訂正四半期報告書-第55期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)

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2018/11/07 14:33
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、北朝鮮情勢などの地政学的なリスクの高まりがあったものの、政府による経済対策を背景に、雇用環境・企業業績の改善は続き、景気は緩やかな回復基調で推移いたしましたが、依然として不安定な海外情勢等から、先行きは不透明な状況が続いてまいりました。また、将来不安を背景とした、消費者の根強い節約志向が続き、個人消費は底堅くも力強さに欠ける状況が続いており、当社を取り巻く環境は厳しい状況となっております。
このような経済環境の中、当社グループにおきましては引き続き、主力事業であるきのこ事業を中心として、健康食材である「きのこ」の研究開発、生産、販売を通してより多くの皆さまへ、おいしさと健康をお届けできるよう事業活動を行ってまいりました。また、当期も中期的な事業展開に向けた新たな課題に対応するため、「お客様のニーズにお応えした商品戦略、事業戦略の構築」を主眼に置いた経営戦略を実践し、市況に左右されない強靭な企業体質を構築するべく、事業活動を推進してまいりました。
しかしながら、原材料の高騰、原油価格の高騰、人件費の上昇(準社員を地域限定社員に変更したため)等により、売上原価が上昇し厳しい状況となりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高488億79百万円(前年同四半期比3.6%増)、営業利益8億44百万円(前年同四半期比58.3%減)、経常利益14億22百万円(前年同四半期比44.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億84百万円(前年同四半期比52.9%減)となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間の生産量は、ブナピーを含めブナシメジ33,000t(同3.4%増)、エリンギ14,457t(同1.6%減)、マイタケ10,739t(同0.1%減)となりました。
当第3四半期連結累計期間の各セグメントの概況は次のとおりであります。
「国内きのこ事業」
当該事業では、生産部門におきましては、安全・安心なきのこを提供するため、衛生管理を徹底し、品質の向上と安定栽培に努めてまいりました。
研究部門におきましては、品質管理体制の強化、付加価値の高い新製品の開発及びきのこの薬理効果や機能性の追求に取り組んでまいりました。特に、平成30年9月より収穫・出荷できるように、シイタケの大量・安定栽培に向けた研究に注力してまいりました。
営業部門におきましては、「菌活」及び「きのこには、スポーツをするカラダに必要なビタミン、ミネラルなどの潤滑栄養素が豊富に含まれていること」を訴求することで消費行動を促すとともに、鮮度に拘った営業活動を行ってまいりました。個人消費の回復の遅れなど厳しい販売環境にありましたが、12月に入り、10月の台風等の影響から野菜の生育が遅れ出荷量が減り、野菜相場が高値で推移したこと等によって、きのこの価格も堅調に推移いたしました。
以上の結果、国内きのこ事業全体の売上高は321億24百万円(同3.0%増)となりました。
「海外きのこ事業」
当該事業では、米国の現地法人「HOKTO KINOKO COMPANY」におきましては、引き続き非アジア系顧客マーケットの開拓に注力し、販売の拡大を目指してまいりました。台湾の現地法人「台灣北斗生技股份有限公司」におきましては、ブランドの構築、企画提案などに力を入れ販売活動を行ってまいりました。大きな台風の上陸も無く、野菜価格が比較的安定しており、きのこの販売環境も全体的に良かったこと等から、きのこの価格も堅調に推移いたしました。また、マレーシアの現地法人「HOKTO MALAYSIA SDN. BHD.」におきましては、マレーシア国内に限らず、シンガポールを始めとする東南アジアの各国市場での販売を展開してまいりました。さらに海外営業部では、アジア各国及び、欧州でのマーケティング活動を引き続き行ってまいりました。
以上の結果、海外きのこ事業全体の売上高は35億88百万円(同8.1%増)となりました。
「加工品事業」
当該事業では、水煮・冷凍・乾燥アイテムの開発及び市場開拓、自社きのこを活用した新商品の開発及び健康食品・レトルト食品を中心とした通販事業などに注力してまいりました。
以上の結果、加工品事業の売上高は56億8百万円(同2.5%増)となりました。
「化成品事業」
当該事業では、引き続き厳しい販売環境にありましたが、中核である包装資材部門におきましては、新規開拓・利益率の向上に注力してまいりました。農業資材部門におきましては、営業力強化のための増員を行いました。新規戦略本部におきましては、自社製品製造工場の安定稼働と販売強化に注力してまいりました。
以上の結果、化成品事業の売上高は75億57百万円(同5.2%増)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における資産、負債、純資産の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は216億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億81百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が6億31百万円、受取手形及び売掛金が32億22百万円増加したことによるものであります。固定資産は805億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億97百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が25億53百万円、投資その他の資産が13億56百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は1,022億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ74億79百万円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は374億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億89百万円増加いたしました。これは主に、短期借入金が70億33百万円、支払手形及び買掛金が7億22百万円増加したことによるものであります。固定負債は138億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億49百万円減少いたしました。
この結果、負債合計は512億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億40百万円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は509億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億61百万円減少いたしました。これは主に、配当金19億27百万円の支払と親会社株主に帰属する四半期純利益6億84百万円の計上により利益剰余金が12億43百万円減少したこととその他の包括利益累計額が3億39百万円増加したことおよび自己株式が1億11百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は49.9%(前連結会計年度末は54.6%)となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
きのこ研究開発活動につきましては、当社「きのこ総合研究所」におきまして、バイオテクノロジーを駆使し、新品種の開発、既存品種の改良、栽培方法の研究等きのこ全般に関する研究活動につとめております。
なお、当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は200百万円であり、その主な成果は次の通りです。
[きのこ事業]
品種登録
(日本国内)
ホンシメジ3品種
出願品種の名称 「Lyophy 002」
登録日 2017年8月21日
登録番号 第26224号
出願品種の名称 「Lyophy 138」
登録日 2017年8月21日
登録番号 第26225号
出願品種の名称 「Lyophy 162」
登録日 2017年8月21日
登録番号 第26226号
(海外)
EU
出願品種の名称 「HOX 1号」
登録日 2017年9月11日
登録番号 47440
品種登録出願
(エノキタケ1品種)
出願品種の名称 「Veluty M-99」
出願国 ベトナム
出願日 2017年7月27日
出願番号 2017-178
出願国 マレーシア
出願日 2017年8月1日
出願番号 PVBT019/17
出願国 EU
出願日 2017年8月4日
出願番号 A201702171
学会発表(口頭)
演題 「マイタケ抽出物のPPARδ活性化能及び骨格筋機能改善効果」
発表日 2017年5月20日
学会 第71回日本栄養・食糧学会大会
東京大学院農学生命科学研究科との共同研究

演題 「キノコの自己消化におけるキチナーゼと他の加水分解酵素について」
発表日 2017年8月23日
学会 第31回日本キチン・キトサン学会大会
大阪府立大学との共同研究
演題 「ヒラタケ子実体の自己消化におけるトレハラーゼに関する研究」
発表日 2017年9月7日
学会 日本きのこ学会第21回大会
大阪府立大学との共同研究
演題 「ヒラタケ(Pleurotus sp.)子実体の自己消化におけるトレハラーゼについて」
発表日 2017年9月22日
学会 日本農芸化学会関西・中四国・西日本支部2017年度合同大阪大会(第49回講演会)
大阪府立大学との共同研究
演題 「各種キノコペーストを添加した鹿肉ハンバーグの嗜好性」
発表日 2017年9月26日
学会 味と匂学会第51回大会
長野女子短期大学との共同研究
演題 「ヒラタケ属 (Pleurotus sp.) 由来のトレハロース分解酵素について」
発表日 2017年11月25日
学会 第2回次世代生物研究会
大阪府立大学との共同研究
演題 「ヒラタケ(Pleurotus sp.)子実体の自己消化におけるトレハラーゼについて」
発表日 2017年12月7日
学会 第90回日本生化学大会
大阪府立大学との共同研究
演題 「HepG2細胞を用いたブナシメジの脂質代謝促進作用の解析」
発表日 2017年12月9日
学会 第15回日本機能性食品医用学会総会
特許関係
特許出願
発明の名称 脂肪酸代謝促進成分の抽出方法及び脂肪酸代謝促進剤
出願番号 2017-78469
出願日 2017年4月11日
特許登録(香港)
発明の名称 ヒラタケ属(Pleurotus sp.)の新種及びその作出方法
登録番号 HK1208778
登録日 2017年4月21日

(5)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
①単価、気候変動リスク
元来、当きのこ業界は、きのこの特性からくる季節的要因により、きのこ単価、販売量とも春から夏にかけては不需要期で低迷し、秋から冬に最需要期を迎え上昇に転じる傾向にあります。このような要因により、通常上半期の業績は厳しい状況となり、需要期となる下半期は業績も堅調に推移いたします。しかしながら、最需要期である秋から冬にかけて、暖冬等による気候の変化やきのこの安定供給により市場が供給過剰気味に推移することなどから発生する価格変動等によって、需要期であるにも関わらず、消費が伸び悩み販売量の減少や単価の低迷に繋がり当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
②安全性に係るリスク
食品の品質や安全性に対する消費者の意識は依然として高く、異物混入はもとより、生産及び製造過程における衛生面や使用原材料等についても消費者の関心は集められております。当社といたしましては、これら生産、製造、販売においては万全の管理体制で臨んでおりますが、衛生面や使用原材料等に予期せぬ問題が発生した場合、経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
③海外事業に関するリスク
当社は現在、米国、台湾及びマレーシアにおきまして子会社を設置し、それぞれきのこセンターで生産・出荷を行っております。海外事業におきましては、現地の政治、経済情勢や法律、税制の問題、また公衆衛生、テロ等紛争など予期せぬ事態により当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
きのこ事業におきましては、消費者の食の安全、安心に対する意識の高まりはもとより、健康への寄与に対する注目も高まってきております。生産国、産地、使用原材料等についてだけでなく、成分や効能とその認知につきましても注意を払うところとなりました。このような状況において、当社も予期せぬ食品衛生上の問題等が発生し、経営成績に影響を受ける可能性があります。当社といたしましては、このような事態にならぬよう万全の管理体制のもと、研究、生産、販売を行なう所存であります。
当社は現在、ブナシメジ、エリンギ、マイタケ、ブナピー及び新商品「霜降りひらたけ」を生産、販売しておりますが、量産化に向けて栽培技術の開発中でありますシイタケ及びホンシメジの本格的な販売開始など、今後の新商品開発及び市場投入のピッチを速めることや、健康志向に合わせてこれらの持つ生理活性機能についての研究を強化することも欠かせないと考えております。また、多様化する消費者の商品選択志向や企業間競争の激化に対応するために、消費者のニーズを的確に捉えた臨機応変な販売戦略を展開していく所存であります。
一方、海外での展開につきましては、米国・台湾・マレーシアに子会社を設置し、きのこの生産、販売を行っております。生産面におきましては、販売状況を勘案しながら徐々に稼働率を上げ、また販売面におきましては、ブランド価値を高め販売力をより一層強化し、海外市場の拡大を進めていくことが不可欠であると考えております。台湾及びマレーシアの子会社におきましては、東南アジア及び中国を中心とした市場の開拓を進め、また米国につきましては、非アジア系顧客の新規開拓に注力し、さらなる販路の拡大に努めてまいります。
加工品事業につきましては、自社きのこを活用した新商品の開発、冷凍・乾燥アイテムの開発に注力し、健康食品、レトルト食品の販売を中心に、通販事業を合わせて営業力を強化しながら業務を拡大してまいります。
化成品事業につきましては、自社製品分野の拡大に取り組み販売活動を強化してまいります。