有価証券報告書-第55期(令和1年5月1日-令和2年4月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と
いう)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかな景気回復が続いておりましたが、2020年1月以降は世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化しており、極めて厳しい状況となりました。個人消費におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響により急速に減少しており、先行き不透明な状態が続くと想定されます。
飲料業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、消費者の根強い節約志向の継続や自然災害の影響もあり、事業環境は依然として極めて厳しい状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは経営理念であります「お客様第一主義」のもと、当社グループを取り巻く全てのお客様に対し「お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか」を常に考え、一丸となって積極的な事業活動を行ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,833億60百万円(前期比4.1%減)、営業利益199億40百万円(前期比12.6%減)、経常利益194億32百万円(前期比16.3%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益77億93百万円(前期比46.1%減)となりました。なお、特別損失として、Distant Lands Trading Co.ののれんの減損損失等として52億75百万円、「令和元年台風第19号」などによる災害関連費用として68百万円を計上しております。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
<リーフ・ドリンク関連事業>「伊藤園大茶会」「おいしいお茶のいれ方セミナー」などを通じて、季節に応じたおいしいお茶のいれ方、お茶の楽しみ方を提案してまいりました。急須でいれるリーフ製品だけでなく、ティーバッグや水でもお湯でもすぐに溶ける粉末タイプなど、手軽にご賞味いただける簡便性製品についても積極的にご提案し、日本茶の魅力をお伝えしてまいりました。
「お~いお茶」ブランドでは、2019年8月に、これまでの味わいはそのままに、ガレート型カテキンの働きで「体脂肪を減らす」機能性表示食品となった「お~いお茶 濃い茶」が、下半期の販売実績で前年の1.6倍と好調に推移しております。
また、2019年5月に「最大のナチュラルヘルシーRTD緑茶飲料(最新年間売り上げ)」販売実績世界一としてギネス世界記録TMに認定された「お~いお茶」ブランドは、本年も同記録名において販売実績2年連続世界一として改めて認定※されました。これからも「もっと身近な“日本”のお茶」として愛されるよう、地域に密着した取組みを大切にし、お茶のリーディングカンパニーとしてさまざまな形でお茶の魅力を発信するなど、「世界のティーカンパニー」を目指してまいります。
その他飲料としては、ノンカフェイン茶系飲料No.1ブランドである「健康ミネラルむぎ茶」は、夏の暑さ対策はもちろんのこと、1年を通してミネラルと水分が補給できる飲料として、コーヒー飲料である「TULLY'S COFFEE」は、スペシャルティコーヒーショップ「タリーズコーヒー」で味わうようなおいしさでご好評をいただいております。
海外におきましては、和食や抹茶の世界的ブームや健康志向の高まりを背景に、米国、中国を中心に「グローバルブランド」で展開するリーフ製品「MATCHA GREEN TEA」やドリンク製品「お~いお茶」などの積極的な販売を行ってまいりました。
しかしながら、緊急事態宣言や都市封鎖による外出の制限、それに伴う需要の急速な減少が、当第4四半期連結会計期間の業績に大きな影響を与えました。
この結果、リーフ・ドリンク関連事業の売上高は4,440億71百万円(前期比4.1%減)となり、営業利益は187億83百万円(前期比5.2%減)となりました。
※ 認定数値:$1,882,900,000(推定) 第三者のグローバル調査データに基づく
<飲食関連事業>タリーズコーヒージャパン㈱におきましては、2020年2月に「アーモンドプラリネソイラテ」を発売、豆乳で作ったホイップクリームをトッピングした“オールソイ”のドリンクとしてご好評をいただきました。また、同年3月にはパートナー農園であるバウ農園と協働で育てた「タリーズブラジル ファゼンダバウ」3種も好調に推移しました。新規出店も順調に進み、総店舗数は747店舗になりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大に対しては、お客様と従業員(フェロー)の安全を最優先に考え、緊急事態宣言の発出を受けて9割以上の店舗で臨時休業及び時短営業の対応を行うなど、感染予防対策の徹底・強化を講じてまいりました。
しかしながら、緊急事態宣言の発出に伴う営業及び不要不急の外出の自粛が、当第4四半期連結会計期間の業績に大きな影響を与えました。
この結果、飲食関連事業の売上高は327億98百万円(前期比5.1%減)となり、営業利益は17億25百万円(前期比50.8%減)となりました。
<その他>売上高は64億90百万円(前期比3.9%減)となり、営業利益は6億56百万円(前期比14.9%減)となりました。
財政状態の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,739億66百万円で、前連結会計年度末に比べて34億83百万円減少しております。これは主に「現金及び預金」が10億74百万円増加、「原材料及び貯蔵品」が15億3百万円増加、「受取手形及び売掛金」が74億12百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は1,166億85百万円で、前連結会計年度末に比べて98億46百万円減少しております。これは主に「工具、器具及び備品」が20億39百万円増加、「リース資産」が38億62百万円減少、「のれん」が68億54百万円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は710億72百万円で、前連結会計年度末に比べて54億1百万円減少しております。これは主に「支払手形及び買掛金」が37億34百万円減少、「リース債務」が10億72百万円減少、「未払費用」が12億7百万円減少、「未払法人税等」が14億39百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は698億84百万円で、前連結会計年度末に比べて67億1百万円減少しております。これは主に「長期借入金」が56億円減少、「リース債務」が14億94百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,496億95百万円で、前連結会計年度末に比べて12億27百万円減少しております。これは主に「親会社株主に帰属する当期純利益」により「利益剰余金」が77億93百万円増加、「剰余金の配当」により「利益剰余金」が51億87百万円減少、「自己株式の取得」により「自己株式」が20億円増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ17億60百万円増加し、当連結会計年度末には637億10百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、247億19百万円の収入(前期は261億28百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が143億68百万円、減価償却費が131億3百万円、法人税等の支払額80億60百万円によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、92億17百万円の支出(前期は106億35百万円の支出)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出103億48百万円によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、129億5百万円の支出(前期は150億5百万円の支出)となりました。これは主に、ファイナンス・リース債務の返済による支出46億79百万円、配当金の支払51億80百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 対前期比増減率(%) |
| リーフ・ドリンク関連事業 | ||
| (販売用製品) | 54,138 | △4.5 |
| (自社製品用原料) | 15,329 | △6.2 |
| リーフ・ドリンク関連事業計 | 69,467 | △4.9 |
| その他 | ||
| (販売用製品) | 1,401 | △9.9 |
| 合計 | 70,869 | △5.0 |
(注)1 販売用製品の金額は販売価格、自社製品用原料の金額は原価によっております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 上記生産実績には外部へ製造委託している仕入製品は含まれておりません。
4 上記金額には消費税等は含まれておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 対前期比増減率(%) |
| リーフ・ドリンク関連事業 | 210,749 | △6.4 |
| 飲食関連事業 | 10,293 | △6.0 |
| その他 | 2,680 | 15.0 |
| 合計 | 223,723 | △6.2 |
(注)1 金額は仕入原価によっております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 対前期比増減率(%) |
| リーフ・ドリンク関連事業 | 444,071 | △4.1 |
| 飲食関連事業 | 32,798 | △5.1 |
| その他 | 6,490 | △3.9 |
| 合計 | 483,360 | △4.1 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しておりますが、将来、販売先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
b.たな卸資産
当社グループが販売するたな卸資産は市場の需給の影響を受け、市場価格が低下する場合があるため、評価基準として、総平均法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。なお、在外連結子会社につきましては、先入先出法又は移動平均法による低価法を採用しております。
c.賞与引当金
賞与引当金は、従業員に対する翌連結会計年度賞与支給見込額のうち当期間対応額を計上しておりますが、実際の支給額は支給時点における外部環境及び当社グループの状況を勘案のうえ決定されるため、実際の支給額が見積りと異なる場合には、追加の費用計上が必要となる可能性があります。
d.退職給付に係る資産・負債
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び昇給率など多くの見積りが含まれており、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、又は法改正や退職給付制度の変更があった場合、その影響は累積されて将来にわたり規則的に認識されることとなり、将来の退職給付費用及び債務に影響を与える可能性があります。
e.繰延税金資産
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに当たって、将来の課税所得を合理的に見積っております。この見積りに変動があった場合、繰延税金資産の調整により、利益に影響を与える可能性があります。
f.有価証券の評価
当社グループは価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式を保有しております。当社グループは有価証券の評価を一定期間ごとに見直し、その評価が取得原価または減損後の帳簿価額を一定率以上下回った場合、減損処理を実施しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、評価損が発生し、利益に影響を与える可能性があります。
g.固定資産の減損
当社グループは固定資産の減損会計の適用に際し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、利益に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症による影響は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「追加情報」にて記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ4.1%減の4,833億60百万円となりました。これは「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、リーフ・ドリンク関連事業及び飲食関連事業において、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛等の影響を受け、当第4四半期連結会計期間に需要が急速に減少したことによるものであります。
当連結会計年度の売上総利益は前連結会計年度に比べ3.2%減の2,327億55百万円となり、売上総利益率は0.5%増の48.2%となりました。これは、特にリーフ・ドリンク関連事業において、製品構成の変化の影響等によるものであります。
当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ12.6%減の199億40百万円となり、営業利益率は0.4%減の4.1%となりました。これは、売上総利益率は0.5%増となったものの、販促什器費等の費用が増加するなど、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率が0.9%増加したことによるものです。
当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ16.3%減の194億32百万円となり、経常利益率は0.6%減の4.0%となりました。これは、営業外損益に含まれる為替差損益が9億42百万円減少(減少は為替差損)したことによるものです。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ46.1%減の77億93百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益率は1.3%減の1.6%となりました。これは、投資有価証券売却益が1億13百万円減少、減損損失が47億86百万円増加したことによるものです。
c.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、収益性の強化によるキャッシュ・フローを高め、さらに投資効果を重視した設備投資を行うとともに、有利子負債の削減を進めてまいります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、リーフ・ドリンク関連事業における製品製造のための原材料の仕入や製造経費のほか、販売費及び一般管理費等であります。また、設備投資需要としては、リーフ・ドリンク関連事業における自動販売機等への投資や飲食関連事業における新規出店等への投資であります。
b.財務政策
当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に調達するため、内部資金の活用に加え、金融機関からの借入及び社債の発行等による資金調達を行っております。資金調達に際しては、調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう金利の固定化を図っております。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2017年6月に発表しました中長期経営計画の目標にも掲げましたとおり、連結売上高、自己資本利益率(ROE)、総還元性向を重要な経営指標としており、その進捗状況については以下のとおりであります。
| 2020年4月期 実績 | 2021年4月期 見通し | 2022年4月期 目標値 | |
| 売上高 | 4,833億円 | 4,810億円 | 6,000億円 |
| 自己資本利益率(ROE) | 5.2% | 8.5% | 10%以上 |
| 総還元性向 | 92.1% | 40%以上 | 40%以上 |
「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)当社グループの中長期的な経営戦略」に記載のとおり、今後も中長期経営計画に基づき、企業価値を高め、より一層株主価値の向上に努めてまいります。