有価証券報告書-第167期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/24 17:00
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(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(以下、「当年度」といいます。)における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では堅調な経済活動が続いたものの、足もとは需要減退の兆しが見られ、先行き不透明感が増してきました。中国では輸出は拡大しましたが、不動産不況や消費低迷の長期化に対する政策の効果は限定的で、景気は足踏み状態が続いています。国内においては、所得環境の改善により個人消費が持ち直したことに加え、インバウンド需要の増加や設備投資の拡大により、景気は緩やかに回復しました。
こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、中東向け特化生地は堅調に推移しました。加えて、包装用フィルム事業、不織布マテリアル事業などの要改善事業において、製品価格の改定や生産体制の見直しなどの対策を進めたことにより、収益性が改善しました。
以上の結果、当年度の売上高は4,220億円と前年度比1.9%の増収、営業利益は167億円と前年度比85.1%の増益、経常利益は106億円と前年度比52.1%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は20億円と前年度比18.4%の減益となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
(フィルム)
包装用フィルム事業では、新製品の開発費用などコスト上昇の影響を受けましたが、荷動きが緩やかに回復したことに加え、原燃料価格や物流費の上昇に対する製品価格の改定を進めたことにより、収益性が改善しました。
工業用フィルム事業では、セラミックコンデンサ用離型フィルムはAIサーバー向けなどの販売が拡大した一方で、新機台の立上げ費用が増加しました。液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”は強い需要に支えられ、堅調に推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比103億円(6.6%)増の1,668億円、営業利益は同42億円(157.4%)増の69億円となりました。
(ライフサイエンス)
バイオ事業では、診断薬用原料酵素は国内外ともに堅調な需要に支えられ、販売が増加しましたが、生産能力増強に伴う費用の増加に加え、一時的な生産性低下の影響も受けました。
メディカル事業では、人工腎臓用中空糸膜の販売が堅調に推移しましたが、新工場の立上げやインフラ関連投資に関する費用が増加しました。
医薬品製造受託事業では、FDAからのWarning Letterが解除されたことに加え、製品価格の改定が進みました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比2億円(0.6%)減の343億円となり、営業利益は同24億円(54.7%)減の20億円となりました。
(環境・機能材)
樹脂・ケミカル事業では、エンジニアリングプラスチックは、製品価格の改定が進んだことに加え、北中米向け自動車用途の販売が拡大しました。水現像型感光性印刷版用途の光機能材料は、中国や東南アジアを中心に販売が増加しました。
環境・ファイバー事業では、環境ソリューションは、リチウムを濃縮回収するためのBC(Brine Concentration)膜装置の販売が寄与しましたが、EV市場減速の影響により、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置の出荷が減少しました。高機能ファイバーは、海外向け販売が堅調に推移しました。不織布マテリアルは、国内生産体制の見直しが進み、収益性が改善しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比45億円(3.9%)減の1,108億円、営業利益は33億円(70.6%)増の80億円となりました。
(機能繊維・商事)
衣料繊維事業では、中東向け特化生地は、強い需要に牽引され販売が増加したことに加え、為替影響により輸出採算が好転しました。さらに、国内生産拠点の集約などの構造改革が進展しました。
エアバッグ用基布事業では、製品価格の改定が進みました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比24億円(2.5%)増の981億円、営業利益は5億円(前年同期は営業損失10億円)となりました。
(不動産、その他)
不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等の各インフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比2億円(1.6%)減の120億円、営業利益は5億円(15.3%)減の26億円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度比85億円(39.5%)収入が増加し、301億円の収入となりました。主な内容は、減価償却費227億円および税金等調整前当期純利益72億円による資金の増加と運転資本の増加による資金の減少50億円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度比124億円(21.1%)支出が減少し、464億円の支出となりました。主な内容は、有形及び無形固定資産の取得による支出452億円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度22億円(27.0%)収入が増加し、105億円の収入となりました。主な内容は、長期借入れによる収入405億円および社債の発行による収入170億円と、短期借入金の減少による支出154億円、社債の償還による支出150億円、長期借入金の返済による支出133億円および配当金の支払額35億円です。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比59億円減の274億円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
フィルム168,2868.3
ライフサイエンス33,9778.0
環境・機能材114,920△6.6
機能繊維・商事99,5813.5
不動産--
その他(うち製造)18,891△14.2
合計435,6561.8

(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.外注生産を含んでいます。
3.不動産の生産実績はありません。
(ロ)受注実績
当社グループの製品は一部の受注生産を除き見込生産を行っています。
(ハ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
フィルム166,8426.6
ライフサイエンス34,341△0.6
環境・機能材110,807△3.9
機能繊維・商事98,0622.5
不動産4,1471.9
その他7,834△3.4
合計422,0321.9

(注)1.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上となる販売先はありません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態の分析
総資産は、前年度末比108億円(1.8%)増の6,178億円となりました。これは主として現金及び預金が減少した一方で、設備投資により有形固定資産が増加したことによります。
負債は、前年度末比89億円(2.3%)増の3,858億円となりました。これは主として短期借入金が減少した一方で、長期借入金が増加したことによります。
純資産は、配当金の支払などにより利益剰余金が減少した一方で、非支配株主持分が増加したことから、前年度末比20億円(0.9%)増の2,320億円となりました。
また、財政状態に関する各種指標(連結ベース)は次のとおりです。
回次第163期第164期第165期第166期第167期
決算年月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月
自己資本比率(%)37.837.632.232.531.6
時価ベースの自己資本比率(%)25.818.815.616.413.4
自己資本当期純利益率(%)2.36.8△0.31.31.0
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率
(年)5.311.229.411.58.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)28.014.05.916.214.2
有利子負債自己資本比率
(D/Eレシオ)
(倍)1.010.981.211.261.37

自己資本比率:非支配株主持分を含まない期末純資産/期末総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額[期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数]/期末総資産
自己資本当期純利益率:親会社株主に帰属する当期純利益/非支配株主持分を含まない期末純資産の期首・期末平均
キャッシュ・フロー対有利子負債 比率 :期末有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/(連結キャッシュ・フロー計算書)利息の支払額
有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ):期末有利子負債/非支配株主持分を含まない期末純資産
当社グループは、財務の健全性の指標として特に有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)を重視しています。当連結会計年度末のD/Eレシオは1.37倍となりました。
(ロ)経営成績の分析
2025中期経営計画の三年目にあたる当連結会計年度は、期初において売上高4,350億円、営業利益170億円を計画し事業活動を進めましたが、売上高、営業利益ともに計画に対し未達となりました。
売上高については、液晶偏光子保護フィルムは堅調に推移しましたが、セラミックコンデンサ用離型フィルムの拡大ペースが想定を下回ったことに加え、不織布マテリアル事業における関係会社事業譲渡に伴う売上高減少などにより期初の計画には届きませんでした。
営業利益については、交易条件の改善については期初の計画以上に進捗しましたが、包装用フィルムにおける新機台の立上げ費用を含む新製品開発費用などのコスト上昇や、セラミックコンデンサ用離型フィルムの需要拡大の遅れに加え、バイオ事業における一時的な生産性低下の影響などにより、期初の計画を下回りました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、営業利益が当初計画を下回ったほか、為替差損や減損損失を計上したことなどから、20億円に留まりました。この結果、「自己資本当期純利益率(ROE)」は1.0%となりました。
(単位:億円)
2024年度
(計画(*))
2024年度
(実績)
増 減
(実績-計画)
売上高4,3504,220△130
営業利益170167△3
親会社株主に帰属する当期純利益2620△6

(*) 期初において計画した計画値
2024年度の事業環境(当初想定との差異)
セグメント事業期初想定期初想定との差異
フィルム包装用在庫調整を終え、緩やかに回復へ(期初想定のとおり)
工業用液晶偏光子保護フィルムは前年並みの需要(期初想定のとおり)
セラミックコンデンサ用離型フィルムは年度後半から需要回復年度を通じて徐々に拡大も想定ペースを下回る
ライフサイエンスバイオ生化学診断薬用酵素は需要堅調(期初想定のとおり)
メディカル人工腎臓用中空糸膜は堅調に推移(期初想定のとおり)
環境・機能材樹脂・
ケミカル
自動車生産は堅調に推移北中米向けは堅調も、アジア向けで減速
電子材料用途の需要回復(期初想定のとおり)
環境・
ファイバー
VOC回収装置の需要堅調EV化減速の影響あり
不織布マテリアルの厳しい競争環境は継続(期初想定のとおり)
機能繊維・
商事
エアバッグ自動車生産は堅調に推移北米向けは堅調も、アジア向けで減速

当社グループは足元の業績を受け、2025年度以降の企業価値の向上に取り組みます。具体的なアクションについては「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2025中期経営計画 ③2025年度以降の取組み」に記載のとおりです。
(ハ)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。また、包装用フィルム事業の新機台の立上げ状況を注視しています。
(ニ)当社グループの資本の財源および資金の流動性について
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.契約債務
2025年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりです。
年度別要支払額(百万円)
契約債務合計1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超
短期借入金53,04353,043---
長期借入金126,02711,68427,41935,84751,077
リース債務6,7998571,1557704,018

上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めています。
当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の借入金等に対する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間内に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2025年3月31日現在の債務保証額は、6,769百万円です。
c.財務政策
当社グループは、2025中期経営計画レビューの見通しを実現すべく、安全・防災・環境対応を最優先としつつ、同時に成長事業への積極投資を行っていきます。必要資金に関しては、内部資金または外部調達により資金を調達し、外部調達は、直接金融・間接金融を活用し、D/Eレシオは1.4倍未満、Net Debt/EBITDA倍率は4倍台を目安として管理していきます。
また、マーケット環境の一時的な変化など、不測の事態への対応手段確保のため、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計17,500百万円のコミットメントライン契約を締結しています。(借入未実行残高17,500百万円)。

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