象、活動・成果に対する評価の納得感、報酬に対する満足度などを継続的に確認しています。
こうした分析を通じて、エンゲージメントの課題は年代や役割によって異なることが示されており、当社グループでは、評価フィードバックの充実や期待する役割の明確化、部門特性を踏まえたフォローを行うなど、改善に取り組んでいます。今後も、エンジニアの声を継続的に把握し、その結果を制度やマネジメントの改善につなげることで、人的資本の価値最大化と持続的な成長を目指していきます。
(b)人権/ダイバーシティ&インクルージョン/安全衛生/健康経営について
当社グループは、一人ひとりのライフスタイルやキャリアプランを尊重し、心身ともに健康でいきいきと働ける環境の構築に取り組んでいます。こうした考えのもと、健全な労働環境づくりを進めることで、過重労働の抑制やストレスの軽減を図り、従業員の心身の健康を維持しつつ、より良い働き方を実現する企業風土・文化の醸成に努めています。
あわせて、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境づくりの一環として、女性活躍の推進にも取り組んでいます。今年度は、社外メンタリング制度の導入を通じて、女性社員が社外の視点や経験から学ぶ機会を提供するとともに、キャリア形成に関する意識醸成やネットワーク形成を支援しています。
また、管理職層を含む社員を対象に無意識バイアスに関する研修を実施し、多様な価値観を尊重した公正な意思決定や人材マネジメントの浸透に努めています。これらの取り組みを通じて、性別にかかわらず一人ひとりが安心して挑戦できる企業風土の醸成を図っていきます。
さらに当社グループは、社員の健康を、事業成長を支える重要な経営基盤の一つと位置づけ、健康経営を経営戦略の一環として推進しています。経営トップのコミットメントのもと、推進体制を整備し、従業員の健康課題の把握、重点施策の検討・実施およびその効果検証を継続的に行っており、健康増進施策の推進やワークライフバランスの最適化を通じた組織の生産性向上と持続的な成長を目指しています。こうした取り組みの積み重ねが評価され、当社は「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に認定されました。健康経営を積極的に実践することにより、社員のエンゲージメント向上を図るとともに、イノベーションの創出、企業ブランドの強化、さらには社会への貢献につなげていきます。
[基本的な考え方]
人権当社グループでは、グループ理念である「CSR基本方針」において、「人権の尊重」および「社員の労働環境整備」を重要な責務として掲げています。
-人権の尊重
私たちは一人ひとりの人権を尊重し、差別等の人権侵害行為を許しません。
-社員の労働環境整備
私たちは社員の幸せを目指し、個性を尊重し、公平な処遇を実現するとともに、健康で働きやすい環境をつくります。
当社グループは事業活動に関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重し、性別、年齢、国籍、人種、民族、思想、宗教、社会的身分、雇用形態、婚姻状況、妊娠状況、門地、性的指向や性自認、身体的特徴、疾病、障がい等による差別的取り扱い/人権侵害を行いません。
また、当社グループやサプライチェーンで働く人々に対しては、一人ひとりの人権を尊重します。ハラスメントを排除し、健康で安心して働くことができる職場環境を提供するとともに、最低賃金や労働時間の法規制を遵守し、強制労働や、児童労働、人身売買を行いません。また、結社の自由と団体交渉権、プライバシーの権利を保護します。
ダイバーシティ
&インクルージョン
当社グループは、様々な個性、考え方、価値観をもった社員一人ひとりが、働きやすく、能力を発揮することができる企業風土、文化の醸成に努めます。当社グループは国籍/性別/年齢等を問わず人材採用と登用を行い、かつ、多様な人材がいきいきと働くことのできる社内環境整備を推進します。
安全衛生/健康経営当社グループが持続的に成長するため、社員が健康かつ安全に働き、自らの持てる力を最大限発揮できるように、社員と関係者の健康と安全を最優先して事業を展開します。労働災害の無い安全な職場を実現するため、事故防止、安全に働ける環境づくりを行うとともに、健康経営の推進により社員のエンゲージメント向上/健康維持/増進を図り、企業価値の向上に向けた様々な取り組みを推進します。

[主な取組]
当社グループの取り組みおよび諸制度の多くは、法令上または一般的な水準以上を満たしており、従業員の心身の健康維持に配慮しつつ、経済的・心理的な負担を軽減し、長期にわたり能力を発揮できる環境を整備しています。下記は、法令上または一般的な水準以上を満たしている主な取り組み・諸制度です。
主な取り組み・諸制度
人権・ダイバーシティ/職場環境
・人権相談窓口の設置
・人権教育(ハラスメント防止、LGBTQ+への理解含む)の全従業員受講
・視覚障がい者によるマッサージルーム運営
・精神障がい者による社内業務代行制度
・障がい者への環境整備アンケートの実施と改善
柔軟な働き方
・フレックスタイム制度(コアタイムなし)および在宅勤務制度(リモートワーク)の柔軟運用
・疾病、疾患の治療のための短時間勤務制度
・新卒採用時期の併用(新卒採用において4月入社を基本としつつ、10月入社制度を併用)

育児・出産・不妊治療支援
・産前休職の拡充、妊産婦通院外出の支援、育児休職期間の延長
・育児短時間勤務および子の看護等休暇制度の拡充
・ベビーシッターサービス費用補助
・チャイルドプラン休職制度(不妊治療目的で通算365日まで休職可能)
介護・家族支援
・介護休職制度(通算1年まで回数制限なし、介護休職中の社会保険料負担を補助)
・家族の介護休暇
・積立休暇(介護・私傷病・子の行事・不妊治療等に利用可能)
休暇・処遇制度
・年次有給休暇、その他(生理)の休暇、諸休暇(勤続年数やライフイベントに応じた特別休暇)
・奨学金返還支援制度
・時間外、休日、深夜勤務における賃金割増
安全衛生/健康経営
・健康診断、婦人およびがん検診、ストレスチェックの実施
・禁煙サポートおよび受動喫煙防止対策
・感染症予防対策
・安全衛生防災委員会の設置および安全衛生防災委員による職場巡視
・交通安全講習の実施

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