有価証券報告書-第74期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/07/17 10:10
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
(1)経営成績
当社グループは、2018年4月からスタートした第六次中期計画において、“「食で健康」クオリティ企業への変革”をハウス食品グループのめざす姿と位置づけ、2年目である当期も、企業市民として果たすべき「3つの責任」(お客様に対して、社員とその家族に対して、社会に対して)の全てにおいて、クオリティ企業への変革に向けた取組を推進しております。
・「3つの責任」重点取組テーマ
お客様に対して国内成熟市場におけるイノベーションの創出と海外成長市場における事業展開の加速
(バリューチェーン革新、R&D変革、海外事業の成長拡大と事業基盤の強化)
社員とその家族に
対して
ダイバーシティの実現と生産性の向上
(働き方変革の実行、多彩な人材の獲得と活躍できる場づくり)
社会に対して当社グループが考えるCSR(Creating Smiles & Relationships)活動を通じた循環型モデルの構築と健康長寿社会の実現

「お客様」に対するテーマでは、ハウス食品㈱のレトルト製品製造ライン増設や米国豆腐事業の生産能力増強、ハウスウェルネスフーズ㈱の研究拠点を千葉研究センターに統合することによるR&Dの機能強化など、既存事業の収益力と価値創出力の強化に向けた取組を遂行いたしました。「社員とその家族」に対するテーマでは、「働き方変革」を通じた生産性向上に繋がる組織風土の醸成に取り組んだほか、「社会」に対するテーマでは、循環型モデルの構築に向けて新たに環境投資判断基準を策定するなど、「3つの責任」それぞれで重点取組を推進しております。
当連結会計年度の売上高は、海外食品事業がタイを中心に事業規模を拡大したほか、香辛・調味加工食品事業、外食事業も前年を上回りましたが、健康食品事業の苦戦やその他食品関連事業において主要物流事業をF-LINE㈱へ譲渡した影響もあり、2,936億82百万円、前期比1.0%の減収となりました。
営業利益については、健康食品事業の苦戦や物流事業の譲渡による影響はあったものの、香辛・調味加工食品事業や海外食品事業、外食事業が連結業績への貢献度を高めたことで、190億5百万円、前期比8.2%の増益となりました。
営業外収益は29億18百万円、前期比13.7%の増加となりました。営業外収益の主な増加要因は、持分法による投資利益の増加によるものであります。また、営業外費用は11億27百万円、前期比9.8%の増加となりました。営業外費用の主な増加要因は、為替差損が増加したことによるものであります。この結果、経常利益は207億97百万円、前期比8.9%の増益となりました。
特別利益は23億59百万円、前期比47.2%の減少となりました。主な減少要因は、投資有価証券売却益が減少したことによるものであります。また、特別損失は24億74百万円、前期比94.3%の増加となりました。主な増加要因は、貸倒引当金繰入額の増加によるものであります。以上の結果、税金等調整前当期純利益は206億82百万円、前期比7.2%の減益となり、法人税、住民税及び事業税や法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は114億58百万円、前期比16.8%の減益となりました。
また、1株当たり当期純利益金額は113円73銭、自己資本利益率は4.6%となりました。
結果、当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。
2019年3月期2020年3月期
ATO(総資産回転率)0.79回0.80回
ROS(売上高営業利益率)5.9%6.5%
ROA(総資産営業利益率)4.7%5.1%
ROE(自己資本当期純利益率)5.5%4.6%

セグメント別の経営成績の概況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりであります。
事業の種類別
セグメント
売上高営業利益
(セグメント利益又は損失(△))
金額
(百万円)
前期比
(%)
業績予想比
(%)
金額
(百万円)
前期比
(%)
業績予想比
(%)
香辛・調味加工食品事業144,996102.799.214,111111.4106.1
健康食品事業27,89090.393.052136.743.4
海外食品事業29,734113.098.14,098114.3102.4
外食事業52,498100.8100.0202--
その他食品関連事業46,29674.8102.21,79187.699.5
小計301,41596.599.120,723108.2104.1
調整(消去)△7,733--△1,717--
合計293,68299.098.919,005108.2102.7

(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。
<香辛・調味加工食品事業>ハウス食品㈱は、国内市場が成熟の度合いを深めるなかで、収益構造モデルの変革に取り組み、既存事業の強化と新価値創造に取り組んでおります。既存事業においては、「食の外部化」への対応強化の一環として2019年8月にレトルト製品の製造ラインを稼働させたほか、大容量ねりスパイスやパーソナル食品の育成等、お客様のライフスタイルの変化に即した提案力および収益力強化に取り組みました。下期に入り消費税増税によるマーケットの冷え込みもあり苦戦いたしましたが、2月中旬以降新型コロナウイルス感染拡大の影響が顕在化し、家庭内食への需要が極大化したことから、増収増益を確保いたしました。
当事業セグメントに属する㈱ギャバンは主力のペッパーを中心に国内外とも底堅い推移となりました。マロニー㈱は暖冬要因もあり鍋需要が振るわず、軟調な推移となりました。
以上の結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は1,449億96百万円、前期比2.7%の増収となりました。営業利益は、成長投資に伴う減価償却費の増加が負担とはなりましたが、141億11百万円、前期比11.4%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は9.7%となり、前期より0.8pt向上いたしました。
<健康食品事業>ハウスウェルネスフーズ㈱は、基幹ブランド「ウコンの力」が飲酒環境の変化や年度末にかけての新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、非常に厳しい販売環境が続き、業績が悪化しております。このような市場環境のなか、将来に向けた事業基盤の再構築を進めており、当期は持続的な成長を見込むゼリー製品および「1日分のビタミン」の内製化を進める一方で、競争力の維持確保が難しいPET製品の事業縮小を進めております。また、戦略的健康素材と位置づける「乳酸菌L-137」の事業化に取り組むほか、機能性表示食品「ネルノダ」の育成に努めました。
以上の結果、健康食品事業の売上高は278億90百万円、前期比9.7%の減収となりました。営業利益は、主要ブランドの減収による影響が大きく、5億21百万円、前期比63.3%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は1.9%となり、前期より2.7pt減少いたしました。
<海外食品事業>海外食品事業はグループの成長を担うコア育成事業として、重点3エリア(米国・中国・アセアン)で事業成長と収益基盤の強化に取り組んでおります。
米国豆腐事業は、近年の健康志向や環境意識を背景とした植物性タンパク市場の拡大とともに成長を持続したものの、土日稼働に伴う労務費増や一部原料の関税アップ等から、増収減益となりました。なお、当連結会計年度は強い需要拡大に対して生産能力が逼迫するなか、我慢の経営を強いられましたが、ロサンゼルス工場の新ラインが当期終了直後の本年1月に完成し、成長機会を取り込む体制を整えております。
中国カレー事業は、家庭用・業務用ともに成長を実現し、日本式カレーの着実な浸透は進めることが出来たものの、成長を支える営業人員の採用・育成が遅れたことで、前期の浙江工場稼働に伴うコスト増を吸収するには至らず、増収減益となりました。
タイ機能性飲料事業は、健康志向の高まりを背景とした旺盛な需要に支えられ、CVS等のモダントレードおよびトラディショナルトレードの双方で「C-vitt」の成長が続き、増収増益となりました。なお、同国では2019年10月から10%の物品税が課され、一部は価格改定で吸収したものの、損益改善への打ち手を講じてまいります。
以上の結果、海外食品事業の売上高は297億34百万円、前期比13.0%の増収、営業利益は40億98百万円、前期比14.3%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は13.8%となり、前期より0.2pt向上いたしました。
<外食事業>㈱壱番屋は、期初となる2019年3月に価格改定を行った影響や海外子会社が堅調に推移したこと等から増収増益となりました。同社の国内既存店客数は2019年8月以降に発生した台風や豪雨のほか、10月からの消費増税の影響等により前期比1.5%減となる一方、客単価は価格改定の効果等により同2.1%増となっております。
なお、当事業セグメントの対象であったハウスフーズアメリカ社が運営する「カレーハウス」レストラン事業は、同社の経営資源を豆腐事業に集中するために2019年6月に事業譲渡を行っております。
以上の結果、㈱壱番屋とその他外食子会社を含めた外食事業の売上高は524億98百万円、前期比0.8%の増収となりました。営業利益は、㈱壱番屋を連結対象子会社とした際に発生したのれんや無形固定資産の償却負担があるものの、価格改定効果や海外子会社の収益伸長により2億2百万円と黒字に転換し、前期からは7億63百万円の増益となりました。結果、売上高営業利益率は0.4%となり、前期より1.5pt向上いたしました。
<その他食品関連事業>コンビニエンスストア向けの総菜等製造事業を営む㈱デリカシェフは、雇用環境の悪化に伴う人件費の上昇影響はありましたが、開発力強化と生産性改善に注力し、収益性を向上しております。
農産物・食品等の輸出入および販売を営む㈱ヴォークス・トレーディングも、基幹事業の収益力強化や高付加価値製品の拡販に引き続き取り組み、増収増益を確保しております。
なお、当事業セグメントに属するハウス物流サービス㈱(当社連結対象子会社)は、2019年4月より同社の受注・構内荷受を除く主要物流事業をF-LINE㈱(同 持分法適用関連会社)へ譲渡しており、当期の当事業セグメントの売上高および営業利益を大きく押し下げる要因となっております。
以上の結果、その他食品関連事業の売上高は462億96百万円、前期比25.2%の減収、営業利益は17億91百万円、前期比12.4%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は3.9%となり、前期より0.6pt向上いたしました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
香辛・調味加工食品事業127,149+1.1
健康食品事業25,926△16.4
海外食品事業15,674△1.8
外食事業13,804+9.6
その他食品関連事業20,820+5.9
合計203,373△0.8

(注)1.金額は販売価格により算出しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
② 受注状況
主要製品の受注生産は行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
香辛・調味加工食品事業144,996+2.7
健康食品事業27,890△9.7
海外食品事業29,734+13.0
外食事業52,498+0.8
その他食品関連事業46,296△25.2
小計301,415△3.5
調整(消去)△7,733-
合計293,682△1.0

(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。
2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
加藤産業㈱34,38411.637,39012.7
三菱食品㈱20,7557.020,9587.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて38億31百万円減少し3,671億94百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて48億98百万円増加し1,496億53百万円、固定資産は、前連結会計年度末に比べて87億29百万円減少し2,175億41百万円となりました。
流動資産の増加の主な要因は、商品及び製品が22億55百万円減少した一方で、現金及び預金が39億40百万円、有価証券が38億10百万円増加したことなどによるものです。
固定資産の減少の主な要因は、投資有価証券が62億90百万円、のれんが34億17百万円減少したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて56億17百万円減少し862億64百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて21億70百万円減少し531億38百万円、固定負債は、前連結会計年度末に比べて34億47百万円減少し331億26百万円となりました。
流動負債の減少の主な要因は、支払手形及び買掛金が14億72百万円、短期借入金が4億9百万円減少したことなどによるものです。
固定負債の減少の主な要因は、繰延税金負債が17億16百万円、リース債務が13億19百万円減少したことなどによるものです。
当連結会計年度末の純資産は、保有する投資有価証券の売却および時価下落によりその他有価証券評価差額金が減少したことや、退職給付に係る調整累計額が減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べて17億86百万円増加の2,809億30百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の66.6%から67.7%となり、1株当たり純資産が2,454円34銭から2,469円20銭となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー242億18百万円に対し、「有形固定資産の取得」「有価証券の売却」などの投資活動によるキャッシュ・フロー△63億56百万円、「短期借入れ」「短期借入金の返済」「配当金の支払」などの財務活動によるキャッシュ・フロー△75億67百万円を減じました結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は698億70百万円となり、期首残高より73億75百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は242億18百万円(前期比+33億6百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益206億82百万円などによるものであります。
また、前連結会計年度に比べての増加は、たな卸資産の増減額の減少(前期比+45億67百万円)、投資有価証券売
却損益の減少(前期比+21億95百万円)、仕入債務の増減額の減少(前期比△16億25百万円)、税金等調整前当期純
利益の減少(前期比△16億15百万円)などが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は63億56百万円(前期比△53億48百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出149億16百万円、投資有価証券の取得による支出31億62百万円、有価証券の取
得による支出20億円、有価証券の売却による収入85億49百万円、投資有価証券の売却による収入59億91百万円などに
よるものであります。
また、前連結会計年度に比べての減少は、有形固定資産の取得による支出の増加(前期比△53億73百万円)、投資
有価証券の売却による収入の減少(前期比△13億67百万円)、定期預金の預入による支出の増加(前期比△11億36百
万円)、投資有価証券の取得による支出の減少(前期比+29億33百万円)などが要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は75億67百万円(前期比+97億50百万円)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出353億82百万円、配当金の支払額45億32百万円、短期借入れによる収入348億46百
万円などによるものであります。
また、前連結会計年度に比べての増加は、短期借入金の返済による支出の減少(前期比+261億92百万円)、自己
株式の取得による支出の減少(前期比+87億68百万円)、短期借入れによる収入の減少(前期比△245億2百万円)
などが要因であります。
(4)資本の財源及び資金の流動性について
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループは、財務体質の健全性の維持と資金効率の向上を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に配分することを財務戦略の基本方針としております。
財務体質の健全性の維持に関しては、「シングルA(安定的)」以上の信用格付の取得・維持を目指し、信用力および透明性の向上を図ります。
資金効率の向上に関しては、当社および国内子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、国内子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。
企業価値向上に関しては、第六次中期計画の期間中に、収益基盤強化のためのグループ最適生産体制の投資に300億円、グループ成長牽引のための海外成長投資に100億円、その他の新規事業投資に200億円の、計600億円の事業投資を計画しております。
なお、国際的に広がりを見せる新型コロナウイルスの社会生活や経済に与える影響などにも引き続き注視する必要がありますが、家庭内食への需要が極大化したこともあり、当社グループは財務体質の健全性を維持しております。食品企業の使命として人命の安全を確保しながらも製品供給を果たすため、今後も財務体質の健全性の維持および向上に努めてまいります。
(経営資源の配分に関する考え方)
当社グループは、適正な手元資金の水準について、事業上の資金を回収するまでの運転資金調達期間(売上高の約1.5か月分)の観点と不測の事態に対応できる安全資産の額の観点から検証し、適正な水準を設定しております。適正な水準を超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上のために既存の成熟事業領域での生産性向上による収益力強化と国内外の成長事業領域への経営資源の重点配分に取り組んでまいります。
(資金需要の主な内容)
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用などがあります。投資活動に係る資金支出は、「食の外部化」への対応強化に向けたレトルト製品製造設備への投資、健康食品事業における持続的な成長を見込むゼリー製品製造設備への投資、米国における健康志向や環境意識の高まりを背景に強い需要の続く豆腐製品製造設備増設への投資、外食事業における軽減税率対応など経営環境の変化に向けた店舗POSシステムへの投資などがあります。また、既存の成熟事業領域だけでなく、「涙の出ないタマネギ」、「乳酸菌」の事業化やCVCとの連携推進など成長事業領域への投資があります。
(資金調達)
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローを内部的な資金の源泉と考えており、設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金や社債の発行等により充当することとしております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細につきましては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたり必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下の通りです。
(退職給付)
当社グループは、退職給付費用および債務の計算について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の期待運用収益率等が含まれます。経済環境や金融市場の変化などにより実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用や計上される退職給付に係る資産および負債に影響を及ぼします。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、事業環境の変化などにより見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損損失を認識するかどうかの判定および使用価値の算定に際して用いられる将来キャッシュ・フローを、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(中期経営計画や予算等)に基づき合理的な仮定を置いて計算しております。事業計画の未達や市場環境の変化などにより、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。
(商標権および契約関連無形資産)
当社グループは、㈱壱番屋を連結対象子会社とした際に計上した商標権および契約関連無形資産について、経済的耐用年数を見積り、その耐用年数にて定額法により償却しております。計上および計上後の減損検討に際しては将来キャッシュ・フロー、割引率など、多くの見積りや前提条件を使用しており、事業計画の未達や市場環境の変化などにより使用した見積りや前提条件に変更が生じた場合には、減損損失が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による会計上の見積りについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 追加情報」に記載しております。