有価証券報告書-第120期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 10:50
【資料】
PDFをみる
【項目】
149項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、英国のEU離脱問題や米国の政権交代等によって先行きに対する不透明感が高まったが、経済への影響は限定的なものに留まり、全体として緩やかに成長した。
我が国経済については、個人消費は足踏み状態が続いたものの、雇用・所得環境は改善傾向にあり、また、民間設備投資は年度後半に円安が進行したこと等により持ち直しの動きとなるなど、景気は緩やかな回復基調となった。
国内建設市場においては、建設投資は首都圏を中心とする大規模再開発や交通インフラ整備等の需要に支えられて公共・民間ともに底堅さを維持し、労務需給は引き続き安定的に推移した。
こうした中、当社グループは持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、前連結会計年度に策定した「中期経営計画(2015~2017年度)」に基づき、当社建設事業の再生・強化に向けた取り組みを集中的に推し進めるとともに、当社グループの強みを活かせる事業領域の拡充と経営基盤の確立に向けて取り組んできた。
その結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、次のとおりとなった。
建設事業受注高は、前連結会計年度と同水準で推移し、前連結会計年度比3.8%減の1兆7,283億円(前連結会計年度は1兆7,958億円)となった。なお、当社の受注高は、開発事業等を含めて同9.1%増の1兆3,499億円(前連結会計年度は1兆2,368億円)となった。
売上高は、前連結会計年度と同水準で推移し、前連結会計年度比4.5%増の1兆8,218億円(前連結会計年度は1兆7,427億円)となった。
利益については、建設事業の利益率向上と開発事業等の好調な推移により売上総利益が増加したことを主因に、営業利益は前連結会計年度比39.9%増の1,553億円(前連結会計年度は1,110億円)となり、経常利益は同44.2%増の1,634億円(前連結会計年度は1,133億円)となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損益が改善したこともあり、前連結会計年度比45.0%増の1,048億円(前連結会計年度は723億円)となった。
(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額を表示している。
セグメントの業績は次のとおりである。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。)
① 土木事業
(当社における建設事業のうち土木工事に関する事業)
完成工事高は、前連結会計年度と同水準で推移し、前連結会計年度比3.6%減の2,968億円(前連結会計年度は3,079億円)となった。
営業利益は、完成工事総利益率が向上したことから、前連結会計年度比24.8%増の359億円(前連結会計年度は288億円)となった。
② 建築事業
(当社における建設事業のうち建築工事に関する事業)
完成工事高は、前連結会計年度と同水準で推移し、前連結会計年度比1.3%増の8,351億円(前連結会計年度は8,240億円)となった。
営業利益は、完成工事総利益率が向上したことを主因に、前連結会計年度比36.9%増の786億円(前連結会計年度は574億円)となった。
③ 開発事業等
(当社における都市開発、地域開発など不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業)
販売物件の引渡しがあったことを主因に、売上高は前連結会計年度比110.8%増の718億円(前連結会計年度は340億円)、営業利益は同14倍超の98億円(前連結会計年度は6億円)となった。
④ 国内関係会社
(当社の国内関係会社が行っている事業であり、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸
事業等)
売上高は、前連結会計年度と同水準で推移し、前連結会計年度比0.9%減の3,611億円(前連結会計年度は3,646億円)となった。
営業利益は、前連結会計年度と概ね同水準で推移し、前連結会計年度比5.1%減の195億円(前連結会計年度は206億円)となった。
⑤ 海外関係会社
(当社の海外関係会社が行っている事業であり、米国、欧州、アジアなどの海外地域における建設事業、開発事業等)
売上高は、前連結会計年度と概ね同水準で推移し、前連結会計年度比9.0%増の4,009億円(前連結会計年度は3,679億円)となった。
営業利益は、売上総利益率が向上したことも加わり、前連結会計年度比55.7%増の116億円(前連結会計年度は75億円)となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,875億円の収入超過(前連結会計年度は363億円の収入超過)となった。これは、税金等調整前当期純利益1,621億円に減価償却費193億円等の調整を加味した収入に加えて、未成工事受入金及び開発事業等受入金の増加542億円の収入があった一方で、法人税等の支払額449億円及び工事損失引当金の減少316億円の支出があったこと等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、319億円の支出超過(前連結会計年度は278億円の支出超過)となった。これは、有形固定資産の取得による支出250億円があったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金、長期借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の資金調達と返済の収支が25億円の支出超過となったことに加えて、配当金の支払額166億円の支出等により、205億円の支出超過(前連結会計年度は131億円の支出超過)となった。
これらにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から1,326億円増加し、3,674億円(前連結会計年度末は2,348億円)となった。