有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/02/24 15:00
【資料】
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【項目】
157項目
3.重要な会計方針
(1)連結の基礎
a.子会社
連結財務諸表には、すべての子会社を含めております。子会社は、他の企業(親会社)により支配されている企業(パートナーシップ等の法人格のない事業体を含む)をいいます。投資者が次の各要素をすべて有している場合にのみ、投資先を支配していると考えております。
(a) 投資先に対するパワー
(b) 投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利
(c) 投資者のリターンの額に影響を及ぼすように投資先に対するパワーを用いる能力
当社グループによる支配の有無は、議決権又は類似の権利の状況や投資先に関する契約内容などに基づき、総合的に判断しております。
子会社の収益及び費用は、子会社の取得日から連結財務諸表に含めております。
子会社の決算日は当社の決算日と一致しております。当社及び子会社は、類似の状況における同様の取引及び事象に関し、統一した会計方針を用いて作成しております。
当社グループ内の残高、取引高、収益及び費用は、重要性が乏しい場合を除き、全額を相殺消去しております。包括利益合計は、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分とに帰属させております。
子会社に対する所有持分の変動のうち、子会社に対する支配の喪失とならないものについては、資本取引として処理しております。
b.関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営の方針に関する意思決定に対して、重要な影響力を有するが、支配的持分は有しない企業をいいます。一般的に、当社グループが議決権の20%から50%を保有する場合には、重要な影響力があると推定しております。当社グループが重要な影響力を有しているか否かの評価にあたり考慮されるその他の要因には、取締役会への参加等があります。なお、投資先の議決権の20%未満しか保有していない場合には、重要な影響力が明確に証明できる場合を除き、重要な影響力を有していないと推定しております。
関連会社に対する持分の投資は、IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って会計処理される、売却目的で保有する資産に分類される場合を除いて、持分法により会計処理しております。関連会社の報告期間の末日は連結決算日と一致しております。持分法を適用する際に考慮する純損益、その他の包括利益及び純資産は、関連会社の財務諸表で認識された金額に、統一した会計方針を実行するのに必要な修正を加えたものです。持分法においては、当初認識時に関連会社に対する投資は原価で認識され、その帳簿価額を増額又は減額して、株式取得日以降における投資先の純損益及びその他の包括利益等に対する投資者の持分を認識しております。投資企業の持分がゼロにまで減少した後の追加的な損失は、企業に生じる法的債務、推定的債務又は企業が関連会社の代理で支払う金額の範囲まで計上され、負債が認識されます。
関連会社の持分取得に伴い生じたのれんは、当該投資の帳簿価額に含められており、持分法で会計処理されている投資全体に関して減損テストを行っております。投資が減損している可能性が示唆されている場合には、投資全体の帳簿価額について、回収可能価額(使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち高い方)を帳簿価額と比較することにより、減損テストを行っております。当該減損損失の戻入れは、投資の回収可能価額がその後に増加した範囲で認識しております。
(2)企業結合
企業結合は、取得法を用いて会計処理をしております。
移転された対価は、当社グループが移転した資産、引き受けた負債及び発行した資本持分の取得日公正価値の合計額で測定しております。
IFRS第3号「企業結合」に基づく認識の要件を満たす被取得企業の識別可能な資産、負債及び偶発負債は、次を除いて、取得日の公正価値で測定しております。
① 繰延税金資産(又は繰延税金負債)及び従業員給付契約に関連する負債又は資産は、それぞれIAS第12号「法人所得税」及びIAS第19号「従業員給付」に従って認識し測定しております。
② 被取得企業の株式報酬取引に係る負債もしくは資本性金融商品、又は被取得企業の株式報酬取引の取得企業の株式報酬取引への置換えに係る負債もしくは資本性金融商品に係る部分については、IFRS第2号「株式報酬」の方法に従って取得日現在で測定しております。
③ IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的に分類される資産又は処分グループは、当該基準書に従って測定しております。
のれんは、取得対価が取得日時点における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回る場合に、その超過額として測定しています。この差額が負の金額である場合には、直ちに純損益として認識しています。
企業結合を達成するために発生した取得関連費用は、発生時に純損益として処理しております。
(3)外貨換算
a.機能通貨及び表示通貨
当社グループの各企業の個別財務諸表は、それぞれの機能通貨で作成されております。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示されております。
b.外貨建取引
外貨建取引については、取引日における直物為替レートにより機能通貨に換算しております。期末日における外貨建貨幣性項目は期末日の為替レートを用いて機能通貨に換算し、外貨建非貨幣項目は取得原価で測定されているものは取引日の為替レート、公正価値で測定されているものは、公正価値が算定された日の為替レートを用いて換算しております。
貨幣性項目の為替換算差額は、発生する期間の純損益に認識しております。ただし、非貨幣性項目の利得又は損失がその他の包括利益に計上される場合は、為替差額もその他の包括利益に認識しております。
c.在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については取引日の為替レートで換算し、在外営業活動体の換算差額はその他の包括利益に認識しております。
在外営業活動体の処分時には、その他の包括利益に認識され資本に累積されていた、在外営業活動体の換算差額は、処分による利得又は損失が認識される時に資本から純損益に振り替えております。
(4)金融商品
a.非デリバティブ金融資産
当社グループは、営業債権及びその他の債権については発生時に当初認識しております。それ以外の金融商品については契約条項の当事者となった、すなわち取引日に連結財政状態計算書に当初認識しております。
当社グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合、又は、当該金融資産の所有に係るリスク及び便益を実質的にすべて移転する取引において、金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転する場合に、当該金融資産の認識を中止しております。
金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定する場合を除き、①金融資産の管理に関する企業の事業モデル、及び②金融資産の契約上のキャッシュ・フローの特性に基づいて分類しております。
非デリバティブ金融資産の分類及び測定モデルの概要は、次のとおりです。
(a)償却原価で測定する金融資産
次の条件がともに満たされる場合には、償却原価で事後測定しております。
① 契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
② 金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用を含む)で当初測定しております。当初測定後は、実効金利法を用いて帳簿価額を算定しております。また、償却原価で測定する金融資産に係る利息発生額は連結損益計算書の金融損益に含まれております。
(b)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値で測定し、当初認識後の公正価値の変動を純損益として認識しております。なお、当該金融資産からの配当金については、金融収益の一部として当期の純損益として認識しております。
(c)償却原価で測定する金融資産に係る減損
当社グループは、償却原価で測定する金融資産が減損している客観的証拠があるかどうかを検討しております。客観的な証拠としては、次の損失事象に関する観察可能なデータが含まれます。
① 発行体又は債務者の重大な財政的困難
② 利息又は元本の支払不履行又は遅滞などの契約違反(当社グループでは、期日から1ヶ月を経過したものについては、再交渉の状況等に係らず、減損の客観的な証拠があるという方針で減損を計上しております。)
③ 借手の財政的困難に関連した経済的又は法的な理由による、そうでなければ貸手が考えないような、借手への譲歩の供与
④ 発行者が破産又は他の財務的再編成に陥る可能性が高くなったこと
⑤ 当該金融資産についての活発な市場が財政的困難により消滅したこと
⑥ 金融資産のグループの見積将来キャッシュ・フローについて、グループの中の個々の金融資産については減少がまだ識別できないが、それらの資産の当初認識以降に測定可能な減少があったことを示す観察可能なデータ
減損の客観的な証拠の有無は、個別に重要な場合は個別評価、個別に重要でない場合はリスクの特徴が類似するものごとに集合的評価により検討しております。
減損している客観的証拠がある場合、減損損失は、当該資産の帳簿価額と、見積将来キャッシュ・フローを当該金融資産の当初の実効金利で割り引いた現在価値との間の差額として計算しております。当該減損が認識された金融資産の帳簿価額は、貸倒引当金勘定を用いて減額され、減損損失を純損益で認識しております。減損損失が認識された金融資産の帳簿価額は、将来の回収を現実的に見込めず、すべての担保が実現又は当社グループに移転されたときに、直接減額しております。
以後の期間において、減損損失の額が減少し、債務者の信用格付の改善など、その減少が減損を認識した後に発生した事象に客観的に関連付けることができる場合には、以前に認識した減損損失は戻し入れております。
b.非デリバティブ金融負債
非デリバティブ金融負債は、当初認識時に、償却原価で測定する金融負債と純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。
(a)償却原価で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債以外の金融負債については、割引の効果の重要性が乏しい金融負債を除き、実効金利法を用いて償却原価で測定しており、利息発生額は連結損益計算書の「金融費用」に含まれております。
c.金融商品の相殺
金融資産及び金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的権利を有し、かつ純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しています。
(5)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動リスクを負わない取得日から3ヶ月以内に満期日又は償還期限の到来する短期投資からなっております。
(6)棚卸資産
棚卸資産は、原価と正味実現可能価額とのいずれか低い額により測定しております。棚卸資産の原価には、購入原価、加工費、及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他の原価のすべてを含めております。加工費には、生産設備の正常生産能力に基づく固定製造間接費を含みます。
正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額です。
各棚卸資産の評価方法は、次のとおりです。
商品、原材料、貯蔵品…先入先出法
製品、仕掛品…総平均法
(7)有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
取得原価には、購入価格(輸入関税及び還付されない取得税を含み、値引及び割戻しを控除後)、当該資産を意図した方法で稼働可能にするために必要な場所及び状態に置くことに直接起因する費用及び適格要件を満たす資産の借入費用、並びに、当該資産項目の解体及び除去費用並びに敷地の原状回復費用が含まれております。
有形固定資産の取得原価から残存価額を控除した償却可能額を見積耐用年数にわたって、定額法により償却しております。主な有形固定資産の見積耐用年数は、次のとおりです。
建物及び構築物 9年~18年
機械装置及び運搬具 2年~6年
工具器具及び備品 3年~15年
有形固定資産の残存価額と耐用年数は各連結会計年度の末日には再検討を行い、必要に応じて見積りを変更しております。
(8)のれん及び無形資産
a.のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、「(2)企業結合」に記載のとおりです。当初認識後ののれんについては、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で計上しており、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位に配分しております。
減損については、「(10)非金融資産の減損」に記載のとおりです。
b.無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
(a)個別に取得した無形資産
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
(b)企業結合で取得した無形資産
企業結合で取得した無形資産は、当該無形資産の取得原価を取得日現在の公正価値で測定しております。
(c)自己創設無形資産(開発費)
開発(又は内部プロジェクトの開発局面)における支出は、次のすべてを立証できる場合に限り資産として認識することとしており、その他の支出はすべて発生時に費用処理しております。
① 使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
② 無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図
③ 無形資産を使用又は売却できる能力
④ 無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益を創出する方法。
⑤ 無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
⑥ 開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
耐用年数を確定できる無形資産は、当該資産の見積耐用年数にわたり定額法により償却しております。償却は、当該資産が使用可能となった時点に開始しております。主な無形資産の見積耐用年数は、次のとおりです。なお、当社グループで自己創設無形資産に該当するものは、開発費です。
ソフトウエア 5年
開発費 5年
顧客関連資産 7年~15年
商標権 7年
耐用年数を確定できる無形資産の償却期間及び償却方法は各連結会計年度の末日には再検討を行い、必要に応じて見積りを変更しております。
(9)リース
a.借手としてのリース
リースの開始日において、使用権資産及びリース負債を認識しております。
使用権資産は開始日において取得原価で測定しております。開始日後においては、原価モデルを適用して、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しております。原資産の所有権がリース期間の終了時までに借手に移転する場合又は、使用権資産の取得原価が購入オプションを行使することを反映している場合には、使用権資産を開始日から原資産の耐用年数の終了時までに減価償却しております。それ以外の場合は、開始日から使用権資産の耐用年数またはリース期間の終了時のいずれか早い時まで減価償却しております。
リース負債は、開始日において同日現在で支払われていないリース料の現在価値で測定しております。開始日後においては、リース負債に係る金利や、支払われたリース料を反映させ帳簿価額を増減しております。リース負債を見直した場合又はリースの条件変更が行われた場合には、リース負債を再測定し使用権資産を修正しております。
なお、短期リース及び少額資産のリースについてIFRS第16号第60項を適用し、リース料をリース期間にわたり定額法により費用認識しております。
b.貸手としてのリース
当社グループがリースの貸手である場合、リース契約時にそれぞれのリースをファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類します。
それぞれのリースを分類するに当たり、当社グループは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて移転するか否かを総合的に評価しています。移転する場合はファイナンス・リースに、そうでない場合はオペレーティング・リースに分類します。この評価の一環として、当社グループは、リース期間が原資産の経済的耐用年数の大部分を占めているかなど、特定の指標を検討します。
(10)非金融資産の減損
a.減損の可能性のある資産の識別
当社グループは、資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを評価しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額を見積っております。減損の兆候の有無に係らず、(a)耐用年数を確定できない無形資産又は未だ使用可能ではない無形資産、及び(b)企業結合で取得したのれんについては毎期減損テストを実施しております。
b.回収可能価額の測定
回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を算定しております。
使用価値は、資産の継続的使用及び最終的な処分から発生する将来キャッシュ・インフロー及びアウトフローの見積額を貨幣の時間価値及び当該資産の固有のリスクの市場評価を反映した税引前の割引率により割り引いて算定した現在価値です。
将来キャッシュ・フローは取締役会が承認した直近の経営計画(5年)に基づきます。5年を超えるキャッシュ・フローの予測は、当社グループの属する各産業の長期平均成長率を参考に見積っております。
c.のれん
減損テストにおいて、企業結合により取得したのれんは、取得日以降、取得企業の資金生成単位又は資金生成単位グループで、企業結合のシナジーから便益を得ることが期待されるものに配分しております。のれんが配分される当該資金生成単位又は資金生成単位グループのそれぞれは、(a)のれんが内部管理目的でモニターされている企業内の最小の単位で、かつ(b)事業セグメントよりも大きくありません。
d.減損損失の認識と測定
資産又は資金生成単位の回収可能価額が当該資産又は資金生成単位の帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識しております。減損損失は直ちに純損益として認識しております。資金生成単位の減損損失は、最初に、当該資金生成単位(単位グループ)に配分したのれんの帳簿価額を減額し、次に、当該単位内の各資産の帳簿価額に基づいた比例按分によって、当該単位内のその他の資産に対して配分し、当該単位(単位グループ)の資産の帳簿価額を減額するように配分しております。
なお、減損損失を配分するにあたり、資産の帳簿価額を(a)処分費用控除後の公正価値、(b)使用価値、(c)ゼロのうち最も高い価額を下回るまで減額しません。
e.減損損失の戻入れ
過去の期間において、のれん以外の資産について認識した減損損失は、減損損失が最後に認識された以後、認識した減損損失がもはや存在しないか、あるいは減少している可能性を示す兆候に基づき、当該資産の回収可能価額の算定に用いられた見積りに変更があった場合にのみ、戻し入れます。
(11)引当金
当社グループは、過去の事象の結果として、合理的に見積り可能な法的または推定的債務を現在の負債として負っており、当該債務を決済するために経済的便益の流出が生じる可能性が高い場合に、引当金を認識しております。
当社グループは、連結会計年度の末日における現在の債務を決済するために要する支出(将来キャッシュ・フロー)の最善の見積りによるものであり、貨幣の時間的価値の影響に重要性がある場合には、見積られた将来キャッシュ・フローをその負債に固有のリスクを反映させた割引率で割り引いた現在価値で測定しております。時の経過に伴う割引額の割戻しは、金融費用として認識しております。
なお、当社グループの主な引当金は次のとおりです。
(a)資産除去債務
保有する有形固定資産に関し、法令、契約又はこれに準ずるもので当該有形固定資産の除却を要求される場合には、資産除去債務を認識しております。資産除去債務は、資産除去に要するキャッシュ・フローを合理的に見積り、それを将来キャッシュ・フローが発生する時点までの期間に対応した貨幣の時間価値を反映した無リスクの税引前の利率で割り引いて算定しております。
(12)従業員給付
a.短期従業員給付
短期従業員給付とは、従業員が関連する勤務を提供した期間の末日後12ヶ月以内に決済の期限が到来する従業員給付をいい、ある会計期間中に従業員が企業に勤務を提供した時に、当社グループは当該勤務の見返りに支払うと見込まれる割り引かない金額で認識しております。当社グループにおける短期従業員給付には賞与及び有給休暇に係るものがあります。
累積型の有給休暇に関する従業員給付の予想コストは、将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供した時に認識しております。また、当社グループは、累積型有給休暇の予想コストを、連結会計年度の末日現在で累積されている未使用の権利の結果として当社グループが支払うと見込まれる追加金額として測定しております。
なお、賞与については、過去に従業員から勤務を提供された結果、支払を行う法的又は推定的債務を有しており、かつ、当該債務について信頼性のある見積りが可能な場合に負債として認識しております。
b.退職後給付
当社グループは、退職後給付制度として、確定拠出型制度を採用しております。
(a)確定拠出企業年金
確定拠出制度への拠出については、棚卸資産や有形固定資産に含められる場合を除き、その発生時に費用として認識しております。既に支払った掛金が連結会計年度の末日前の勤務に対する掛金を超過する場合には、当該前払が将来支払の減少又は現金の返還となる範囲で、企業は当該超過を資産として認識しております。
(13)資本
a.資本金及び資本剰余金
当社が発行する資本性金融商品は、発行価額を「資本金」及び「資本剰余金」に計上しております。また、その発行に直接起因する取引コストは資本剰余金から控除しております。
(14)株式報酬
当社グループは、取締役及び従業員等に対するインセンティブ制度として、持分決済型の株式報酬制度を採用しております。
a.持分決済型
持分決済型の株式報酬(以下、ストック・オプション)は、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、二項モデルなどを用いて算定しております。また、その後の情報により確定すると見込まれるストック・オプションの数が従前の見積りと異なることが示された場合には、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しております。
(15)営業収益
IFRS第15号の適用に伴い、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
a.請負契約による売上収益
当社グループの履行義務は、「企画」「設計」「開発」「保守」「運用」または「コンサルティングその他の技術支援に関する業務要件定義」といった複数の業務を提供することにより、システム一式を納品することであります。当該履行義務は、業務請負期間にわたって充足されるものと判断しているため、見積総原価に基づく業務進捗率に応じて収益を認識しております。ただし、履行義務の充足にかかる進捗度を合理的に見積もることができない場合には、履行義務を充足する際に発生する際に発生する費用のうち回収することが見込まれる費用の額で収益を認識しております。
b.ラボ契約による売上収益
当社グループの履行義務は、顧客による指示・監督の下で作業を実施することであります。当該履行義務は、委託業務に係る作業の実施により充足されるものと判断しているため、人工別の作業時間に単価を乗じた金額により収益を認識しております。
c.ローカライズ・配信運営契約による売上収益
当社グループの履行義務は、当社グループ以外の他社が日本国内で販売しているアプリを海外版としてローカライズ対応し、配信運営することであります。当該履行義務は、顧客がアプリをダウンロードした時点で履行義務が充足されるものと判断しているため、アプリ配信実績レポートに基づき収益を認識しております。
d.音楽配信契約による売上収益
当社グループの履行義務は、顧客に対して音楽配信サービスの提供及びネット回線サービスを手配・提供することであります。音楽配信サービス、ネット回線サービスともに、一定期間にわたり履行義務が充足されるものと判断しているため、役務提供ごとの月額利用料に基づき収益を認識しております。
(16)法人所得税
法人所得税は、当期税金と繰延税金から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部又はその他の包括利益に認識する項目を除き、純損益に認識しております。
その他の包括利益に認識される項目に関する当期税金及び繰延税金は、その他の包括利益として認識しております。
a.当期税金
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、決算日までに制定又は実質的に制定されたものです。
b.繰延税金
繰延税金は、連結会計年度末日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えない取引(企業結合取引を除く)によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社、関連会社に対する投資並びに共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異について、解消する時期をコントロールでき、かつ、予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合
・子会社、関連会社に対する投資並びに共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異のうち、予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が高くない場合
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている法定税率(及び税法)に基づいて、資産が実現される又は負債が決済される期に適用されると予想される税率(及び税法)によって測定されます。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産及び当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ以下のいずれかの場合に相殺しております。
・法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合
・異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産及び当期税金負債を純額ベースで決済することを意図している、もしくは当期税金資産を実現させると同時に当期税金負債を決済することを意図している場合
繰延税金資産の帳簿価額は各連結会計年度の末日現在で再検討しております。一部又は全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなった場合、繰延税金資産の帳簿価額をその範囲で減額しております。また、当該評価減額は、十分な課税所得を稼得する可能性が高くなった範囲で戻し入れております。
(17)1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者(普通株主)に帰属する純損益を、各連結会計年度中の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。
希薄化後1株当たり当期利益は、すべての希薄化性潜在的普通株式による影響について調整して計算しております。