有価証券報告書-第89期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
(1)経営方針
当社グループは、「お客さまの社会活動の基盤となる商品・サービスを提供することにより、永く『安心と信頼に満ちた社会』の実現に貢献する」ことを企業理念として掲げ、企業理念の実践による社会発展への貢献をめざしております。また、企業理念と表裏一体をなすCSR(企業の社会的責任)ビジョンのなかで地球環境の保護に努めることを宣言しております。
そのために、安定した事業基盤を活かしつつ成長を遂げる企業をめざし、新しい視点で業務に取り組み企業価値の一層の向上に努めております。そしてお客さまに最適な商品・サービスを提供することによりお客さまの満足を何より重視することを、基本姿勢としてまいります。
結果として、高い成長と企業価値の向上を実現し、あらゆるステークホルダーの信頼を得られるよう努力してまいります。
目標とする経営指標
当社グループは、不動産賃貸事業での安定収益を確保しつつ、開発事業・バリューアッド事業・アセットマネジメント事業の展開などにより、利益成長と収益の安定性の両面を具備した事業構造の強化を推進することとしております。
注視する指標としては経常利益等の段階利益だけでなく、ネットD/Eレシオや有利子負債対EBITDA倍率等、種々の経営指標のバランスを取りながら、収益力の着実な増強を実現してまいります。
(2)経営環境
我が国経済は緩やかに回復しており、雇用環境などの改善や企業の投資意欲の高まりが見られています。一方で、米中間の貿易摩擦などの景気後退につながるリスク要因もあり、引き続き楽観視はできない状況となっております。
賃貸オフィス事業を取り巻く環境につきましては、底堅い需要を背景に、都心部を中心として空室率は改善傾向にあり、賃料水準も堅調に推移しております。
(3)対処すべき課題
当社グループは、平成30年度を初年度とする中期経営計画に基づき、『変革とスピード』をキーワードとして不動産賃貸事業を核としたビジネスモデルを発展進化させ、永続的な企業価値の増大を遂げることに注力してまいりました。この戦略に沿った施策として、新規物件への投資や既存物件の建替・開発、不動産バリューアッド事業の軌道化による資産回転型ビジネスの確立などにより、規模と多様性を併せ持ったポートフォリオの充実をはかり、安定的な収益源を確保するとともに、企業価値の持続的向上に向けた体制の構築に取り組んでまいりました。
平成31年度におきましても、引き続き『変革とスピード』を徹底し、不動産賃貸事業の更なる増強をはかるとともに、開発事業及び新たな事業への取り組みを強化し、中期経営計画の達成に向けた事業基盤の維持・発展を進めてまいります。
当社グループは、容積消化率の低い物件を建替するという施策と優良な新規物件の購入を推進してきたことから、比較的負債依存度が高く平成30年12月期末時点での総借入は8,721億円となっております(うち237億円はノンリコースローン)。
外部負債の利用は、高い収益力を背景とした低コスト調達により、総コストを抑えつつ安定的に調達をおこない、企業価値の向上をめざすという財務戦略に立脚したものであります。一方において、負債管理を総合的におこない最適なバランスシートコントロールに努めていることから、相対的に高い外部格付けを維持しております。
このようにして当社グループは、負債水準を適切にコントロールしつつ、高い利益率に支えられた安定的な収益を挙げる事業構造を確立しておりますが、更なる成長の実現に向けて主に以下の戦略に取り組んでまいります。
①不動産賃貸事業の強化
当社グループの中核事業は、東京23区の駅近を中心に保有・管理する賃貸物件を活用した不動産賃貸事業であり、容積消化率の低い物件の建替により賃貸面積の拡大と賃料収入の増強を実現し、資産運用効率の極大化をはかってまいります。
また、引き続き都市型中規模商業ビル「&New」シリーズを中心とした開発事業への取り組みを推進しており、開発物件の供給強化をはかってまいります。
当社グループの所有物件は、駅近の好立地のビルが大宗を占めており、かつメインテナントがみずほフィナンシャルグループで安定していることもあって、マーケットより常に低い空室率を維持し、安定的な収益を確保しております。建替・開発物件につきましては、今期は11物件が竣工し、来期についても6物件が竣工する計画となっており、更なる営業収益の増強をはかることが可能となっております。
また、当社はマーケットより常に低い空室率を維持しておりますが、CREなど戦略的ソーシングによる着実なポートフォリオの拡充に合わせて、テナントリーシング力を更に強化し、不動産賃貸事業の底支えをはかっております。
②新規業務分野開拓
新規の取り組みとしては、高付加価値を創出して収益化する不動産バリューアッドビジネスを推進しており、着実に実績を積み重ねております。3Kビジネス(高齢者・観光・環境ビジネス)の一つとして取り組んでいる観光ビジネスにおきましては、「THE GATE HOTEL 雷門 by HULIC」の営業に加えて、「THE GATE HOTEL 東京 by HULIC」の営業も開始し、高級温泉旅館の開発にも引き続き積極的に取り組んでおります。また、高齢者ビジネスにつきましても、多数の老人ホーム施設を所有しているほか、シニアエグゼクティブ向けの会員制事業を開始いたしました。更に、公募REIT及び私募REITの運用を順調におこなっております。新たな事業分野の開拓としては、将来的に成長が見込めるアグリ事業に取り組んでおります。
今後も、高齢者・観光・環境ビジネスを深化するとともに、社会構造の変化に対応した新しい不動産関連事業領域への取り組みをおこなっていくことで、新しい成長分野を開拓してまいります。また、同時に長寿命化ビルの標準仕様化やCO2総量削減に向けた環境配慮ビルの建設等を推進し、地球環境保全と企業成長の一体化をはかってまいります。
従来からの事業展開に加えて、「内部統制」、「リスク管理」、「コンプライアンス」、「開示統制」についても、引き続き徹底をはかってまいります。特にリスク管理に関しては、「事業継続基本計画」(BCP:Business Continuity Plan)を制定しており、定期的に訓練を実施する等、有事対応力の向上を更に進めてまいります。
また、「コーポレートガバナンス・コード」の各原則を踏まえ、当社の持続的成長・企業価値向上に向けての最適なコーポレートガバナンスを実現するための枠組みとして、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しております。ガイドラインを基に健全な企業統治の下で株主の権利に留意し、永続的な企業価値の向上をめざしてまいります。
そのほか、サステナビリティの考え方を重視したバランス経営を実践すべく、環境に配慮したビジネス展開、地域社会をはじめ各ステークホルダーとの関係強化、強固なガバナンス体制の構築など、バランスのとれたESG経営を基に社会的ニーズに対応した価値創造を進めており、更に、日本将棋連盟及び障がい者スポーツ団体への支援など、社会貢献活動も強化しております。併せて、人材育成を軸として、健康経営・働き方改革等の取り組み、女性活躍推進法に基づく行動計画策定など、女性や高齢者も持てる能力を発揮できる職場とし、一人当たり生産性の高い企業、人が育つ企業をめざしてまいります。
配当政策につきましては、不動産賃貸事業を主たる事業としていることもあり、長期的かつ安定的な事業基盤の強化のために必要な内部留保の充実をはかるとともに、株主への利益還元を狙いとして、安定した配当を継続することを基本方針としております。また、業績動向を踏まえた配当とすることも同様に重要と考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「お客さまの社会活動の基盤となる商品・サービスを提供することにより、永く『安心と信頼に満ちた社会』の実現に貢献する」ことを企業理念として掲げ、企業理念の実践による社会発展への貢献をめざしております。また、企業理念と表裏一体をなすCSR(企業の社会的責任)ビジョンのなかで地球環境の保護に努めることを宣言しております。
そのために、安定した事業基盤を活かしつつ成長を遂げる企業をめざし、新しい視点で業務に取り組み企業価値の一層の向上に努めております。そしてお客さまに最適な商品・サービスを提供することによりお客さまの満足を何より重視することを、基本姿勢としてまいります。
結果として、高い成長と企業価値の向上を実現し、あらゆるステークホルダーの信頼を得られるよう努力してまいります。
目標とする経営指標
当社グループは、不動産賃貸事業での安定収益を確保しつつ、開発事業・バリューアッド事業・アセットマネジメント事業の展開などにより、利益成長と収益の安定性の両面を具備した事業構造の強化を推進することとしております。
注視する指標としては経常利益等の段階利益だけでなく、ネットD/Eレシオや有利子負債対EBITDA倍率等、種々の経営指標のバランスを取りながら、収益力の着実な増強を実現してまいります。
(2)経営環境
我が国経済は緩やかに回復しており、雇用環境などの改善や企業の投資意欲の高まりが見られています。一方で、米中間の貿易摩擦などの景気後退につながるリスク要因もあり、引き続き楽観視はできない状況となっております。
賃貸オフィス事業を取り巻く環境につきましては、底堅い需要を背景に、都心部を中心として空室率は改善傾向にあり、賃料水準も堅調に推移しております。
(3)対処すべき課題
当社グループは、平成30年度を初年度とする中期経営計画に基づき、『変革とスピード』をキーワードとして不動産賃貸事業を核としたビジネスモデルを発展進化させ、永続的な企業価値の増大を遂げることに注力してまいりました。この戦略に沿った施策として、新規物件への投資や既存物件の建替・開発、不動産バリューアッド事業の軌道化による資産回転型ビジネスの確立などにより、規模と多様性を併せ持ったポートフォリオの充実をはかり、安定的な収益源を確保するとともに、企業価値の持続的向上に向けた体制の構築に取り組んでまいりました。
平成31年度におきましても、引き続き『変革とスピード』を徹底し、不動産賃貸事業の更なる増強をはかるとともに、開発事業及び新たな事業への取り組みを強化し、中期経営計画の達成に向けた事業基盤の維持・発展を進めてまいります。
当社グループは、容積消化率の低い物件を建替するという施策と優良な新規物件の購入を推進してきたことから、比較的負債依存度が高く平成30年12月期末時点での総借入は8,721億円となっております(うち237億円はノンリコースローン)。
外部負債の利用は、高い収益力を背景とした低コスト調達により、総コストを抑えつつ安定的に調達をおこない、企業価値の向上をめざすという財務戦略に立脚したものであります。一方において、負債管理を総合的におこない最適なバランスシートコントロールに努めていることから、相対的に高い外部格付けを維持しております。
このようにして当社グループは、負債水準を適切にコントロールしつつ、高い利益率に支えられた安定的な収益を挙げる事業構造を確立しておりますが、更なる成長の実現に向けて主に以下の戦略に取り組んでまいります。
①不動産賃貸事業の強化
当社グループの中核事業は、東京23区の駅近を中心に保有・管理する賃貸物件を活用した不動産賃貸事業であり、容積消化率の低い物件の建替により賃貸面積の拡大と賃料収入の増強を実現し、資産運用効率の極大化をはかってまいります。
また、引き続き都市型中規模商業ビル「&New」シリーズを中心とした開発事業への取り組みを推進しており、開発物件の供給強化をはかってまいります。
当社グループの所有物件は、駅近の好立地のビルが大宗を占めており、かつメインテナントがみずほフィナンシャルグループで安定していることもあって、マーケットより常に低い空室率を維持し、安定的な収益を確保しております。建替・開発物件につきましては、今期は11物件が竣工し、来期についても6物件が竣工する計画となっており、更なる営業収益の増強をはかることが可能となっております。
また、当社はマーケットより常に低い空室率を維持しておりますが、CREなど戦略的ソーシングによる着実なポートフォリオの拡充に合わせて、テナントリーシング力を更に強化し、不動産賃貸事業の底支えをはかっております。
②新規業務分野開拓
新規の取り組みとしては、高付加価値を創出して収益化する不動産バリューアッドビジネスを推進しており、着実に実績を積み重ねております。3Kビジネス(高齢者・観光・環境ビジネス)の一つとして取り組んでいる観光ビジネスにおきましては、「THE GATE HOTEL 雷門 by HULIC」の営業に加えて、「THE GATE HOTEL 東京 by HULIC」の営業も開始し、高級温泉旅館の開発にも引き続き積極的に取り組んでおります。また、高齢者ビジネスにつきましても、多数の老人ホーム施設を所有しているほか、シニアエグゼクティブ向けの会員制事業を開始いたしました。更に、公募REIT及び私募REITの運用を順調におこなっております。新たな事業分野の開拓としては、将来的に成長が見込めるアグリ事業に取り組んでおります。
今後も、高齢者・観光・環境ビジネスを深化するとともに、社会構造の変化に対応した新しい不動産関連事業領域への取り組みをおこなっていくことで、新しい成長分野を開拓してまいります。また、同時に長寿命化ビルの標準仕様化やCO2総量削減に向けた環境配慮ビルの建設等を推進し、地球環境保全と企業成長の一体化をはかってまいります。
従来からの事業展開に加えて、「内部統制」、「リスク管理」、「コンプライアンス」、「開示統制」についても、引き続き徹底をはかってまいります。特にリスク管理に関しては、「事業継続基本計画」(BCP:Business Continuity Plan)を制定しており、定期的に訓練を実施する等、有事対応力の向上を更に進めてまいります。
また、「コーポレートガバナンス・コード」の各原則を踏まえ、当社の持続的成長・企業価値向上に向けての最適なコーポレートガバナンスを実現するための枠組みとして、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しております。ガイドラインを基に健全な企業統治の下で株主の権利に留意し、永続的な企業価値の向上をめざしてまいります。
そのほか、サステナビリティの考え方を重視したバランス経営を実践すべく、環境に配慮したビジネス展開、地域社会をはじめ各ステークホルダーとの関係強化、強固なガバナンス体制の構築など、バランスのとれたESG経営を基に社会的ニーズに対応した価値創造を進めており、更に、日本将棋連盟及び障がい者スポーツ団体への支援など、社会貢献活動も強化しております。併せて、人材育成を軸として、健康経営・働き方改革等の取り組み、女性活躍推進法に基づく行動計画策定など、女性や高齢者も持てる能力を発揮できる職場とし、一人当たり生産性の高い企業、人が育つ企業をめざしてまいります。
配当政策につきましては、不動産賃貸事業を主たる事業としていることもあり、長期的かつ安定的な事業基盤の強化のために必要な内部留保の充実をはかるとともに、株主への利益還元を狙いとして、安定した配当を継続することを基本方針としております。また、業績動向を踏まえた配当とすることも同様に重要と考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。