有価証券報告書-第94期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/26 13:41
【資料】
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【項目】
111項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、企業理念である「三井製糖は、安心・信頼・天然の食品素材を誠実に提供し、豊かなくらしに貢献します」を実践し、継続的に企業価値の向上を実現することで全てのステークホルダーにご満足いただくことを経営の基本方針としております。また、重要情報の早期開示やIR活動等を通じて企業活動に関する積極的な情報開示に努め、透明性の高い経営を目指すと共に地球環境に配慮した企業活動を行い、社会からの信頼に応え得る企業グループ、スプーンブランドを目指します。
(2)経営戦略等
国内砂糖事業を基盤とした競争力の維持・強化に加え、グローバル展開や成長分野への事業領域拡大などによる収益構造改革の推進を、中長期的な経営戦略と位置付けております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)8~10%を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。引き続き成長分野への経営資源の投入を進めながら収益力の強化を図ってまいります。
(4)経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題等
当社グループは、砂糖事業が売上高の80%近くを占めており、当該事業を取り巻く環境の変化による影響並びに農業政策や通商政策の影響を受けやすい事業構造にあります。国内砂糖需要は、少子高齢化、今後の人口減少、加糖調製品の輸入増加などにより漸減が見込まれております。また、フィンゴリモド「FTY720」の有効成分を保護する米国における特許が2019年8月に満了する予定となっていることから、受取ロイヤリティーに代わる事業収益源を早期に確保することが課題であると認識しております。
このような状況下、当社グループは、今後5年間で既存事業の収益力強化を図りつつ、成長分野へ経営資源の再配分を進めることにより、堅固な事業基盤の確保に取り組んでまいります。
砂糖事業につきましては、国内砂糖需要の漸減、人口減少と労働力不足といった外部環境の変化に対応し、生産販売体制の再構築を進めてまいります。生産面では、IoTなど新技術の導入・活用による更なる自動化・省人化を進め、販売面では、スプーンブランドを活用した付加価値商品の投入や流通システムの改革を推進してまいります。成長する海外砂糖市場におきましては、タイ国関連会社のクムパワピーシュガー㈱とカセットポンシュガー㈱との連携を更に強化し、中国では現地企業との提携を視野に入れ、事業化を目指してまいります。
フードサイエンス事業につきましては、高齢化の加速や健康意識の高まりといった情勢変化に対応するため、グループ資源を結集し、機能性素材や製品の販売と開発を進めてまいります。また、海外展開を含めた既存事業の拡大と、M&Aなども活用した新規事業獲得により、砂糖事業に並ぶ柱へと育成してまいります。
研究開発部門では、2017年に東レ㈱と合弁会社Cellulosic Biomass Technology. Co.,Ltd.を設立し、バガス(さとうきびの搾汁後に残る固形物)からポリフェノールなどの有価物を製造する技術実証に取り組んでおります。今後も、さとうきび周辺の知見を究めて新たな事業開発へ繋げてまいります。
これら施策を実行するため、業務改革と人材育成を進めるとともに、組織と推進体制を刷新し、成長分野への資源配分を実施してまいります。また、社員が安全かつ健康的に働ける環境の構築が企業活動の大前提であることを常に意識し、労働安全体制の強化や働き方改革の推進に尽力してまいります。
昨今では、環境や社会問題に関する企業への牽制やコーポレート・ガバナンスに対しての要請が強まっており、当社グループにおきましても、今後とも環境問題や地域社会への貢献に配慮した経営を行っていくとともに、経営の透明性や公正性を高めるなど、コーポレート・ガバナンスを強化してまいります。