訂正有価証券報告書-第166期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/08/30 10:00
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(以下、「当年度」といいます。)における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では政策金利が据え置かれる中、堅調な個人消費が経済活動を牽引し景気が拡大しましたが、中国では不動産不況の長期化や消費の低迷により景気が減速しました。国内においては、自動車生産やインバウンド需要の回復により、景気は緩やかに持ち直しました。
こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置は、強い需要に牽引され、それぞれ販売を伸ばしました。一方、包装用フィルムは、需要の回復遅れにより流通在庫の調整が長期化しました。PCR検査用試薬は、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、需要が大幅に減少しました。
以上の結果、当年度の売上高は4,143億円と前年度比3.6%の増収、営業利益は90億円と前年度比10.6%の減益、経常利益は70億円と前年度比5.6%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は25億円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失7億円)となりました。
なお、当社は、機能素材の開発、製造および販売を行う東洋紡エムシー株式会社を設立し、2023年4月1日より三菱商事株式会社(本社 東京都千代田区)との合弁会社として事業を開始しました。当社グループの製品・技術開発力と三菱商事株式会社の幅広い産業知見・経営力を掛け合わせ、持続可能な社会の実現と合弁事業の成長拡大を図ります。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
(フィルム)
包装用フィルム事業では、原燃料価格高騰を受け、製品価格の改定を進めましたが、需要回復の遅れにより低調な荷動きが続いたことに加え、新機台の立上げ費用が嵩みました。
工業用フィルム事業では、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”は強い需要に牽引され、販売を大きく伸ばしました。セラミックコンデンサ用離型フィルムはサプライチェーン全体における在庫調整の影響を受け、本格的な需要回復に至らず苦戦しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比105億円(7.2%)増の1,565億円、営業利益は同11億円(65.6%)増の27億円となりました。
(ライフサイエンス)
バイオ事業では、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、PCR検査用試薬の需要が大幅に減少しました。
メディカル事業では、人工腎臓用中空糸膜の販売が堅調に推移しました。
医薬品製造受託事業では、FDAからのWarning Letterが解除されたことにより、GMP(医薬品等の製造および品質管理基準)対応費用が減少し、収益性が改善しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比36億円(9.4%)減の346億円となり、営業利益は同48億円(51.8%)減の44億円となりました。
(環境・機能材)
樹脂・ケミカル事業では、エンジニアリングプラスチックは、自動車生産の回復により販売を伸ばし、加えて製品価格の改定が進みました。工業用接着剤“バイロン”は、中国向け電子材料用途の販売が低調でした。
環境・ファイバー事業では、環境ソリューションは、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置の販売が拡大しました。高機能ファイバーは、釣糸用途で“イザナス”の販売が低調でした。不織布マテリアルは、衛材用途や土木・建築用途の販売減に加え、原燃料価格高騰の影響を受けました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比45億円(4.1%)増の1,153億円、営業利益は6億円(15.3%)増の47億円となりました。
(機能繊維・商事)
衣料繊維事業では、国内生産拠点の集約や不採算商材からの撤退などの事業構造改革に加えて、製品価格の改定が進み、収益性が改善しました。
エアバッグ用基布事業では、自動車生産の回復に伴い販売量が増加したことに加え、製品価格の改定が進み、収益性が改善しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比33億円(3.6%)増の957億円、営業損失は10億円(前年同期は営業損失25億円)となりました。
(不動産、その他)
当セグメントでは、不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等のインフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年度比4億円(3.1%)減の122億円、営業利益は8億円(37.8%)増の30億円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度比138億円(176.9%)収入が増加し、216億円の収入となりました。主な内容は、減価償却費198億円および税金等調整前当期純利益56億円による資金の増加と運転資本の増加による資金の減少43億円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度比228億円(63.2%)支出が増加し、588億円の支出となりました。主な内容は、有形及び無形固定資産の取得による支出566億円および投資有価証券の売却による収入38億円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度比530億円(86.5%)収入が減少し、83億円の収入となりました。主な内容は、長期借入れによる収入501億円および社債の発行による収入100億円と、長期借入金の返済による支出304億円、社債の償還による支出100億円、短期借入金の減少による支出36億円および配当金の支払額35億円です。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比269億円減の333億円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
フィルム155,3783.5
ライフサイエンス31,473△24.5
環境・機能材123,0113.4
機能繊維・商事96,237△0.9
不動産--
その他(うち製造)22,017△3.9
合計428,117△0.6

(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.外注生産を含んでいます。
3.不動産の生産実績はありません。
4.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更し、「前連結会計年度比(%)」については前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
(ロ)受注実績
当社グループの製品は一部の受注生産を除き見込生産を行っています。
(ハ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
フィルム156,5317.2
ライフサイエンス34,564△9.4
環境・機能材115,3274.1
機能繊維・商事95,6653.6
不動産4,0700.4
その他8,108△4.8
合計414,2653.6

(注)1.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上となる販売先はありません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しています。
3.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更し、「前連結会計年度比(%)」については前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態の分析
総資産は、前年度末比181億円(3.1%)増の6,070億円となりました。これは主として現金及び預金が減少した一方で、設備投資により有形固定資産が増加したことによります。
負債は、前年度末比94億円(2.6%)増の3,769億円となりました。これは主として退職給付に係る負債が減少した一方で、借入金が増加したことによります。
純資産は、為替換算調整勘定や退職給付に係る調整累計額が増加したことなどにより、前年度末比87億円(3.9%)増の2,301億円となりました。
また、財政状態に関する各種指標(連結ベース)は次のとおりです。
回次第162期第163期第164期第165期第166期
決算年月2020年3月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月
自己資本比率(%)36.437.837.632.232.5
時価ベースの自己資本比率(%)20.825.818.815.616.4
自己資本当期純利益率(%)7.82.36.8△0.31.3
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率
(年)4.05.311.229.411.5
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)32.228.014.05.916.2
有利子負債自己資本比率
(D/Eレシオ)
(倍)0.981.010.981.211.26

自己資本比率:非支配株主持分を含まない期末純資産/期末総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額[期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数]/期末総資産
自己資本当期純利益率:親会社株主に帰属する当期純利益/非支配株主持分を含まない期末純資産の期首・期末平均
キャッシュ・フロー対有利子負債 比率 :期末有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/(連結キャッシュ・フロー計算書)利息の支払額
有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ):期末有利子負債/非支配株主持分を含まない期末純資産
当社グループは、財務の健全性の指標として特に有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)を重視しています。当連結会計年度末のD/Eレシオは1.26倍となりました。
(ロ)経営成績の分析
2025中期経営計画の二年目にあたる当連結会計年度は、期初において売上高4,300億円、営業利益150億円を計画し事業活動を進めましたが、包装用フィルムの数量減やPCR検査用試薬の需要減等により、売上高、営業利益ともに計画に対し未達となりました。
売上高については、液晶偏光子保護フィルムは販売を伸ばし、加えて、原燃料価格高騰に対して価格改定を進めましたが、包装用フィルムの在庫調整局面の長期化などにより期初の計画には届きませんでした。
営業利益については、医薬品製造受託事業におけるFDAからのWarning Letterが解除されたことを受けて当該対応費用が減少したものの、包装用フィルムの新機台の立上げや、環境・機能材事業における東洋紡エムシー㈱の事業開始など、事業拡大に関連する費用が増加したほか、研究開発等の基盤固めに関連する費用の増加などにより、期初の計画を下回りました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、営業利益が当初計画を下回ったものの、為替差益や投資有価証券売却益を計上したことなどから、25億円となりました。この結果、「自己資本当期純利益率(ROE)」は1.3%となりました。
(単位:億円)
2023年度
(計画(*))
2023年度
(実績)
増 減
(実績-計画)
売上高4,3004,143△157
営業利益15090△60
親会社株主に帰属する当期純利益4025△15

(*) 期初において計画した計画値
2023年度の事業環境(当初想定との差異)
セグメント事業期初想定期初想定との差異
フィルム包装用流通在庫の調整が段階的に解消在庫調整の長期化で需要回復遅れ
工業用液晶偏光子保護フィルムは需要堅調強い需要あり
セラミックコンデンサ用離型フィルムは下期から本格的な需要回復本格的な需要回復には至らず
ライフサイエンスバイオPCR検査用試薬の需要大幅減5類感染症移行により、需要は激減
メディカル人工腎臓用中空糸膜は需要堅調堅調に推移
環境・機能材樹脂・
ケミカル
自動車生産の回復(半導体不足の解消)(期初想定のとおり)
電子材料用途(中国・アジア)の需要回復需要回復遅れ
環境・
ファイバー
VOC回収装置は需要堅調受注は堅調
不織布マテリアルは競争激化事業環境の競争激化(衛材、土木)
機能繊維・
商事
エアバッグ自動車生産の回復(半導体不足の解消)(期初想定のとおり)

当社グループは足元の業績を受け、2025中期経営計画の後半2年において、企業価値の向上に取り組みます。具体的なアクションについては「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2025中期経営計画 ③2025中計後半の課題(2025年度以降を見据えたアクション)」に記載のとおりです。
(ハ)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。また、包装用フィルムの需要回復時期を注視しています。
(ニ)当社グループの資本の財源および資金の流動性について
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.契約債務
2024年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりです。
年度別要支払額(百万円)
契約債務合計1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超
短期借入金68,38568,385---
長期借入金98,70613,06921,60427,42236,611
リース債務7,1541,1361,4908833,645

上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めています。
当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の借入金等に対する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間内に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2024年3月31日現在の債務保証額は、7,375百万円です。
c.財務政策
当社グループは、2025中期経営計画レビューの見通しを実現すべく、安全・防災・環境対応を最優先としつつ、同時に成長事業への積極投資を行っていきます。必要資金に関しては、内部資金または外部調達により資金を調達し、外部調達は、直接金融・間接金融を活用し、D/Eレシオは1.4倍未満、Net Debt/EBITDA倍率は4倍台を目安として管理していきます。
また、マーケット環境の一時的な変化など、不測の事態への対応手段確保のため、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計17,500百万円のコミットメントライン契約を締結しています。(借入未実行残高17,500百万円)。

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