訂正有価証券報告書-第46期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/07/14 9:18
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対処すべき課題

生産・販売により減少する埋蔵量を維持・拡大し長期に亘り安定的な石油・天然ガスの供給体制の整備を図ることは、探鉱・開発・生産・販売を事業の軸とする当社において重要な課題です。また、国内天然ガス事業に係る競争の激化や地球温暖化対策の重要性の高まりといった社会情勢の変化等、当社を取り巻く経営環境の変化に対応するため、平成27年5月、当社は新たに今後10年程度を見据えた長期経営ビジョンとその達成に向けた2015(平成27)年度から2019(平成31)年度までの5年間を対象とした中期事業計画を公表いたしました。
その内容につきましては、当社ホームページ内の以下のURLからご覧いただくことができます。
http://www.japex.co.jp/newsrelease/JAPEX_LongTermVision_J_20150512_r0513.pdf 「長期経営ビジョン及び中期事業計画の策定について」
今次長期ビジョン及び中期事業計画においては、2014(平成26)年後半以降、国際原油価格が急激に低下し回復の見通しも不透明な状況にあるものの、石油・天然ガスは今後も長期に亘り世界の一次エネルギーの中で主要な役割を担い続けるとの認識の下、引き続き、前中期事業計画(2012(平成24)年3月期~2016(平成28)年3月期)(以下、「前中計」)に掲げた「事業拡大の3本柱」をさらに発展させるべく、今後の取り組みの方向性をまとめました。その要旨は以下の通りです。
(長期ビジョン)
「石油・天然ガスE&Pを軸とする総合エネルギー企業への転換」
当社は、前中計に基づき事業基盤の海外シフトを進めた結果、カナダオイルサンドHangingstone拡張エリア(HEプロジェクト)の開発移行や、Pacific Northwest LNG(PNWL)プロジェクトへの参画等により、2019(平成31)年度の生産量・埋蔵量は、それぞれ、前中計の目標を大きく上回る10万バレル/日、5.5億バレルに達する見込みです。
これらの進行中プロジェクトを軌道に乗せ、生産操業開始以降の投資回収及び収益貢献を確実なものとすることが、前中計に掲げたE&P事業海外シフトの第2、第3段階(生産量及び埋蔵量の増加と再投資サイクルの確立)に相当し、2025(平成37)年の飛躍に向けた重要なステップであると位置づけます。
また、国内でのE&P事業について、既存油ガス田の価値最大化や国の基礎調査等を通じた海洋における新規ポテンシャルの追求に取り組む一方、鉱業の宿命として生産量・埋蔵量の減退が顕在化した場合にも、国内顧客へのエネルギー安定供給を全うすることを当社グループの第一の使命として堅持したうえで、国内ガス供給インフラの一層の活用・拡充を図ってまいります。
加えて、最近の油価の大幅下落に直面し、改めて油価のボラティリティの大きさを認識するなか、今後、海外E&P事業収入が増加することを勘案すれば、油価変動が業績に与える影響度を極力軽減し、経営の安定性を高める観点から、事業の多様化への取組みが必要であると認識します。
そのため、これまでE&P事業にほぼ特化してきた当社の事業分野について、発電事業を含む石油・天然ガス供給の関連分野(天然ガス火力発電、LNGカーゴ売買、基地周辺事業等)や、保有するE&P専門技術と親和性・共通性のある新事業(環境・新技術事業の収益事業化、海洋鉱物資源の探査事業等)に積極的に拡大し、従来型E&P事業に留まらない事業からの収益拡大を目指します。
(事業展開方針)
「E&P事業」
・進行中プロジェクトの着実な遂行と生産段階での収益確保。
・国内でのポテンシャル追求と効率的操業体制の構築。
・進行中プロジェクトの開発が一段落する2020(平成32)年度以降も、RRR>1(注)を維持。
(注)RRR: Reserve Replacement Ratio =(一定期間中の)「埋蔵量の増加分」÷「生産量」
「国内天然ガス等供給事業」
・調達ソースと供給形態の多様化と規模の拡大。
・相馬LNG基地の運開及び発電事業の実現。
・2025(平成37)年までに天然ガス取扱量250万t(LNG換算)のサプライヤーを目指す。
「環境・新技術事業」
・メタンハイドレートの技術開発。
・CCSの実証推進及び民間事業化要件(制度等)の整備。
・地熱発電事業の推進。 等
「CSR経営」
・すべてのステークホルダーからの期待・要請に応え、信頼されるグローバル企業として成長するため、当社CSR重点課題「SHINE」を実現するための取組みを推進。
(収益目標)
・進行中案件の徹底管理による収益規模の拡大。
・油価低迷時の「安定配当の維持」。
・将来の油価回復及び進行中プロジェクトの収益実現段階での配当水準の向上等による株主還元の拡充。
当社グループは、このような取組みを通じて事業基盤及び競争力の一層の強化に努め、徹底した経営効率化を進めることにより、企業グループとしての持続的発展と株主価値の最大化に努めてまいります。
当社株式等の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)について
一 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。
当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づいて行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式の大量買付であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値や株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
当社株式の大量買付を行う者が、当社の財務及び事業の内容を理解するのは勿論のこと、下記二1.に述べるような当社の企業価値の源泉を理解した上で、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗措置を執ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
二 当社の企業価値の源泉及び基本方針の実現に資する特別な取組み
1.当社の企業価値の源泉について
当社は、昭和30年の創業以来、石油及び可燃性天然ガスの自給度の向上を主たる目的として事業を展開し、埋蔵量ゼロから出発し、順次新規油・ガス田の発見を重ねる中で現在の経営基盤を確立し、石油・天然ガス資源の探鉱、開発、販売事業を中心的事業として営んでおります。
当社の企業価値の源泉は、石油・天然ガス資源に係る鉱区権益を自ら取得し、探査、採掘、販売までを一貫して行うビジネスモデルにあります。また、産業活動あるいは市民生活における血流とも言えるエネルギーの供給に携わる企業として、当社は、安定供給・安全操業の維持、確保という点においてきわめて重い責務を担うとともに、高い公共性を有する事業を行っております。
こうしたビジネスモデルは、当社が保有する、①高度な石油・天然ガス探査技術、②国内及び海外における油・ガス田開発技術及び操業ノウハウ、並びに、③国内における天然ガス輸送パイプラインネットワークの構築とこれを利用した長期・安定的な供給実績の積み重ねに基づく顧客・株主・地域社会等のステークホルダーとの信頼関係、などに裏打ちされたものであります。
新たな油・ガス田の探鉱から生産に漕ぎつけるまでには、10年以上の期間を要することも稀ではなく、長期的な視点に立った事業展開とともに、地球環境保全への配慮を通じた社会貢献が必要とされています。また、エネルギー資源の確保に関する国際競争の激化が予想される昨今の国際エネルギー情勢に鑑みれば、当社の事業の持続的な発展と企業価値の向上には、こうした当社の保有技術・ノウハウの向上や人材の確保、各ステークホルダーとの信頼関係の更なる強化を目指した取組みが必要不可欠であり、これがこれまでと同様、将来の当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上につながるものと考えております。
2.企業価値向上のための取組み
世界的な資源開発競争の激化や不安定なエネルギー価格動向のほか、国内天然ガス事業に係る一層の競争激化、環境問題への社会的意識の高まり等が想定されるとの認識のもと、当社は長期ビジョンとその達成に向けた平成27年度から平成31年度までの5年間を対象とした中期事業計画を策定いたしました。
これまでE&P(石油・天然ガスの探鉱・開発・生産)にほぼ特化してきた事業分野について、これを軸にしながら従来型のE&P事業に留まらない事業からの収益拡大を目指すという長期ビジョンのもと、E&P事業、国内天然ガス等供給事業、環境・新技術事業、CSR経営を柱にした事業展開を進め、それぞれに掲げる目標の達成によって企業価値のより一層の向上を図ります。
3.コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、以上のような諸施策を実行することによって、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を図っていく所存であります。また、当社は、効率的な経営により利益を上げ、かつ有用な存在として社会に受け入れられる企業であり続けるため、コーポレート・ガバナンスの重要性を認識し、以下のとおり、そのシステムの整備、充実を目指しております。
まず、当社は、業務執行体制の明確化のため執行役員制度を導入するとともに、社外監査役2名に加え、業務を執行しない社外取締役を3名選任することにより、取締役会の監督機能の強化を図っております。
現在、取締役会は月1回を定例として開催され、重要な業務執行の決定を行うほか、取締役または執行役員から業務執行状況の報告を受けることにより、監督機能を果たしています。監査役は、取締役会に出席するほか、常勤監査役がその他の重要会議に出席するとともに、業務を執行する各取締役または執行役員と随時意見交換を行うことにより、監督機能を果たしております。また、内部監査として、監査室が、社長直轄のもと各部署における内部統制の実効性の検証を含め、法令及び社内諸規程の遵守その他適正な業務執行がなされているかの監査にあたっております。
一方、内部統制につきましては、平成18年5月に会社法及び会社法施行規則に定める、業務の適正を確保するために必要な体制の整備を行い、同年4月に設置された内部統制委員会が主体となって、業務の適正を確保するための体制の点検、整備を継続しております。
さらに、こうした経営機構上のコーポレート・ガバナンスに加えて、決算説明会の開催、ホームページの充実などのIR活動により、経営の透明性を高めることを通じて、時々の状況下で最適な業務執行の実現を期しております。
三 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(本プラン)
1.本プランの目的
本プランは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、上記一に記載した基本方針に沿って導入されたものです。
当社取締役会は、基本方針に定めるとおり、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない当社株券等の大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えております。本プランは、こうした不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値・株主共同の利益に反する大量買付を抑止するとともに、当社株券等に対する大量買付が行われる際に、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案したり、あるいは株主の皆様がかかる大量買付に応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保すること、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とすることを目的としています。
2.本プランの概要
本プランは、当社株券等の20%以上を買収しようとする者が現れた際に、買収者に事前の情報提供を求める等、上記の目的を実現するために必要な手続を定めています。
買収者は、本プランに係る手続に従い、当社取締役会において本プランを発動しない旨が決定された場合に、当該決定時以降に限り当社株券等の大量買付を行うことができるものとされています。
買収者が本プランにおいて定められた手続に従わない場合や、当社株券等の大量買付が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するおそれがある場合等で、本プラン所定の発動要件を充たす場合には、当社は、買収者等による権利行使は原則として認められないとの行使条件及び当社が原則として買収者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得できる旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の当社を除く全ての株主の皆様に対して新株予約権の無償割当ての方法により割り当てます。
本プランに従って新株予約権の無償割当てがなされ、その行使または当社による取得に伴って買収者以外の株主の皆様に当社株式が交付された場合には、買収者の有する当社の議決権割合は、最大約50%まで希釈化される可能性があります。
本プランに従った新株予約権の無償割当ての実施、不実施または取得等の判断については、取締役会の恣意的判断を排するため、独立委員会規則に従い、当社経営陣から独立した社外取締役等のみから構成される独立委員会において、その客観的な判断を経ることとしています。
なお、独立委員会の委員は次のとおりです。
土屋恵一郎 明治大学長
小島 明 当社社外取締役
渡辺 裕泰 当社社外監査役
また、当社取締役会は、これに加えて、本プラン所定の場合には、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する株主の皆様の意思を確認することがあります。
こうした手続の過程については、適宜株主の皆様に対して情報開示がなされ、その透明性を確保することとしています。
本プランの有効期間は、平成26年6月25日開催の第44回定時株主総会の決議による、本プランに係る本新株予約権の無償割当てに関する事項の決定権限の委任期間と同じく、当定時株主総会終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとします。
但し、その有効期間の満了前であっても、①当社の株主総会において本新株予約権の無償割当てに関する事項の決定についての取締役会への上記委任を撤回する旨の決議が行われた場合、または、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
なお、本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイトに記載しております、平成26年5月12日付の当社ニュースリリース「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」をご覧ください。
(アドレス http://www.japex.co.jp/newsrelease/pdfdocs/20140512_baisyu-j.pdf)
四 本プランに対する当社取締役会の判断及びその理由
1.本プランが基本方針に沿うものであること
本プランは、当社株券等に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保するための枠組みであり、基本方針に沿うものです。
2.本プランが当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
当社は、以下の理由により、本プランは、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
① 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針の定める三原則(①企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の原則、②事前開示・株主意思の原則、③必要性・相当性の原則)を充足しています。
② 株主意思を重視するものであること
本プランの導入に際しては、株主の皆様の意思を確認すべく、平成20年6月25日開催の第38回定時株主総会においてこれを付議し、承認可決され、その後、平成23年6月24日開催の第41回定時株主総会及び平成26年6月25日開催の第44回定時株主総会においてその更新を付議し、承認可決されております。
また、当社取締役会は、本プランに定める一定の場合に、本プランの発動の是非について、株主総会において株主の皆様の意思を確認するとしています。
加えて、本プランには、有効期間を約3年間とするいわゆるサンセット条項が付されており、かつ、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において上記の委任決議を撤回する旨の決議が行われた場合または当社取締役会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。その意味で、本プランの消長には、株主の皆様のご意向が反映されることとなっております。
③ 独立性の高い社外取締役等の判断の重視と情報開示
本プランの発動に際しての実質的な判断は、独立性の高い社外取締役等のみから構成される独立委員会により行われることとされています。
また、その判断の概要については株主の皆様に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本プランの透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
④ 合理的な客観的要件の設定
本プランは、合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
⑤ 第三者専門家の意見の取得
本プランは、買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で、ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、税理士、コンサルタントその他の専門家の助言を受けることができるものとされています。これにより、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとなっています。
⑥ デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株券等を大量に買い付けた者が、自己の指名する取締役を株主総会で選任し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能です。
従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社においては取締役の期差任期制は採用されていないため、本プランは、スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。