訂正有価証券届出書(新規公開時)

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2023/03/15 15:00
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131項目

事業等のリスク

本書に記載した当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)経営環境について
顕在化可能性:中影響度:中
当社の主要な事業領域は、日本国政府のキャッシュレス推進の追い風により市場拡大が見込まれておりますが、市場の成長鈍化や政府方針の転換などにより縮小した場合、若しくは当社の成長予測を下回った場合には、キャッシュレス決済の取扱高の減少や端末導入の鈍化等によって当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の主要な事業領域は、情報サービス産業の中で成長分野であると見做されており、従来他業種であった企業が参入してきております。業界の地殻変動の中、これからのマーケットには先行き不透明な部分があり、競合会社の積極参入による競争激化が当社業績に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては事業計画をモニタリングし、兆候の把握と情報プロセシング事業等の収益の多角化によってリスクの低減に向けた対応を行っております。

(2)新型コロナウィルス感染症について
顕在化可能性:低影響度:小
現在発生している新型コロナウィルス感染症の拡大により、海外においては都市封鎖や経済活動の停止、国内においても営業自粛要請や移動自粛要請が行われるなど、国民経済に影響を及ぼす事態が発生しました。
こうした状況は、端末販売においてはメーカーにおける生産体制の変化や加盟店における店舗開発計画の変更を通じて、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は多種多様な業種にわたる加盟店の確保により特定業種の加盟店に依存しない形で決済サービスの提供を行っていること等により、また、クレジットカード会社の営業が再開されている状況からも、当社業績への影響は限定的であると考えております。また、対人接触機会を減少させる自動精算機等の無人決済機については、感染拡大防止策として需要の増加も期待できると考えております。
しかしながら、今後感染症の流行拡大や対策の長期化により、再びクレジットカード会社の営業が停滞し新規加盟店導入の減少や、メーカーや加盟店の稼働状況や個人消費の動向に及ぼす影響が増大した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)半導体不足について
顕在化可能性:中影響度:小
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う、テレワークや巣ごもり生活によるパソコン・大型テレビやゲーム機の販売拡大、自動車販売の回復等を背景に半導体の需要が増加しており、供給が間に合わず半導体の不足が生じております。当社で取り扱う決済端末に関して、半導体不足の影響を考慮し、先行発注により在庫確保に努めております。しかしながら、半導体不足が長期化し、その影響により納期遅延が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)売上高の計上時期について
顕在化可能性:中影響度:中
当社は納期管理を徹底しており当社起因による納期遅延の事例は少ないものの、大型開発案件等で検収時期が遅延し、計画通りに売上計上ができない場合があります。特に期末月の3月に予定されていた顧客の検収時期に遅延が生じた場合には、売上計上月が翌期にずれ込むことにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)特定の取引先(仕入先等)への依存について
顕在化可能性:中影響度:中
当社は、複数のメーカーと調達契約を締結することで、購買ルートの分散を図っておりますが、顧客のニーズ等を勘案して取引先を選定した結果、特定の調達先からの仕入構成比が比較的高くなっております。2022年3月期においては、株式会社デンソーウェーブからの仕入が台数ベースで62%、金額ベースで57%を占めており、自然災害、感染症等の要因によりメーカーにおいて決済端末の生産体制に支障を生じるような事態が発生した場合など、予期せぬ事象の発生によって決済端末の調達が困難になり、収益機会の損失等により当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、仕入れた決済端末の不具合等によって当社責任の下交換が生じた場合や、仕入れる決済端末で予期せぬ問題等が発生した場合は、顧客からの信頼性の低下により、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)特定のデータセンター業者への依存と災害リスクについて
顕在化可能性:中影響度:大
当社の事業を支える決済処理センターは、当社が契約するデータセンターで管理されており、複数のサーバーによる負荷の分散、定期的なバックアップの実施等を図り、システム障害を未然に防ぐべく取り組みを行っております。障害が発生した場合に備え、リアルタイムのアクセスログチェック機能やソフトウエア障害を即時にスタッフに通知する仕組みを整備しており、障害が発生したことを想定した復旧訓練も実施しておりますが、2023年1月31日現在、特定のデータセンターを活用していることから、火災、地震等の自然災害や、外的大規模通信障害、外的破損、人的ミスによるシステム障害、その他予期せぬ事象の発生により、万が一、当社の設備及びネットワークの利用に支障が生じた場合には、サービスの停止等を余儀なくされることによる収益機会の損失、顧客からの信頼性の低下等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は2025年にデータセンターの移設を予定しており、既存データセンターの閉鎖時期も決定されております。災害対策を考慮したデータセンターを選定し、仮想化技術に長け決済系に精通しているベンダー選定、移行方式含めたアーキテクチャの第三者評価の実施、新データセンターを早期に構築し既存データセンターとの平行稼働することによる稼働確認期間と切替作業期間を十分に確保した移設計画と、バックアッププランを立て計画に基づき移設作業を行う予定でおります。しかしながら予期せぬ事象の発生等により、一時的にサービスの停止等を余儀なくされるなどサービス提供に影響を及ぼす可能性があります。

(7)情報処理センターネットワークの利用について
顕在化可能性:低影響度:大
当社の決済サービスは、株式会社エヌ・ティ・ティ・データが運営する「CAFIS」のネットワーク、株式会社日本カードネットワークが運営する「CARDNET」のネットワーク及び三井住友カード株式会社が運営する「stera」と連携するものもあり、今後これらのネットワークシステム障害等の理由により、当社のサービス提供が困難になる可能性があります。
また、株式会社エヌ・ティ・ティ・データは「INFOX」、株式会社日本カードネットワークは「JET-S」、三井住友カード株式会社は「stera」のサービス名称で、国内の主要な決済プラットフォームを提供しており、当社はそのすべてとセンターが接続されております。これらの契約終了等が発生した場合、当社の業績に対して影響を及ぼす可能性があります。

(8)技術革新への対応とシステムインフラ等への投資について
顕在化可能性:低影響度:中
当社は新技術の積極的な投入を行い、適時に独自のサービスを構築していく方針ではありますが、技術革新等への対応が遅れた場合や、予想外に開発費等の費用が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、事業の拡大に応じて、システムインフラ等への投資を実施、計画しておりますが、当社の想定を超える急激なユーザー数やアクセス数の増加、インターネット技術の急速な進歩に伴い、予定していないハードウエアやソフトウエアへの投資等が必要となった場合、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。一般的に、高度なソフトウエアは不具合の発生を完全に解消することは不可能であるとも言われており、当社のアプリケーション、ソフトウエアやシステムにおいても、各種不具合が発生する可能性があります。今後も信頼度の高い開発体制を維持・構築するために投資の実施を計画しておりますが、当社事業の運用に支障をきたす致命的な不具合が発見され、その不具合を適切に解決できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)「情報プロセシング」について
顕在化可能性:中影響度:中
当社は、「情報プロセシング企業」への進化を標榜しており、当該事業は既存のキャッシュレス決済サービス事業のアセットを有効に活用して展開をはかることで最大限効率的に立上げを行う予定ですが、本書提出日現在において先行投資のフェーズであり、新規事業の側面があることから事業の立ち上がりの遅延やシステムへの先行投資が発生によって、利益率が低下する可能性があります。また、展開した新領域への事業拡大・成長や、新組織が当初の予測通りに進まない場合、投資を回収できず、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)情報漏洩リスクについて
顕在化可能性:低影響度:大
当社のクレジットゲートウェイを利用する場合、クレジットカード番号を当社のコンピュータシステムに送信する必要があります。また、プリペイドサービスにおいてはクレジットカード番号のほかに氏名・住所・電話番号・メールアドレス等の個人情報の登録を求める場合があり、登録された情報は当社の管理下にあるデータベースにて保管しております。昨今、企業が保有する個人情報の漏洩が相次ぐ中、個人情報の扱いに対する社会的関心が高まっております。2017年5月には改正個人情報保護法が全面施行され、今後益々個人情報管理の徹底が必要となります。
このような中、当社は一般社団法人日本クレジット協会へ加入し、同協会で義務化されている個人情報保護指針に基づく個人情報管理の運用を実施しています。クレジットカード情報及び個人情報を守るために、プライバシーマークやPCI DSSの認定(有効期限2023年9月、1年更新でPCI SSCが認定する審査機関による監査に基づき更新されるもの)を取得し、個人情報の漏洩を未然に防止するよう努めております。PCI DSSは当社のクレジットサービスゲートウェイ提供の前提となっており、取り消し事由は明確に定められておりませんが、万が一、重大な個人情報漏洩等によりPCI DSSの認定がPCI SSCによって取り消された場合は認定再取得の期間において一部のサービス提供が困難になる可能性があり、当社の強みであるワンストップサービスを提供する当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、本日現在で許認可が取り消されるような事象は生じておりません。
また、当社は、取引先情報等、様々な企業情報を保有しています。当社では、情報セキュリティの基本方針を定め、外部及び内部からの不正なアクセスを防止する対策を行い管理しています。社内の情報セキュリティの状況を常に把握し、必要な対策を迅速かつ円滑に実施すべく情報セキュリティ委員会を設置し管理しています。クレジット決済サービス提供部門については、情報セキュリティにおける国際標準規格であるISO27001(ISMS認証)の認定を受け、情報漏洩を未然に防止するよう努めております。しかし、人為的なミスや、外部及び内部からの何らかの不正な方法により、クレジットカード情報や企業情報等の重要な情報が外部に流出した場合には、セキュリティインシデントに対する対応コストの発生や、当社への社会的信用の失墜が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)知的財産について
顕在化可能性:中影響度:中
当社は、第三者の知的財産権を侵害することのないように弁護士・弁理士等と連携し啓蒙及び社内管理体制を強化しておりますが、当社の事業分野における知的財産権の現況を完全に把握することは困難であり、当社が把握できないところで第三者が既に特許・著作権・その他知的財産を保有している可能性は否めません。また、今後当社の事業分野において第三者が当社より早く特許・著作権・その他知的財産を保護し、損害賠償又は使用差止等の請求を受けた場合は、当社の業績に何らかの影響を及ぼす可能性があります。

(12)訴訟リスクについて
顕在化可能性:低影響度:中
当社は、現時点において、係争中の訴訟を有してはおりませんが、当社事業分野において、第三者が当社より早く特許権・著作権・その他知的財産権が認められ、当社が高額の対価、損害賠償、又は使用差止等の請求を受けた場合や予期せぬトラブルの発生等により訴訟を提起された場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事実が判明したときは直ちに、事例に応じて、弁護士・弁理士等と連携し解決に努める体制が整っております。

(13)減損損失について
顕在化可能性:低影響度:大
当社は、将来の収益獲得あるいは費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて将来使用状況の変更やサービスの陳腐化等により収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合、ソフトウエアの償却や減損が必要になり、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)親会社等との関係について
顕在化可能性:低影響度:小
三菱商事株式会社は、当社の発行済株式総数の37.20%(本書提出日現在)を保有する筆頭株主であり、当社の「その他の関係会社」に該当します。当社は独自に経営方針・政策決定及び事業展開の意思決定を行っておりますが、上場時に同社の所有比率は希薄化するものの、上場後においても引続き筆頭株主として株式を保有することとなります。
①グループ内での位置付け
三菱商事株式会社は天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発等の幅広い産業を事業領域としておりますが、その中でも当社はコンシューマー産業グループに位置付けられております。尚、三菱商事株式会社の企業グループ内において、当社の電子決済サービス提供事業と類似する事業を展開している企業はないため、競合の状況について該当事項はありません。
②親会社等との取引
三菱商事株式会社本体との直接の取引関係は、関連当事者取引に該当し2022年3月期で出向に伴う事務協力費30,120千円の支払いが発生しております。詳細は「第5 経理の状況1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」を参照ください。
親会社との取引については、一般株主との間に利益相反リスクが存在しますが、当社は実効的なガバナンス体制を構築することによって、一般株主の利益に十分配慮した対応を実施しております。
③人的関係
本書提出日現在、当社の役員10名のうち、三菱商事株式会社の従業員を兼ねる者は1名であり、豊富な経営経験から当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。
尚、三菱商事株式会社では人材育成及びキャリアパス形成等の観点から、積極的に事業投資先での人材交流が行われており、当社においても一部の出向社員を受け入れております。本書提出日現在で三菱商事株式会社から当社へ出向している社員は3名(社外役員を除く)でありますが、業務分掌を受けた組織体の責任者である組織規程に規定される部室長、本部長、取締役の職制の人事については、独立性及び経営の安定性の観点から、原則として出向関係を解消し転籍した者とする方針です。
④資本関係
三菱商事株式会社は、当社の発行済株式総数の37.20%(本書提出日現在)を保有する筆頭株主であり、当社の「その他の関係会社」に該当します。
⑤親会社等からの独立性確保
当社の事業展開にあたっては、親会社等の指示や承認に基づいて行うのではなく、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立役員、及び過半数を占める専任役員を中心とする経営陣の判断のもと、独自に意思決定して実行しております。

(15)特定の経営者への依存について
顕在化可能性:低影響度:中
代表取締役社長 大高 敦は当社の創業者であり、経営方針や事業戦略等について、経営の重要な役割を果たしております。現在、当社では同氏に過度に依存しないよう、本部制を導入し各本部長により各本部体制を整備・強化しておりますが、現在の状況において、同氏が当社の業務を遂行することが困難となった場合には、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(16)事業の拡大に応じた経営管理体制について
顕在化可能性:中影響度:大
当社は、業容の拡大及び従業員の増加に合わせて内部管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る予定ですが、適切な人的・組織的な対応ができずに、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の事業拡大に向けて、特に技術力の高い人材の確保が必要となりますが、採用が計画どおり進まなかった場合、あるいは技術力の高い人材が大量に流出した場合には、事業拡大の制約となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(17)人員の育成・確保について
顕在化可能性:大影響度:大
当社は今後の更なる事業拡大に向け、引き続き、人員の採用を積極的に進めていく予定であり、また処遇や勤労環境の改善等に継続的に取り組んでおります。しかしながら、政府が発表している「2025年の崖」にもあります通り、国内の人的リソースの不足が見込まれている中、当社が事業拡大に向け十分な人員採用を実現できなかった場合、事業拡大の遅延等により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(18)配当政策について
顕在化可能性:中影響度:小
当社は、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指すため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来、当事業年度を含め配当は実施しておりません。しかし、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。内部留保資金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用していく所存であります。

(19)税務上の繰越欠損金について
顕在化可能性:大影響度:中
2022年3月31日現在において、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。今後、当社の業績が事業計画に比して順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。