有価証券報告書-第73期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:31
【資料】
PDFをみる
【項目】
116項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税率引き上げの影響が長く続いたものの、政府の経済政策や日銀の追加金融緩和により、株高・円安が進行し、輸出関連企業を中心に業績の改善や生産が拡大するなど、年度後半には景気は緩やかな回復基調となりました。
また、海外では、米国は堅調な個人消費に支えられ、景気は拡大基調を維持しましたが、欧州は依然として本格的な回復に至っておらず、中国やASEAN諸国は成長が引続き鈍化するなど、先行きの不透明感は払拭されませんでした。
当社グループの関連する市場におきましては、鉄鋼業界では、国内粗鋼生産は、5年連続で1億トンを超える水準が維持され、設備の更新や改修など、生産基盤の整備に向けた投資が見られました。
また、自動車業界では、北米における買替え需要や中国市場の拡大などにより、業績は底堅く、国内外において積極的な投資が、継続して実施されました。
一方、タッチパネル業界では、供給過剰による価格競争が激化するなか、台頭する中国メーカのシェアが高まり、当社の主要顧客である台湾メーカの業績は総じて低迷し、設備投資は抑制傾向が続きました。
このような経営環境のもと、当社は早期の業績回復を目指し、需要の低迷している情報・通信分野から、国内設備の基盤強化に力を入れている鉄鋼、自動車関連のエネルギー分野へ経営資源を移し、最新鋭の省エネ・低エミッション技術の積極的な提案や、アフターマーケットの開拓に注力するなど、受注・売上の確保にグループ一丸となって懸命の努力を重ねました。
その結果、過去に納入した長期稼働設備が、老朽化対策や更新時期を迎えている鉄鋼向けで、加熱炉の省エネ改造・駆動機構更新工事を、また、自動車向けに新開発の量産型真空浸炭設備を、および海外では台湾向け加熱炉更新や欧州・メキシコ向け自動車部品熱処理設備などの成約を得て、受注高は32,727百万円(前期比139.8%)と大幅に増加しました。
売上面につきましては、国内では、太陽電池製造設備や自動車部品熱処理設備を、また、海外では台湾向けタッチパネル関連精密塗工装置や中国向け機械部品熱処理設備などを納入し、売上高は24,549百万円(前期比90.9%)となりました。
利益面につきましては、原価の低減や固定費の削減に取り組み、減収とはなりましたが、営業利益240百万円(前期比873百万円改善)、経常利益351百万円(前期比845百万円改善)、当期純利益303百万円(前期比437百万円改善)を計上することができました。
各セグメント別の概況は次のとおりです。
① エネルギー分野
受注面では、顧客別に生産性の向上や省エネに繋がる提案などを積極的に展開した結果、国内高炉メーカ向け省エネ型加熱炉新設および各種改造工事を始め、自動車トランスミッション部品用量産型真空浸炭設備、航空機部品熱処理設備、携帯端末用電子部品焼成炉を、また、海外では台湾鉄鋼向け加熱炉更新やメキシコ・欧州向け自動車部品熱処理設備、トルコ向け冷延鋼板連続焼鈍設備用バーナなどの成約を得て、受注高は27,649百万円(前期比159.6%)と、大きく伸長させることが出来ました。
売上面では、国内で鉄鋼向け加熱炉改造工事や太陽電池製造設備、チタン熱処理設備、自動車部品用粗材熱処理炉を、また、海外では中国向け機械部品熱処理設備やフィリピン向け自転車部品熱処理設備などを納入した結果、売上高は19,088百万円(前期比92.6%)となりました。
損益面では、営業利益726百万円(前年同期比437.0%)となりました。
② 情報・通信分野
受注面では、世界的に伸びているスマホやタブレット、ウェアラブル端末などの新製品需要に対応して、国内パネルメーカ向け液晶・タッチパネル貼り合せ装置や電子部品真空熱処理装置、ガラス基板熱処理テスト炉を、また、海外では台湾向けフレキシブルディスプレー関連熱処理装置や中国向け有機ELディスプレー関連熱処理装置、新型精密塗工装置「HPコータ」などの成約を得て、受注高は1,706百万円(前期比82.1%)となりました。
売上面では、国内向け耐熱フィルム熱処理装置やガラス基板熱処理炉改造工事を、また、海外では、台湾向けタッチパネル関連精密塗工装置、中国向けフレキシブルディスプレー関連精密塗工装置などを納入しましたが、期首の受注残高が少なく、売上高は1,565百万円(前期比70.6%)を計上するにとどまりました。
損益面では、営業損失442百万円(前年同期は979百万円の営業損失)となりました。
③ 環境保全分野
受注面では、地域に豊富な森林資源をボイラーの燃料にして地元で熱利用する事業として、岩手県遠野市の地域活性化事業で採用された木質バイオマス蒸気ボイラー設備や、民間企業向けバイオコークス製造装置増設工事、また、国内向け産業廃棄物乾燥焼却炉、化学メーカ向け蓄熱式排ガス処理装置などの成約を得て、受注高は2,648百万円(前期比87.9%)となりました。
売上面では、マレーシアやタイ化学メーカ向け蓄熱式排ガス処理装置、および自治体向けバイオマスガス化発電設備保守業務などにより、売上高は2,592百万円(前期比92.8%)となりました。
損益面では、営業損失214百万円(前年同期は17百万円の営業利益)となりました。
④ その他
受注面では、海外子会社において、中国向け機械部品熱処理設備や直燃式排ガス処理装置、および化学メーカ向け焼成炉移設工事などの成約を得て、受注高は3,025百万円(前期比97.6%)となりました。
売上面では、台湾向けアルミ板連続塗装ラインや中国向け自動車部品熱処理設備、およびフィリピン向けアルミ熱処理設備などを納入し、売上高は3,876百万円(前期比108.7%)となりました。
損益面では、営業利益157百万円(前年同期比142.0%)となりました。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。なお、セグメント別の受注高及び売上高は、セグメント間取引相殺消去前の金額によっております。また、当連結会計年度よりセグメント区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の区分により作成した情報にもとづいて記載しております。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローにつきましては、売上債権の増加や仕入債務の減少などの資金の減少により、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末比3,536百万円減少の6,392百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の増加1,772百万円や仕入債務の減少1,480百万円等により、当連結会計年度は2,605百万円の資金の減少(前連結会計年度は2,110百万円の資金の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の取得による支出354百万円等により、当連結会計年度は478百万円の資金の減少(前連結会計年度は441百万円の資金の増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払467百万円等により、当連結会計年度は494百万円の資金の減少(前連結会計年度は1,043百万円の資金の減少)となりました。