有価証券届出書(新規公開時)

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2023/03/10 15:00
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155項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態の状況
第4期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ83億34百万円減少し、298億59百万円となりました。主な要因としましては、営業活動による収入39億53百万円があったものの、借入金の返済等による財務活動による支出87億77百万円により現金及び預金が60億91百万円減少し、また、世界的な半導体不足の影響によるカメラの供給不足により商品及び製品が18億44百万円減少したことなどによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ14億39百万円減少し、315億3百万円となりました。主な要因としましては、のれんの償却による7億33百万円の減少及び子会社売却及び償却が進んだことによる有形固定資産が6億97百万円減少したことなどによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ96億42百万円減少し、206億95百万円となりました。主な要因としましては、短期借入金の返済による減少66億円、前期新型コロナウイルス感染症対策の納税猶予制度の適用を受けていたため未払消費税等の減少22億1百万円などによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ16億37百万円減少し、251億2百万円となりました。主な要因としましては、長期借入金の返済による減少11億32百万円などによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ15億5百万円増加し、155億65百万円となりました。主な要因としましては、収益認識会計基準等の適用により利益剰余金の減少7億65百万円、剰余金の配当4億円の減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益を27億84百万円計上したことにより利益剰余金が16億19百万円増加したことなどによるものです。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
(流動資産)
当第3四半期連結会計期間末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ75億74百万円増加し、374億33百万円となりました。主な要因としましては現金及び預金が13億20百万円減少したものの、年賀状シーズンによる売上高が増加したことによる売掛金の増加44億11百万円、世界的な半導体不足の影響によるカメラの供給不足が収まりつつあり商品及び製品の増加27億25百万円などによるものです。
(固定資産)
当第3四半期連結会計期間末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ2億円減少し、313億2百万円となりました。主な要因としましては、ソフトウェアが投資により3億27百万円増加したものの、のれんの償却による減少5億70百万円などによるものです。
(流動負債)
当第3四半期連結会計期間末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ80億83百万円増加し、287億79百万円となりました。主な要因としましては売上債権が増加したことによる短期借入金の増加60億円、年賀状シーズンによる仕入高が増加したことによる支払手形及び買掛金の増加11億95百万円増加などによるものです。
(固定負債)
当第3四半期連結会計期間末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ27億53百万円減少し、223億48百万円となりました。主な要因としましては長期借入金が返済により26億66百万円減少したことなどによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末より20億43百万円増加し、176億8百万円となりました。主な要因としましては剰余金の配当8億44百万円の減少があったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益を28億82百万円計上したことにより利益剰余金が20億37百万円増加したことなどによるものです。
②経営成績の状況
第4期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の実施により厳しい状況が続くなか、ワクチン接種の普及などにより緩やかながらも回復に向けた動きが見られるようになりました。しかしながら、昨年末からの変異株による感染再拡大に加え、ウクライナ情勢等による原材料価格の上昇や原油価格の高騰などにより先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような経済環境の中、当社グループは、「ときを映し、こころと生きる」を企業ミッションとし、「世界を代表するフォトライフ・カンパニー」として写真文化のインフラ構築、イメージング関連商品・サービスの提供を通じたフォトライフ提案を進めてまいります。また、お客様や従業員への新型コロナウイルス感染拡大防止対策に努めており、店頭では従業員のマスク着用、手指の洗浄や消毒の励行、ソーシャルディスタンスの意識、日々の検温、店頭の消毒清掃など安心してご来店いただけるよう感染症対策の実施を徹底しております。
株式会社キタムラでは当連結会計年度において「カメラのキタムラ」を11店舗、「スタジオマリオ」を15店舗、「Apple正規プロバイダ認定店」を2店舗出店いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高998億26百万円(前連結会計年度比0.1%増)、営業利益48億19百万円(前連結会計年度比124.9%増)、経常利益48億81百万円(前連結会計年度比39.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益27億84百万円(前連結会計年度比151.9%増)となりました。
当連結会計年度における各事業区分の経営成績は次のとおりです。
なお、当社グループはフォトライフ事業の単一セグメントですが、商材・サービス別では、『フォトライフサービス』として「フォトプリント事業」、「スタジオ・撮影事業」、「ソリューションサービス事業」、「BtoB事業」の4区分に、『カメラ&リユース』は「カメラ販売事業(新品カメラ等の販売)」と、中古カメラ等の販売「リユース事業」の2区分、それに「その他物販事業」を加えた7つの事業区分に分類しております。㈱KCS・㈱キタムラトレードサービスは、「その他事業」(フォトライフ事業に該当しない事業)の関係会社です。
(フォトプリント事業)
当事業の売上高は228億40百万円(前年同期比19.7%増)となりました。
前年同期では、緊急事態宣言の発令を受け大型商業施設に出店している店舗で休業が多数生じておりましたが、当連結会計年度は、緊急事態宣言に伴う休業店舗数が減少したこともあり、売上高は前年同期に対して増加しています。新型コロナウイルスの影響により、旅行、各種イベント、催事等の写真を撮る機会は減っておりますが、感染対策を行った上でのイベント開催や感染状況を考慮した旅行再開などウィズコロナでの新たな生活様式が定着してきていることや、七五三等の晴れの日を写真として残すニーズは堅調に推移していることなどから、フォトプリント事業は底堅く推移しております。
また、上記に加え当連結会計年度は宛名データ化サービスの強化を図った年賀状プリントサービスの売上増加等が寄与し、前年同期に対して当事業の売上高は増加しております。
(スタジオ・撮影事業)
当事業の売上高は155億1百万円(前年同期比1.1%減)となりました。
コロナ禍でも、お子様の晴れの日を写真で残すニーズは堅調に推移する中、テレビCMによる認知拡大や、各種キャンペーンによる販促活動を行いましたが、昨年末より新型コロナウイルスの変異株がお子様世代にも蔓延したことで、お客様のご来店が減少した結果、売上が減少しています。
なお、当連結会計年度においても、七五三の販促活動の強化に加え、「トロピカル~ジュ!プリキュア 変身!なりきり撮影」など晴れの日以外の撮影機会創出に、継続的に取り組んでおります。
(ソリューションサービス事業)
当事業の売上高は99億55百万円(前年同期比14.1%増)となりました。
ソリューションサービス事業は主に写真のデジタル化・VHSなどのビデオのダビングを行う「思い出・サービス」とアップル製品の修理を行う「アップルケアサービス」の2つに大別されます。「思い出・サービス」において、コロナ禍でおうち時間が増加したことなどから、過去に撮り貯めたビデオや写真を整理・振り返る需要が高まっており、VHSテープのデータ化等の受注が増えたことで増収となりました。
(BtoB事業)
当事業の売上高は68億48百万円(前年同期比0.1%減)となりました。
写真館や結婚式場に対するアルバム販売と学校写真販売は、商品開発、受注システムの利便性向上、コロナ禍における写真のネット購入の普及等により売上が増加しております。一方、一部事業の売却等の影響で当事業区分としては減収となりました。
(カメラ販売事業)
当事業の売上高は177億5百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
フォトプリント事業と同様の理由で撮影の機会は一時的に減少したものの、オリンピックイヤーで新機種の発売が増加したことで販売機会が増加したこともあり、旅行・イベントでの活用を見据えた購入が見られ、前年同期に対して売上が増加しております。
(リユース事業)
当事業の売上高は131億74百万円(前年同期比9.3%増)となりました。
新機種発売に伴い、新機種の本体と中古レンズの同時購入により、中古レンズの販売が好調に推移しました。また、新機種への買い替えに伴う下取りの増加で在庫が増えたことで、中古カメラ本体の販売も好調に推移しました。
(その他物販事業)
当事業の売上高は120億43百万円(前年同期比17.6%減)となりました。
売上の大半を占めるキタムラネットショップにおいて、前年同期は新型コロナウイルスの影響による空気清浄機等の特需がございましたが、当連結会計年度では、新型コロナウイルスの影響が一巡したことで例年並みの売上高となっております。
(その他事業)
当事業の売上高は17億57百万円(前年同期比70.6%減)となりました。
株式会社ビコムキタムラを売却したため減少しています。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染者数が、2022年7月頃からの第7波、2022年11月頃からの第8波と、2度の感染拡大があり、お客様の消費行動にも外出を控える影響が見られました。一方で、Withコロナでの新たな生活様式が定着しつつある中、2022年10月以降の「全国旅行支援」や「新型コロナウイルス感染症に関する水際対策緩和」により個人消費に持ち直しの動きが見られました。新型コロナウイルスの感染者数は引き続き、急速な増加と緩やかな減少を繰り返しており、感染拡大による消費行動への影響は依然として残り続けるものと見られます。また、ウクライナ侵攻の長期化や欧米の政策金利引き上げ等を背景とした円安による消費者物価上昇で、国内における消費動向は先行き不透明な状況が続いております。
このような経済環境の中、当社グループは、「ときを映し、こころと生きる」を企業ミッションとし、世界を代表するフォトライフ・カンパニーとして写真文化のインフラ構築、イメージング関連商品・サービスの提供を通じたフォトライフ提案を進めてまいります。また、お客様や従業員への新型コロナウイルス感染拡大防止対策に努めており、店頭では従業員のマスク着用、手指の洗浄や消毒の励行、ソーシャルディスタンスの意識、日々の検温、店頭の消毒清掃など安心してご来店いただけるよう感染症対策の実施を徹底しております。
株式会社キタムラでは当第3四半期連結累計期間において「カメラのキタムラ」を5店舗、「スタジオマリオ」を7店舗出店いたしました。
当第3四半期連結累計期間における経営成績は、売上高817億5百万円、営業利益49億50百万円、経常利益49億57百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益28億82百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各事業区分の経営成績は次のとおりです。
なお、当社グループはフォトライフ事業の単一セグメントですが、商材・サービス別では、『フォトライフサービス』として「フォトプリント事業」、「スタジオ・撮影事業」、「ソリューションサービス事業」、「BtoB事業」の4区分に、『カメラ&リユース』は「カメラ販売事業(新品カメラ等の販売)」と、中古カメラ等の販売「リユース事業」の2区分、それに「その他物販事業」を加えた7つの事業区分に分類しております。㈱KCS・㈱キタムラトレードサービスは、「その他事業」(フォトライフ事業に該当しない事業)の関係会社です。
(フォトプリント事業)
当事業の売上高は192億16百万円となりました。
新型コロナウイルス感染症の第8波の影響はありましたが、Withコロナでの新たな生活様式が定着してきており、2022年10月以降の「全国旅行支援」や3年ぶりの行動制限のない年末年始など写真撮影の機会は堅調に推移し、また当第3四半期連結累計期間においては特にネット注文による年賀状需要が堅調であったことなどから増収となりました。
また、上記に加え若年層の間で流行しているフィルムカメラの現像やプリントも増収に寄与しております。
(スタジオ・撮影事業)
当事業の売上高は116億99百万円となりました。
イベントの開催制限が緩和され、各種イベントが開催されたことでイベント撮影事業は堅調に推移した一方、新型コロナウイルス感染症の第8波による感染拡大で10代以下の世代の感染者が増加したことで、お子様世代を対象としたスタジオ撮影サービスの来店客数が落ち込んだ結果、スタジオ・撮影事業は減収となりました。
(ソリューションサービス事業)
当事業の売上高は70億46百万円となりました。
ソリューションサービス事業は主に写真のデジタル化・VHSなどのビデオのダビングを行う「思い出・サービス」とアップル製品の修理を行う「アップルケアサービス」の2つに大別されます。「思い出・サービス」の売上は堅調に推移したものの、コロナ禍でのサービス継続のためのアップル社からの支援金が当第3四半期連結累計期間には支給されなくなったことなどから、「アップルケアサービス」の売上が減少しました。
(BtoB事業)
当事業の売上高は56億67百万円となりました。
プリントやフォトブックの生産受託先においても、当社のフォトプリント事業と同様、写真として残すニーズは堅調に推移し、増収となりました。
(カメラ販売事業)
当事業の売上高は165億42百万円となりました。
旅行・イベントでの活用を見据えた購入が見られる他、各カメラメーカーの新機種の販売が好調に推移しております。受注済み・入荷待ち商品の入荷・出荷が進んだこともあり、大幅な増収となりました。
(リユース事業)
当事業の売上高は121億33百万円となりました。
新機種発売に伴い、新機種との同時購入による中古レンズの販売が好調に推移しました。また、各種販促の効果で買取量が増加したことで、取扱量増加に伴って販売も好調に推移しました。
(その他物販事業)
当事業の売上高は80億69百万円となりました。
キタムラネットショップにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響により好調に推移していた空気清浄機の販売が需要一巡により例年並みの販売に戻った結果、減収となりました。
(その他事業)
当事業の売上高は13億29百万円となりました。
2022年10月以降の「全国旅行支援」や3年ぶりの行動制限のない年末年始などにより、トラベル用途のバッグ等の需要に戻りが見られ、増収となりました。
③キャッシュ・フローの状況
第4期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は110億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ60億91百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は39億53百万円(前年同期は80億77百万円の獲得)となりました。これは主に、増加要因として税金等調整前当期純利益48億12百万円(前年同期比26億2百万円の増加)及び世界的な半導体不足の影響によるカメラの供給不足による棚卸資産の減少額10億68百万円(前年同期比6億円の増加)等があった一方で、減少要因として前期新型コロナウイルス感染症対策の納税猶予制度の適用を受けていたため未払消費税等の減少により、その他の負債の減少額22億7百万円(前年同期比41億22百万円の減少)及び法人税等も同様に納税猶予制度の適用を受けていたため法人税等の支払額23億79百万円(前年同期比17億15百万円の減少)等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は12億67百万円(前年同期は15億73百万円の使用)となりました。これは主に、増加要因として連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入9億99百万円(前年同期比9億99百万円の増加)があった一方で、減少要因として無形固定資産の取得による支出10億80百万円(前年同期比4億11百万円の減少)及び事業譲受による支出2億円(前年同期比2億円の減少)等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は87億77百万円(前年同期は77億27百万円の獲得)となりました。これは主に、増加要因として長期借入れによる収入30億円(前年同期比264億75百万円の減少)があった一方で、減少要因として短期借入金の純減少額66億円(前年同期比81億6百万円の減少)及び長期借入金の返済による支出46億25百万円(174億49百万円の増加)等があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループの事業は、受注から納品までの期間が短く、受注に関する記載を省略しております。
c.販売実績
第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはフォトライフ事業の単一セグメントであるため、事業区分別に記載しております。
事業区分の名称第4期連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
第5期
第3四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
販売高(百万円)前年同期比(%)販売高(百万円)
フォトライフサービス55,145109.643,630
フォトプリント事業22,840119.719,216
スタジオ・撮影事業15,50198.911,699
ソリューションサービス事業9,955114.17,046
BtoB事業6,84899.95,667
カメラ&リユース30,879107.428,675
カメラ販売事業17,705106.116,542
リユース事業13,174109.312,133
その他12,04382.48,069
その他物販事業12,04382.48,069
フォトライフ事業計98,068104.780,375
その他事業1,75729.41,329
合計99,826100.181,705

(注)主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは、「ニッチドミナント戦略」「事業構造の継続的な改善」の基本戦略の下、最近連結会計年度におきましては、「戦略的な店舗出店と店舗最適配置」「リアル×デジタルの融合によるサービス強化」「新商品・新サービス開発」「フォト領域のITインフラ、商品生産力を活用した法人ニーズの獲得」「業務効率の改善」に重点的に取り組んでまいりました。
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、当社グループはフォトライフ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
a)経営成績に関する認識及び分析・検討内容
第4期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(売上高、売上原価、売上総利益)
当連結会計期間における売上高は998億26百万円(前年同期比0.1%増)となりました。主な増収要因は、前期の新型コロナウイルス感染症拡大の影響による緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置による店舗の休業や短縮営業等による販売機会の喪失があったことによるもので、今期も同様の影響はありますが、前期に比べ休業期間が無くなったことによるものであります。また、前期連結子会社であった株式会社ビコムキタムラが今期連結除外になったことにより、売上高は微増となっております。
売上原価は売上高と同様の要因に加え、売上の販売構成比の変動により519億65百万円(前年同期比0.6%減)となりました。これらの要因により、売上総利益については478億61百万円(同1.0%増)となり、売上総利益率は47.9%(同0.4ポイント増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は430億42百万円(前年同期比4.9%減)となりました。主な要因としましては、前期からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響による緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置による店舗の短縮営業等による人件費の減少及び賃借料の低減活動等の他、売上減少による変動費の削減によるものとなります。これらの要因により営業利益は48億19百万円(同124.9%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は3億10百万円(前年同期比80.0%減)となりました。主な要因としましては、前期の雇用調整助成金等の助成金収入によるものであります。営業外費用は2億49百万円(同23.5%増)となりました。主な要因としましては支払利息の増加によるものであります。これらの要因により、経常利益48億81百万円(同39.6%増)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は2億56百万円(前年同期比539.2%増)となりました。主な要因としましては、退職給付制度改定益によるものであります。特別損失は3億25百万円(同75.5%減)となりました。主な要因としましては、前期における事業構造改革に伴う減損損失の増加、事業構造改革費用及び事業構造改革引当金繰入額の計上によるものとなります。これにより税金等調整前当期純利益は48億12百万円(同117.7%増)となりました。また、法人税、住民税及び事業税は16億53百万円、法人税等調整額は3億75百万円を計上しております。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は27億84百万円(同151.9%増)となりました。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
(売上高、売上原価、売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上高は817億5百万円となりました。主な増加要因としましては、Withコロナでの新たな生活様式が定着してきており、旅行・イベントでの撮影機会によるフォトプリントが堅調に推移し、また、カメラの新機種の発売や買換えによるリユースの需要も貢献し売上高が増加しました。一方新型コロナウイルス感染症の第8波による影響でお子様世代を対象としたスタジオ撮影サービスの売上高が減少しました。売上の販売構成比の変動により売上原価は432億55百万円となりました。この結果、これらの要因により、売上総利益については384億50百万円となり、売上総利益率は47.1%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は334億99百万円となりました。主な増加要因としましては新型コロナウイルス感染症による前期の店舗の営業短縮等が今期はないことから人件費の増加、カメラの新機種の発売による需要増からの決済手数料の増加及び、電気代の値上げによる光熱費の増加等によるものであります。これらの要因により営業利益49億50百万円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当第3四半期連結累計期間における営業外収益は1億49百万円となりました。主な減少要因としましては、雇用調整助成金等の減少によるものであります。営業外費用は1億43百万円となりました。主な減少要因としましては、支払利息の減少によるものであります。これらの要因により、経常利益49億57百万円となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間における特別利益は16百万円となりました。主な減少要因としましては、前期計上しました退職給付制度改定益等によるものであります。特別損失は79百万円となりました。主な減少要因としましては前期計上の事業構造改革費用等によるものであります。これにより税金等調整前四半期純利益は48億93百万円となりました。また、法人税等は20億11百万円を計上しております。
この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は28億82百万円となりました。
b)財政状態に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載しております。
なお、無形固定資産に計上されている「のれん」は、主に㈱キタムラ・㈱しまうまプリント・㈱フォトクリエイトの株式を取得した際に生じたものであり、効果の及ぶ期間にわたって償却しておりますが、減損の兆候はありません。
c)キャッシュ・フローに関する認識及び分析・検討内容
各キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、当社グループはBtoCの取引割合が高く、回収サイトが短いため、運転資本の増減は主に棚卸資産の増減に起因するため、事業成長時に多額の増加運転資本は発生しません。また、「のれん償却費」はキャッシュフローを伴わない費用であり、営業活動によるキャッシュ・フローの加算項目となります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、既存事業から得られる営業活動によるキャッシュ・フローにより賄っております。
②事業リスクへの取り組み
当社グループでは、リスクマップにより事業上の重要リスクを把握し、発生確率の低減や保険等によるリスク移転の対応を進めるとともに、リスク発生時の影響額低減のための体制整備を進めております。当社グループの経営成績等に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。最近連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響を除き、財政状態・経営成績に重要な影響を与えた顕在化リスクはありませんでした。
③資本の財源及び資金の流動性
a)財務戦略の基本的な考え方
当社グループでは、収益性を示す売上高営業利益率、収益成長性を示す営業利益成長率、投下資本効率を示すROIC(投下資本利益率)の維持・改善の実現を財務戦略の基本方針としております。
獲得したキャッシュは、安定的に株主に還元を図るとともに、成長資金として投資に充当してまいります。また、配当による株主還元の他、ROICの改善を通じた株主価値向上にも努めてまいります。
b)経営資源の配分と資金需要の主な内容
当社グループは、事業により獲得した営業キャッシュ・フローと資金調達によるキャッシュインを、店舗出店・生産設備増強・デジタル推進のための投資、新規事業開発、株主還元に配分します。店舗出店・生産設備増強・デジタル推進のための投資は、収益性を重視して厳選し、株主価値向上に資する案件に資源を集中投下しております。
今後の主な資金需要としては、カメラのキタムラやスタジオマリオの出店、ラボ機能の強化、システム投資を予定しております。具体的な投資計画については、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。
c)資金調達手段
当社グループは、事業展開に伴う資金需要を安定的かつ機動的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しております。店舗資産等の回収に長期を要する有形固定資産への投資資金は自己資金または長期借入金により調達し、運転資本は内部資金または当座貸越等の短期借入金を組み合わせて対応することで、財政状態の安定性と資金効率の両立を目指しております。当社グループの事業会社に対しては、当社が資金調達を一元化し、各事業会社の資金需要に対応することでグループとしての資金効率を高めております。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループでは、持続的な成長と収益性・投下資本効率の継続的な改善を通じた、企業価値の向上に努めており、営業利益成長率・売上高営業利益率・投下資本利益率を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標としております。
最近連結会計年度においては、営業利益の前年同期比の成長率は124.9%、売上高営業利益率は4.8%、投下資本利益率は9.9%となっております。前期の新型コロナ感染症の影響による緊急事態宣言を受け、店舗休業・営業時間短縮を実施し、今期も同様の影響を受けましたが、少しずつ回復傾向が見られ、売上高が998億26百万円(前年同期比0.1%増)、売上総利益が478億61百万円(同1.0%増)とそれぞれ増収増益の結果となりました。
リユース事業、スタジオ・撮影事業、ソリューションサービス事業をはじめとした各事業の収益成長に取り組むとともに、店舗におけるマルチタスク化の推進・DX推進等を通じ、収益性・資本効率を高めてまいります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の仮定に基づく見積りが必要となる場合がありますが、この見積りの置き方などにより、連結貸借対照表の資産及び負債、連結損益計算書上の収益及び費用などに重要な影響を及ぼすことがあります。経営者は、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、仮定に基づく見積りを行っておりますが、本質的には不確実な事象に対して経営者の判断を反映させることを要するものであり、その後の経営環境の変化に伴う収益性の変動などがある場合には、実際の結果がこれらの仮定に基づく見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた基礎となる仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「同 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
  • 有価証券届出書(新規公開時)