有価証券報告書-第51期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 13:19
【資料】
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【項目】
144項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループの事業目的は、土木・建築構造物の基礎工事を担当することにあり、上部構造物を利用されている全ての方々に「安全」「安心」をお届けすることにあります。基礎工事分野におけるリーディングカンパニーとして、常に新しい技術・工法の開発・普及に努めることで、企業価値の増大を図ることにより、株主・取引先・社会の期待に応える企業を目指します。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
① 経営環境
今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症へのワクチン接種が進み、社会生活の制約が緩和され、経済活動も回復することが期待されております。しかしながら、感染力の強い変異株の拡大が懸念され、本格的な回復までには一定程度の時間を要することが想定されるなど、先行きへの不透明感を拭えない状況が続くと思われます。
建設業界におきましては、公共投資は補正予算の執行や製造業を中心とした設備投資の回復が見込めるものの建設投資全体としては減少することが想定されております。
このような環境のもと、当社グループにおきましても、新型コロナウイルス感染症終息の長期化が新たな設備投資の需要減、施工計画の中止及び工事の延期が懸念されるなど少なからず影響を受けることが想定され、引き続き今後の受注環境の変化に注視する必要があります。
② 中長期的な会社の経営戦略
2020年度を最終年度とした中期経営計画では、定性目標に対しては一定程度の成果を上げることができたものの定量目標に関しては、特に2020年度に新型コロナウイルス感染症の影響もあり達成には及ばない結果となりました。
その中で、浮かび上がった課題を克服すべく2021年度を初年度とした新たな中期経営計画(2021年~2023年度)を策定しスローガンとして「進取の気性」(ニーズに適応した高付加価値を創出)を掲げました。
その基本戦略では開発戦略として「環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献」「社会が安心できる信頼性を確立」、次に営業・施工戦略として「設計提案から施工まで、サプライチェーンの実現」「開発途上国の社会インフラ整備に貢献」、最後にESG戦略として「サステナビリティ経営の高度化」を実行してまいります。
開発戦略の「環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献」「社会が安心できる信頼性を確立」では、新技術の創出、基礎地盤の強靭化への貢献、ICT技術の活用・導入、産学連携によるインキュベーションの発信、連結子会社でもある㈱複合技術研究所との戦略企画室の更なる機能化を行い、「変化する社会・ニーズに適応した高付加価値を創造」「既存技術の高度化、品質と安全のクライテリアの可視化」を進めてまいります。
営業・施工戦略の「設計提案から施工まで、サプライチェーンの実現」「開発途上国の社会インフラ整備に貢献」では、国内では鉄道整備プロジェクト、関西のインフラ強靭化プロジェクト、eコマース関連構造物にスマート設計の提案、営業領域の拡張に積極的に取り組み、「リダンダンシープロジェクトへの貢献とワンストップサービスの実現」を行います。また、海外では施工の認証を取得したTCCSの活用による地盤改良事業の加速、コンクリートパイル事業の拡大、東南アジア圏における更なる進出を行い「ベトナム公的技術基準の活用とコンクリートパイル事業の拡大」を行います。
ESG戦略の「サステナビリティ経営の高度化」では、環境・社会・ガバナンスそれぞれへのアクションプランと検討実施項目を掲げ「社会課題解決、企業価値向上への取り組み」へ積極的に関与してまいります。
その結果として、中期経営計画の最終年度である2023年度では連結売上高220億円、経常利益15億円の達成を掲げております。加えて、収益性の向上と資本効率を高めることを目標として、自己資本当期純利益率(以下、「ROE」という。)を経営上重視すべき経営指標としており、8%以上を目標としております。更には、将来の成長に繋げるために手元資金の有効活用として3年間で35億円の投資枠を設けました。
(3) 優先的に対処すべき事業上の課題と経営指標
当社グループにおきましては、このような状況のもと2021年度は新たな中期経営計画の初年度となり、落ち込んだ業績の回復に向け課題として浮かび上がった「設計提案から施工までの一貫体制の強化」と「顧客のニーズに応える付加価値の創出」に精力的に取り組んでまいります。「設計提案から施工までの一貫体制の強化」に関しましては、川上営業と設計折り込み力の強化に加え、2020年10月に子会社化した株式会社広島組や2020年12月の日本ヒューム株式会社、2021年1月の日本コンクリート工業株式会社との業務資本提携を機にお互いの技術やノウハウを掛け合わせシナジー効果を生み出してまいります。「顧客のニーズに応える付加価値の創出」に関しましては、新技術・新サービスを開発し早期の実用化を進めてまいります。また、これらの課題に取り組むとともにESG経営を推進し持続的な企業価値向上に努めてまいります。なお、新型コロナウイルス感染症予防に関しましては、感染力の強い変異株の拡大が想定されるなか、引き続き当社グループ、協力会社の役職員及び取引先の関係者の皆さまの安全確保を最優先し、適切に対応してまいります。
その結果として2021年度の数値目標は、連結売上高180億円、経常利益7億円を掲げておりますが、経営上重視すべき経営指標としているROE8%以上の早期の達成を目指してまいります。
(4) 株主還元政策
株主への還元政策としては、連結配当性向を30%程度と設定するとともに自社株式においても機動的に取得することとしております。