有価証券報告書-第53期(2022/04/01-2023/03/31)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループの事業目的は、土木・建築構造物の基礎工事を担当することにあり、上部構造物を利用されている全ての方々に「安全」「安心」をお届けすることにあります。基礎工事分野におけるリーディングカンパニーとして、常に新しい技術・工法の開発・普及に努めることで、企業価値の増大を図ることにより、株主・取引先・社会の期待に応える企業を目指します。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
① 経営環境
今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大も落ち着きを見せ始め、さらに感染症法上の分類が2023年5月8日に「2類相当」から「5類」に引き下げられたことで、経済活動の正常化が進み、昨年来の個人消費の回復と相俟って、景気は緩やかながら持ち直しをみせるものと期待されております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化と国内外の金利政策の変化および物価上昇などが懸念材料となっており、先行きへの不透明感は拭えない状況が続くと思われます。
建設業界におきましては、公共投資および倉庫・流通施設や工場建設を中心とした民間設備投資の増加が見込まれ、建設需要全体としては底堅く推移するものと思われます。しかしながら、建設資材価格の高騰、現場従事者の慢性的な不足、脱炭素への対応など多くの取り組むべき課題を抱えております。
このような環境のもと、当社グループにおきましても、新型コロナウイルス感染症が収まりを見せ、経済活動が回復を見せるものの、引き続き受注活動や施工環境の変化には注視する必要があります。
② 中長期的な会社の経営戦略
ⅰ 中期経営計画
2021年度からスタートした新たな中期経営計画(2021年~2023年度)は、前中期経営計画で浮かび上がった課題を克服すべくスローガンとして「進取の気性」(ニーズに適応した高付加価値を創出)を掲げました。
その基本戦略では開発戦略として「環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献」「社会が安心できる信頼性を確立」、次に営業・施工戦略として「設計提案から施工まで、サプライチェーンの実現」「開発途上国の社会インフラ整備に貢献」、最後にESG戦略として「サステナビリティ経営の高度化」を実行してまいります。
開発戦略の「環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献」「社会が安心できる信頼性を確立」では、新技術の創出、基礎地盤の強靭化への貢献、ICT技術の活用・導入、産学連携によるインキュベーションの発信、連結子会社でもある㈱複合技術研究所との戦略企画室の更なる機能化を行い、「変化する社会・ニーズに適応した高付加価値を創造」「既存技術の高度化、品質と安全のクライテリアの可視化」を進めてまいります。
営業・施工戦略の「設計提案から施工まで、サプライチェーンの実現」「開発途上国の社会インフラ整備に貢献」では、国内では鉄道整備プロジェクト、関西のインフラ強靭化プロジェクト、eコマース関連構造物にスマート設計の提案、営業領域の拡張に積極的に取り組み、「リダンダンシープロジェクトへの貢献とワンストップサービスの実現」を行います。また、海外では施工の認証を取得したTCCSの活用による地盤改良事業の加速、コンクリートパイル事業の拡大、東南アジア圏における更なる進出を行い「ベトナム公的技術基準の活用とコンクリートパイル事業の拡大」を行います。
ESG戦略の「サステナビリティ経営の高度化」では、環境・社会・ガバナンスそれぞれへのアクションプランと検討実施項目を掲げ「社会課題解決、企業価値向上への取り組み」へ積極的に関与してまいります。
ⅱ サステナビリティ経営の高度化
中期経営計画に掲げるESG戦略は当社のサステナビリティ経営の高度化を推進するもので、E:環境、S:社会、G:ガバナンスの分野で6つのマテリアリティ(重要課題)を設定しております。このマテリアリティは当社の中長期的な経営戦略の要諦であり、それぞれのマテリアリティ毎に経営環境の変化に適応したアクションプランを策定し、その遂行を通してサステナビリティ経営の高度化を図ってまいります。
具体的には以下の通り、マテリアリティへの取り組みを進めております。
(注)上表アクションプランは当社においては具体的な取り組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、当社グループにおける記載が困難であります。このため、上表進捗状況の記載数値は提出会社のものを記載しております。
(3) 優先的に対処すべき事業上の課題と経営指標
当社グループにおきましては、このような状況のもと2023年度が最終年度となります中期経営計画に掲げた課題に対して、3つの基本戦略を着実に実行してまいります。開発戦略に関しましては、開発中の新技術・新サービスの実用化を進めます。営業・施工戦略に関しましては、新技術・新サービスの実用化による営業領域の拡張に加え、北海道新幹線や関西土木インフラ等のリダンダンシープロジェクトでの実績を積み上げます。ESG戦略に関しましては、「E環境」ではCO2排出量の少ない燃料使用の拡大やCO2を固定化する基礎工法の開発を進めます。「S社会」では健康経営や産後パパ育休取得を推進します。「Gガバナンス」では策定したBCPの浸透とコンプライアンス研修の充実を図り、当社グループ、協力会社の役職員及び取引先の関係者の皆さまの安全確保と働きがいのある職場環境作りに適切に対応してまいります。
その結果として、中期経営計画の最終年度である2023年度では連結売上高220億円、経常利益15億円の達成を掲げております。加えて、収益性の向上と資本効率を高めることを目標として、自己資本当期純利益率(以下、「ROE」という。)を経営上重視すべき経営指標としており、8%以上を目標としております。更には、将来の成長に繋げるために手元資金の有効活用として3年間で35億円の投資枠を設けました。
(4) 株主還元政策
株主への還元政策としては、連結配当性向を30%程度と設定するとともに自社株式においても機動的に取得することとしております。
(1) 経営の基本方針
当社グループの事業目的は、土木・建築構造物の基礎工事を担当することにあり、上部構造物を利用されている全ての方々に「安全」「安心」をお届けすることにあります。基礎工事分野におけるリーディングカンパニーとして、常に新しい技術・工法の開発・普及に努めることで、企業価値の増大を図ることにより、株主・取引先・社会の期待に応える企業を目指します。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
① 経営環境
今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大も落ち着きを見せ始め、さらに感染症法上の分類が2023年5月8日に「2類相当」から「5類」に引き下げられたことで、経済活動の正常化が進み、昨年来の個人消費の回復と相俟って、景気は緩やかながら持ち直しをみせるものと期待されております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化と国内外の金利政策の変化および物価上昇などが懸念材料となっており、先行きへの不透明感は拭えない状況が続くと思われます。
建設業界におきましては、公共投資および倉庫・流通施設や工場建設を中心とした民間設備投資の増加が見込まれ、建設需要全体としては底堅く推移するものと思われます。しかしながら、建設資材価格の高騰、現場従事者の慢性的な不足、脱炭素への対応など多くの取り組むべき課題を抱えております。
このような環境のもと、当社グループにおきましても、新型コロナウイルス感染症が収まりを見せ、経済活動が回復を見せるものの、引き続き受注活動や施工環境の変化には注視する必要があります。
② 中長期的な会社の経営戦略
ⅰ 中期経営計画
2021年度からスタートした新たな中期経営計画(2021年~2023年度)は、前中期経営計画で浮かび上がった課題を克服すべくスローガンとして「進取の気性」(ニーズに適応した高付加価値を創出)を掲げました。
その基本戦略では開発戦略として「環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献」「社会が安心できる信頼性を確立」、次に営業・施工戦略として「設計提案から施工まで、サプライチェーンの実現」「開発途上国の社会インフラ整備に貢献」、最後にESG戦略として「サステナビリティ経営の高度化」を実行してまいります。
開発戦略の「環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献」「社会が安心できる信頼性を確立」では、新技術の創出、基礎地盤の強靭化への貢献、ICT技術の活用・導入、産学連携によるインキュベーションの発信、連結子会社でもある㈱複合技術研究所との戦略企画室の更なる機能化を行い、「変化する社会・ニーズに適応した高付加価値を創造」「既存技術の高度化、品質と安全のクライテリアの可視化」を進めてまいります。
営業・施工戦略の「設計提案から施工まで、サプライチェーンの実現」「開発途上国の社会インフラ整備に貢献」では、国内では鉄道整備プロジェクト、関西のインフラ強靭化プロジェクト、eコマース関連構造物にスマート設計の提案、営業領域の拡張に積極的に取り組み、「リダンダンシープロジェクトへの貢献とワンストップサービスの実現」を行います。また、海外では施工の認証を取得したTCCSの活用による地盤改良事業の加速、コンクリートパイル事業の拡大、東南アジア圏における更なる進出を行い「ベトナム公的技術基準の活用とコンクリートパイル事業の拡大」を行います。
ESG戦略の「サステナビリティ経営の高度化」では、環境・社会・ガバナンスそれぞれへのアクションプランと検討実施項目を掲げ「社会課題解決、企業価値向上への取り組み」へ積極的に関与してまいります。
ⅱ サステナビリティ経営の高度化
中期経営計画に掲げるESG戦略は当社のサステナビリティ経営の高度化を推進するもので、E:環境、S:社会、G:ガバナンスの分野で6つのマテリアリティ(重要課題)を設定しております。このマテリアリティは当社の中長期的な経営戦略の要諦であり、それぞれのマテリアリティ毎に経営環境の変化に適応したアクションプランを策定し、その遂行を通してサステナビリティ経営の高度化を図ってまいります。
具体的には以下の通り、マテリアリティへの取り組みを進めております。
マテリアリティ | アクションプラン | 進捗状況 |
①環境配慮型社会の 形成 | CO2排出量の低減 | 当社グループのCO2排出量を算定し一部削減実施 業界初、小型杭打機の電動化の開発に着手 日本初、杭打機にGTL燃料を使用、他の軽油代替燃料も含め低減率を検証中 基礎工事において、CO2を地中に固定化する技術開発 |
建設排出残土の低減 | 残土排出抑制材の使用を検討中 | |
産業副産物を資材として再利用 | 杭引抜き後の地盤復旧に産業副産物を配合した施工実績増件中 | |
②激甚災害への備え | 国土のリダンダンシー整備への貢献 | 道路・鉄道事業を着実に実行中 |
③技術と品質の向上 | 品質の可視化「VCCS」の標準化 | テノコラム工法での普及率80%を目標に取り組み中 |
④労働安全衛生の充実 | 安全衛生活動の強化 | 事故災害再発防止のルール策定・マニュアル作成→協力会に展開へ |
⑤人材の確保と育成 | 働きがいのある職場環境の実現 | 資格取得支援実施及び有資格者の採用 新人事制度2023年度内完成を目標にプロジェクト進行中 産後パパ育休取得促進 新基幹システム導入プロジェクト進行中 リモートワーク環境整備実施 メンタルヘルス窓口利用促進、社内禁煙 2023年3月「健康経営優良法人2023」取得 DX研修:参加率84% |
ダイバーシティの推進 | 女性取締役の登用:女性取締役人数1名 外国籍社員の採用 | |
⑥経営の健全性 | コンプライアンス委員会の活動の充実 | 委員会を定期的に開催 コンプライアンスマニュアル策定 コンプライアンス研修:参加率100% |
情報セキュリティ委員会活動の徹底 | 委員会を定期的に開催 | |
リスクマネジメント体制整備 | リスク管理委員会を設立し定期的に開催 BCPマニュアル策定→訓練実施へ |
(注)上表アクションプランは当社においては具体的な取り組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、当社グループにおける記載が困難であります。このため、上表進捗状況の記載数値は提出会社のものを記載しております。
(3) 優先的に対処すべき事業上の課題と経営指標
当社グループにおきましては、このような状況のもと2023年度が最終年度となります中期経営計画に掲げた課題に対して、3つの基本戦略を着実に実行してまいります。開発戦略に関しましては、開発中の新技術・新サービスの実用化を進めます。営業・施工戦略に関しましては、新技術・新サービスの実用化による営業領域の拡張に加え、北海道新幹線や関西土木インフラ等のリダンダンシープロジェクトでの実績を積み上げます。ESG戦略に関しましては、「E環境」ではCO2排出量の少ない燃料使用の拡大やCO2を固定化する基礎工法の開発を進めます。「S社会」では健康経営や産後パパ育休取得を推進します。「Gガバナンス」では策定したBCPの浸透とコンプライアンス研修の充実を図り、当社グループ、協力会社の役職員及び取引先の関係者の皆さまの安全確保と働きがいのある職場環境作りに適切に対応してまいります。
その結果として、中期経営計画の最終年度である2023年度では連結売上高220億円、経常利益15億円の達成を掲げております。加えて、収益性の向上と資本効率を高めることを目標として、自己資本当期純利益率(以下、「ROE」という。)を経営上重視すべき経営指標としており、8%以上を目標としております。更には、将来の成長に繋げるために手元資金の有効活用として3年間で35億円の投資枠を設けました。
(4) 株主還元政策
株主への還元政策としては、連結配当性向を30%程度と設定するとともに自社株式においても機動的に取得することとしております。