有価証券報告書-第17期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)NRグループパーパス
当社グループは、「卓越した技術と誠実な施工でインフラを支え、安全・安心な社会と豊かな暮らしを未来につなぐ」というグループパーパスを制定しております。時代の移り変わりとともに、当社グループが果たすべき役割も進化しておりますが、これまで以上に高い安全意識と専門性を兼ね備えた人財育成に取り組み、社会インフラを支える存在として、すべてのステークホルダーとともに未来へ歩んでまいります。
(2)経営の基本方針
当社グループは、「当社は、鉄道の技術から発展した総合電気工事会社として、安全を第一に、品質の向上と技術の研鑽に努め、変革に挑み続けます。そして、卓越した技術と誠実な施工により、お客様から信頼され、共に成長し、広く社会基盤の構築に貢献することで、持続可能な社会を目指します。」という経営理念を掲げ、お客様の期待と信頼に応え、社会に貢献してまいります。また、以下の3つの基本方針を掲げ、時代の変遷に対応するため、「変革と挑戦」への意識改革の取り組みをより一層強化するとともに、会社の変革を目指して社員一人ひとりが仕事の仕組みを変え、会社を変革し続けることにより企業価値の向上を図ってまいります。
(安全)
安全は経営の根幹である。労働災害及び重大事故ゼロを目指して、役員、社員一人ひとりが自らの職責を全うして安全を築き上げます。
(意識改革で会社・社会の発展)
役員、社員一人ひとりが、常にチャレンジ精神で自ら考え行動することにより、競争力と収益力に優れた企業として、持続的に成長し企業価値と社会価値の向上を目指します。
(社員の働きがい)
役員、社員一人ひとりが、仕事に誇りを持って自らの成長に努め、社会への貢献を通じて、仕事と生活の調和のとれた働きがいのある職場を実現します。
(3)環境基本理念
当社グループは、以下のとおり環境基本理念を制定しております。省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用拡大など、事業活動のあらゆる場面で当社グループの環境戦略「REACH:RIETEC’s Environmental Approaches to Create new Horizons」を推進し、2050年カーボンニュートラルの達成に向けて貢献いたします。なお、「REACH」については当社ホームページ(https://www.j-rietec.co.jp/esg/environment/reach/)をご参照ください。
(環境基本理念)
日本リーテックグループは「広く社会基盤の構築に貢献する」という経営理念のもと、地球環境に対する継続的改善を経営の重要課題と位置づけ、事業活動の全ての場面において、環境負荷の低減に努め、持続可能な社会の実現に向けて貢献いたします。
(4)中長期的な経営環境と対処すべき課題への取り組み
今後の日本経済につきましては、景気の回復基調を背景に企業収益や雇用・所得環境の更なる改善が期待されております。一方で、中東情勢や海外の経済動向に伴うサプライチェーンの混乱に伴い、物価の上昇や原材料の供給不足など、経済活動に影響を及ぼす不確実性が増しており、引き続き注視が必要な状況となっております。
このような状況の中、当社グループが10年後に目指す姿「NR Vision 2035」の達成に向けた第1ステップである「中期経営計画2027」の初年度が終了いたしました。人財の確保や建設コストの上昇など多くの課題に直面しておりますが、顧客との継続的な価格協議に加え、DXや技術開発の推進、柔軟な要員操配等による生産性の向上に努めた結果、受注高・売上高・各利益ともに過去最高を更新する決算となりました。
今後も電気設備工事業の各部門ともに、主要顧客を中心に受注は堅調に推移すると見込んでおります。加えて既存事業の知見や技術を部門横断的に活かしたデータセンターや系統用蓄電池等の新たな事業もスタートいたしました。現在の堅調な受注環境を確実に成長へと繋げるため、不確実性が増す外部環境への注意を払いつつ、引き続き「中期経営計画2027」で掲げる各種戦略を着実に実行し、企業価値、株主価値の向上を実現してまいります。
(長期ビジョン「NR Vision 2035」)
当社グループは、10年後の目指す姿として長期ビジョン「NR Vision 2035」を定めております。当社グループの強みである高い専門性と強固な顧客基盤を活かし、新たな事業領域等の開拓を積極的に行い、持続的成長を実現してまいります。そして、卓越した技術と誠実な施工でインフラを支え、安全・安心な社会と豊かな暮らしを未来につなぎ、多様な価値を創造し続けることにより、すべてのステークホルダーから「選ばれる企業」を目指してまいります。

10年後の目指す姿

(「中期経営計画 2027」の骨子)
2025年度を初年度とする3年間の「中期経営計画 2027」は、長期ビジョンの実現に向けた第1ステップと位置付け、その方向性を明確化するとともに、成長ドライブとなる以下の戦略を策定しております。本計画を着実に実行することで、長期ビジョンへと続く確かな道筋を築き上げ、当社グループの企業価値向上に努めてまいります。
磨き抜くべき普遍的価値
① 安全第一
経営の根幹である「安全」は、安全品質№1企業を目指し、当社の安全ポリシー「NR安全の樹」を企業文化として、そのこころをグループ一人ひとりがアイデンティティとなるまでに高めること、そして、安全を支える活力ある職場作りを通じ、私たちの仕事が社会を支えているという高い志「NR品質・NRプライド」を持つ人財の育成に取り組み、お客様から更なる信頼をいただけるよう努めてまいります。
② 品質の維持・向上
「品質の維持・向上」は、当社グループの永遠のテーマであり、工事の品質、業務の品質、サービスの品質の3つの重点項目に注力してまいります。具体的には、施工精度、設計図書との適合性、厳格な工程管理を実施することで品質を確保してまいります。さらに、顧客の要望への対応や技術提案などの付加価値の提供、施工技術の向上、厳格な品質管理、安全意識の向上など、常に最高水準の品質を目指し、不断の努力を続けてまいります。
③ 技術の研鑽
従業員一人ひとりが技術力向上に励み、安全・安心で持続可能な社会基盤を築くことで、持続的な成長と社会貢献を目指してまいります。
プロジェクト管理能力、専門技術力、そして人財育成の強化を柱に、技術の研鑽に努めてまいります。多様な研修や資格取得支援、OJTなどを推進し従業員一人ひとりがプロフェッショナル意識を高め、技術力と人間力を兼ね備えた人財へと成長することで、顧客の期待を超えるサービスを提供し、一層の信頼を獲得してまいります。
④ コンプライアンス
コンプライアンスの維持・強化は、継続的で不断の努力が必要であり、働きがいのある心理的安全性の高い職場を実現することにつながることを深く認識し、従業員一人ひとりが計画的に取り組んでまいります。具体的には、コンプライアンス意識醸成の「態勢」、社内ルールや法令等の本質を追求する「知識習得」、コンプライアンスに繋がる行為や振舞いを実践する「行動促進」の3つの推進により、コンプライアンスの維持・強化を図り、行動指針に従った社会の期待に応える経営を実現してまいります。
事業戦略
① 収益力の向上
a.既存事業の収益力向上・深度化戦略
当社グループの持続的成長を確実なものとするため、既存事業の収益力を強化し、事業基盤を一層厚くしてまいります。今後の市場動向を的確に捉え、成長分野への経営資源集中を図るとともに、生産性の向上を追求し、収益力の強化・深度化を力強く推進してまいります。
b.多角化戦略
当社グループには、鉄道、道路、送電線、各種施設の電気・通信工事等において、それぞれに専門性の高いコア技術やノウハウがあり、これらを融合そして活用した総合力により、新たな社会ニーズや課題の解決に貢献してまいります。時代の変化をチャンスと捉え、既存事業の周辺領域への進出と未来に向けた価値創造事業への参画を通じて収益源の多角化を図り、新たな成長ストーリーを構築してまいります。
c.グループ会社戦略
グループ各社の強みや専門性を活かした最適な事業体制を構築することで事業基盤と収益力の強化を推進してまいります。また、各社の独立性を保ちつつ、人事交流やコミュニケーションの活性化を推進し、グループ力の底上げを目指してまいります。
② 人財確保・エンゲージメント向上
a.リクルート戦略
従来の価値観に縛られない採用活動と当社グループで働きたいという強い動機付けとなる施策によりブランド力向上を図ることで、将来の当社グループを担う技術者を獲得し、組織の活性化と成長を実現してまいります。
b.キャリアパス戦略
従業員が誇りを持って働き、成長を実感しながら自己実現できるよう、明確なキャリアパスを提示いたします。そのうえで、従業員が自らの価値を自覚・理解し、キャリア形成に意欲的に取り組むことができる仕組みを構築し、個の能力の最大化を図ってまいります。
c.多能化戦略
従業員一人ひとりのキャリア目標に応じた多様な職務経験の機会を提供し、専門性を高めながら領域を広げるための能力開発を支援することで、従業員の自己成長を促進してまいります。その成長により個々の能力を最大限に引き出し、互いに作用し合うことで組織全体の総合力を高め、収益力強化につなげてまいります。
d.働きがい・働きやすさ向上戦略
従業員のキャリア自律を促すとともに成長支援に重点を置き、従業員一人ひとりが安心して仕事に取り組むことができ、成長できる職場風土を築いてまいります。
③ DXや技術開発による生産性向上
a.DX戦略
工事施工に係る業務から本店・支店における管理部門の業務まで、グループ会社を含む全ての業務にDXを推進してまいります。DX推進体制の強化と当社グループ全従業員のデジタルスキル及びリテラシー向上により、当社の目指すイノベーション戦略の未来像である「RICS:RIETEC Innovation & Challenge for Sustainability」の実現を目指してまいります。
なお、「RICS」については当社ホームページ(https://www.j-rietec.co.jp/esg/social/social02/)をご参照ください。
b.技術開発戦略
現場の開発環境を改善することで、これまで以上に技術開発を推進してまいります。また、新たな開発体制を構築し、革新的な技術開発に挑戦することで、一層の生産性向上、安全性向上、そして現場施工の変革や新たな価値創出を実現してまいります。
④ カーボンニュートラルとレジリエンス強化による持続可能な社会への貢献
a.事業活動におけるカーボンニュートラル戦略
2050年のカーボンニュートラルを目指し、事業活動における環境負荷低減に取り組んでまいります。具体的には、省エネルギー化、再生可能エネルギー導入、合理的なCO2排出量算定とデータ収集基盤の構築を進めてまいります。
b.再生可能エネルギー関連工事や設備強靭化工事を通じて持続可能な社会の実現に貢献
脱炭素社会の実現と地域の安全・安心に貢献するため、再生可能エネルギー事業と防災・減災関連事業を推進してまいります。再生可能エネルギー事業では施工実績を積み、既存建物への設備導入や系統用蓄電池設置等を目指してまいります。防災・減災関連事業では、ライフラインの強靭化を支えるべく、当社が得意とする耐震補強工事や電力連系線強化工事を推進することで、災害に強い地域づくりに参画してまいります。
企業価値向上に向けた財務戦略
当社は2026年5月18日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」をアップデートし、取り組むべき課題として引き続きROEの改善と成長戦略の着実な実行を掲げ、企業価値と市場評価の向上に取り組んでおります。
現在、ROEの改善については「中期経営計画2027」の最終年度目標として8.0%を2年前倒しで達成するなど、一定の成果が出ております。一方で市場評価(PBR)については1倍前後で推移しており、更に踏み込んだ取り組みが必要であることを踏まえ、今般の中期経営計画においても財務戦略としての重点実施事項を掲げ、全てのステークホルダーから選ばれる企業となるために、一つひとつの施策に着実に取り組んでまいります。
① 資本効率の向上(総資本回転率)
「効率的なバランスシート」の実現は、ROE改善の重要な要素であり、加えてキャッシュフロー改善の効果を生み出し、安定的な配当還元や機動的な投資を実現し得ることを踏まえ、適正なキャッシュポジションの確保を目指してまいります。
② 株主還元の拡充(配当方針)
当社は株主の皆様への利益還元を経営の重要課題と位置付けており、安定的な配当の継続と機動的な自己株式の取得を通じて、利益還元の拡充と資本効率の向上を目指すことを株主還元の基本方針としております。今般の中期経営計画においてもその基本方針に則った上で、配当還元の水準と安定性の強化に努めております。具体的には、短期的な業績に左右されない安定的、かつ累進的な配当を実現すべく、DOE3.6%を目安として決定してまいります。
③ 株主とのエンゲージメント向上
資本コストや株価を意識した経営の実現のためには、株主との対話や財務・非財務両面での情報開示などにより、株主からの理解を深めることが重要であると考え、積極的な株主とのエンゲージメント向上に努めてまいります。
事業戦略実現に向けた投資戦略
事業戦略の実現に向けて、デジタル化、人財育成、環境対策など、成長機会と捉えられる分野に積極的に投資を実行し、持続的な成長と収益力強化を目指してまいります。
成長投資を機動的に実施していくため、資金は手元資金に限定せず、財務レバレッジを効かせた負債調達も積極的に活用してまいります。同時に、投資案件ごとに厳格な収益性評価を実施し、市場動向や金利変動などのリスク要因を常にモニタリングすることで、リスクを最小限に抑えながら、着実な成長を実現してまいります。
① 安全関連投資
ICT技術導入、遠隔安パト・サポート体制の充実 等
② 施工基盤強化投資
作業環境の整備、協力会社との関係強化 等
③ 人的資本関連投資
採用強化、働きがい向上、多能化強化 等
④ 新技術・DX関連投資
研究開発・技術開発推進、ICT技術導入 等
⑤ 環境経営・GX関連投資
再生可能エネルギー関連、環境負荷低減活動 等
⑥ 戦略的M&A、資本・事業提携
施工体制やエリア拡大に向けた戦略的M&A 等

キャピタル・アロケーション

「中期経営計画2027」の達成目標
2025年度の決算を受け、2026年5月に目標数値を一部修正いたしました。

※2026 年3月期において、政策保有株式の売却実績はありませんでしたが、中期経営計画期間内で達成できる
見込みとなっております。