有価証券報告書-第54期(平成30年5月1日-平成31年4月30日)

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2019/07/25 17:00
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と
いう)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、輸出や生産の一部に弱さがみられましたが、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあり、緩やかな景気回復が続きました。
飲料業界におきましては、消費者の根強い節約志向の継続や自然災害の影響もあり、事業環境は依然として厳しい状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは経営理念であります「お客様第一主義」のもと、当社グループを取り巻く全てのお客様に対し「お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか」を常に考え、一丸となって積極的な事業活動を行ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,041億53百万円(前期比1.9%増)、営業利益228億19百万円(前期比3.5%増)、経常利益232億11百万円(前期比8.3%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益144億62百万円(前期比15.2%増)となりました。なお、特別損失として、自社の品質基準に達していない一部製品の廃棄等に関連する費用として6億73百万円、「平成30年7月豪雨」などによる災害関連費用として66百万円を計上しております。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
<リーフ・ドリンク関連事業>「伊藤園大茶会」「おいしいお茶のいれ方セミナー」などを通じて、季節に応じたおいしいお茶のいれ方、お茶の楽しみ方を提案してまいりました。急須でいれるリーフ製品だけでなく、水でもお湯でもすぐに溶ける粉末タイプなど、手軽にご賞味いただける簡便性製品についても積極的にご提案し、日本茶の魅力をお伝えしてまいりました。
「お~いお茶」ブランドでは、新製品として、2018年5月より「お~いお茶 新緑」を発売いたしました。お茶本来のおいしさやすがすがしい澄んだ甘み、持ち運びしやすいボトルデザインなどの点が女性を中心にご好評いただき、発売約1年で販売本数5,000万本を突破いたしました。同年9月には、ゆっくり時間をかけて飲用いただいても、電子レンジで再加温することにより温かい状態で最後までおいしく味わっていただけるホット対応「お~いお茶」シリーズを発売するなど、お客様の多様なニーズや飲用シーンに合わせた製品ラインアップを展開してまいりました。
2019年2月1日には「お~いお茶」を発売して30周年の節目を迎えました。「平成」の30年間を通じた「お~いお茶」への感謝をお伝えすると同時に、「令和」という新しい時代とともに歩む“日本”のお茶文化のより一層の発展を願い、「日本文化」「地域密着」「新時代」「健康価値」の4つをテーマとした「お~いお茶 発売30周年記念企画」を現在実施しております。今後も、お茶のリーディングカンパニーとして、「平成」とともに歩んだ「お~いお茶」が「もっと身近な“日本”のお茶」として愛されるよう、さらなる発展を目指し、挑戦し続けてまいります。
その他飲料としては、麦茶飲料No.1ブランドである「健康ミネラルむぎ茶」は、夏の暑さ対策はもちろんのこと、1年を通してミネラルと水分補給できる飲料として、コーヒー飲料である「TULLY'S COFFEE」は、スペシャルティコーヒーショップ「タリーズコーヒー」で味わうようなおいしさでご好評をいただいております。
海外におきましては、和食や抹茶の世界的ブームや健康志向の高まりを背景に、米国、中国を中心に「グローバルブランド」で展開するリーフ製品「MATCHA GREEN TEA」や「お~いお茶」などの積極的な販売を行ってまいりました。
この結果、リーフ・ドリンク関連事業の売上高は4,628億41百万円(前期比1.6%増)となり、営業利益は198億6百万円(前期比3.4%増)となりました。
<飲食関連事業>タリーズコーヒージャパン㈱におきましては、タリーズで人気の「ハニーミルクラテ」を豆乳でアレンジした季節限定ドリンク「ミルキーハニーソイラテ」や、市場でも人気のタピオカのもちもち食感が楽しい季節限定ドリンク「タピオカいちごカフェオーレ」「タピオカほうじ茶ラテ」等を発売し、ご好評をいただきました。また、季節限定「&TEAピーチコンフィチュールロイヤルミルクティー」はじめ、ティービバレッジも好調に推移しました。新規出店も順調に進み、総店舗数は735店舗になりました。
引き続き積極的な投資とあわせて既存店舗の改装などによる活性化を図り、店舗競争力を強化することで、スペシャルティコーヒーショップとしての更なるブランド強化を図ってまいります。
この結果、飲食関連事業の売上高は345億55百万円(前期比6.1%増)となり、営業利益は35億4百万円(前期比7.8%増)となりました。
<その他>Mason Distributors,Inc. におきましては、引き続きサプリメントの販売が堅調に推移しております。
この結果、売上高は67億56百万円(前期比2.1%増)となり、営業利益は7億71百万円(前期比17.9%減)となりました。
財政状態の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,774億49百万円で、前連結会計年度末に比べて66億11百万円増加しております。これは「現金及び預金」の20億74百万円増加、「商品及び製品」の42億46百万円増加によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は1,265億32百万円で、前連結会計年度末に比べて37億97百万円減少しております。これは「リース資産」の46億20百万円減少、「のれん」の16億34百万円減少、「工具、器具及び備品」の41億18百万円増加によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は764億73百万円で、前連結会計年度末に比べて7億14百万円減少しております。これは「リース債務」の19億50百万円減少、「未払費用」の10億57百万円減少、「賞与引当金」の8億90百万円増加によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は765億85百万円で、前連結会計年度末に比べて36億43百万円減少しております。これは「リース債務」の28億31百万円減少、「長期借入金」の14億円減少、「退職給付に係る負債」の3億91百万円増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,509億23百万円で、前連結会計年度末に比べて71億72百万円増加しております。これは主に「親会社株主に帰属する当期純利益」により「利益剰余金」が144億62百万円増加、「剰余金の配当」により「利益剰余金」が52億12百万円減少したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ5億73百万円増加し、当連結会計年度末には619億50百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、261億28百万円の収入(前期は253億22百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が224億86百万円、減価償却費が134億11百万円、法人税等の支払額71億22百万円によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、106億35百万円の支出(前期は113億59百万円の支出)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出100億88百万円によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、150億5百万円の支出(前期は166億39百万円の支出)となりました。これは主に、ファイナンス・リース債務の返済による支出65億14百万円、配当金の支払52億6百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)対前期比増減率(%)
リーフ・ドリンク関連事業
(販売用製品)56,678△8.7
(自社製品用原料)16,3365.2
リーフ・ドリンク関連事業計73,015△5.9
その他
(販売用製品)1,555△4.6
合計74,570△5.9

(注)1 販売用製品の金額は販売価格、自社製品用原料の金額は原価によっております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 上記生産実績には外部へ製造委託している仕入製品は含まれておりません。
4 上記金額には消費税等は含まれておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)対前期比増減率(%)
リーフ・ドリンク関連事業225,1094.5
飲食関連事業10,9503.9
その他2,33115.1
合計238,3914.6

(注)1 金額は仕入原価によっております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)対前期比増減率(%)
リーフ・ドリンク関連事業462,8411.6
飲食関連事業34,5556.1
その他6,7562.1
合計504,1531.9

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ1.9%増の5,041億53百万円となりました。これは「(1)
経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、リーフ・ドリンク関連事業及び
飲食関連事業の売上高が堅調に推移したことによるものです。
当連結会計年度の売上総利益は前連結会計年度に比べ2.7%増の2,403億75百万円となり、売上総利益率は
0.4%増の47.7%となりました。これは、特にリーフ・ドリンク関連事業において、製品構成の変化の影響
等によるものであります。
当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ3.5%増の228億19百万円となり、営業利益率は0.1%増の4.5%となりました。これは、売上総利益率は0.4%増となったものの、販売手数料の売上高に対する比率が0.6%増加するなど、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率が0.3%増加したことによるものです。
当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ8.3%増の232億11百万円となり、経常利益率は0.3%増
の4.6%となりました。これは、営業外損益に含まれる為替差損益が6億42百万円増加(増加は為替差益)し
たことによるものです。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ15.2%増の144億62百万円とな
り、親会社株主に帰属する当期純利益率は0.3%増の2.9%となりました。これは、投資有価証券売却益が5億
9百万円増加、前連結会計年度において米国の税制改正法による繰延税金資産の取崩しを計上したことによ
り、法人税等調整額が12億13百万円減少したことによるものです。
c.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、収益性の強化によるキャッシュ・フローを高め、さらに投資効果を重視した設備投資を行うとともに、有利子負債の削減を進めてまいります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、リーフ・ドリンク関連事業における製品製造のための原材料の仕入や製造経費のほか、販売費及び一般管理費等であります。また、設備投資需要としては、リーフ・ドリンク関連事業における自動販売機等への投資や飲食関連事業における新規出店等への投資であります。
b.財務政策
当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に調達するため、内部資金の活用に加え、金融機関からの借入及び社債の発行等による資金調達を行っております。資金調達に際しては、調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう金利の固定化を図っております。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2017年6月に発表しました中長期経営計画の目標にも掲げましたとおり、連結売上高、自己資本利益率(ROE)、総還元性向を重要な経営指標としており、その進捗状況については以下のとおりであります。
2019年4月期
実績
2020年4月期
見通し
2022年4月期
目標値
売上高5,041億円5,100億円6,000億円
自己資本利益率(ROE)9.9%9.0%10%以上
総還元性向48.9%40%以上40%以上

「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)当社グループの中長期的な経営戦略」に記載のとおり、今後も中長期経営計画に基づき、企業価値を高め、より一層株主価値の向上に努めてまいります。