訂正有価証券報告書-第91期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2015/05/08 11:31
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【項目】
122項目

対処すべき課題

(1) 中長期的な会社の経営戦略と会社の対処すべき課題
わが国経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動や新興国経済の下振れ懸念はあるものの、政府・日銀による経済政策の効果が下支えとなり、個人消費や企業による設備投資が増加し、景気の回復基調が継続することが期待されております。しかしながら水産・食品業界を取り巻く環境は、少子高齢化による国内マーケットの縮小もあり販売競争はますます激化の一途を辿っております。加えて海外から調達する水産原材料のコストは、海外における水産物需要の増加、資源管理強化による供給量の減少などの影響を受け上昇傾向にあり、収益を圧迫する要因となりつつあります。一方で水産物をおいしく手軽に食べたいというニーズは年々増加しており、多少値段が高くとも高品質な商品を求めるといった、従来とは異なる消費動向も現れております。
このような経営環境のもとで、「キョクヨーグループの優位性を強化、拡充し、安心・安全で競争力のある商品の提供により、グループ企業価値の最大化を実現する」という基本目標のもと、『加工戦略』、『グローバル戦略』、『シナジー戦略』という3つの戦略を中心とする中期経営計画『パワーアップキョクヨー2015』(平成24年度~平成26年度)の最終年度を迎え、目標達成に向けて取り組んでおります。
各部門の課題と施策は次の通りであります。
水産商事セグメントでは、これまで培ってきた水産物についての豊富な経験と国内外サプライヤーとの持続的な関係強化により、質の高い水産物の安定的な供給を維持してまいります。また高付加価値商品の取り扱いを高め、安心・安全な商品の開発を徹底して推し進めるとともに、より消費者に近い販売ルートの構築を進めてまいります。更に欧米・東南アジアの海外現地法人のネットワーク化により三国間貿易の取り組みを強化し、海外マーケットの深耕を図るなどして、資源調達力及びグループ内の協業体制強化に努めてまいります。
冷凍食品セグメントでは、寿司・生食用商品の生産拠点の分散化を進めるとともに、調理品については既存品のリニューアルや新規商品の早期導入を図ることにより、事業基盤の強化を進めてまいります。また市販用ブランド『シーマルシェ』の発表とともに、新たに取り組みを開始した家庭用冷凍食品事業については、その規模拡大に向けて商品開発、末端ニーズの情報収集等の取り組みを強化してまいります。
常温食品セグメントでは、円安や原材料価格上昇による製品コストアップに対し、販売価格の転嫁や規格の変更が遅れており、立て直しを早急に進めてまいります。また当社のわかば丸漁獲原料を使用した鰹缶詰は原料から製品まで一貫生産しており、このような原料・製法にこだわった特徴のある製品の開発を今後も進めてまいります。
物流サービスセグメントでは、冷蔵運搬船事業は引き続き長期傭船契約の獲得による収益の安定化と改善を図ってまいります。冷蔵倉庫事業は新規の事業所開設による規模拡大と営業力強化、事業の効率化に努めてまいります。
鰹・鮪セグメントにおいては、漁獲、養殖、国内外における買付から加工、販売まで一貫した体制のもと収益安定化を図ってまいります。海外まき網事業では、漁場の確保と操業効率の向上、良質な製品の生産に努めてまいります。本鮪の養殖事業は順調に推移しているものの、安定的な天然種苗確保に向け、集魚エリアの拡充を図るとともに、完全養殖のノウハウの蓄積、歩留まりの向上に努めてまいります。加工及び販売面では高付加価値製品の開発と価格競争力のある商品の買付に努め、収益の安定化を図ってまいります。
管理面につきましては、当社の企業理念、行動指針に基づき、企業倫理、法令遵守、フードディフェンスの観点に基づいた工場管理体制の見直しなど、コンプライアンス体制の強化を推進してまいります。また、自己資本比率の向上、キャッシュ・フローの改善、有利子負債やリスク資産の削減、在庫管理の徹底などによって財務体質の強化に取り組むとともに、環境に配慮した経営、災害時に事業を早期復旧し継続できる体制の整備を進めてまいります。
以上により、消費者に安心・安全な食品を提供し続けることを責務とし、安定的な収益の確保及び財務体質の改善を推進することによって、企業価値の向上と社会貢献を図ってまいりますので、なお一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
(2) 当社株式の大量買付行為への対応方針
当社は、平成23年6月24日開催の第88回定時株主総会において、『当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)』(以下「旧プラン」といいます。)の継続について株主の皆様にご承認いただき、その有効期限は平成26年6月24日開催の第91回定時株主総会終結の時までとなっていました。
そこで、当社は平成26年5月9日開催の当社取締役会において、旧プランの内容を継続(以下、変更後の対応方針を「本プラン」といいます。)することを決定いたしました。本プランの継続については、平成26年6月24日開催の第91回定時株主総会における株主の皆様によるご承認を条件としていましたが、当該定時株主総会において、株主の皆様によるご承認をいただけましたことから、本プランの継続が決定いたしました。
当該方針の概要は下記のとおりです。なお詳細につきましては当社ホームページ掲載の「当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続に関するお知らせ」本文をご参照ください。
(参考URL http://www.kyokuyo.co.jp/ir/pdf/bouei140509.pdf)
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針
上場会社である当社の株式は、株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の意思により判断されるべきであると考えております。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、経営の基本理念、企業価値のさまざまな源泉、ならびに当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させる者でなければならないと考えております。
従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
そのため、当社取締役会は、万一、当社の支配権の移転を伴う大量買付を意図する者が現れた場合は、買付者に買付の条件ならびに買収した場合の経営方針、事業計画等に関する十分な情報を提供させ、当社取締役会や、必要な場合には株主がその内容を検討し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間を確保することが、最終判断者である株主の皆様に対する当社取締役会の責務であると考えております。
② 基本方針の実現に資する取組み
当社は、上記基本方針に照らし、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、次の施策を実施しております。
ア.中期経営計画の策定
当社は、当社の企業価値、株主共同の利益を向上させるため、平成24年度から平成26年度までの3ヵ年中期経営計画『パワーアップキョクヨー2015』を策定し、『加工戦略』と『グローバル戦略』に新たに『シナジー戦略』を加えた3つを基本方針として事業展開をしております。
イ.コーポレート・ガバナンスの強化
当社は企業統治(コーポレート・ガバナンス)に関しては、公正な経営を維持することが基本であると考えております。取締役会・監査役会・会計監査人による監査など法律上の機能に加え、内部統制機能の強化により経営の透明性向上とコンプライアンスを徹底し、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制を構築することで、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取組み
当社取締役会は、上記の基本的な考え方に立ち、大規模買付者が取締役会に対して事前に必要かつ十分な情報提供をし、取締役会による一定の検討時間が経過した後に大規模買付行為を開始するといった一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めます。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合は原則として対抗措置はとりません。当該買付提案に応じるか否かは、株主の皆様において、ご判断いただくことになります。但し、買収行為が結果として会社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会が判断する場合には、取締役の善管注意義務に基づき、例外的に対抗措置を取ることがあります。大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、対抗措置をとり買収行為に対抗する場合があります。具体的な対抗措置をとることを決定した場合には、その内容につきまして速やかに開示いたします。
本プランの有効期限は平成29年6月に開催される定時株主総会となっておりますが、有効期限の満了前であっても、株主総会あるいは取締役会において本プランを変更、廃止する旨の決議が行われた場合は、その時点で変更、廃止されるものとします。本プランについて変更、廃止等の決定を行った場合には、その内容につきまして速やかに開示いたします。
本プランにおける対抗措置の発動等の判断に際しては、当社の業務執行から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされています。
なお、取締役会は、以下の理由から、本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、かつ当社経営陣の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
ア.買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること
イ.株主意思を重視するものであること
ウ.独立性の高い社外者の判断を重視していること
エ.合理的な客観的要件を設定していること
オ.独立した外部専門家の意見を取得していること
カ.デッドハンド型・スローハンド型の買収防衛策ではないこと