有価証券報告書-第80期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、企業行動や消費行動が抑制され、厳しい状況下におかれました。年度後半にかけ一部で企業収益改善の動きがみられましたが、景気は総じて先行き不透明な状況が続いております。
建設業界においては、国土強靭化計画等を背景とする関連予算の執行により公共投資は堅調に推移する一方、民間の設備投資は、企業が慎重な姿勢を崩さず、依然として厳しい状況が続いております。
当連結会計年度における当社グループの業績は、受注高は前期比15.0%減少の80,449百万円となりました。売上高は前期比4.6%減少の88,678百万円となりました。利益面では、経常利益は前期比9.9%減少の6,610百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比9.7%減少の4,536百万円となりました。
セグメントの経営成績は、次の通りであります。
(建設事業)
当連結会計年度については、完成工事高は前年同期比4,082百万円(4.4%)減少の89,282百万円となり、セグメント利益は前年同期比986百万円(8.4%)減少の10,788百万円となりました。
(不動産事業等)
当連結会計年度については、兼業事業売上高は前年同期比92百万円(7.7%)減少の1,104百万円となり、セグメント利益は前年同期比30百万円(6.8%)減少の420百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は22,420百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,467百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が2,336百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益で6,568百万円、売上債権の減少で937百万円、減価償却費で1,085百万円、仕入債務の増加で725百万円などにより7,214百万円の収入超過となりました。(前期は8,506百万円の収入超過)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入が15百万円ありましたが、有形固定資産の取得による支出で878百万円、投資有価証券の取得による支出で200百万円などにより、1,086百万円の支出超過となりました。(前期は256百万円の支出超過)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が1,000百万円ありましたが、配当金の支払額で795百万円、短期借入金が純額で1,000百万円減少したことなどにより、660百万円の支出超過となりました。(前期は438百万円の収入超過)
・資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、建設事業の工事費、販売費及び一般管理費等の営業費用、建設事業に係る拠点の整備や工事機械の取得費用等の設備投資及び株主還元としての配当等であります。これらの資金は安定収益確保のもと、内部留保による手元資金の積上げ、金融機関からの借入により資金調達を行っております。なお、金融機関からの期末の借入比率10%以内、当社グループの運営に必要な手元水準を年間売上の概ね2.5ヶ月程度と目標を定め資金調達を行っております。また新型コロナウイルス感染症が経営成績に与える影響額は合理的に見積もることができませんが、工事の一時中止等急な環境変化にも対応できるよう金融機関に未使用の借入枠を有しており、手元資金と併せて運転資金は余裕をもって確保しております。
なお、当社グループの配当政策は、第4「提出会社の状況」3「配当政策」に記載のとおりであります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者はこれらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループでは、特に以下の重要な会計方針の適用が、その作成において使用される見積り及び予測により、当社グループの連結財務諸表の作成に大きな影響を及ぼすと考えております。
①完成工事高、完成工事原価及び工事損失引当金の計上
完成工事高の計上は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準を適用するにあたり工事原価総額を、工事契約の変更や悪天候による施工の遅延や建設資材単価や労務単価等の変動について仮定を設定し、作業効率等を勘案して、工事の各段階における工事原価の詳細な見積りを内容とする実施予算として適切に作成しております。そのうえで工事原価の発生額と対比して適切な見積りの見直しを行っておりますが、施工中の事故や天災、経済情勢の悪化や新型コロナウイルス感染症による工事の一時中止等不測の事態の発生により、主要建設資材の高騰や、想定外の追加原価の発生、工事遅延による損害賠償等により工事原価総額の見積りが大きく変動し、工事収益が変動する可能性があります。
また手持工事のうち損失の発生が見込まれるものについて、その損失見込額を計上しております。損失見込み額の算定に際しては入手可能な情報から過去の経験を基礎とした工事原価総額が請負金額を超えた金額を引当てております。また発注者との変更契約の変更や工事内容の変更により工事原価が増減する場合があります。このような仮定要素があるため将来の損益は見積り金額と異なる場合があります。
②繰延税金資産の回収可能性の評価
繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、税金費用の軽減効果について、当社グループの事業から将来の課税所得が十分に見込めるかを合理的に見積もっております。これらの見積もりは、中期経営計画および毎期の事業計画に基づき算定しておりますが、将来において当社グループをとりまく環境に大きな変化があった場合など、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産が変動する可能性があります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
①受注実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日) | 当連結会計年度 (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) |
| 建設事業(百万円) | 94,660( 2.3%増) | 80,449( 15.0%減) |
②売上実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日) | 当連結会計年度 (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) |
| 建設事業(百万円) | 91,855( 3.9%減) | 87,638( 4.6%減) |
| 不動産事業等(百万円) | 1,136( 15.5%増) | 1,039( 8.5%減) |
| 合計(百万円) | 92,992( 3.7%減) | 88,678( 4.6%減) |
(5)建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
当連結企業集団では、生産実績を定義する事が困難であるため、「生産の実績」は記載しておりません。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次の通りであります。
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
| 期別 | 区分 | 前期 繰越工事高 (百万円) | 当期 受注工事高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期 完成工事高 (百万円) | 次期 繰越工事高 (百万円) |
| 前事業年度 (自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日) | 土木工事 | 52,994 | 69,774 | 122,768 | 67,315 | 55,452 |
| 建築工事 | 19,882 | 23,025 | 42,908 | 23,245 | 19,663 | |
| 計 | 72,876 | 92,799 | 165,676 | 90,561 | 75,115 | |
| 当事業年度 (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) | 土木工事 | 55,452 | 63,700 | 119,153 | 63,811 | 55,342 |
| 建築工事 | 19,663 | 15,335 | 34,998 | 22,003 | 12,995 | |
| 計 | 75,115 | 79,036 | 154,151 | 85,814 | 68,337 |
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがいまして当期完成工事高にもその増減額が含まれます。
2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致します。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 合計(%) |
| 前事業年度 (自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日) | 土木工事 | 75.9 | 24.1 | 100 |
| 建築工事 | 59.5 | 40.5 | 100 | |
| 当事業年度 (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) | 土木工事 | 78.1 | 21.9 | 100 |
| 建築工事 | 42.3 | 57.7 | 100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 売上高
(イ)建設事業(完成工事高)
| 期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 前事業年度 (自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日) | 土木工事 | 14,226 | 53,089 | 67,315 |
| 建築工事 | 6,553 | 16,691 | 23,245 | |
| 計 | 20,780 | 69,780 | 90,561 | |
| 当事業年度 (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) | 土木工事 | 13,313 | 50,497 | 63,811 |
| 建築工事 | 8,923 | 13,080 | 22,003 | |
| 計 | 22,236 | 63,578 | 85,814 |
(注)1.前事業年度の完成工事のうち請負金額5億円以上の主なもの
| 中日本高速道路(株) | 新東名高速道路 伊勢原JCT~伊勢原北IC間管理施設新築工事 |
| 愛知県 | 橋りょう整備事業 県道羽島稲沢線 新濃尾大橋 下部工事(H28) |
| 東海旅客鉄道(株) | 米原保線所管内土木構造物大規模改修その他工事(RC橋H31) |
| アルフレッサ(株) | アルフレッサ(株)京都研修所改修工事 |
| 東洋紡エンジニアリング(株) | 東洋紡(株)敦賀事業所 TFC棟建設工事 |
当事業年度の完成工事のうち請負金額5億円以上の主なもの
| 中日本高速道路(株) | 新東名高速道路 御殿場インターチェンジ管理施設新築工事 |
| 愛知県 | 橋りょう整備事業県道羽島稲沢線新濃尾大橋下部工事(誰もが働きやすい現場環境整備工事) |
| 東海旅客鉄道(株) | 大井保線所管内大井中央陸橋P7・P8橋脚(上部工)耐震補強その他工事 |
| (株)フジトランスコーポレーション | フジトランスコーポレーション豊田物流センター2号倉庫 新築工事 |
| 三菱地所レジデンス(株) | 台東区小島2丁目計画新築工事 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次の通りであります。
| 前事業年度 | ||
| 東海旅客鉄道株式会社 | 56,737百万円 | 62.7% |
| 当事業年度 | ||
| 東海旅客鉄道株式会社 | 52,364百万円 | 61.0% |
(ロ)兼業事業(兼業事業売上高)
| 期別 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) | |
| 前事業年度 | (自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日) | - | 1,066 | 1,066 |
| 当事業年度 | (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) | - | 996 | 996 |
④ 次期繰越工事高(令和3年3月31日現在)
| 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 土木工事 | 14,164 | 41,177 | 55,342 |
| 建築工事 | 7,101 | 5,893 | 12,995 |
| 計 | 21,266 | 47,071 | 68,337 |
(注)次期繰越工事のうち請負金額5億円以上の主なもの
| 鉄道建設運輸施設整備支援機構 | 北陸新幹線、福井軌道敷設他 | 令和4年12月竣工予定 |
| 中日本高速道路(株) | 東名高速道路 牧之原サービスエリア(下り線)他休憩施設改修他工事 | 令和4年4月竣工予定 |
| 東海旅客鉄道(株) | 京都保線所管内土木構造物大規模改修その他工事(RC橋R3その2) | 令和4年6月竣工予定 |
| 東山フイルム(株) | 東山フイルム瑞浪工場 研究開発棟新築工事 | 令和3年6月竣工予定 |
| 樽見鉄道(株) | 樽見鉄道樽見線 美江寺駅~北方真桑駅(9km600m付近)単独立体交差工事 | 令和4年3月竣工予定 |
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態の分析
・資産
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度に比べ電子記録債権が減少しましたが、現金預金、投資有価証券の増加などがあり、総額では前期比6,113百万円増加して95,120百万円となりました。
流動資産は前期比5,268百万円(8.8%)増加の65,275百万円、固定資産は前期比844百万円(2.9%)増加の29,845百万円となりました。
流動資産の増加の主な要因は、電子記録債権が前期比614百万円減少しましたが、現金預金が前期比5,467百万円、流動資産のその他が前期比800百万円増加したことなどによるものです。
固定資産の増加の主な要因は、無形固定資産がソフトウエアの減価償却費を中心に前期比149百万円減少しましたが、有形固定資産が前期比22百万円増加し、加えて投資その他の資産で投資有価証券が前期比990百万円増加したことなどによるものです。
・負債
当連結会計年度末の負債は、仕入債務の増加等があり前期比1,032百万円(2.7%)増加し39,285百万円となりました。
流動負債は前期比746百万円(2.6%)増加の29,909百万円、固定負債は前期比285百万円(3.1%)増加の9,376百万円となりました。
流動負債の増加の要因は、短期借入金が前期比596百万円、未払法人税等が前期比274百万円減少しましたが、支払手形・工事未払金等が前期比910百万円、流動負債のその他が前期比763百万円増加したことなどによるものです。
固定負債の増加の要因は、長期借入金が前期比268百万円、退職給付に係る負債が前期比795百万円減少しましたが、社債が前期比800百万円、繰延税金負債が前期比538百万円増加したことなどによるものです。なお、借入金比率は前期比0.2ポイント減少の5.7%となっております。
・純資産
当連結会計年度末の純資産は、その他有価証券評価差額金が前期比563百万円、退職給付に係る調整額が前期比765百万円、利益剰余金が前期比3,741百万円増加したことなどにより、前期比5,081百万円(10.0%)増加の55,834百万円となりました。
② 経営成績の分析
・受注高
当連結会計年度の受注高は前期比14,211百万円(15.0%)減少の80,449百万円となりました。
内訳は、土木部門につきましては、官公庁、民間ともに減少しました。特に民間部門で新幹線大規模改修工事の受注減が大きく、前期比6,064百万円(8.7%)減少の63,724百万円となりました。
建築部門につきましても、官公庁、民間ともに減少しました。特に新型コロナウイルス感染症の影響にともない、民間の設備投資姿勢が慎重になり、工事計画の延期や見直しなどが相次いだことなどで大幅な受注減となり、前期比8,147百万円(32.8%)減少の16,724百万円となりました。
・売上高
当連結会計年度の完成工事高は、土木部門は受注が減少したことにより前期比3,495百万円(5.2%)の減少となり、建築部門は官公庁工事では期初の繰越工事が多かったこともあり前期比で増加しましたが、民間工事の大幅な受注減少の影響により前期比720百万円(2.9%)減少したことにより、全体では前期比4,216百万円(4.6%)減少の87,638百万円となりました。
兼業事業の売上につきましては、JPタワー名古屋の賃貸収入はほぼ前期並みでありましたが、販売用不動産売却が減少したことなどにより前期比96百万円(8.5%)減少し1,039百万円となりました。以上の結果、売上高全体では、前期比4,313百万円(4.6%)減少の88,678百万円となりました。
・営業利益
完成工事高の減少と、工事利益率が低下したことにより完成工事総利益が前期比993百万円(8.4%)減少しました。加えて販売用不動産売却が減少したことなどにより兼業事業総利益も30百万円(6.8%)減少しましたので売上総利益は前期比1,023百万円(8.4%)減少し11,211百万円となりました。販売費及び一般管理費が新型コロナウイルス感染防止の為の自粛により前期比244百万円(4.7%)減少しましたが、営業利益は前期比779百万円(11.0%)減少して6,297百万円となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響としましては、建築部門における一部資材の納入の遅延や、兼業事業におけるJPタワー名古屋においては、政府の外出自粛要請から来館者数が減少し、その影響により商業施設の売上及び駐車場利用台数に減少が見られましたが、いずれも当連結会計年度の営業利益に及ぼす影響は軽微であります。
・経常利益
受取配当金の計上などにより営業外収益が401百万円、営業外費用が88百万円となりましたが、営業利益が前期比779百万円減少したことにより、経常利益は前期比723百万円(9.9%)減少して6,610百万円となりました。
・税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益の減少に加え、特別損失で金山駐在事務所(下呂)他3事務所解体等による固定資産除却損34百万円と富士宮事務所の土地・建物の減損損失11百万円が発生したことなどにより、税金等調整前当期純利益は前期比804百万円(10.9%)減少の6,568百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比487百万円(9.7%)減少の4,536百万円となりました。
(7)目標とする主な経営指標の達成状況
当社グループは平成30年度を初年度として「第17次経営計画」をスタートさせておりますが、最終年度となる当連結会計年度における主要な数値目標との比較は下記のとおりであります。
| 項 目 | 数値目標 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
| 受 注 高 | 850億円以上 | 946億円 | 804億円 |
| 売 上 高 | 850億円以上 | 929億円 | 886億円 |
| 経常利益率 | 4.5% | 7.9% | 7.5% |